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2-1章  電子・原子・原子構造、電子の配置と周期表、原子構造と量子化学 出典  a)桜井弘著、“元素111の新知識”(ブルーバックス、講談社) b) 井口洋夫著、”元素と周期律”裳華房(1969) c)近角聰信、木越邦彦、田沼静一著、”最新元素知識”東京書籍 (1976) d)

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1 2-1章  電子・原子・原子構造、電子の配置と周期表、原子構造と量子化学 出典  a)桜井弘著、“元素111の新知識”(ブルーバックス、講談社) b) 井口洋夫著、”元素と周期律”裳華房(1969) c)近角聰信、木越邦彦、田沼静一著、”最新元素知識”東京書籍 (1976) d) Wikipedia 目的 1)原子の構成粒子の種類(陽子+中性子+電子) 2)元素の種類と構成内容(陽子数=電子数→元素種、中性子数) 3)元素の性質の周期性と周期表 4)量子入門

2 2.1) 元素発見の歴史と原子 ●元素に関する知識の蓄積と周期表(不完全)の作成 1)錬金術時代からの分析化学的手法により、18世紀末まで約30種の元素 2)19世紀に入ると、電気化学分析(デービー、K,、Na、Mg、Sr、Ba、Ca)、発光スペ   クトル分析(炎色反応、ブンゼン、キルヒホフ, Cs、Rb)などにより、半世紀強の間   にそれまで知られていたものとほぼ同数の未知元素が発見された 3)その結果、元素の分類整理が可能となり、原子量の順に並べると8番目ごとに   類似の性質が現れる(オクターブの法則)などの周期性が確認された 4)1869年 メンデレーフによる62種元素の周期表の発表 ●周期表の完全化 1)周期表の隙間を埋める仕事   ○ケイ素と錫の間: エカ-ケイ素→Ge   ○エカ-ホウ素→Sc、○エカ-アルミニウム→Ga 2)第18族元素(周期表に無い系):不活性ガス、希ガス (単原子分子)の発見   ○気体の液化技術と分別蒸留技術の開発による   ○19世紀末Ne、Ar(Arの発見は、空気からO2とN2を化学反応で取り除いた残 留気体の分光による)、Kr、Xeが発見された。また、一番沸点の低いHe (沸 点-268.9℃, 4.18K、常圧では固体とならない)は1868年に太陽の輝線スペ クトル中の未知元素に命名されたもの。

3 3)周期表の隙間を埋める仕事 ○ランタノイド元素(La~Luの15元素)とアクチノイド元素(Ac~Lrの15元素)は、
●周期表の完全化 3)周期表の隙間を埋める仕事 ○ランタノイド元素(La~Luの15元素)とアクチノイド元素(Ac~Lrの15元素)は、   各15種の元素の化学的性質が互いに極めて類似し、発見、解明に長時間を要 した ○モーズリーの法則(1913年、モーズリーは原子番号(Z)と元素の特性X線の波 長()の平方根の間に直線関係(2.3式、a, Z0は全ての元素について一定)を発見 図2.1

4 ○長岡半太郎(土星型原子模型、1904)→ラザーフォードの原子模型(1911) →ボーアの原子模型(1913)
○長岡半太郎(土星型原子模型、1904)→ラザーフォードの原子模型(1911) →ボーアの原子模型(1913) 2. L電子がK殻に飛び込む 1. 電子衝撃により K電子が飛び出す 3. 振動数のX   線が発生 Ka Kb Kg La Lb Lg 図2.2 プランク・アインシュタインの式(2.4) :振動数、h:プランク定数、 c:光速, λ:波長、k:波数

5 特性X線の測定により、メンデレーフの周期表が改善された。 1)原子量順に並べることに伴う元素順位の逆転の訂正 [K(原子量=39
特性X線の測定により、メンデレーフの周期表が改善された。 1)原子量順に並べることに伴う元素順位の逆転の訂正   [K(原子量=39.102) Ar(39.948), Ni(58.71) Co( ),   I(126.90) Te(127.60)]。原子番号(原子核の陽子数=電子数) 順に並べることで解決された[Ar(18) K(19), Co(27)Ni(28), Te(52) I(53)]。原子番号順と原子量順の逆転は、同位元素の 存在比に原因があった。 2)原子番号92のUより前にある周期表に空白であった元素(Tc(43), Pm(61), Hf(72), Re(75), At(85), Fr(87))の発見がおこなわれた。 3)ランタノイド系列の確定が行われた。 1914年にオクスフォード大学に戻って研究を続けるが、第一次世界大戦がはじまるとイギリス軍工兵隊に所属して出征。ガリポリの戦いに参加し、同地で命令を電話連絡している際に狙撃兵に頭部を撃ち抜かれて戦死した。27歳だった。早すぎる死がなければノーベル賞の受賞は間違いなかったといわれている。彼が戦死した事件を受けて、以後イギリスや他国の政府は自国の科学者が戦闘に従事することを禁ずるようになったと言われる。ちなみに、この戦いを指揮した当時の海軍大臣チャーチルは1953年にノーベル文学賞を受賞するのは、歴史の皮肉である。

