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Liverpool Care Pathway(LCP)日本語版

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Presentation on theme: "Liverpool Care Pathway(LCP)日本語版"— Presentation transcript:

1 Liverpool Care Pathway(LCP)日本語版
一般病棟での使用経験と導入のコツ 東札幌病院 緩和ケア科 中島 信久 第16回日本緩和医療学会学術大会  (  札幌)

2 発表者の利益相反開示事項 ■臨床研究 □非臨床研究 ■ 講演演題 LCP)日本語版 一般病棟での使用経験と導入のコツ 研究種別 発表者氏名
■臨床研究  □非臨床研究 発表者氏名 中島信久 所属/身分 医療法人 東札幌病院 該当なし 基準に該当ありの場合:企業名等 企業の職員 企業等の顧問職の報酬 株式等配当 講演料等 原稿料等 受託研究費(治験)・ 寄付金等 専門的証言・助言等 贈答品等

3 一般病棟における終末期ケアの問題点 近年,わが国におけるホスピス・緩和ケアについては,緩和ケア病棟,緩和ケアチームなどの充足とともに,その質は向上してきているが,がん患者の多くがその最期を過ごす一般病棟において提供される緩和ケアの質はいまだ十分とはいえない. 終末期ケア,特に看取りの時期にある患者・家族へのケアにおいても改善すべき点は多い.

4 一般病棟では,「初回治療(手術など)~再発に対する化学療法~終末期」という一連の経過を経て,看取りのケアを提供することが多い.
そうした経過の中で,予後が「月単位」から「週単位」へ,ついで「週単位」から「日単位」へと切り替わる時期を意識することは,この時期のケアの質を高めていくうえで重要である.

5 ある日の外科病棟でのスタッフのつぶやき。。。
いつも病棟でそれなりに緩和ケアを意識して取り組んではいるけれども,“週単位”から“日単位”に差しかかるあたりの判断が難しいなと思います. あとから振り返れば,「ああ,あのタイミングだったのかな」と思えることもありますが,その時はなかなか気づくことができなくて・・・. ケアが後手に回り,十分な関わりができない中で,最期の時を迎えてしまうことが多いです. 患者さんが今こうした時期にあることに気づけたら,ケアの見直しを図ることができたんじゃないかなと思います.

6 そこで考えたこと。。。 終末期,“看取り”が近づきつつある中で, 「何をどうすればよいのか」を具体的に示してくれる“道しるべ”のようなものがあったらなあ~ そうした共通のツールを活用して,スタッフ同志が共通の目線で患者・家族ケアに関わりたいなあ~ イギリスにおいて看取りのプロセスの指標として広く普及していたLiverpool Care Pathway(LCP)のオリジナル版の導入を試みた.

7 一般病棟におけるLCP導入の試み 緩和医療学(9) 147-153, 2007 急性期一般病院外科病棟においてLCPを導入した.
(札幌社会保険総合病院:274床,緩和ユニットなし) 導入は2期に分けて行った.   第1期:2004年4月~6月の3ヶ月間.   第2期:2004年12月~2005年2月の3ヶ月間. 第1期に経験したバリアンスを抽出,検討した. これをもとに,第2期はSTAS日本語版を運用している状況 下でLCPによる評価を行った. その際に用いたオリジナルのシート( Hospital version )を  以下に示す.

8 Section 1 初期アセスメント(1) 患者のアセスメント 診 断 原発 転移 入院年月日 人種 身体症状 嚥下困難 認知力がある
               患者のアセスメント 診   断 原発           転移 入院年月日       人種 身体症状 嚥下困難                     認知力がある     嘔気                        意識清明である 嘔吐                       排尿に関する問題 便秘                       カテーテルチューブなど 混乱                       気道分泌 不穏                       呼吸困難 身のおきどころのなさ             疼痛 精神的辛さ                   その他 あり なし あり なし

9 Section 1 初期アセスメント(2) 初回評価 「いいえ」なら バリアンスへ Goal 1 投薬内容を再評価,必要でない投薬の中止.
・経口投与の皮下(静脈,直腸)への変更.必要でない投薬の中止. はい / いいえ Goal 2 頓用の指示を得る.(疼痛時,不穏時,嘔気時,呼吸困難時,発熱時) Goal 3 治療目的に一致しない治療・検査の見直し ・定期採血・・・患者,家族の希望が無ければ中止 ・輸液・・・・・・・浮腫,胸腹水,気道分泌の悪化→減量(<500ml/日) ルート確保で苦痛を伴う場合,中止or皮下輸液に変更 ・心肺蘇生・・・DNRの確認(Dr.        ,年月日   .  .  ) Goal 4 治療目的に一致しないケアの見直し・・・体位交換,バイタルサイン Goal 5 病状認識の評価(患者・家族) 病名; 知っている / 知らない / 不明 死が近いこと; 知っている / 知らない / 不明 Goal 6 家族への連絡方法の確認.家族への施設の情報の提供. Goal 7 紹介医への患者の状態の連絡

