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糖尿病予防対策に関する研究 報告書概要版 平成16年3月 国民健康保険中央会.

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1 糖尿病予防対策に関する研究 報告書概要版 平成16年3月 国民健康保険中央会

2 目 次 Ⅰ はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
目   次 Ⅰ はじめに   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 Ⅱ 研究事業結果概要  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 1 研究事業の枠組み  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 2 モデル事業の視点  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 3 研究結果の概要  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 4 今後の糖尿病予防活動への提言と課題  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 糖尿病予防対策研究会委員名簿(敬称略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

3 委員会の議論とモデル地区の検討により、「境界領域から糖尿病への歩みを止める」方法を模索してきた。その報告は、以下に説明する通りである。
Ⅰ はじめに   日本の現状からみると、糖尿病患者は激増して亡国病になる恐れがある。現在の患者は、予備群を入れて約1,620万人。人口の1割強になんなんとしている。健康保険で使われている医療費を見ても約2兆円で、そのうち診断・治療費が1兆2,000億円、糖尿病を原因とする透析患者の透析の医療費が8,000億円といわれている。それだけではない。これまでは糖尿病は細い血管(網膜や腎臓など)だけに障害を起こすと考えられていたが、最近の知見によると、心血管系をはじめとした動脈硬化の発症・進展が糖尿病の影響を強く受けているとみられるエビデンスが多く報告されるに至っている。まさに健康にとって諸悪の根源は糖尿病であるといっても過言ではない。  糖尿病はⅠ型とⅡ型に分かれているが、Ⅰ型は若い時から起きることの多い膵臓障害とみられるものだが、全体の5%しかない。糖尿病の大半はⅡ型といわれる、中年を過ぎてから発病するものである。これは、膵臓からのインスリンの分泌が少なくなったり、充分分泌されていてもうまく働かないために、血中のブドウ糖が体内に取り込まれないなどの障害によって血糖が上がる。これは一定の年月を経て発病するが、基本的には遺伝因子があって、それに環境因子の誘因が加わって発病する。その誘因は、飲みすぎ、食べすぎ、太りすぎ、ストレスなどである。  糖尿病の多くは徐々に起きてくる病気だが、境界領域と呼ばれる警戒警報の状態があり、そこから不摂生を続けると糖尿病を発病する。この境界領域で止めて、糖尿病にしないという対策こそ糖尿病予防対策の根幹である。食生活の改善と運動の継続によって糖尿病を予防できることは医学的にも証明されているが、実際にそれをどのように行って行くかは難しい問題である。多くの生活習慣病は、糖尿病と同様のメカニズムで発生すると考えられるので、もし、糖尿病予防対策に成功すれば、他の多くの生活習慣病の予防にも応用できるものと期待される。  国民健康保険中央会では、平成12年度から4年間にわたって、糖尿病予防対策の検討と同時に、全国で29の市町村を選んでモデル地区を展開して、国保の保険者として「よりよい糖尿病予防対策」を求めて検討してきた。  委員会の議論とモデル地区の検討により、「境界領域から糖尿病への歩みを止める」方法を模索してきた。その報告は、以下に説明する通りである。 【注:「境界領域」について】 ①日本糖尿病学会の判定基準では、  ・境界型とは、ブドウ糖負荷試験で、日本糖尿病学会の診断基準によ   り、糖尿病型にも正常型にも属さない血糖値を示す群である。WHO   分類(注1)でのIGT(impaired glucose tolerance:耐糖能障害)   とIFG(impaired fasting glucose:空腹時血糖異常)(注2)が、   この群に属する。    注1)IGTはWHOの糖尿病診断基準に取り入れられた分類で、空腹      時126mg/dl未満、75gOGTT2時間値140~199mg/dlの群を示す。    注2)IFGは空腹時110~125mg/dlで2時間値140mg/dl 未満の基準      を示す(WHO基準)。 ②老人保健事業においては、  ・空腹時血糖値が110mg/dl以上126mg/dl未満、かつ、ヘモグロビンA1c検査値が5.5%以上6.1%未満のもの  あるいは、  ・随時血糖値が140mg/dl以上200mg/dl未満、かつ、ヘモグロビンA1c検査値が5.5%以上6.1%未満のものを「要指導(「境界領域」にあたる)」としている。 空腹時 血糖値 (mg/dl) 75gOGTT2時間値 199 140 110 126    境界領域