6 1)線:正電荷をもつ質量の重い線は少し曲げられる。無磁場では気体中を直線的に進行し、進路に沿って多くの分子をイオン化する。
ウラン以降の超ウラン元素の合成に、原子核への放射線線(ヘリウム原子核He2+)、線(原子核の崩壊により放出される電子)、線(高エネルギー電磁波))の照射、加速器により人工的に得た高エネルギー粒子(中性子、陽子、他)の照射、Uや超ウラン元素の中性子照射、超重元素の重イオン照射が用いられた(原子番号93から114まで) 電磁波 1)線:正電荷をもつ質量の重い線は少し曲げられる。無磁場では気体中を直線的に進行し、進路に沿って多くの分子をイオン化する。 2)線:質量が軽い負電荷の線は、線と反対の方向に大きく曲げられる。 3)線:波長の短い電磁波で、透過力は強く、磁場の影響を全く受けない。人体に極めて危険である。 He2+ 電子 図2.3

7 元素の分類 典型元素:1族、2族、12族-18族の47元素。これら以外は遷移元素 遷移元素:3族―11族の64元素(原子番号111までに限り)dまたはf軌道に電子が入る。 アルカリ金属元素:1族中の6元素(Li, Na, K, Rb, Cs, Fr) アルカリ土類元素:2族中の4元素(Ca,Sr,Ba, Ra) ハロゲン元素:17族中の5元素(F, Cl, Br, I, At) 希ガス元素:18族中の6元素(He, Ne, Ar, Kr, Xe, Rn) 意味のない暗記法:すいへいりーべぼくのふね、なまあるけいりんいえんある、かっかすかっちばくろーまん 2.2) 原子の構成  原子は、半径105~104Å(1Å=10-8 cm = 0.1 nm)の原子核を中心として電子が半径1~2Åの電子軌道を廻るモデルで説明される。 原子核は陽子(+1価)と中性子(0価)より構成され、陽子の数Nが原子番号つまり元素を規定する。陽子の数(+N価)に相当する数の電子が電子軌道に存在し原子は0価である。

8 Dは自然の水素中に1/3500~1/5000含まれている。Tは自然界にも存在するが、主に核反応により人工的に作られる放射性元素である。
○質量  電子静止質量(me = 9.1091031 Kg)  陽子(1.67261027 Kg)や中性子(1.67491027 Kg)の1/1836  原子の質量はほとんど原子核が決定 ○同位元素また同位体:陽子の数が同一で、中性子の数が異な  る元素。  水素の場合  1)質量数が1の1H  2)一個の中性子が加わった重水素(2HまたはD:デューテリウム)、    3)さらに一個の中性子が加わった三重水素(3HまたはT:トリチウム)    Dは自然の水素中に1/3500~1/5000含まれている。Tは自然界にも存在するが、主に核反応により人工的に作られる放射性元素である。 + 1H 2H(D) 3H(T) 電子 陽子 + 原子核 中性子 水素 1H、重水素 2H(D)、三重水素3H(T)の構成 図2.4

9 2.3) 水素原子の電子軌道、発光スペクトルとボーア模型
2.3) 水素原子の電子軌道、発光スペクトルとボーア模型 放電管に封入された水素に電圧をかけ放電すると、 2.5式に従った多くの輝線スペクトルが紫外~赤外 領域に観測された 実験結果 2.5式 図2.5 水素原子のスペクトル系列とエネルギー準位。n = ∞より上のエネルギー準位からの光の放出は連続スペクトルを与える。左縦軸はn = 1の準位からのエネルギー(V単位)、右縦軸はn = ∞の準位からのエネルギー準位(cm1単位)で、各系列の数字は波長である(Å単位)。

10 ボーアの原子模型と以下の条件を用いると、水素原子の発光スペクトルは矛盾なく説明できた(Rの値まで)
1)光の放出、吸収は、原子核(電荷+Ze)の周りを運動している電子(質量m)の異なった二つの定常状態(エネルギーE1, E2)間の遷移に相当し、2.4式(E=hν)が成立する。従って、各一つのスペクトル線の振動数は式で表される。 hν=E1 E2 (2.6) 図2.6 2)電子は原子核を中心とした半径rの軌道を速度vで回転している(定常状態)。角運動量 L = mvr は次式で規定される(角運動量の量子化)。    L = nħ (ħ=h/2, デイラックのh、n:主量子数) (2.7) (2.7式は仮定である) 量子(quantum)は、1900年にマックス・プランクが発見・提唱した物理量の最小単位。不連続な量であり、物理量はこの最小単位の整数倍をとることになる。量子を扱う自然科学の理論を量子論と総称する。量子の発見は、20世紀の科学に革命を起こした。

