第9回 情報デザイン(1) 情報デザインの考え方 寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部

Slides:



Advertisements
Similar presentations
IBMユーザ研究会九州研T3 3.Web2.0を実際に使ってみた. Web2.0を実際に使ってみました 研究会をプロジェクトに見立 てて “ Google SpreadSheet ” で会議を開く “ SNS ” でコミュニケーションを補助する “ Wiki ” で成果物を共有する.
Advertisements

専門教科「情報」(2) 6/1/07. 各科目(続き) 課題研究 課題研究(1) 目標 情報に関する課題を設定し,その課題の解決 を図る学習を通して,専門的な知識と技術の 深化,総合化を図るとともに,問題解決の能 力や自発的,創造的な学習態度を育てる.
1 ( 様式8 ) 提案書雛型ア 資料2 - 1 (提案者名を記載) ○○○○ 受付番号 ア.地域見守りサービス創出における調査 平成 23 年度医療・介護等関連分野における規制改革・産業創出実証事業 ( IT 等を活用した医療・介護周辺サービス産業創出調査事業) 提案書 (提案事業のタイトルを記載:
1 課題の洗い出し. 2 1.本日の日程 ①開会の挨拶 日程説明 ( 5 分) ②自己点検 ( 10分) ③情報モラル指導の必要性(プレゼン) (20分 ) ④課題の洗い出し ( 10分) ⑤全体計画についての協議Ⅰ (15 分) ⑥全体計画についての協議Ⅱ (20 分) ⑦全体計画についての協議Ⅲ.
情報科指導法Ⅰ 第 15 回 模擬授業と総括. 自由利用マーク 文化庁 2003 年~ プライバシーマーク.
第1章 第2節 情報伝達の工夫 第2節 情報伝達の工夫 1 情報伝達のさまざまな手段 2 コンピュータによる情報伝達の工夫.
1.情報教育について 2 情報教育. 情報教育とは 児童生徒が自ら考え、 主体的に判断・表現・行動 児童生徒は主体的に学ぶ 「情報活用能力」を育成する教育.
CMU2005 海外エンジニアリングワークショップ参加報告書 1 「真の要求を見極めろ!」: teamB 要求定義をどう捉えるか ● 要求定義とは何か? 製品には、顧客の望むことを正しく反映させる必要がある。 そのために必要なものが要求仕様である。 すなわち、要求仕様とは、顧客と製品を結ぶものであり、これを作ることが要求定義である。
身の回りの IT 情報科教育法 後期 10 回 2004/12/18 太田 剛. 目次 1. 最終提出の確認 2. ルータの説明 ( 先週の続き ) 3. 身の回りの IT 1/8 の授業は情報科教員の試験対策です。
プレゼンテーション - 技能が必要な理由 - 神奈川大学経済学部 経済情報処理 I 平成 18 年度 第 4 回.
プレゼンテーション - 技能が必要な理由 - 神奈川大学経済学部 経済情報処理 I 平成 22 年度.
1 ネットワークでかわる社会 第1節 社会で利用されている情報シス テム 情報 プレゼン用資料 ( C401 ) 第2章.
1 会社名: 氏名: 日付: 会社名: 氏名: 日付:. 2 内容 企業のセキュリティ対策状況 ユーザー管理の重要性 ユーザー管理製品 市場状況 Active Directory とは Active Directory 利用に最低限必要な準備 ユーザー管理のご提案内容 最初の取り組み:ユーザー情報の統合管理.
IBMユーザ研究会九州研T3 5章 Webの発展可能性. WWWの発展が企業に与えるもの 顧客・ユーザのリテラシー向上 顧客・ユーザの操作的な ” 常識 ” の変化 システム開発プロジェクトでの応用 ウェブの発展を、企業はどう捉えて、 自らをどう変えていく必要があるか? 新しいプラットフォームをより深く理解することで、
情報モラルと著作権 道徳・特別活動・総合的な学習の時間. 目次  情報モラル 情報モラル  著作権 著作権  関連する Web ページの紹介 関連する Web ページの紹介.
1.情報モラル教育の必要 性 5 情報モラル教育. 【1】情報モラル教育とは 情報モラル教育は、①コンピュータや情報通信 ネットワークなどの情報技術の特性と、②情報 技術の利用による文化的・社会的なコミュニ ケーションの範囲や深度などが変化する特性、 などを踏まえて日常生活で適正な活動を行うた めの考え方と態度を育てることが求められる。
情報倫理と メディアリテラシー 第 1 章 ネットワーク社会と情報化社 会. ネットワーク社会 携帯電話 コンピュー タ テレビ 家電 カーナビ など ネットワーク 新たなコミュニケーションの場.
