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Suprime-Camによる 太陽系小天体の観測

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Presentation on theme: "Suprime-Camによる 太陽系小天体の観測"— Presentation transcript:

1 Suprime-Camによる 太陽系小天体の観測
吉田二美 より大口径で見ていけば、いろんなものが浮かんでいるのが見えてくる、そういう世界が太陽系です。

2 太陽系の歴史 星間分子雲が収縮 原始太陽系円盤形成 ガスとダストの分離 ダストから微惑星へ 微惑星の衝突合体で原始惑星→惑星へ
現在の太陽系に残る小天体は惑星形成に使われなかった微惑星の生き残りであり、小天体の軌道進化・衝突進化は惑星の振る舞いを反映する 小天体の観測を通して惑星形成後の太陽系の歴史を探ることが可能 星間分子雲の収縮 原始太陽系星雲の形成 ここまではシナリオができているが、この後現在までの40億年間の歴史はほぼわかっていない。 塵の集積、微惑星の形成 惑星系へ

3 月 地球に一番近い天体 太陽系の生き字引 クレーター=天体衝突痕 風化・浸食作用ほぼなし、地質活動停止 過去にできた地形がそのまま保存
太陽系は天体同士の衝突の繰り返しによって作られて来た。そのような衝突史は大気を持たず、地質活動のない天体の表面に残っている。 代表的なのは月 風化・浸食作用ほぼなし、地質活動停止 過去にできた地形がそのまま保存 過去の天体衝突史を探る上で非常に重要

4 光条 クレーター アポロ10号の月着陸船からみた月面の様子 アポロ11号の月着陸船が上昇するときに撮った月面の様子 形成年代が比較的新しい
クレーターは月面に一様に分布しているわけではない。 光条    クレーター 形成年代が比較的新しい クレーター形成時に飛び散った岩の破片は、最初は反射率が高くて明るく白っぽく見えるが、時間の経過ともに暗くなる。 白い投射物をともなったクレーターは一目で新しいと判断可。

5 月のクレーター 月の高地古い 月の海新しい 月の裏側 月の表側海と高地 月の裏側ほぼ高地 38-39億年前 32-38億年前
古い時代と新しい時代ではクレーター の数(天体衝突率)が全然違う 月の高地古い 38-39億年前 月の海新しい 32-38億年前 月の裏側 月の表側海と高地 月の裏側ほぼ高地 赤はアポロの着陸地点 アポロが持ち帰った月の岩・砂の年代測定のおかげで月面の形成年代がわかった。 同じ面積の比較。高地には多数の大小様々なサイズのクレーター、海ではクレーターの数は少なく、大きさは小さい。 高地のクレーターの数は海に比べて約100倍多い

6 「サイズ分布」 D D D N(>D) ∝ D-b 個数が 直径に 反比例 個数が 直径の2乗に 反比例 個数が 直径の3乗に反比例
クレーターの大きさと個数の違いを科学的に分析するには、ある大きさのクレーターが何こあるかを数えてサイズ分布調べます。 ある大きさ以上のクレーターの数を足しあわせた累積度数は良くベキ状分布で近似される。 D D D N(>D) ∝ D-b D/2 D/2 D/2 D/3 D/3 D/3 個数が 直径に 反比例 個数が 直径の2乗に 反比例 個数が 直径の3乗に反比例

7 サイズ分布の表現 : R プロット R クレーターや小惑星のサイズ分布 大概は直径(D)の3乗に反比例 直径-3のデータを水平(基準)にする
サイズ分布を累積度数分布で書くより、ベキの傾きの違いを確認しやすい 直径 -3 R 直径 -4 直径 -2 直径 [D]

8 月 二種類のサイズ分布 クレーターの直径 [km] 高地(40-38億) 高地 "Class I" 「海」の上 海 クレーターの数
高地は波打った形、新しい海の上や、形状から最近の衝突でできたと思われるクラスIと呼ばれる新しいクレーター群のサイズ分布は平。しかも直径100km以上の大きなクレーターはない。 二種類のサイズ分布 高地(40-38億) クレーターの数 高地 "Class I" 「海」の上 クレーターの直径 [km]

9 水星のクレーター まだ全面を見ていない 月だけではなく他の固体惑星のクレーターのサイズ分布も調べる。

10 水星 R D [km] 古い高地 相当部分 Caloris盆地 (比較的新しい)
水星の全体的なクレーターのサイズ分布は月の高地のサイズ分布の形と似ている。他の表面より新しいと考えられているカロリス盆地内のクレーターのサイズ分布はちょっと平らな感じ。 古い高地 相当部分 R Caloris盆地 (比較的新しい) D [km]

