概要 基礎理論 1.応力とひずみおよび平衡方程式 2.降伏条件式 3.構成式(応力-ひずみ関係式)

Slides:



Advertisements
Similar presentations
Absolute Orientation. Absolute Orientation の問題 二つの座標系の間における剛体 (rigid body) 変換を復元す る問題である。 例えば: 2 台のステレオカメラから得られた3次元情報の間の関 係を推定する問題。 2 台のステレオカメラから得られた3次元情報の間の関.
Advertisements

1 線形代数学. 2 履修にあたって 電子情報システム学科 必修 2005 年度1セメスタ開講 担当 草苅良至 (電子情報システム学科) 教官室: G I 511 内線: 2095 質問等は上記のいずれかに行なうこと。 注意計算用のノートを準備すること。
1 微分・ベクトル解析 (4) 講師:幹 浩文( A314) TA :西方良太 M 1 ( A305 ) A 1 03 ( 10 : 50~12 : 20 ) 【金】 https://
第 5 章 2 次元モデル Chapter 5 2-dimensional model. Contents 1.2 次元モデル 2-dimensional model 2. 弱形式 Weak form 3.FEM 近似 FEM approximation 4. まとめ Summary.
Determining Optical Flow. はじめに オプティカルフローとは画像内の明る さのパターンの動きの見かけの速さの 分布 オプティカルフローは物体の動きの よって変化するため、オプティカルフ ローより速度に関する情報を得ること ができる.
0章 数学基礎.
Ruth Onn, Alfred Bruckstein (Int J Comp Vision 1990)
CGアニメーションの原理 基本技術 対象物体の動きや変形の設定方法 レンダリング技術
浮動評価点応力点積分による 大変形解析のための メッシュフリー法
地すべり解析における 有限要素法の利用 群馬大学建設工学科 教授 鵜飼恵三.
・力のモーメント ・角運動量 ・力のモーメントと角運動量の関係
Akio Arimoto March 7,2011 Seminar at Tokyo City University
4.3 連立1次方程式   Ax = b   (23) と書くことができる。
第三回 線形計画法の解法(1) 標準最大値問題 山梨大学.
スペクトル法による数値計算の原理 -一次元線形・非線形移流問題の場合-
統計解析 第9回 第9章 正規分布、第11章 理論分布.
Extremal Combinatorics 14.1 ~ 14.2
対角マトリックスを用いた3次元剛塑性有限要素法の並列計算 対角マトリックスを用いた剛塑性有限要素法
論理式の表現を数学的に取り扱いやすくするために代数学の助けを借りる.
次に 円筒座標系で、 速度ベクトルと加速度ベクトルを 求める.
線形代数学 4.行列式 吉村 裕一.
透視投影(中心射影)とは  ○ 3次元空間上の点を2次元平面へ投影する方法の一つ  ○ 投影方法   1.投影中心を定義する   2.投影平面を定義する
電気回路学Ⅱ エネルギーインテリジェンスコース 5セメ 山田 博仁.
(ラプラス変換の復習) 教科書には相当する章はない
電気回路Ⅱ 演習 特別編(数学) 三角関数 オイラーの公式 微分積分 微分方程式 付録 三角関数関連の公式
梁の曲げ 1.外力としてのSFDとBMDおよびそれらの関係 2.梁の曲げ応力 (外力により発生する内力) 3.梁のたわみの求め方
2.伝送線路の基礎 2.1 分布定数線路 2.1.1 伝送線路と分布定数線路 集中定数回路:fが低い場合に適用
3. 可制御性・可観測性.
ひび割れ面の摩擦接触を考慮した損傷モデル