11 2.4)電子は粒子と波の2重性をもつ:ドブローイの業績 ハイゼンベルグの不確定性原理と零点エネルギー
ドブローイの提案(光は波と粒子の2重性をもつ) ○整数がごく自然に現れる物理現象として波動運動の方程式の定常状態の解がある。は、原子中の電子の安定な運動の決定に整数が必要である(L=nħ)ことから、電子を単に粒子とみなさないで,周期性(波の性質)も与えられなければならない。 ○原子核の周囲を回転する電子の場合、電子軌道の円周の長さ(2r)が電子波の波長()の整数倍なら定常波であり(2r = n  2.13式)、その条件を満たさない波ならば波動は干渉により破壊され、存在しえなくなる。 図2.7 原子核の周りを回転するように強制された電子波の概略図。実線は定常波の一つである。破線の波の波長はそれよりも少し短いので干渉により破壊される。 r 光を粒子とすれば E = mc2 、光を波とすれば  E = hν 両者の性質を持つならば mc2 = hν = hc/より  =c /ν=h /mc =h /p (2.15) 2r = nに2.15式を入れると2r =n h /mcで、変形し mcr =n h /2→ L=nħとなる。     電子も光と同様に粒子と波の二重性をもつ。

12 粒子が波動性を帯びると、粒子の位置と運動量の積、またはエネルギーと時間の積に不確定性が生じる(ハイゼンベルグの不確定性原理)。
    p•q = E•t  ħ/2           (2.16) 古典量子論による調和振動子(分子振動のモデル)のエネルギーはEn = nhνで与えられるが、これは正しくない。これならば、最低エネルギー準位はn = 0で、エネルギー零つまりポテンシャル曲線の極小点となる(図2.8)。しかし、これでは完全に定まった位置と完全に定まった運動量を持つことになり、不確定性原理から許されない。波動として取り扱うと、振動子のエネルギー準位は2.17式で、基底状態においても2.18式に等しい残留零点エネルギーを持つ。 (2.17) (2.18) 図2.8 水素分子のポテンシャルエネルギー曲線。振動エネルギー準位( = 0~13)も示す。二個の水素原子は安定な水素分子を形成し、その解離エネルギー(分光学的解離熱De)は109.5 kcal/mole (458.1 kJ/mole), 核間距離は0.740Åである。化学的解離熱D0とDeはDe = D0 + hν/2 で関係する。

13 2.5) 波動関数、波動方程式 運動エネルギー(T)とポテンシャルエネルギー(U)の和を全エネルギー(E)という。 運動エネルギーを運動量p = mvで示すとT = mv2/2 = p2/2mとなる。 運動エネルギーTを運動量の関数で、ポテンシャルエネルギーUを位置xの関数 して表した場合, TとUの和をハミルトン関数という(2.19式)。 (2.19) 電荷Zeの原子核から距離r離れた電子(電荷e)はクーロン力、F=Ze2/4peor2 を受けるので、そのポテンシャルエネルギーは  U(r)= = Ze2/4peor となり、            (2.20)

14 単位の長さに含まれる波長の数は波数(wave number)である。2.21式を振動数、波数を用いて表すと2.22式となる。 (2.22)
電子波の運動を扱うため、波動を考える。空気中で振動する音叉は時間および空間で周期的に変化する音波を出し、振動している電気的双極子は空間中に電磁波を出す(図2.9)。時間および空間で周期的に変化する波が波動である。 このような波動は、サインまたはコサイン関数で記述できる。フックの法則に従うバネにつながれている粒子(調和振動子:電磁場は調和振動子の集まりとして理解できる)の運動は2.21式で表せる。                       (2.21) 単位の長さに含まれる波長の数は波数(wave number)である。2.21式を振動数、波数を用いて表すと2.22式となる。                      (2.22) 図2.9

15 2は1にくらべx方向に/2kずれている。これを、1と2は位相(phase)がずれ
図2.10は の2つの波 2は1にくらべx方向に/2kずれている。これを、1と2は位相(phase)がずれ ているという。 = 2n (n = 1,2••)ならば同一位相の波といい、がの奇数倍なら 逆位相という。逆位相の波を重ねると合成された波の振幅は零である。  2.22式の波はx方向に速度ν/kで進む進行波である。前方にも後方にも進まない 定在波は、                                        (2.23) となる。2.23式を(x,t) = (x) cos2νtとして時間を含まない波動(x)を考え, 2.23 をxで二回微分した2.24式は時間を含まない波動方程式である。                                 (2.24) 図2.10