11 火星のクレーター 火星のクレーターは南半球に多い。 塁壁状クレーター

12 火星 R ほぼ二種類のサイズ分布 D [km] 古い高地相当地域 北半球の 若い平原
北半球の平原と、南半球の高地とでクレーターのサイズ分布が異なる。  月や水星の表面で見られたサイズ分布の傾向と良く似ている。 ほぼ二種類のサイズ分布 R 古い高地相当地域 北半球の 若い平原 D [km]

13 地球型惑星のクレーターに 見られる二種類のサイズ分布
明らかに古い時代と新しい時代では天体衝突の性質が変わった。 原因についてはクレーターを作る衝突天体のデータが少なかったため、長いこと謎のままになっていた。 地球型惑星のクレーターに 見られる二種類のサイズ分布 (1) 古くて高密度、波打つ サイズ分布 古い時代(38億年前以前)には波打つサイズ分布を持つ天体グループの天体がたくさん衝突した (2) 新しくて低密度、 平らなサイズ分布 月の高地 火星の高地 新しい時代(38億年〜現在)には平らなサイズ分布を持つ天体グループの天体が衝突したが、衝突頻度はそれほど高くない 水星の高地 月の新しいクレーター 火星の新しい平原 月の海

14 小惑星の系統的観測 Spacewatch SDSS Subaru LINEAR
最近の太陽系小天体のサーベイ観測で太陽系内の小天体の空間分布、数、大きさなどが詳しくわかってきた。 Spacewatch SDSS LINEAR Subaru

15 小惑星 メインベルト 近地球 トロヤ群 火星 地球 木星 Mathilde ~60 km Itokawa ~0.5 km
太陽系内の小天体群(内側の方) メインベルト Mathilde 火星 地球 ~60 km 近地球 Itokawa 木星 ~0.5 km トロヤ群

16 ケンタウルス族 彗星 TNO天体 土星 天王星 木星 海王星 冥王星 トランス・ネプチュニアン・オブジェクト 太陽系内の小天体群(外側の方)
太陽系の内側の方ではある程度大きな天体はもう見つけ尽くした感があるが、外縁部の天体についてはこれからまだまだ発見の時代が続くと思われる。 土星 彗星 天王星 木星 海王星 冥王星 TNO天体 トランス・ネプチュニアン・オブジェクト

17 太陽系小天体は原始太陽系円盤の中で生まれたものなので、今も相変わらず黄道面付近にいる。暗くて肉眼では見えないが、もし見えたとすれば、空には二つの天の川が見えるはず。
銀河の星の川と、太陽系の石の川。 天の川 黄道 西 天王星 海王星

18 Suprime-Camで 見た太陽系小天体
(満月くらい大きい) Suprime-Camで 見た太陽系小天体 1晩同じ視野を2分露出で撮り続けた  各天体の移動速度が太陽からの距離の違いに相当する。近い天体は速く、遠い天体はあまり動かない。

19 Suprime-Camの画像に小天体を探す
移動天体の検出方法 同一視野を異なる時間に撮った複数枚の画像が必要 (1)ブリンク法 (2)ネガポジ法 スカイレベルを合わせた画像を足したり引いたりして合成画像を作る (3)投網法 背景の星を消して残った天体の位置を測り、2枚目、3枚目の画像での予想位置に天体があるかどうかを探す方法 (4)スタック法 画像を1〜数ピクセルずつずらして足し合わせ、動かない天体を見つける 各研究者のアイディアの見せ所 7分露出の場合のメインベルト小惑星 (5) AND/OR法(仮称) 2枚の画像を使う。動かない天体を消して、移動天体だけ残す

20 ネガポジ法 スカイレベルを合わせた画像を足したり引いたりして合成画像を作る 1枚目-2枚目+3枚目-4枚目+5枚目-... 2時間 2時間
連続露出した11枚で作った合成画像 1時間の間隔を置いて撮った3枚で作った合成画像 トランスネプチュニアン天体 2時間

21 小惑星の明るさと太陽からの距離から 小惑星の大きさを推定
小惑星の明るさと太陽からの距離から 小惑星の大きさを推定 見かけ等級と太陽-小惑星-地球間の距離→絶対等級H H=V-5log{a(a-1)}   V:見かけ等級、a:軌道長半径 a AU (2) アルベドを仮定して絶対等級から直径Dを算出 logD= logA-0.2H    A:アルベド 1 AU 小惑星 衝の位置 太陽 地球 サイズ分布が推定できる

