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2012 口腔微生物学 11月6日 口腔微生物学講座;前田伸子
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セッション2; 口腔微生物学各論 Ⅱ 口腔微生物学各論 3口腔に常在するその他の微生物
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到達目標 1)スピロヘータの種類を列挙する 2)スピロヘータの歯周病原性を説明する 3)マイコプラズマの病原性を説明する 4)原虫の種類を列挙する 5)原虫の病原的役割を説明する 6)カンジダの病原性を説明する
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1 スピロヘータ 2 マイコプラズマ 3 原虫 4 真菌(カンジダ)
口腔に常在するその他の微生物 1 スピロヘータ 2 マイコプラズマ 3 原虫 4 真菌(カンジダ)
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肉眼でみることのできないほど小さな生き物
微生物の定義 肉眼でみることのできないほど小さな生き物 ●ウイルス ●リケッチア/クラミジア ●マイコプラズマ ●細 菌 ●真 菌 ●原 虫
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微生物の世界
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1) スピロヘータSpirocheata
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梅毒トレポネーマ Treponema pallidum
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病原性のあるSpirochaetaの3属 種類 生息場所 おもな疾患名 Leptospira属 湿地帯、家畜 ワイル病など
種類 生息場所 おもな疾患名 Leptospira属 湿地帯、家畜 ワイル病など Treponema属 口腔、腸管、生殖器 梅毒 Borrelia属 シラミ・ダニの腸管 流行性回帰熱 ライム病
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口腔内に常在する SpiroheataはTreponemaのみ
↓ 口腔スピロヘータあるいは 口腔トレポネーマ と呼ぶ
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口腔スピロヘータの特徴 ●(偏性)嫌気性 ●栄養要求性が厳しい →血清、糖類、脂肪酸、アミノ酸、 その他ビタミン類 →そのために培養が困難、あるい は培養できないものもある
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現在、ヒトの歯肉縁下歯垢から 分離される口腔スピロヘータ
T. denticola T. socranskii T. pectinovorum T. lecithinolyticum T. vincentii T. medium T. amylovorum T. parvun T. putidum
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口腔スピロヘータの 病原性 歯周病の発症と進展に関連している 最も研究が進んでいるのは → T. denticola
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T. denticolaの病原性 ●付着に関するもの; 外膜成分に血球や細菌と凝集、 細胞外マトリックスと結合するタンパクを持つ
外膜成分に血球や細菌と凝集、 細胞外マトリックスと結合するタンパクを持つ ●生体防御に対する抵抗性; 抗体・補体の分解酵素 リンパ球機能抑制因子 ●組織破壊に関係する酵素 トリプシン様酵素活性など ●免疫抑制因子(分子量90,000)の存在; 免疫を回避して増殖
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2) マイコプラズマ 自己増殖能を持つ 最小の原核生物 *細胞壁を持たない
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マイコプラズマのコロニー
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マイコプラズマの特徴-1 ●細胞壁を持たない →多形性 →細胞壁合成阻害に働くβ−ラクタム系抗菌薬は無効 テトラサイクリン,エリスロマイシン感受性 ●最小増殖単位は nm →ウイルスとほぼ同じ、したがって光学顕微鏡で見 えない
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マイコプラズマの特徴-2 ●人工培地で発育可能 ●コロニーが寒天に食い込む →目玉焼き状,nipple状 ●特異抗体で発育阻害
●酢酸タリウム耐性
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病原性のあるマイコプラズマ ●Mycoplasma pneumoniae ・原発性異型性肺炎を起こす ・幼児,子供に多い
● M.hominis Ureaplasma urealyticum ・尿路感染 ・非淋菌性尿道炎→不妊症との関連.