16 2. 24式にドブローイの関係(k=1/l=p/h)を入れると電子の波動方程式である シュレディンガー方程式が得られる[ 2
2.24式にドブローイの関係(k=1/l=p/h)を入れると電子の波動方程式である シュレディンガー方程式が得られる[ 2.19式から p2 = 2m(E  U)を得、 より、   となりハミルトン演算子を と定義すると、一次元のシュレディンガー方程式(2.25)となる。                 H = E             (2.25) つまり、                                   (2.26) 結局、量子力学では、2.25式, 2.26式のシュレディンガー方程式を解き、一定値Eを与える波動関数を求める。エネルギー値Eを系の固有値(eigen-value)、これに対する波動関数を固有関数(eigen-function)という。

17 例1) 自由電子(長さaの一次元の箱にある電子を考える、図2
例1) 自由電子(長さaの一次元の箱にある電子を考える、図2.11:これは金属中の電子の運動を考えるモデル)。ポテンシャルエネルギーは箱の中で零、箱の外で∞とすれば、 を2.25式に代入、変形し (2.28) この形は二回微分して元の関数の形に戻るので、その解は指数関数または三角関数であ り、 = c sin Axで示すことにすると, x = 0で電子密度が0また、x = aでも = 0であるから、 Aa = n (n = 1,2,3••)となり、 = c sin nx/aである。これを2.28式に入れるとエネルギーE が得られる。 より (2.29) 以上をまとめると、 1)nは整数値であるから電子エネルギーEは不連続な、とびとびの値になる。 2)箱の大きさaが大きくなると、運動エネルギーは減少する(電子の動き回る空間が広いほどその運動エネルギーは低くなる)。

18 一定のポテンシャルエネルギーUの領域の波動方程式は(d2/dx2) + (82m/h2)(E  U) = 0である。これは次のような一般解をもつ。
          (2.30) 箱の中では、E > Uで平方根の中は正であるが、箱の外ではU > Eで、2.30式の平方根の中は負である。従って-1を掛け合わせると、箱の外(障壁が無限に高くなくまた無限に広くない限り)での波動関数の挙動は2.31式で示される。               (2.31) 波動力学では、電子が負のエネルギー領域に入る確率は零ではなく、箱の外に(漏れ)でる距離とともに指数関数的に減少するようなある正の値である。これをトンネル効果という(図2.11右)。 図2.11 一次元の箱の中の電子。 左)ポテンシャル関数 中)許される電子波の形とエネルギー準位 右)トンネル効果

19 例2)ベンゼンのp電子の粗い近似 波動関数を2. 32式で表すことができる。 (2
例2)ベンゼンのp電子の粗い近似 波動関数を2.32式で表すことができる。 (2.32) 円軌道の半径をrとすると、波動関数が一価で連続であるとの条件から (2.33) 従って、cos2prA = 1 ・・・・・・Ar = n (n = 0, 1, 2, 3・・・)。これを、2.32式にいれると (2.34) これを2.28式に入れてEを求めると E=n2h2/8p2mr2 (2.35) n=0の場合を除いて、電子の円軌道上の 運動は右回り、左回りの2つがあり、各 エネルギー値に対応して2つの準位が 共存する。これを2つの準位が縮重(縮退) しているという。一つの電子軌道に最高 2つの電子のみが占有できる(後述)ので、 ベンゼンの6個のp電子は図2.12のエネル ギー準位のn=1に2個、n=1に4個占め、 それ以上の準位は空である。 図2.12 円軌道上の電子のエネルギー準位とベンゼンのp電子の占有 (ベンゼン環を多数持った芳香族炭化水素(多環芳香族炭化水素、ナフタレン、アントラセンなど)や金属の電子状態を考察するモデルとして重要) E=9h2/8p2mr2 E=4h2/8p2mr2 E=h2/8p2mr2 E=0

20 化学では、物質間での電子のやりとりが重要であり、そのやりとりに は電子が詰まっている一番上の軌道、その一つ上にある電子が詰 まっていない一番下の軌道が大きく関係する。それで、分子におい て電子が占有している一番上の軌道を最高被占分子軌道(highest occupied molecular orbital: HOMO), 一番下の空の軌道を最 低空軌道(lowest unoccupied molecular orbital: LUMO)という (両者をフロンティア軌道という:福井)。準位としては最高被占準位、 最低空準位という。HOMOとLUMOの エネルギー差に相当する光を当てると、 HOMOの電子はLUMOにたたきあげら れ(励起)、そのエネルギーに相当する 部分が吸収された光を見ることになる。 その領域が可視領域の場合、色が見 える。ベンゼンのHOMO-LUMO励起 は紫外領域に相当するので透明である。 LUMO 励起 HOMO 励起分子

