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ミンクのアリューシャン病 ミンクアリューシャン病ウイルスがミンクに持続感染し、免 疫異常・アレルギー疾患を起こす病気である。 遅発性・消耗性の経過をとり、発症すると死亡率は 90% に達 する。 全身諸臓器における形質細胞の浸潤とガンマグロブリンの増 加などを特徴とする。 幼弱なミンクは数日で死亡するが、成獣は通常慢性経過を経.

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1 ミンクのアリューシャン病 ミンクアリューシャン病ウイルスがミンクに持続感染し、免 疫異常・アレルギー疾患を起こす病気である。 遅発性・消耗性の経過をとり、発症すると死亡率は 90% に達 する。 全身諸臓器における形質細胞の浸潤とガンマグロブリンの増 加などを特徴とする。 幼弱なミンクは数日で死亡するが、成獣は通常慢性経過を経 て死亡する。 フェレットも本病に感染し、ミンクと同様の症状経過をとる が、ミンクよりは感受性が低いと思われる。

2 ミンクアリューシャン病の発生 疫学 感染はあらゆる品種のミンクに起 きるが、感受性の高さは、ミンク の毛色の遺伝型と深い関係がある。 劣勢ホモの遺伝子を持つアリュー シャン系 ( 鉛色のアリューシャン 種、サファイア種、パール種 ) の 潜伏期や経過は短く、病性は重い。 遺伝子がヘテロまたは優性ホモの 遺伝子を持つ非アリューシャン系 ( 暗褐色のダーク種、パステル種 ) は潜伏期や経過が長く、病性も軽 い。 伝播は経口および経気道感染によ る水平伝播と母子感染による垂直 感染がある。 水平伝播での蔓延は遅く、数年か かるが、垂直感染は主要な感染経 路で、罹患母獣から生まれた子ミ ンクは、明らかな病変を示さず生 後2週までに死亡することが多く、 生残ミンクも生後3~4ヵ月で死 亡する。

3 ミンクアリューシャン病ウイ ルス ミンクアリューシャン病 ウイルスは Parvoviridae の Amdovirus に属する。 ウイルスは熱や消毒薬に 対して抵抗性が強く、 56 ℃ 30 分の加熱で不活化さ れず、塩素系消毒薬かヨ ウ素系消毒薬しか効果が ない。 ウイルスは猫腎由来初代 培養細胞や株化細胞の CRFK で 32 ℃培養で増殖する が、明瞭な CPE は示さない。

4 ミンクアリューシャン病の症 状 罹患ミンクは食欲不振、体重減少を示して削痩する。 多飲多渇、貧血、尿毒症症状などを伴い、口腔内の潰瘍 や出血が認められる。 アリューシャン系は感染後3~6週で臨床症状を示し、 3~6ヵ月で死亡するが、非アリューシャン系では潜伏 期や経過が長く、数ヶ月から数年に及び、症状は軽く、 回復するものもいる。

5 ミンクアリューシャン病の病 変 最も特徴的な変化は腎臓 にみられ、初期には腫脹、 充血、表面の散在性の点 状出血がみられ、後期に は萎縮し蒼白となる。 肝腫、脾腫およびリンパ 節の腫脹、肝臓における 黄褐色の斑点形成なども 認められる。 主要な組織所見は全身諸 臓器組織における形質細 胞の著名な増加で、リン パ節、骨髄、脾臓、肝臓 および腎臓にみられる。 胆管増生、糸球体腎炎、 尿細管変性、動脈壁の類 線維素変性やグロブリン 沈着も認められる。

6 ミンクアリューシャン病抗体検査キット QuickChek TM ADV Test による抗体検査 首筋を持って保定する。 綿棒を口内に入れ約1分間 頬、舌の裏側、歯齦部を拭う。 採材した綿棒を液体の入った チューブに入れ濯いだ後、栓 をして5~ 10 分間置く。 チューブの液体を4~5滴 検査枠に垂らし、 10~30 分 の後に結果をみる。 左の赤い線はコントロール (C) で 右は被検血清 (T) で陽性を示す。 下のサンプルは陰性で線が出ていない。

7 ミンクウイルス性腸炎 年齢や品種に関係なく感染するミンクのパル ボウイルスによって起こるミンクのウイルス 性腸炎である。 発症後の経過は通常4~5日で、致死率は品 種や飼育環境により異なり 10~80% である。 子ミンクは死亡するものが多いが、成獣の多 くは回復する。 猫もミンクのウイルスに感染し、食欲不振や 嘔吐、白血球減少症を呈する。

8 ミンク腸炎ウイルス ミンク腸炎ウイルスは Parvoviridae, Parvovirinae の Parvovirus に属する DNA ウイルスで直径は約 20nm の小型ウイルスである。 犬パルボウイルスや猫汎白血球減少症ウイルスとともに猫パルボウイ ルス宿主域変異体 ( 亜種 ) である。 猫やミンクの腎臓由来細胞で増殖し、核内封入体を形成する。 豚や猿の赤血球を4℃で凝集する。

9 ミンクウイルス性腸炎の症状・ 予防 潜伏期は4~8日で、食欲不振、元気消失、下痢を呈する。 下痢は粘液様あるいは血様便から極期には灰色の水様便になり、し ばしば灰白色の凝塊を含む。 急性カタル性または出血性腸炎を示し、壊死・剥離、膨化した腸管 上皮細胞の核内に封入体が認められる。 不活化ワクチンを7~8週齢時に接種して予防する。 発症ミンクは殺処分あるいは隔離飼育し、臨床的に正常なミンクに は直ちにワクチンを接種する。


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