22 小天体のサイズ分布 メインベルト小惑星 近地球小惑星 木星のトロヤ群小惑星
すばる望遠鏡のサーベイだけで全体のサイズ分布を決めることはできない。大きいものは明るすぎてサチってしまうし、そもそも全天サーベイするには膨大な観測時間を要する。しかし、すばるでフェイントエンドを決めたのは重要なポイント。8m級ではこれ以上小さいところは見えない。

23 R Spacewatch すばる望遠鏡で見つけたメインベルト小惑星のサイズ分布 SDSS 直径(km) 月面の古いクレーターを作った衝突体
数密度に相当する量 直径(km) 月面の古いクレーターを作った衝突体 火星の新しいクレーターを作った衝突体 近地球小惑星 月面の新しいクレーターを作った衝突体 すばる望遠鏡で見つけたメインベルト小惑星のサイズ分布 SDSS Spacewatch 小天体のサイズ分布をクレーターのサイズ分布から推定できる、クレーターを作った衝突体のサイズ分布に重ねて見るた。 月面には約38億年前以前に大量の小惑星がメインベルトから落下、衝突した。それ以後は衝突頻度は激減し、主に近地球小惑星によってクレーターが作られている   この結果は2005年にサイエンス誌上で我々が発表したもの どうして38億年前を境に衝突天体の供給源が変わったのか?衝突頻度が激減した理由は何か?小天体の内惑星領域への流入量が一桁落ちるほどの大変化なので、かなり大掛かりなことがこの時太陽系で起こったはず。メインベルト小惑星の流入が止まったのでメインベルトの領域で何か起こったと考えるのが自然。メインベルト小惑星に重力的影響を最も強く及ぼすのは木星なので木星が怪しい!

24 公転周期の共鳴 → 2:1の「平均運動共鳴」 → 同じ配置の繰り返し → 天体の軌道が楕円形になる
メインベルトから大量の小惑星をサイズによらず運び出すメカニズムはただ一つ  巨大惑星の動径方向の移動による共鳴帯の移動 メインベルト小惑星と月面の古いクレーターを作った衝突天体のサイズ分布は大きいサイズから小さいサイズまでまで全く一致していた。現在の知見では、メインベルトから大量の小惑星をサイズによらず運び出すメカニズムはただ一つ:共鳴帯の移動 公転周期の共鳴 天体の公転周期が簡単な整数比になる 例.木星が1周する間に小惑星は2周する → 2:1の「平均運動共鳴」 → 同じ配置の繰り返し → 天体の軌道が楕円形になる 地球型惑星や木星に接近する軌道へ

25 小惑星の軌道半長径の分布 共鳴帯 個数 軌道半長径 [天文単位] 空隙(小惑星が無い) 地球 火星 木星 トロヤ群 メインベルト領域
10000 空隙(小惑星が無い) 共鳴帯 8000 個数 6000 地球 火星 木星 4000 2000 トロヤ群 メインベルト領域 1 2 3 4 5 6 軌道半長径 [天文単位]

26 共鳴帯の移動 共鳴帯 小惑星の個数 軌道半長径 [天文単位] 木星 10000 8000 6000 4000 2000 1 2 3 4 5
もし木星がこのように内側へ動けば、メインベルトの中を共鳴帯が横切り、小惑星が次々に共鳴帯に飲み込まれ、メインベルトから放出され、多くが月面とか内惑星上に落ちる。そのうち、木星が現在の位置に落ち着けば、小惑星シャワーは止み、定常状態になり、衝突頻度低下する。このようにサイズ分布の時代による変化をかなり合理的に説明できる。 木星 共鳴帯 8000 小惑星の個数 6000 4000 2000 1 2 3 4 5 6 軌道半長径 [天文単位] 現在惑星形成論の分野では多くの理論家は、天王星や海王星が現在の場所でできたのではなく、形成後に外側に移動したと信じていて、木星の内側への移動が天王星や海王星を外側へ飛ばす原動力だと思っている。もしかしたらこの木星の動きを現在まで記憶しているかもしれない小天体群がある:トロヤ群

27 トロヤ群は木星ができた頃から木星軌道付近にいた天体たちなので、この天体群の空間分布には木星移動の痕跡が残っているかもしれない。理論的には木星が内側に動くと、木星の後方に分布している天体群の方が軌道不安定になりやすいという数値実験の結果がある。私たちの研究グループは2つのグループに分かれているトロヤ群で別々に空間分布やサイズ分布を調べ、木星移動の証拠をつかみたい。 火星 地球 また最近はガリレオやカッシーニなどの探査機のおかげで、外惑星の衛星表面の画像が手に入るので、外惑星の衛星のクレーターのサイズ分布と太陽系外縁部の小天体群のサイズ分布と比べてみれば、木星より外側での天体衝突の歴史が解明できるかもしれない。 木星 トロヤ群


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