21 2.6) 水素型原子の電子軌道と量子数 非常にめんどうな式が多いので、エッセンスのみ記す。+Zeの 原子核と-eの電子より成る水素型原子では、2.20式の古典的 ハミルトン関数と2.26式を用い、シュレディンガー方程式を求め、 これを解いての形とEを求める。 この時、直交座標を極座標(r,,, 図2.13)に変換し、動径部分 (r)と角部分(, )に分けて解くと、波動関数の空間的広がりを 示す動径部分、角度部分の形状を示す角部分に分離できる。 z q r y f x 図2.13 直交座標と極座標

22 動径部分Rn,l(r):波動関数の空間的広がりを示す。R(r)は2つの量子数n, lで指定される関数で、主量子数nの増加とともに軌道が広がる。n = 1, 2, 3,・・・に対応した電子軌道をK殻、L殻、M殻、・・・(図2.2)といい、水素型原子(電子が一個の原子)では、電子軌道のエネルギーは主量子数のみに依存し、ボーアが導出した2.10式(2.36式)に等しい。 (2.36) 表2.1にn, lで指定される動径部分を示す。L殻にはlの異なる二つの軌道が、またM殻にはlの異なる三つの軌道が存在する。原子核から半径rにある厚さdrの球殻に電子が存在する確率を示す動径分布関数Dn,l(r)は、 Dn,l(r)=4r2{Rn,l(r)}2 で、図2.14に示す。この動径分布関数が最大になるrが軌道の平均半径に相当する。主量子数nに対して、l = 0, 1, 2,・・・(n-1)までのn個の軌道があり、それぞれs軌道、p軌道、d軌道、f軌道、・・という。lの異な2s, 3s, 3p軌道において、小さなrの位置に小さなピークが見られ、少しの割合の時間ではあるが電子が核の近くにいる可能性があること、つまり、大きな静電効果によりこの状態が安定化することを示す。

23 図2.14水素原子の動径波動関数Rn,l(r)のr依存性(1s, 2s, 2p) (左図)と動径分布関数Dn,l(r)のr依存性(1s, 2s, 2p, 3s, 3p, 3d)(右図)。
1  K 2(Z/a0)3/2 exp(/2) 2  L (1/22)(Z/a0)3/2 (2)exp(/2) 1 (1/26)(Z/a0)3/2  exp(/2) 3  M (1/93)(Z/a0)3/2 (662) exp(/2) (1/96)(Z/a0)3/2 (42) exp(/2) 2 (1/930)(Z/a0)3/2 2 exp(/2) a0 = h2/42me2 = 0.52910-8 cm = 0.529Å,  = Zr/a0

24 2.7) 水素型原子の波動関数の形 波動関数の, に関する角部分()()は球面調和関数といわれYl,m(,)で示される。方位量子数l、磁気量子数mlは波動関数の角度部分の形状を決定する。n = 2では、2s軌道と三個の2p軌道が同一のエネルギーをもつ。()は となり、波動関数が全空間で一価、連続であるから磁気量子数mlは整数で、ml = 0, 1,2,・・・lまでの(2l + 1)個の値をとる。 l = 2までの角部分を表2.2に示す。s軌道には一種、p軌道はml = +1, 0, 1の三種、d軌道はml=+2, +1, 0, 1, 2の五種類がある。 s軌道の角度部分は, に依存せず、球状である(図2.15)。s軌道以外は、複素関数であり、そのままでは軌道の形とならないが, 実空間変換により図2.17のp軌道、図2.18のd軌道が得られる。p軌道は有機物、d軌道は重原子や遷移金属にとり重要である。 表2.2 球面調和関数 l 軌道 ml  0  s (1/4)1/2 1  p  (3/4)1/2 cos  1 (3/8)1/2 sin ei 2  d (5/16)1/2(3 cos2 1) (15/8)1/2 sin  cos  ei 2 (15/32)1/2 sin2  e2i

