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Published byあきお わくや Modified 約 7 年前
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アンケート調査の実施と注意点 情報リテラシー演習 深町 珠由
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目次 アンケート(質問紙)とは何か アンケートの利点・欠点 項目作成の基礎 回答方法選択の基礎とコーディング 倫理上の問題 参考文献
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アンケート(質問紙)調査 とは何か? 言葉を媒介とした研究法(質問紙法) 人間の意識や行動を測定する目的(心理尺 度) 各種知能検査(ビネー式、 WAIS など) 各種性格検査、職業興味検査など 社会に生起する現象・実態をとらえる目的 (社会調査) 国勢調査
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アンケートの利点・欠点 利点: 多人数に同時に実施できる → 大規模な統計 処理が可能 安価な費用で済む 欠点: 調査対象者の防衛がはたらきやすい(内面 を偽って回答する、いい加減な回答をしや すい) → 尺度の信頼性の欠如につながる
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項目作成の前に 測定する内容(構成概念)を明確化する (例)「休日の過ごし方」「親子の会話に おける話題」など 漠然としたテーマは避ける 項目作成の参考になる情報を探す 同種のテーマを行った先行研究・調査を探 す あらかじめ自由記述等による予備調査を行 い、項目の精選を行う(誰にたずねても同 じ答えしか返ってこないような項目は外 す)
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項目作成上の注意点(1) 項目の量・内容は対象者の質に合わせる 小学生を対象とした場合に、難しい漢字は外す 調査目的と関連のない質問は除去し、量をおさえる → 何でも聞けるうちに聞いておこう、という姿勢は、 より重要な質問項目への回答の質を低下させる 自己報告型の質問項目に気をつける 自分の性格、興味、態度などを回答させる場合 社会的に望ましい自分の姿を回答する傾向あり (「ウソをついたことがない」という質問に「は い」と答える等) 調査対象者が答えやすい質問内容にし、個人データ に関するプライバシーに配慮する
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項目作成上の注意点(2) 項目の配列が回答へ影響する ( carry-over effect ) 前に回答した内容が後の回答へ影響する(「 UFO を信 じますか(はい)」 → 「地球外生物の存在を信じます か(はい)」) この影響をなるべく避けるために・・・ 調査目的上重要な項目はなるべく最初の方へ配置 回答者のプライバシーに関する項目や答えにくい項目 は(調査全体に対する回答への動機づけを下げる可能 性があるので)なるべく最後の方へ配置 項目の順番をランダムに入れ替えたパターンを数部作 り、配布する方法もある(カウンターバランスをと る)(最高裁裁判官への国民審査は、 2 番目に記された 人への不信任が最も多い → 配列順序による結果の歪み の例)
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項目作成上の注意点(3) ことばづかい・文章表現 (wording) の問題 調査対象者の中で最も理解力の低い者に合わせた 表現・用語を選ぶ(特に大学生以外を対象とする 場合) → 難しい質問は深く考えずに肯定する傾向(黙従 傾向) 調査対象者は、作成者が想定したのと必ずしも同 じ概念を抱くとは限らない 賛否を問う場合、「 ○○ に賛成ですか」というより、 「賛成ですか、それとも反対ですか」と両方向か ら問うべき → 黙従傾向による歪みを小さくするため 反転項目を作成する場合もある(「私は人前に出 ることが好きだ」「私は人目にさらされるのは嫌 いだ」)
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項目作成上の注意点(4) 1つの項目の中に2つ以上の論点を含む (double- barreled question) は極力避ける 例)「お父さん・お母さんのことが好きですか、嫌い ですか」 → 一方が好きでも一方が嫌いな場合、回答に困惑する 例)「原発は危険なので、原発推進に反対しますか」 → 前提を決めつけているため、その前提を認めていな い回答者を無視する内容である 一般論としての質問か、個人的問題としての質 問か 「あなたは麻薬の使用を認めますか」・・・一般論 「あなたの家族が麻薬を使用することを認めます か」・・・個人的問題 回答者の自我関与の違いがあり、結果が異なることが 多い