10 Section 2 継続アセスメント(1) 4時間ごとに記載 苦痛の緩和 苦痛の理解 : Goal : 患者が何を苦痛としているかの理解
08:00 12:00 16:00 20:00 24:00 04:00 苦痛の緩和 苦痛の理解 : Goal : 患者が何を苦痛としているかの理解 疼痛: Goal : 痛みがない 気道分泌: Goal : 気道分泌による苦痛がなく,かつ呼吸が 気道分泌のために障害されない 不穏: Goal : 不穏がない 尿閉,便秘の除外.抑制せず,薬物的鎮静を図る. 嘔気,嘔吐: Goal : 嘔気,嘔吐がない 呼吸困難: Goal : 呼吸困難がない その他の症状 治療・処置 口腔ケア: Goal : 口腔内が湿潤で清潔 排尿: Goal : 患者にとって快適な排尿 患者の価値観にあった排尿方法,利尿剤,夜間点滴の中止 薬物投与 Goal : 確実な薬物投与

11 Section 2 継続アセスメント(2) 12時間ごとに記載 体位 Goal : 患者が快適で,安全な環境である
08:00 20:00 体位 Goal : 患者が快適で,安全な環境である ・苦痛緩和のみを目的とした体位交換, ・移動しない除圧,マットレスの交換 排便 Goal : 患者が便秘,下痢のために苦痛を感じない ・摘便,GEを行う ・患者の価値観にあう方法(パッドなど) 患者への精神的ケア Goal : 患者が精神的の穏やかにいられる ・患者に意識があるときと同じように接する(あいさつ,声かけ,タッチなど) ・どのような処置を行うか,あらかじめ伝える 家族へのケア ・患者の状態(死が近いこと)に関する認識の確認,不安の把握, ・苦痛緩和の手段についての情報提供 ・身体的疲労に対する配慮。悲嘆が強い場合,傾聴,感情表出の促進 ・予測される死の過程についての説明

12 一般病棟におけるLCP導入の試み Ⅰ.導入第1期(2004年4~6月) 対象:この期間に当病棟に入院中であった全終末期がん患者
対象:この期間に当病棟に入院中であった全終末期がん患者      8例(消化器がん;6例,乳がん;2例). 実際の運用にあたっては,最初からLCPを病棟全体で共通の  ツールとして用いるためには,その導入に向けての教育やトレ ーニングなどに多くの時間や労力を要する ⇒ スモールグループによる試験的な運用を試みた.   医師+プライマリーナース+各勤務帯の担当ナースが,    随時,病状や問題点の確認などを行いながらパスを運用 ~ 8例全例でパスを遂行.   評価期間(初期アセスメントから死亡まで) : 3~13日(平均7日)

13 初期アセスメントにおけるバリアンス (第1期)
Goal 1:投薬の再評価・中止 Goal 2:頓用指示 Goal 3:治療・検査の見直し,DNR Goal 4:ケアの見直し Goal 5:病状認識(死が近いこと) Goal 6:家族への連絡,情報提供 3/8 (37.5%) 2/8 (25.0%) 4/8 (50.0%) 5/8 (62.5%)

14 継続アセスメントにおけるバリアンス (第1期)
初期アセスメントで問題点を解決したのちは,良好なコントロールが可能 苦痛の緩和・・・・・・・・・・・ 治療・処置 薬物投与  体位 排便 患者への精神的ケア 家族へのケア・・・・・・・・ バリアンスはほとんどなく,良好な経過のまま,最期を迎えることができた. ・キーパーソンを中心とした家族関係の  把握が不十分 ・・・3/8 (37.5%) ・家族の思いの表出・理解が困難            ・・・5/8 (62.5%)

15 バリアンスの発生理由と対処方法 発生理由 対処方法 ・ 病状認識度の低さ ・ 患者・家族とのコミュニケーションの不足
(一連の治療プロセスの中で,行われるべきことが行われていなかった) 対処方法 病棟全体で,STAS-Jを用いた緩和ケアの普及を目指す ⇒看取りの時期に至るよりも早い段階において,病状    認識やコミュニケーション面での問題の解決を図る ⇒その延長線上でLCPを使用するという流れに沿って    ケアを展開していく.

16 一般病棟におけるLCP導入の試み Ⅱ.導入第2期(2004年12月~2005年2月) この期間に当病棟に入院中であった全終末期がん患者7例
(消化器がん;5例,乳がん;2例)を対象として,STAS-Jによる   評価に続いて,LCPの運用を行った. 運用方法は第1期と同様  (医師+プライマリーナース+各勤務帯のナース ) ~ 7例全例でパスを遂行   評価期間(初期アセスメントから死亡まで): 4~14日(平均8日)

17 バリアンス (第2期) 第1期 3/8 (37.5%) 2/8 (25.0%) 4/8 (50.0%) 5/8 (62.5%)
3/8(37.5%) 5/8(62.5%) 第2期 2/7 (28.6%) 3/7 (42.9%) 1/7(14.3%) 2/7(28.6%) Goal 1:投薬の再評価・中止 Goal 2:頓用指示 Goal 3:治療・検査の見直し,DNR Goal 4:ケアの見直し Goal 5:病状認識(死が近いこと) Goal 6:家族への連絡,情報提供 家族のケア:家族関係の把握         家族の思いの表出