25 図2.15 s軌道 図2.16 p軌道 図2.17 d軌道

26 2.8) 電子スピン、パウリの排他律とフントの規則 原子内の電子は軌道運動の他にスピン運動(古典的には自転運動)を行い、それに伴ってスピン角運動量を持つ。スピン角運動量Sおよびそのz成分Szは (2.37) Sz = msħ ms =(s, s-1,・・・-(s-1), -sで、電子においては1/2) (2.38) である。スピン量子数s= +1/2, 1/2の2種のスピンがあり、各々アップスピン(-スピン)、ダウンスピン(-スピン)という。磁場がないと、これらのスピンのエネルギーは同じである。 以上、4種類の量子数n, l, ml, sが電子の状態を規定する。原子番号の順に電子軌道に電子を詰めてゆくと周期表が出来るが、以下の二つの法則に従う必要がある。 パウリの排他原理:二つの電子は四つの量子数n, l, ml,msを同一には出来ない。基底状態は電子が排他原理に従って最も低い可能なエネルギー準位にある状態で,最も低い軌道から次々に電子を原子の核電荷数まで詰めることにより原子が出来上がる。n, l, mlが同一の電子軌道の場合、アップスピン1個とダウンスピン1個の2個が入る。 フントの規則:同一エネルギの軌道に2個の電子が入ると電子間で大きな静電反発が生じる。従って、同一エネルギーの準位に磁気量子数の異なる縮退した軌道がある場合、電子は異なる磁気量子数の軌道に、スピン量子数を同一にして入る。

27 パウリの排他原理とフントの規則に従って、水素原子からネオン原子まで電子を詰めた結果を表2
パウリの排他原理とフントの規則に従って、水素原子からネオン原子まで電子を詰めた結果を表2.3に示す。  軌道に1個しか電子の無い場合を赤く示す(不対電子, ラジカル電子)。その軌道に2個目の電子が入ると電子対を形成したといい、スピン量子数の総和は零となる(青)。C、N、Oでアップスピン(ダウンでもよい)のみがp軌道を占めるのはフントの規則による。 表2.3 水素からネオンまでの電子配置およびスピン状態 1s    2s   2px  2py  2pz 電子配置 H He Li Be B C N O F Ne 1s1 1s2 1s2 2s1 1s2 2s2 1s2 2s2 2p1 1s2 2s2 2p2 1s2 2s2 2p3 1s2 2s2 2p4 1s2 2s2 2p5 1s2 2s2 2p6

28 2.9) 多電子原子の電子軌道と電子配置 多電子原子では、他の電子とのクーロン相互作用などにより、クーロンポテンシャルは球対称でなくなる。このため、主量子数が同じ軌道でも方位量子数が異なると、軌道エネルギーも異なるようになる。表2-3の最後のNeの次の元素Na(Z = 11)からAr(Z = 18)までは、電子が素直に3s, 3pを埋める。 アルゴン(1s2, 2s2, 2p6, 3s2, 3p6)の次に来る元素から、電子は3d軌道よりもエネルギーの低い4s軌道に入る;K(Z = 19,(1s2, 2s2, 2p6, 3s2, 3p6, 4s1)), Ca(Z = 20, 1s2, 2s2, 2p6, 3s2, 3p6, 4s2)。 4s軌道が満たされた次のZ = 21-23までは4p軌道に電子が入ると予想されるが、3d軌道が優先する。 Sc(Z = 21)からCu(Z = 29)の最初の遷移金属系列では3dが順次満たされ、これらは、種々の原子価を取る、強く着色した化合物を作る、単体は硬く、高融点の重金属で、多くは磁性を示すなどの共通点を持つ。このうち、Cr(Z = 24)(1s2, 2s2, 2p6, 3s2, 3p6, 3d5, 4s1)とCu(1s2, 2s2, 2p6, 3s2, 3p10, 4s1)以外は4s2の電子配置を持つ。多電子原子における電子収容の順序を図2.18に示す。

29 表2.4 l =0,1,2,3,4の軌道をs(sharp), p(principal),d(diffuse),f(fundamental)軌道とする。4f軌道、5f軌道が未閉殻の元素がランタノイド、アクチノイドである。 図2.18 電子収容の順序。左肩上がりの矢印に沿ってs、p、d、f軌道に2個、6個、10個、14個づつ詰める n l = n1,・・・0 m=0,1,••l  軌道数 2l+1 総軌道数 n2 殻に入る総電子数2n2 電子数 1 K 0 1s 2 L 0 2s 1 2p 1,0 3 4 8 M 0 3s 1 3p 2 3d 1, 0 2, 1, 0 5 9 18 28 N 0 4s 1 4p 2 4d 3 4f 3, 2, 1, 0 7 16 32 60 O 0 5s 1 5p 2 5d 3 5f 4 5g 4, 3, 2, 1, 0 25 50 110

30 2-2章 化学結合 目的:「原子や分子を結びつける機構は何か」、「結び付きを解き放つにはどうすれば良いのか」、「解き放ったら何が起こるのか」、「どの様に結びつけると、どの様な構造・機能が生じるのか」、は、化学の4命題「結合」、「反応」、「構造」、「機能」の視点であり、原子や分子の中の電子が主役である。これらの命題のうち「原子や分子を結びつける機構は何か」を3章以降で説明するが、ここでは結合の分類と内容を概説する。