4 Ⅱ 研究事業の結果概要 1.研究事業の枠組み  国保中央会では、保険者として糖尿病予防対策が今後ますます重要になると考え、平成12年度から15年度まで糖尿病予防対策の検討を行う検討会を設置するとともに、全国29の市町村でモデル事業を実施した。 2.モデル事業の視点  事業実施にあたって、国保中央会より各市町村に示されたモデル事業の視点は以下の通りである。 <「保健活動の技術面」から> ①従来、市町村が実施する保健事業は、保健師などが住民に対して、行政の立場で教育するという形が取られてきたが、行政や専門家は住民が自ら主体的に生活習慣を健康的なものに変えようとする活動のサポート役になる。 ②従って、モデル事業の計画段階や事業の具体的進め方についても住民自身が参画することを促す。 ③糖尿病予防対策のための保健事業の目的は、生活習慣の変容に尽きるが、このモデル事業では全市町村で統一された、パターン化された教育プログラムではなく、地域の生活習慣や地域の環境に合わせたものを工夫していく。 <「健康な地域づくり」への視点から> ④住民がモデル事業への参加を通じて、健康的な食生活や運動習慣を継続していく視点から、住民の活動を地域の町づくりや環境整備への参加にまで発展させる。 <「事業評価」の視点から> ⑤モデル事業の評価にあたっては、臨床検査の値の変化、行動の変化などの指標のみでなく、参加した住民の意識の変化、感想など主観的なものも併せてみていく。

5 3.研究結果の概要 (ア)モデル事業全体を通じて、行政や保健師等の専門家は生活習慣を変えようと努力する住民のサポート役になるというこのモデル事業の当初の狙いは全モデル市町村で担当者に意識され、実際の事業の展開においても工夫がこらされていた。 (イ)行政主導の従来型の保健事業から住民の自主運営へというねらいはこのモデル事業ではかなり成功したと思われる。住民の自主的な活動を保健師がサポートするという点では評価できる市町村は多かった。 (ウ)全体を通じて、糖尿病予防の地域ぐるみの活動と個々人の取り組みが相互作用をもたらしており、地域ぐるみの取り組みが個人の取り組みを支援し、個人の努力や成功体験などが地域ぐるみの取り組みを盛り上げると言えるのではないか。 (エ)今回のモデル事業の中で実施された自己血糖測定は、2ヶ月間というきわめて短期間の試みであったが、糖尿病の患者や境界域の人にとって生活習慣と血糖値の関連について学習し、具体的な日常生活の行動と血糖値の変化の関連について認識させ、さらにそのことが生活習慣を変えさせ、結果としてHbA1cや血糖値の変化に結びつける有効な手段になることがはっきりした。その主な結果は次の通り。  ・自己血糖測定を実施した糖尿病患者85人、境界域100人のデータでは、自己血    糖測定前と2ヶ月後の終了時の比較で、HbA1cと体重において有意の低下が   あった。  ・自己血糖モデル事業を実施した市町村と実施しなかった市町村の予防教室参加者の    空腹時血糖とHbA1cの低下の比較で有意の差が見られた。  ・HbA1cが低下した人たちについて、保健師などの指導の頻度が高いほどHbA   1cの低下幅が大きかった。また、自己血糖測定の参加者について、最初に目標数   値を掲げたグループとそうでないグループの比較では、目標数値を掲げたグループ   のHbA1cの低下の幅が大きかった。 (オ)生活習慣改善の努力を継続させていくためには、 (21ページの図)のような住民自身の取り組みの発展段階に応じて、保健師やグループのリーダーの働きかけによって多様な活動が展開された。住民の発展段階に応じて、個別指導とグループ活動(24ページの図)を組み合わせる方式が有効であった。