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口腔マイコプラズマ 常在するものはM. salivarium が一番多い 他には M. orale M. buccale M. fermentans
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口腔マイコプラズマの 病原性 ●歯周炎の進展につれて口腔内 での数が増加するのが歯周病原 性の有無は不明
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3) 真菌 True fungi 真菌は細菌に比べて、細胞分化が進 み、化学組成も複雑でヒトの細胞に 近い真核生物である。俗にカビと呼 ばれる約20万以上ある真菌のうち、 ヒトに病気を起こす病原性のあるも のは約50種ある。
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ヒトと真菌の関わり ー悪い面ー
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ヒトと真菌の関わり ー良い面ー
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応用微生物の領域 ●食品との関係 アルコール飲料 発酵食品 ●バイオテクノロジー 医薬品開発
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真菌の生物学的特徴 ●核膜を持つ真核生物 ●細菌と同様に細胞壁を持つ ●好気ー通性嫌気性
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真菌の分類 接合菌 ムコール 子嚢菌 アスペルギルス ヒストプラズマ 担子菌 クリプトコッカス 不完全菌 カンジダ
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ヒトに関わる真菌の中で口腔内に 常在し、日和見病原体としても 重要なものがCandida 属である
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口腔から分離されるCandida ●Candida albicans ● C. glabrata C. parapsilosis
C. guilliermondii C. tropicalis C. krusei C. kyfyr など →とくにCandida albicansが重要
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Candida albicansの 病原性 ●細胞表層の糖タンパクが付着に関連 ・マンナンタンパク質 ・フィブリノーゲン接着因子
●二形性;状況により菌糸型・酵母型にスイッチす る →菌糸は方向を定めるセンサーともなる ●分泌型プロテアーゼ酵素類 ・分泌型アスパラギン酸プロテアーゼ ・ホスホリパーゼ
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Candida albicansの 二形性発育;菌糸型・酵母型
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口腔カンジダキャリア疫学調査結果 (平成10年6月〜平成15年5月)
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偽膜性カンジダ症
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肥厚性カンジダ症
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カンジダによる口角炎
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Candida陽性者/陰性者の割合、平均菌数、保有Candida種数
新潟大学との研究 Candida陽性者/陰性者の割合、平均菌数、保有Candida種数 ー補綴物の有無および種類による比較ー 補綴物の有無/種類 被験者数 Candida 平均菌数 保有 Candida 種数 陽性者 (%)1) CFU(SD)2) 1 2 3 4 補綴物なし 40 11 ( 27.5) 4.7 (20.9) 29 11 ブリッジのみ 89 54 (60.7) 19.2 (85.6) 35 43 7 部分床義歯とブリッジ 163 128 (78.5) 42.9 (90.1) 75 全部床義歯 74 58 (78.4) 70.0 (114.6) 16 21
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抗真菌剤 種類 薬剤 特徴 ポリエン系 アンホテリシンB 細胞膜透過性障害 ナイスタチン 耐性出現度低い 腎毒性あり
種類 薬剤 特徴 ポリエン系 アンホテリシンB 細胞膜透過性障害 ナイスタチン 耐性出現度低い 腎毒性あり アゾール系 イミダゾール系 細胞膜に異常もたらす (ミコナゾール) 耐性出現しつつある トリアゾール系 (フルコナゾール、イトラコナゾール) フロロピリジミン系 5−フルオロシトシン(5FC) DNA合成阻害 耐性出現しやすい
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4)原虫 ●真核生物に分類され、原生生物界に属する単細胞生物であ る。口腔に寄生する
歯肉アメーバ(Entamoeba gingivalis) →偽足を出して、運動し、栄養を取る 口腔トリコモナス(Trichomonas tenax) →1ないしは数本の鞭毛で運動する
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歯肉アメーバ
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口腔トリコモナス
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歯肉アメーバ・ 口腔トリコモナスの病原性 ●歯肉アメーバ・口腔トリコモナスとも歯垢、歯周 疾患患者の歯周ポケットから検出されることがあ る ● →病原性は不明だが、歯周疾患の進行に伴い、増 加する傾向がある →健康/衛生状態良い口腔には存在しない?