パワーポイントを使った資料の作成法 2005年6月 首都 大
情報モラル.
情報処理入門A・B 第8回 プレゼンテーション支援ツール
情報リテラシー(1) ガイダンス 情報リテラシ2003 野村松信・須藤秀紹.
 テーマ別解説 情報モラルの5つの領域 岐阜聖徳学園大学 教育学部 准教授 石原 一彦.
『なぜ、わかっていても実行できないのか 知識を行動に変えるマネジメント』 第1章 知識は、実行しなければ価値がない
ICT活用指導力向上研修会 ~児童生徒の情報活用能力を高める指導方法~
経済情報処理ガイダンス 神奈川大学 経済学部.
ラーニング・ウェブ・プロジェクト(Learning Web Project) -自立・共愉的な学習ネットワークの形成に向けて-
第1章 情報を理解しよう 第1節 わたしたちの暮らしと情報 1.情報社会とメディア 2.身のまわりの情報機器やネットワーク
講 義 ガ イ ダ ン ス 情報社会と情報倫理 第1回.
新入社員・若手研修.
第2章 第3節 コミュニケーションにおけるネットワークの活用 情報Cプレゼン用資料(座学24) 担当 早苗雅史
大学での講義中の スマートフォンの私的使用 ―その頻度と内容-
リサーチ・パートナー・シート 2015年11月版.
メ デ ィ ア ・ リ テ ラ シ ー 情報社会と情報倫理 第2回.
経済情報処理ガイダンス 神奈川大学 経済学部.
第2章 第3節 コミュニケーションにおけるネットワークの活用 情報Cプレゼン用資料(座学24) 担当 早苗雅史
ネットワークコミュニケーション (教科書88ページ).
情報科教育法第3回 普通教科「情報」の構成 理学部数学科 清 水 克 彦.
経済情報処理ガイダンス 神奈川大学 経済学部.
神奈川大学経済学部 経済情報処理I 平成25年度
情報コミュニケーション入門b 第5回 プレゼンテーション支援ツール入門
パワーポイントを使った資料の作成法 2005年6月 首都 大
1.情報文化の枠組み 情報と文化 情報 文化 情報文化.
経営情報論B ⑬ 情報技術と社会(第11章).
ICT活用指導力チェックシート(小学校版)
セキュリティリスク 思わぬところに潜む 教職員の基礎知識シリーズ
フィールドセンシング Field Sensing Technologies
レッスン1 情報の収集と整理 から プレゼンへ (道具を使いこなす)
ICT活用指導力向上のための ICT教育研修と校内研修
「人生100年時代」に求められるスキル 【OS】 【アプリ】 人生100年時代の働き手は、【アプリ】と【OS】を
セキュリティリスク 思わぬところに潜む 教職員の基礎知識シリーズ
平成15・16・17年度 田辺市教育委員会指定研究校 『情報化社会を生きる児童の育成』
心を磨く 公共的なネットワーク社会の構築 知恵を磨く 情報モラル教育 情報社会の倫理 法の理解と遵守
(提案事業のタイトルを記載:80文字以内) ○○○○○○○○○○○○ (提案者名を記載) ○○○○
NetMeeting ~ドイツ語授業形態としての提案
コンピュータ リテラシー 担当教官  河中.
社会と情報 情報社会の課題と情報モラル 情報化が社会に及ぼす影響と課題
第一回 情報セキュリティ 05A1027 後藤航太.
経済情報処理ガイダンス 神奈川大学 経済学部.
INTRODUCTION TO SOFTWARE ENGINEERING
情報教育論 最終課題 「授業計画書の作成」 2001.1.22
プレゼンテーション-技能が必要な理由- 神奈川大学経済学部 経済情報処理I 平成25年度
プレゼンテーション-技能が必要な理由- 神奈川大学経済学部 経済情報処理I 平成18年度 第4回
情報コミュニケーション入門e 第6回 プレゼンテーション 支援ツール入門
新入社員トレーニング 発表者名 発表日 このテンプレートは、トレーニング資料をグループ設定で紹介するための開始ファイルとして使用できます。
手順:以下のスライドとノートを使用してプロジェクトを作成します。
情報処理技法(リテラシ)II 第1回:オリエンテーション 産業技術大学院大学 情報アーキテクチャ専攻 助教  柴田 淳司 パソコンの基本操作.
コミュニケーション手段の 発達.
現在対応 将来展望 変動的 操作スキル プログラミング 情報モラル 探究スキル 普遍的 図13−1 情報活用能力の構成要素 (p.176)
千葉県柏市立土南部小学校 西田 光昭 学校における情報モラル指導の実際 千葉県柏市立土南部小学校 西田 光昭
学校における教育の情報化の推進と校内研修の企画運営
Presentation transcript:

第9回 情報デザイン(1) 情報デザインの考え方 寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部

1-1 情報デザインの捉え方 情報:状況に応じた適切な判断を下した り,行動をとったりするために必要な事 象のこと(テキスト p.18 ). – 定義の中に人間の活動が入っている. – 処理をする人間を考えることなしに,情報を 定義することは難しい(あるいは無意味). – 「情報とは」で google 検索してみましょう.

デザイン:行おうとすることや作ろうと するものの形態について,機能や生産工 程などを考えて構想すること.意匠,設 計.図案.(テキスト p.18 ) 複雑で難解なものを,より明確化し,使 いやすく便利にするための考え方や技術 (旧テキスト).

情報デザインとは? 人々が効果的に情報を使用し,社会活動 をより円滑に行えるよう,前もって準備 する手法とその実践のこと(テキスト p.18 ). あふれている情報を精選し,一定のルー ルやレベル内で,価値あるわかりやすい 表現内容に編集や変換を行い,人々の共 有する情報にまで仕上げる一連の作業で, 中心的な動力のように働くもの.(旧テ キスト)

情報デザインを学ぶ理由 変化の激しい知識基盤社会(あるいは, 高度情報化社会)おいて,新しい未知の 課題に対応するため.(テキスト p.19 の 図参照) – 情報収集の方法を知り,収集した情報を整理 して課題を理解する. – 課題解決方法の計画と実行.成果の検証. – 情報の可視化による他者との情報共有.

1-2 情報社会とデザイン 現代は情報革命の時代 情報過多の高度情報化社会では,誰でも がわかるように整理,表現,表示された 情報が切実に必要とされている. – 情報不安症:自分が理解していることと,理 解しなければならないと思い込んでいること とのギャップが引き起こす不安症状. – デジタルデバイド:情報環境や機器を利用で きるかどうかによって生じる格差.