6 (カ)モデル事業全体で1,300人の参加があった。これまでの保健事業では、参加者が少なく、最後まで参加し続ける人も少ないという課題が多くみられたが、今回の事業では、保健師等の優れたアプローチにより、当該市町村の従来の保健事業に比較して大幅に参加者を増やしかつ継続的に住民が参加したモデル市町村も多かった。従前の事業で参加者が少なく、最後まで参加し続ける人が少なかったのは、プログラムが硬直的で「教える」「教育する」という共通点が指摘されるが、今回のモデル事業で参加者が増加し、継続的に最後まで参加した市町村に共通しているのは「サポート役」に徹した保健師の指導方法や、住民の声をよく聞いて教室を運営したこと、参加者同士のつながりや交流を高める努力をしたことなどであった。 (キ)一方、地域住民の糖尿病予防の取り組みを「健康な地域づくり」へ繋げていくという視点に関しても、いくつかのモデル市町村で今後の方向を示唆する取り組みがあった。青森県相馬村のようにウォーキングコースの照明時間の延長に繋がった地域の運動環境改善の事例、「糖と仲良く付き合う会」の活動から島全体の食生活改善運動に高まっていった熱海市初島の事例、愛媛県松山市の地域の飲食店と協力した「ヘルシーメニュー協力店」のように食生活環境の改善事例等である。 (ク)事業評価の視点から当初のねらいを振り返ってみると、HbA1c等検査値については大部分の市町村で人数は少ないが継続的に測定し、生活習慣改善の個人の努力との関連を評価できるような取り組みをした市町村があった。モデル事業全体としては、生活習慣の改善を目指した取り組みが効果をあげたかどうかを検証するには、事前の評価のための計画が不十分で、市町村間のバラツキもあったため今後の課題として残された。 (ケ)モデル事業の推進役は全体としては保健師であった。推進役である保健師がこのモデル事業を通じて当初の狙いのように、住民のサポート役に徹するという点でどのように変わったかが事業評価のポイントの一つである。この点については、多くの市町村から、企画の策定能力や住民へのアプローチの仕方、担当者の意欲などの面で成果が得られたという報告がなされており、今後モデル事業に係った市町村保健師の意識の変化、住民への対応の仕方などで変化があったかどうか、確認していく必要がある。 (コ)今回のモデル事業では、教室などの参加者が正常者、境界域の人、既に糖尿病と診断された人が混在している市町村が多かった。このことは、教室に参加した健康な人や境界域の人が糖尿病を発病した人の経験を通じて学ぶという健康教育上のメリットがあるとともに、グループメンバー相互の影響力で活動が活性化したり、具体的な予防対策を考えやすくなるという地域活動ならではのメリットもあった。しかしながら、モデル事業の基本的な目的が糖尿病の一次予防であり、境界域の人たちに対する生活指導を通じて糖尿病への進展を阻止することにあるという点について、関係者間の認識を明確にしておくことが課題である。 (サ)地域における糖尿病予防の保健活動という事業の性格を考慮すれば、地域医師会等医療機関・行政・住民の三位一体の推進が不可欠であり、モデル事業では愛媛県・松山市や福岡県・小郡市をはじめとして多くの市町村で努力がなされたことは評価すべきである。

7 4.今後の糖尿病予防活動への提言と課題 (ア)国保中央会は従来から市町村国民健康保険の保険者支援の立場から、ヘルスパイオニアタウン事業の推進など健康な町づくりに取り組んできた。今回のモデル事業においても住民の自発的な活動を促すことで糖尿病予防の活動を突破口に、活動の発展とともに生活習慣病全体の予防へ、さらには健康な町づくりへと拡大する傾向がうかがえ、今後ともこの視点はさらに重要性を増すと考えられる。 (イ)上記(ア)へのアプローチの手法として、今後は従来の疾病の早期発見・早期治療の観点のみでなく、病気そのものを予防するという「生活習慣病の一次予防」を通じた健康な町づくりの考え方を基本とすべきである。 (ウ)わが国における保健医療施策の中で糖尿病予防対策の重要性を考慮すれば、国民健康保険の保険者である市町村が地域で展開する糖尿病予防活動の目的と役割について明確にしておく必要がある。糖尿病は通常正常者、境界域、糖尿病と経過をとることから、糖尿病予防対策における国保の保険者としての役割は、境界域のグループの人たちに対して生活習慣改善により糖尿病への移行・進行を阻止することを目的とすべきである。したがって、今後は国保が保険者の保健事業として実施する場合、地域で検診や人間ドックで発見された境界域の人たちを主たる対象として、生活習慣改善の指導による糖尿病への移行・進行阻止に焦点を当てて実施すべきである。 (エ)その場合、検診や人間ドック、病院の外来などで発見される境界域の人たちを把握し、生活習慣の改善に繋げていく仕組みを地域で構築することが出発点となる。特に、少なくとも市町村が実施する老人保健法や国保の保健事業で実施される検診などから出発する連続的な仕組みを作ることが必要である。 (オ)このような仕組みを地域で構築する場合、市町村の保健師が医師会や検診機関の協力を得ながら進めていくことが求められる。 (カ)すでに糖尿病を発症している住民に対しては、医療機関での継続的な治療と生活指導により腎機能や網膜症などの合併症を予防する体制を医療機関、医師会が中心となって整備していくべきである。 (キ)地域における治療と予防の連携のとれた仕組みを関係者の話し合いを通じて構築していく必要がある。そのような話し合いを通じて、既に患者となって医師の治療を受けている人についても、医師との連携により市町村が実施している食生活指導や運動指導のプログラムに参加する仕組みも、積極的に検討すべきである。その場合、患者の病態に合わせた個別の対応が必要となる。  また、国保連合会は、蓄積されている医療費データの活用などを通して、今後、より一層、糖尿病予防活動に大きな役割を果たしていくことが求められる。 (ク)フィンランドスタディなど諸外国のデータからどうすれば糖尿病が予防できるかがわかっているが、人の生活習慣を変えることの難しさが糖尿病予防対策の本質である。食生活と運動の2つの要素から、保健師、栄養士、食生活改善推進員などの参画に加えて、健康運動指導士の参加をもっと積極的に考えていく必要がある。  このように、地域における糖尿病予防の仕組みづくりには多様な職種の連携と協力が不可欠なことから、市町村の保健行政に関与する保健師の調整役としての役割が重要になり、その能力が求められる。