31 2-2.1.結合の種類 イオン結合:構成原子(H, Na, Cl)または分子(HNO3, HClO4, C6H5OH, C6H5NH2), が、電子(整数・・端数の場合は下記の電荷移動力を参照)又はプロトンを授受し、原子および注目している原子団(NO3, ClO4, C6H5O, C6H5NH3)やその原子が安定な希ガス型電子配置(または分子軌道が閉殻安定電子構造)をとるように陽イオンまたは陰イオンとなり、反対イオン間のクーロン静電引力が働いて結合が安定化する[Na+···Cl, Na+···NO3, Na+···ClO4, C6H5O···Na+, C6H5NH3+···Cl]。また、大きな分子イオン、巨大なクラスターイオン(図)のイオン結合もある。 Mo6Br142クラスター(Moは緑色、Brは内部に8個(青)、外部に6個(赤)ある

32 ファンデルワールス結合:構成原子または分子が接近して電子雲がある程度重なり合い、瞬間的電場の発生(分散効果)、ダイポールモメントによる電子雲の分極(誘起効果、配向効果)により結合力が発生する。重原子間(I···I、S···S)、ヘテロ原子間(S···N)、電子間(···)なども、この結合に属す。水素、酸素、窒素を冷却すると液化する。また、二酸化炭素炭酸はドライアイスとなる。これらの液体・固体中の分子間に働く力がファンデルワールス力である。 金属結合: 金属原子(Naなど)の原子核が周期的な位置に固定され(熱振動している)結晶格子を作り、金属原子の最外殻の電子が結晶中をほぼ自由に動き回ることに伴い、クーロン力と量子力学的安定化(非局在化による安定エネルギー)により結晶ができる。

33 水素結合:水素原子Hが電気陰性度の大きな原子Xと作る結合 H···X。分子内の原子Xが、電子を引き付ける強さは、原子の種類ごとの相対的なものとして、その尺度を決めることができる。この尺度のことを電気陰性度と言う(表)。一般に周期表の左下に位置する元素ほど小さく、右上ほど大きくなり、電気陰性度の差が1.7以下の原子間の結合は共有結合性が支配的であり、それ以上の場合はイオン結合性が支配的になる。表中の色をつけた原子は、水素より電気陰性度が高く、水素結合を形成する。他に、XH・・電子, CH・・電子, CH・・n電子なども水素結合である。 表 ポーリングによる原子の電気陰性度   H Li Be 1.57 B C N 3.04 O 3.44 F 3.98 Na 0.93 Mg 1.31 Al 1.61 Si 1.90 P S 2.58 Cl 3.16 K Ca 1.00 Ga 1.81 Ge 2.01 As 2.18 Se 2.55 Br 2.96 Rb 0.82 Sr In 1.78 Sn 1.96 Sb 2.05 Te 2.10 I 2.66 Cs 0.79 Ba 0.89 Tl 2.04 Pb 2.33 Bi 2.02 Po 2.00 At 2.20

34 共有結合:原子同士で互いの電子を共有することによって生じる化学結合。結合は非常に強い。単原子分子は除き分子は共有結合によって形成される。配位結合も共有結合の一種である。
 無機化合物に比べ有機化合物の種類は多く、無尽蔵に増え続けている。2007年の段階で化合物は9300万種が知られ、その90%は有機物である。この種類の多さは、炭素特有の共有結合に起因するところが大きい(炭素骨格の長さ[メタン、エタンと炭素数を増やしたCnH2n+2のアルカン系鎖状炭化水素に上限はない。ただし、現在の技術での高分子は分子量の一定しない混合物]、分岐の多様性、単結合、2重結合、3重結合に関して制限がない)。種々の元素(N, P, O, S, Se, F, Cl, Br, Iなど)が炭素に結合し多様な官能基を形成する。ほとんど無限といってさしつかえのないほどの有機化合物の多様性は、生物の構成要素としての化学物質に必要な性質である。

35 Chemical Abstract Service
1965 > 20 万 > 3700万 > 9300万

36 配位結合:結合を形成する2つの原子の一方からのみ結合電子が提供される化学結合である。孤立電子対を持つ電子対供与体(ルイス塩基)から電子対受容体(ルイス酸)となる原子へ、電子対が供給される。オクテット則を満たさない第13族元素(B, Al)の共有結合化合物は、強いルイス酸であり配位結合により錯体を形成する。あるいは遷移金属元素の多くは共有結合に利用される価電子の他に空のd軌道などを持つ為、多くの種類の金属錯体が配位結合により形成される。NR3とBF3でできる化合物の窒素上の孤立電子対(2個の赤点)がBの空いている軌道に入って配位結合をする。この時、配位結合を電子対供与体から電子対受容体へ→で示すことがある。H3O+、NH4+は配位結合でできるが、H3O+の3本の結合、NH4+の4本の結合はイオンの中で等価(共有結合)である。 1) 2) 3)