18 導入にあたっての注意点とコツ 一般病棟における緩和ケアの質の向上を目指していく中で,よりよい看取りのケアの実践を目的としてLCPを導入したプロセスを紹介した. ここでの経験をもとに,一般病棟でLCP日本語版を用いる際の注意点やコツなどについて整理する.   1. 開始時期について   2. LCPを導入する前にしておくべきこと   3. バリアンスへの対処方法-病状認識   4. 円滑な導入のためのポイント

19 1. 開始時期について LCPによる評価の開始時期については,「パスの適応基準」をもとに,おおむね「最期の1週間」としたが・・・
1. 開始時期について LCPによる評価の開始時期については,「パスの適応基準」をもとに,おおむね「最期の1週間」としたが・・・   実際の評価期間は3~14日と幅があり,開始時期の判断を     正確に行うことが難しかった. LCP発祥国であるイギリスと比べて,わが国ではやや早い時期に「寝たきり」や「内服が困難」になる患者の割合が高い.    ⇒ パスの適用期間は長くなる可能性あり! その分だけ看取りのケアの準備に充てる時間的余裕がある!                       と,前向きに捉えることもできる!! ☆ このパスに習熟し,より適切な運用が可能となっていくことで,     この問題は解消していくでしょう.

20 2. LCPを運用する前にしておくべきこと バリアンス分析の結果から明らかなように,看取りの時期のケアの質は,そこに至るまでの経過の中で行われたケアの内容の影響を受ける. 患者が現在抗がん治療中であり,今後徐々に緩和ケアのニードが高まってくることが予想される時期から,患者・家族との関わりの中で生じる様々な問題を,その都度適切に解決しておくことが重要である.

21 ここで注意してほしいこと・・・ 「STAS→LCPという流れでケアを行いましょう!」ということを勧めているわけではないのです。。。
当時われわれが働いていた一般病棟では,よりよい緩和ケアを提供したいが,何を拠りどころにすればいいのかが分からずに困っていた. その時,「STAS日本語版」に出会い,これが病棟全体に普及していく過程で,予後「月単位」の時期からの緩和ケアの質が充実していった. そうした状況において,「“残り1週間”以降の時期にLCPを用いることで,看取りの時期のケアの質が向上した」という“1つの取り組み”を紹介したのである.

22 3. バリアンスへの対処方法-病状認識 第1期においては,初期アセスメントの中でバリアンス発生率の高い項目は,「病状認識(死が近いこと)」と「DNRの確認」 「病状認識(死が近いこと)」については,この時期に至ってから,そのズレを修正することは難しいし,これによって得られる効果も不明瞭! より早い時期から修正しておくことが重要だが・・・, その一方で,この時期に至るまでに十分な病状理解が得られていない場合は,患者・家族に病状認識の修正を促すのではなく,“患者・家族の認識にどの程度のズレがあるのかを,医療者側が理解し,そしてそれをもとにケアに携わっていく”というスタンスを目指すのが良いであろう.

23 4. 円滑な導入のためのポイント ・上からの押しつけで始めない! ・・・ “評価自体が目的化”する危険あり!
4. 円滑な導入のためのポイント ・上からの押しつけで始めない!         ・・・ “評価自体が目的化”する危険あり! ・ 最初は小規模から~~ 関心を持った仲間を徐々に増やしていく . ・ 部署全体での運用開始後も,限られた業務量の中で,対象を    限定して行う.    導入当初,「アセスメント項目が多くて,仕事量が増えそう!」     という意見が 聞かれた.    “丁寧なアセスメント”を心掛け,まずは1例1例を大切に! ・成功の秘訣・・・その「良さ」をスタッフが実感できるか否か!                  困難な壁にぶち当たった時こそ,仲間との話し合いを大切に!

24 LCPの運用に関わった病棟スタッフの声 ・ 「最期の1週間」すなわち「看取りの時期」が近いことを 意識するきっかけになる.
・ 「最期の1週間」すなわち「看取りの時期」が近いことを       意識するきっかけになる. ・ 看取りの時期に必要なケアの見直しができる. ・ 看取りの時期に必要なケアが一目でわかり,見落とし が減る. ~「今,何をしなければならないのか」に気づくことが     できる. ・ 必要なケアをもれることなく提供できる.

25 まとめ 一般病院における終末期ケアの質を高めることを目的として,LCPの運用を試みた.
緩和ケアの必要な,なるべく早い段階から,患者,家族との関わりの中で生じるさまざまな問題を,その都度適切に解決することを目指し,円滑なギアチェンジを行う. その延長線として“看取りの時期のケア”につなげていく. LCPは,「これを使えば“看取りのケア”の 質が向上する」という“魔法のツール”ではありません! でも,うまく活用すれば,いくつもの“気づき”を与えてくれるでしょう!


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