8 (ケ)糖尿病の予防や治療への個人の努力を支援する観点から、レストランのメニューのカロリー表示や総菜、弁当のカロリー表示の推進は重要である。コンビニの総菜、弁当等のカロリー表示はかなり進んできたが、レストランのメニューのカロリー表示について、今後さらに推進するよう、業界団体などの組織的取り組みを提唱したい。 (コ)本事業の一部として実施された、自己血糖測定モデル事業の結果から、自己血糖の測定は生活習慣と血糖の推移を自覚させ行動変容の有効な手段となりうると考えられるので、今後の取り組みにおいては、実施期間、対象者数などについてよく検討し、計画的な取り組みを行って、自己血糖測定の有効性についてさらに検証を進めることを要望する。 (サ)今後、自己血糖測定の普及を図ってセルフコントロールを支援するという観点から、医療機器メーカーに対して、自己血糖測定キットの価格の引き下げと、より簡便な方法で血糖が測定できる機器の開発促進を要請したい。また、厚生労働省に対しても、糖尿病予防対策の重要性に鑑み、境界域の人たちに対する自己血糖測定の費用負担について、診療報酬制度または保険者の保健事業として制度化の検討を要請したい。 (シ)今後の国保の保険者として、糖尿病予防対策の保健事業のもっとも重要な目的は生活習慣改善の指導方法の標準化である。標準化された生活指導方法のモデルをもとに全国の市町村保健師など関係者の教育・研修を通じて糖尿病予防対策の普及を図っていくべきである。 (ス)生活習慣の指導方法の標準化は必ずしも食生活の内容や運動プログラムの画一化を意味するものではない。食生活習慣改善のプログラムにその地域の特産品の活用(例えば、下仁田町のこんにゃく、熱海市の魚介類の活用など)を通じて地域興しに繋げていったり、運動プログラムでふるさとの山や川べりの散歩道など地域の環境を利用する工夫が望まれる。 (セ)多くの専門家が糖尿病予防対策で成功すれば、他の生活習慣病に応用できると考えていることから、国保中央会は今回のモデル事業の検証の結果を踏まえて、さらに地域における糖尿病予防対策のあり方について検証を続けることを期待する。

9      糖尿病予防対策研究会委員名簿(敬称略) ※ 伊藤 雅治(社団法人 全国社会保険協会連合会 理事長)   岩永 俊博(国立保健医療科学院 研修企画部長)   大井 要子(介護を考えるぶどうの会 相談役)   富永 一朗(漫画家)   羽場 喜彌((株)メディカル・ジャーナル社長)   久常 節子(慶應義塾大学看護医療学部教授)   堀田  饒(労働福祉事業団 中部労災病院 院長)   松谷 満子((財)日本食生活協会 会長)   三浦 大助(佐久市長) ◎ 水野  肇(医事評論家)    ◎は委員長    ※は小委員会座長


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