スペクトル法の一部の基礎の初歩への はじめの一歩
電磁波 アンテナ.
電磁気学C Electromagnetics C 5/28講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
6. ラプラス変換.
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 6/30講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
電気回路学Ⅱ 通信工学コース 5セメ 山田 博仁.
川崎浩司:沿岸域工学,コロナ社 第2章(pp.12-22)
逐次伝達法による 散乱波の解析 G05MM050 本多哲也.
構造力学の構造 構造力学Ⅰ復習.
システム制御基礎論 システム工学科2年後期.
材料強度学の目的 機械とは… 材料強度学 外部から力を加えて、人に有益な仕事をするシステム 環境 力 材料 材料の破壊までを考える。
電気回路学Ⅱ コミュニケーションネットワークコース 5セメ 山田 博仁.
変換されても変換されない頑固ベクトル どうしたら頑固になれるか 頑固なベクトルは何に使える?
応力(stress, s, t ) 自由物体図(free-body diagram)において、外力として負荷荷重P が作用したとき、任意の切断面で力の釣り合いを考慮すると、面における単位面積あたりの内力が存在する、それを応力といい、単位は、Pa(N/m2) で表す。面に垂直に働く垂直応力、s と平行に働くせん断応力、
連続体とは 連続体(continuum) 密度*が連続関数として定義できる場合
パターン認識特論 担当:和田 俊和 部屋 A513 主成分分析
9.通信路符号化手法1 (誤り検出と誤り訂正の原理)
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 6/9講義分 電磁場の波動方程式 山田 博仁.
FEM勉強会 (第3回).
リングの回転成形の 近似3次元有限要素シミュレーション 塑性加工研究室 平松直登 一般化平面ひずみを用い た近似3次元FEM
電機制御工学 定量的制御編 清弘 智昭.
平面波 ・・・ 平面状に一様な電磁界が一群となって伝搬する波
原子核物理学 第5講 原子核の振動と回転.
第1回、平成22年6月30日 ー FEM解析のための連続体力学入門 - 応力とひずみ 解説者:園田 恵一郎.
4章:曲げモーメントを受ける部材 キーワード:非線形挙動、断面解析、終局耐力、 等価応力ブロックによる塑性解析、
4. システムの安定性.
たわみ角法の基本式 長さl,曲げ剛性EIのラーメンの一部材ABが中間荷重を受けて,移動,変形したときの材端モーメントMAB,MBA (時計回りが+)は,
電気回路学Ⅱ エネルギーインテリジェンスコース 5セメ 山田 博仁.
行列式 方程式の解 Cramerの公式 余因数展開.
電気回路学Ⅱ コミュニケーションネットワークコース 5セメ 山田 博仁.
対象:せん断補強筋があるRCはり(約75万要素)
【第六講義】非線形微分方程式.
軸対称近似を用いたしごきスピニングの 有限要素シミュレーション
電磁気学C Electromagnetics C 5/20講義分 電磁場の波動方程式 山田 博仁.
電気回路学Ⅱ 通信工学コース 5セメ 山田 博仁.
ここでは、歪エネルギーを考察することにより、エネルギー原理を理解する。
パターン認識特論 カーネル主成分分析 和田俊和.
ベクトル関数の回転(カール、ローティション)
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 6/7講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
各種荷重を受ける 中空押出形成材の構造最適化
Presentation transcript:

概要 基礎理論 1.応力とひずみおよび平衡方程式 2.降伏条件式 3.構成式(応力-ひずみ関係式) 有限要素法 1.有限要素法の概要 2.仮想仕事の原理式と変分原理 3.平面ひずみ弾性有限要素法定式化

FEMの基礎方程式

応力とひずみおよび 平衡方程式

物体にはたらく力と応力

応力の定義 応力ベクトル: 垂直応力: せん断応力:

応力ベクトル

応力テンソル モーメントの釣合 =応力テンソルの対称性

二次元応力の座標変換

二次元応力行列と主応力

三次元応力の座標変換

三次元応力行列と主応力 今考えている面を主応力 s がはたらく主応力面とすると 上式が nj=0 以外の解をもつためには 上式を展開すると ここで J1,J2,J3 を応力の不変量という. 上式の3実根を s1 ,s2,s3 とすれば

三次元応力の不変量 あるいは主応力を用いて表すと

平均垂直応力と偏差応力 平均垂直応力=静水応力 ⇒塑性変形に無関係 偏差応力 ⇒塑性変形を引き起こす

偏差応力の不変量

二次元x方向応力の平衡方程式 (=釣合方程式)

三次元応力の平衡方程式 (=釣合方程式)

ひずみ(微少ひずみ)の定義

垂直ひずみ (=垂直微少ひずみ)

せん断ひずみ (=微少せん断ひずみ)

ひずみテンソル (ひずみ-変位の関係式)

体積ひずみと偏差ひずみ 体積ひずみ 偏差ひずみ

降伏条件

単軸応力状態の降伏条件

多軸応力状態の降伏条件 (1)

多軸応力状態の降伏条件 (2)

主せん断応力と最大せん断応力

Trescaの降伏条件 (1864)

Trescaの降伏条件における 臨界値の決定

Misesの降伏条件 (1913)

Misesの降伏条件における 臨界値の決定

降伏曲面・降伏曲線 主応力空間における降伏曲面 π平面上の降伏曲線

降伏条件式の実験的検証

応力-ひずみ関係式 =構成式

弾性体の構成式 (1) (一般化されたフックの法則)

弾性体の構成式 (2) (一般化されたフックの法則)

弾性体の構成式 (3) (一般化されたフックの法則)

Reussの構成式

剛塑性体の構成式 (Levy-Misesの式)

弾塑性体の構成式 (Prandtle-Reussの式)

相当応力と相当塑性ひずみ増分

二次元平面ひずみ 弾性有限要素法

有限要素法とは FEM=Finite Element Method 解析対象物体(連続体)を有限個の要素に分割し,各要素について剛性方程式を構成し,それらを全要素について重ね合わせる

固体力学解析用有限要素法 弾塑性有限要素法  ・弾性有限要素法(静的陽解法)  ・微少変形弾塑性有限要素法  (静的陽解法・静的陰解法)  ・大変形弾塑性有限要素法  (静的陽解法・静的陰解法・動的陽解法)  剛塑性有限要素法  (静的陰解法)

弾性FEM定式化の流れ (3) 変分原理 (2) 仮想仕事の原理式 (7) 有限要素方程式 (1) 釣合方程式 離散化 ガウスの発散定理 ポテンシャル 停留の原理 (4) 構成方程式 (6) ひずみ-変位関係式 (5) 形状関数

弾性FEMの基礎方程式 =弾性境界値問題

弾性FEM定式化の流れ (1) 釣合方程式 (3) 変分原理 ガウスの発散定理 (5) 形状関数 (2) 仮想仕事の原理式 ポテンシャル 停留の原理 (5) 形状関数 (2) 仮想仕事の原理式 (4) 構成方程式 離散化 (6) ひずみ-変位関係式 (7) 有限要素方程式

仮想仕事の原理式 静的可容応力:平衡方程式と力学的境界条件を満足する応力 動的可容変位:ひずみ-変位関係式と幾何学的境界条件を満足する変位 仮想変位:動的可容変位の変分 静的可容応力と仮想変位に対して次式が成り立つ. 上式にガウスの発散定理を適用すると次の仮想仕事の原理式を得る 可容応力と仮想変位によってなされる内部仕事が外部仕事に等しいことを表す.

変分原理 仮想仕事の原理式は弾性体の全ポテンシャルエネルギΦの第一変分が零である ことを表しているポテンシャルエネルギ停留の原理に置き換えることができる. 今,真の変位をui,それからわずかに異なる任意の可容変位をui+duiとすると, ひずみエネルギ関数Ueが正値2次形式の場合,上式右辺第2項は正であるから となり,真の変位に対するポテンシャルエネルギは最小値をとる.