37 電荷移動化合物: 配位結合は2電子、共有結合は1電子の授受で結合ができるが、整数でない電子の授受による生じる化合物群がある。電子供与体(D)から電子受容体(A)への電荷移動により生じる電荷移動化合物で、構成成分とは異なる深い色、電気伝導性、磁性を示す。   D + A → Dd+···Ad 電荷移動量(d)は0以上で本質的に上限はない。 d =0の場合、分子間の相互作用は主にファンデアワールス力、水素結合である。 d =0.5以上より不対電子(ラジカル電子)を含む成分が量子力学的に介在し、結晶では高導電性、金属性、超伝導を示す錯体となる。結晶の安定化は、ファンデアワールス力、水素結合、クーロン力、ラジカル電子が結晶中を動くことによる量子力学的安定(金属結合)の混合である(これらを総合して電荷移動力という)。フラーレン C60の超伝導体 [(K3)3+···(C60)3]、高導電性ポリアセチレン(Li ドープ)、黒鉛層間化合物C8Kなどで、 d =0.5以上の結晶はイオン結晶に分類されてよい。

38 2-2.2 HOMO, LUMO, Ip, Ea 縮退 閉殻、開殻 ベンゼンでは6個の炭素のp電子がベンゼン環中を動き回り、孤立したp電子が持つエネルギー(図中の左の一本の横線、縦軸eは軌道エネルギーで下の方が安定)と、ベンゼン骨格中でのエネルギー(右側の6本)を示す。 分子軌道(molecular orbital):炭素原子の集合 でベンゼン分子骨格ができ、孤立炭素原子の エネルギー準位よりも低い電子軌道が生じ(電 子がより大きな場を動くことによる安定化)、そこに電 子が入り込むことにより原子集合(分子)の電子軌道が出来上がる。 HOMO(highest occupied molecular orbital): 電子が入っている一番 上の分子軌道(図右2,3の軌道)。ベンゼンでは、軌道2と3が同一の エネルギーであり、二重縮退(縮重)という。 LUMO(lowest unoccupied molecular orbital): 電子が占めていない 一番下の分子軌道(図右4,5の軌道、二重に縮退している)。 1 2,3 4,5 6 1~6

39 イオン化ポテンシャル(イオン化電圧、Ip)、電子親和力(EA) 電子が自由な状態にある時のエネルギーを基準(真空準位、図2
イオン化ポテンシャル(イオン化電圧、Ip)、電子親和力(EA) 電子が自由な状態にある時のエネルギーを基準(真空準位、図2.5の水素分子(下図左)での右側の尺度)としたHOMO軌道のエネルギーで、このエネルギー以上の光を分子に照射すると電子が外界に出る(下図右、赤矢印)。一方、LUMO軌道のエネルギーは電子親和力で示され(右図青矢印)、系に電子を入れると、EAに相当するエネルギーが出る。 Ip EA

40 閉殻構造、開殻構造:表2.4で示したK,L,M,N,O殻に入る最大数の電子は各々、2,8,18,32,50であり(下表、黄色部分)、それに満たない電子数の原子は開殻(電子)構造を持つと言い、主に最外殻にある電子(価電子)が反応に寄与して、不活性ガスのように満杯の閉殻(電子)構造になろうとする性質をもつ。 n Shell l =n1, ・・・0 m=0,1,••l   軌道数      2l+1 総軌道数 n2 殻に入る総 電子数2n2 総電子数 1 K 0 1s 2 L 0 2s 1 2p 1,0 3 4 8 M 0 3s 1 3p 2 3d 1, 0 2, 1, 0 5 9 18 28 N 0 4s 1 4p 2 4d 3 4f 3, 2, 1, 0 7 16 32 60 O 0 5s 1 5p 2 5d 3 5f 4 5g 4, 3, 2, 1, 0 25 50 110

41 青矢印部分が閉殻(電子)構造

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Download ppt "2-1章  電子・原子・原子構造、電子の配置と周期表、原子構造と量子化学 出典  a)桜井弘著、“元素111の新知識”(ブルーバックス、講談社) b) 井口洋夫著、”元素と周期律”裳華房(1969) c)近角聰信、木越邦彦、田沼静一著、”最新元素知識”東京書籍 (1976) d)"

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