情報デザインの目的 誰でもが情報を利用できるユニバーサル デザインの観点から,デジタルデバイド のないユビキタス社会の実現を目指す – ユビキタス (ubiquitous) :「いつでも,どこで も,誰でも,何でも」が恩恵を受けることが できる環境や技術 ユーザの立場に立ってデザインする, ユーザ中心設計

モノのデザインからコトのデザイ ンへ モノのデザイン:触知可能(タンジブ ル)な「かたち」を作る. コトのデザイン:「モノ」を通して, 「ヒト」がどのような「コト」を経験す るのかを考えた,エクスペリエンスデザ イン. – コミュニケーションをデザインする – サービスをデザインする

1-3 情報とコミュニケーション コミュニケーション:送り手と受け手の 間で情報をやり取りすること. データを整理することで,理解可能な情 報となる. 情報は,受け手が知識や経験に基づいて 解釈することで,新たな知識となる. – コンテキストについての知識共有が必要. 知恵とは,実践を通して知識が昇華され たもの.

コミュニケーションの歴史 文字の発生以前にも,絵画や絵文字に よって,時間・場所の制約を超えた情報 伝達が行われていた. 文字を扱うようになり,コミュニケー ションは飛躍的に拡大した. 15 世紀にグーテンベルクによって活版印 刷術が発明され,情報の流通量が増大し た. 新聞や雑誌といったマスメディアが誕生 した.

高度情報化時代のコミュニケー ション IT ( ICT )技術の利用. – 新しい情報機器 – 通信技術の発達 双方向のコミュニケーション – 情報の送り手と受け手の役割が固定されない. – SNS など,ネットワーク型のコミュニケー ション. – アマゾンの「おすすめ」のような,相手に応 じた情報を提供するコミュニケーション.

1-4 情報デザインの活用 ビジネスにおけるナレッジマネジメン ト:必要な情報を全員が理解できるよう, 知識の共有化,明確化を行う. – オリエンテーション:仕事の発注者と受注者 による初回の打ち合わせ.参考:「新人ウェ ブディレクターに教えたい。オリエンテー ションとヒアリング」新人ウェ ブディレクターに教えたい。オリエンテー ションとヒアリング – プレゼンテーション:提案を伝える. – プロジェクトにおける情報共有

インフォメーショングラフィックス:図 を効果的に利用することで,情報伝達を 容易にする.コミュニケーションデザイ ンの手法. – 案内図,ピクトグラム 道具の操作性を高めるインタラクション デザイン サービスのデザイン:製品やシステムの 使い方全体をデザインする.

ピクトグラム 北京オリンピックでのピクトグラム(象 形文字風) 北京オリンピックでのピクトグラム 東京オリンピックでのピクトグラム(日 本で最初のピクトグラム)

1-5 情報デザインの作業とプロセス 情報の収集と整理(分析力) 問題解決と発想(論理力) 情報の構造化と表現(表現力) 情報の伝達と評価(提案力)

2-1 モラルの必要性 ネチケット(ネットワークでのエチケッ ト)を身に着け,安全で円滑なコミュニ ケーションを行う.情報社会に正しく参 画する. – セキュリティ:パスワード管理,個人情報の 管理,不正アクセスやウィルスへの対策 – メールの作法 – ツイッターやブログでの情報発信の作法 第1回から第3回の講義スライド参照.

2-2 情報社会におけるルール 情報コミュニケーションにおいては,ネ チケットやモラルの他に,遵守 (じゅん しゅ) しなければならない法令がある. – 個人情報保護法 – プロバイダ責任制限法 – 著作権(第2回の講義スライド参照)

組織としてのルール 企業や学校などの組織では,セキュリ ティポリシを定める.項目例: – インターネットに接続する PC には,ファイル 共有ソフトをインストールしない. – USB メモリで情報を持ち出さない. etc … – ICT を利用した教育を行うときには,セキュリ ティポリシを定めておくべき.しかし,現状 では,熱心な教員個人の裁量で行う実践が先 行してしまうこともある.

ディスカッション 身のまわりにあるもので,デザインに問 題があるために使い方がわかりにくいも のはありませんか? 予想(メンタルモデル)と異なった動作 をするものはありませんか? グループで例を出し合ってみましょう. 参考資料:「貼り紙で不便が分かる」(読売新聞 2013 年 6 月 9 日朝刊)