弾性FEM定式化の流れ (1) 釣合方程式 (3) 変分原理 ガウスの発散定理 (5) 形状関数 (2) 仮想仕事の原理式 ポテンシャル 停留の原理 (5) 形状関数 (2) 仮想仕事の原理式 (4) 構成方程式 離散化 (6) ひずみ-変位関係式 (7) 有限要素方程式

2次元平面ひずみ変形状態の ひずみと応力

平面ひずみ変形状態における 応力-ひずみ関係式

弾性FEM定式化の流れ (1) 釣合方程式 (3) 変分原理 ガウスの発散定理 (5) 形状関数 (2) 仮想仕事の原理式 ポテンシャル 停留の原理 (5) 形状関数 (2) 仮想仕事の原理式 (4) 構成方程式 離散化 (6) ひずみ-変位関係式 (7) 有限要素方程式

三角形3節点要素と形状関数

形状関数の具体形 あるいはマトリックスの形で または

形状関数の計算

弾性FEM定式化の流れ (1) 釣合方程式 (3) 変分原理 ガウスの発散定理 (5) 形状関数 (2) 仮想仕事の原理式 ポテンシャル 停留の原理 (5) 形状関数 (2) 仮想仕事の原理式 (4) 構成方程式 離散化 (6) ひずみ-変位関係式 (7) 有限要素方程式

ひずみ-変位マトリックス (1) (Bマトリックス)

ひずみ-変位マトリックス (2) (Bマトリックス) マトリックスの形式で書くと

ひずみ-変位マトリックス (3) (Bマトリックス) の形になっているから,そのxおよびyに関する勾配は ただし と書けるので,これをひずみ-変位マトリックスに代入すると

ひずみ-変位マトリックス (4) (Bマトリックス) したがってひずみ-変位関係式は または さらに

弾性FEM定式化の流れ (1) 釣合方程式 (3) 変分原理 ガウスの発散定理 (5) 形状関数 (2) 仮想仕事の原理式 ポテンシャル 停留の原理 (5) 形状関数 (2) 仮想仕事の原理式 (4) 構成方程式 離散化 (6) ひずみ-変位関係式 (7) 有限要素方程式

離散化(要素剛性方程式) (1) 三角形3節点要素について,仮想仕事の原理式の左辺(内部仕事)は

離散化(要素剛性方程式) (2) 仮想仕事の原理式の右辺(外部仕事)は

離散化(要素剛性方程式) (3) ここで以下の関係式がる よって三角形3節点要素に関する仮想仕事の原理式は

離散化(要素剛性方程式) (4) ここで仮想変位は定数であり,積分の外に出してもよいので 任意の仮想変位に対して上式が成立するためには [ ] 内は常に0 これが解くべき剛性方程式である.左辺の積分内のマトリックスを とおくとことにする.△ は三角形要素の面積である.

離散化(要素剛性方程式) (5) 仮想仕事の原理式の右辺第1項の物体力の項は ただし物体力は要素内で一定と仮定

離散化(要素剛性方程式) (6) 右辺第1項表面力の項は, 例えば面2-3に右図のように 表面力が分布しているなら 形状関数マトリックスを  右辺第1項表面力の項は, 例えば面2-3に右図のように 表面力が分布しているなら 形状関数マトリックスを 次のように書き直して

離散化(要素剛性方程式) (7) これより表面力の項は次式のようになる ただし表面力は面2-3上で等分布荷重とした.

離散化(要素剛性方程式) (8) 最終的に要素剛性方程式は次式のように書き換えられる

全体剛性方程式 下図に示すような複数要素からなる系の全体系に関する仮想仕事の原理 のマトリックス表示は これより全体系に関する剛性方程式は次のように得られる

弾性有限要素法解析の流れ Pre-Processor FEM Analysis Pre-Processor 領域の要素分割,境界条件の設定 要素剛性マトリックスの計算 全体剛性マトリックスの計算 等価節点力,変位拘束の導入 FEM Analysis 連立一次方程式を解き節点変位を求める 節点変位からひずみ,応力の計算 Pre-Processor 結果の出力,可視化