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回答方法選択の基礎(1) 2 件法 「はい」「いいえ」、「賛成」「反対」 評定は大まか、情報量少ない、比較的多数の項 目でも実施可能、低年齢者でも利用しやすい 3 件法 「はい」「?(どちらともいえない)」「いい え」 2 件法とほぼ同じだが、「?」(中間項)に回答 が集中すると分析が難しくなる
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回答方法選択の基礎(2) 多肢選択法 欲しい物は?「携帯」「 PC 」「デジカメ」 「 DVD 」「車」 4 つ以上の選択肢から一つ(または複数)選択さ せる 評定法 「とてもあてはまる」「ややあてはまる」「どち らともいえない」「ややあてはまらない」「全く あてはまらない」 程度・頻度を複数の段階( 5 段階、 7 段階など)で 評定 「とても」「やや」「あまり」等の形容詞は、感 じ方に個人差があるので注意
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回答方法選択の基礎(3) 順位法 複数の選択肢の順位づけを求める方法、全部の 順位づけをしたり、上位のみ順位づけする方法 もあり 順位づけする項目数が多すぎないように注意 一対比較法 政権を任せるとしたら?「自民党」「民主党」 すべての項目でいずれか一つを強制的に選択さ せる方法、 2 件法に類似
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コーディング(1) 2 件法、 3 件法の場合 「はい」= 1 、「いいえ」= 0 、「?」= 0.5 、など 男女のコーディングもどちらかを 1, どちらかを 0 、な ど 評定法の場合 「とてもあてはまる」~「全くあてはまらない」を 5 ~ 1 に割り当てる、など( 5 段階の場合) 反転項目がある場合は、数値の割り振りを逆にする 「私は外向的だ」:「 とてもあてはまる 」 5 ~ 「 全く当てはまら ない 」 1 「私は内向的だ」:「 とてもあてはまる 」 1 ~ 「 全く当てはまら ない 」 5
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コーディング(2) 順位法 1 位、 2 位に回答された頻度を数えるなど 多肢選択法・一対比較法 その後の分析方針によるが、機械的に数値を割り 当てるなど(「 PC 」 =1 、「 DVD 」 =2 ・・・) 「~ 3000 円」= 1 、「 3001 円~ 10000 円」= 2 、な どのように価格帯ごとにコーディングする場合も ある そのコーディングをすることで、後の分析にどう 使うのか、調査前に吟味しておく必要がある
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倫理上の問題(1) 通常、表紙「フェイスシート」をつける 調査タイトル:(例)「母親の意識に関する調査」 → 研究上、真の調査内容を隠す必要がある場合は、あ たりさわりのないタイトルをつけることもある 調査概要:「この調査は ○○ について調べようとする ものです。結果は統計的に処理されるため、個人の名 前が公表されることはありません。ご協力いただけれ ば幸いです」 → プライバシー保護を明記 調査者氏名と連絡先(最低限の礼儀)
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倫理上の問題(2) 年齢・性別・氏名(無記名の場合もある)・職 業・家族構成など(デモグラフィック変数) → 必要のないことは聞かない 記名式か、無記名式か(記名式の方が責任を もって答えることもあるし、無記名の方が本音 を答える場合もある)(郵送等で回収する場合 はプライバシー保護用の封筒・シール等の準備 も必要) 分析終了後は厳重に保管または処分(フェイス シートだけ抜き取って別に処分するなど、個人 を特定できないような配慮をする)
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実際のアンケート ( 5 段階評定法の例)
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想定していた構成概念 (例) 自分が払う コスト小 コスト大 地球環境保全への影響大 地球環境保全への影響小 各区画に入る質問項目を作成する
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良くないアンケート項目例 どこがどう良くないのだろうか、考えてみよう (特に、ワーディングはどうか?)
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参考文献 鎌原雅彦・宮下一博・大野木裕明・中澤 潤 (1998). 心理学マニュアル 質問紙法 北大路書 房. 森 敏昭・吉田寿夫 編著 (1990). 心理学のため のデータ解析テクニカルブック 北大路書房.
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