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最後に 口腔感染症の成立と 口腔微生物
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口腔感染症 ① う蝕;歯肉縁上 ② 歯周病;歯肉縁下 ③ 歯髄/根尖歯周炎; 歯内、歯槽骨内
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う蝕の成立と 口腔細菌 歯の硬組織が口腔細菌の産生 する酸によって脱灰される =う蝕 歯;ヒドロキシアパタイト
する酸によって脱灰される =う蝕 歯;ヒドロキシアパタイト 口腔細菌;S. mutansグループ 食物;スクロース
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う蝕とは う 蝕 口腔細菌 食事(蔗糖) 宿主(歯) 時 間
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う蝕の原因となる 口腔細菌 歯の硬組織の種類によって原因菌が異なる エナメル質う蝕;S. mutansグループ
象牙質う蝕;グラム陽性桿菌;Actinomyces, Lactobacillus, Bifidobacteriumなど (歯)根面う蝕;エナメル質う蝕と象牙質う蝕の 特徴が混在
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歯周病の成立と 口腔細菌 歯周局所に常在する細菌が原因となって発症、進 行する慢性炎症性疾患=歯肉疾患(歯肉炎)と歯 周炎とに大別される。
原因となる歯周病関連菌はほとんどがグラム陰性 嫌気性桿菌である。 しかし、病態の進展(進行/悪化)には宿主の炎 症や免疫が関連している。 一般的な感染症の治癒や予防に結びつくはずの炎 症や免疫反応が宿主(歯周組織)を傷害する。
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歯周炎の進展に関わる 宿主の反応 ●炎症反応;食細胞(好中球、マクロファージ/単 球)が放出する酵素が歯周組織を傷つける。 ●免疫反応は生体防御に働くよりも、むしろⅡ型、 Ⅲ型アレルギー、遅延型アレルギーなどの免疫の マイナス面が強く起こる。 ●炎症や免疫反応に関わる生体細胞が産生するサイ トカイン、とくにIL-1,6,8などの炎症性サイトカイ ンが歯周組織を傷つける。 →このサイトカインは血流に乗って全身を巡り、糖 尿病などの全身的な疾患に関係する!
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歯髄への感染経路 もともと歯髄は無菌である!
●う蝕;う蝕が進行して感染 ●歯科治療;歯の切削で象牙質から感染 ●外傷;歯を打撲して歯肉溝の細菌が感染 歯が破折し象牙質から感染 ●根尖部;隣在歯の根尖病巣から感染 ●側枝;深い歯周ポケットから側枝を介して感染 ●アナコレーシス;炎症が存在する場所には血流を介して細 菌が到達しやすい。打撲などあり、炎症が存在する歯に血 流から感染
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根尖部歯周組織への 感染の波及 ●急性歯髄炎→急性根尖性歯周炎→根尖部の膿瘍 →他の組織の膿瘍 →骨髄炎 →蜂窩織炎 ●慢性歯髄炎→慢性根尖性歯周炎→歯根嚢胞 →歯根肉芽腫
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根尖部歯周組織の 破壊に関連する宿主の 反応
① 細菌の侵入により炎症が起こる ② 細菌感染により起こった炎症が組織を傷害する ③ 細菌感染により生じた免疫反応がさらに組織を 傷害する 免疫反応;Ⅲ型アレルギー反応 Ⅳ型アレルギー反応
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プレ/ポストテスト 11/6/12 正しいのはa、誤っているのはbにマークして下さい。
① 口腔に常在するスピロヘータはトレポネーマ属だけである。 ② 口腔トレポネーマは菌体内鞭毛を持ち、独特の運動性を示す。 ③ 口腔トレポネーマは好気性で発育する。 ④ 歯周病の進行に連れてスピロヘータは減少する。 ⑤ マイコプラズマは細胞壁を持たない。 ⑥ マイコプラズマ肺炎にはペニシリンが有効である。 ⑦ 真菌は核膜を持つ真核生物である。 ⑧ Candida albicansはカンジダ属の中で最も病原性が強い。 ⑨ Candida albicansは二形性の発育をする。 ⑩ 原虫は健康な口腔に多く存在する。 ⑪ う蝕は歯肉縁下には発症しない。 ⑫ 歯周炎の進展には免疫反応が深く関わる。 ⑬ 根尖性歯周炎の骨吸収は歯周炎と同じメカニズムで起こる。
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