QCD Sum rule による中性子電気双極子 モーメントの再評価 永田 夏海(名古屋大学) 2012 年 3 月 27 日 日本物理学会第 67 回年次大会 共同研究者:久野純治,李廷容,清水康弘 関西学院大学.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
Dynamical Lifshitz spacetimes and aging phenomena 2013 年 3 月 25 日露共同研究ミニワークショップ 吉田 健太郎 ( 京大理 ) 鵜沢報仁 ( 関西学院大 ) 氏 との共同研究: arXiv: [hep-th] 1.
Advertisements

相対論的場の理論における 散逸モードの微視的同定 斎藤陽平( KEK ) 共同研究者:藤井宏次、板倉数記、森松治.
Generalized Form Factors of the Nucleon in the Chiral Quark Soliton Model カイラルクォークソリトン模型に基づく 核子の一般化形状 大阪大学 原子核理論研究室 D 1 中小路 義彦.
非線形光学効果 理論 1931年 Göppert-Mayer ラジオ波 1959年 Winter 可視光 1961年
Introduction 標準模型は実験結果をよく再現している。 しかし、標準模型の枠組では説明できない現象もある。
マヨラナのニュートリノ系での CPの破れの探求
Orbifold Family Unification in SO(2N) Gauge Theory
pole-dominated QCD sum rules
Direct Search of Dark Matter
有限温度QCD計算と 摂動・HTL計算との比較
---核力プロジェクトの近未来の拡張の形(私見)---
Hadronic EDMs in SUSY GUTs
BRST対称性とカイラル対称性の破れの 格子QCDシミュレーションによる検証 scirqcd 帝京大学理工学部 古井貞隆
電気回路学Ⅱ エネルギーインテリジェンスコース 5セメ 山田 博仁.
第6章 カーネル法 修士2年 藤井 敬士.
行列模型を用いたR×S3上のN=4 SYMにおける相関関数の数値的解析
KOPIO実験のための中性子不感型光子検出器の設計開発
格子QCDの理論的進展と フレーバー物理への応用
原子核物理学 第4講 原子核の液滴模型.
質量数130領域の原子核のシッフモーメントおよびEDM
複荷電ヒッグス粒子のWW崩壊に対するLHC実験からの制限について
1次元電子系の有効フェルミオン模型と GWG法の発展
非エルミート 量子力学と局在現象 羽田野 直道 D.R. Nelson (Harvard)
原子核物理学 第8講 核力.
電子 e 光子 g 電磁相互 作用を媒介 陽子 中性子 中間子 p n ハドロン 核力を  媒介 物質の 究極構造 原子 原子核 基本粒子
研究開発課題(素粒子分野)の紹介 筑波大学計算科学研究センター 藏増 嘉伸.
Λハイパー核の少数系における荷電対称性の破れ
非局所クォーク模型Gaussianバリオン間相互作用とその応用
山岡 哲朗 (共同研究者:原田 正康、野中 千穂)
銀河物理学特論 I: 講義1-3:銀河性質と環境依存性 Park et al. 2007, ApJ, 658, 898
中性子干渉実験 2008/3/10 A4SB2068 鈴木 善明.
D中間子崩壊過程を用いた 軽いスカラー中間子の組成の研究
原子核物理学 第2講 原子核の電荷密度分布.
Supersymmetry non-renormalization theorem from a computer
7. E D M 時空の対称性の破れ.
まとめ 素粒子実験領域、素粒子論領域合同シンポジウム “2010年代のフレーバー物理” 岡田安弘(KEK)
量子系における 確率推論の平均場理論 田中和之 東北大学大学院情報科学研究科
量子力学の復習(水素原子の波動関数) 光の吸収と放出(ラビ振動)
担当教官 理論: 菅沼 秀夫 実験: 成木 恵 前期: それぞれ週1回のゼミ 後期: 理論ゼミ + 実験作業
変換されても変換されない頑固ベクトル どうしたら頑固になれるか 頑固なベクトルは何に使える?
2重井戸型ポテンシャルに捕捉された 冷却原子気体の非平衡初期分布緩和過程に対する非平衡Thermo Field Dynamics
チャネル結合AMDによる sd殻Ξハイパー核の研究
Fourier 変換 Mellin変換 演習課題
目次 1. 原子における弱い相互作用 2. 原子核のアナポールモーメント 3. アナポールモーメントから何がわかるか?
有限クォークおよび有限アイソスピン化学ポテンシャル
素粒子分野における計算機物理 大野木哲也 (京都大学基礎物理学研究所).
わかりやすいパターン認識 第7章:部分空間法  7.1 部分空間法の基本  7.2 CLAFIC法                  6月13日(金)                  大城 亜里沙.
QCDの有効理論とハドロン物理 原田正康 (名古屋大学) at 東京大学 (2006年11月6日~8日)
 中小路義彦 (大阪大学) PHYCAL REVIEW D 77, 074011(2008) M.WAKAMATSU & Y.N
? 格子QCDシミュレーションによる南部-ゴールドストン粒子の 質量生成機構の研究 質量の起源 ドメインウォールフェルミオン作用
インフレーション宇宙における 大域的磁場の生成
1:Weak lensing 2:shear 3:高次展開 4:利点 5:問題点
HMM音声合成における 変分ベイズ法に基づく線形回帰
格子ゲージ理論によるダークマターの研究 ダークマター(DM)とは ダークマターの正体を探れ!
計画研究代表者 京都大学基礎物理学研究所 大野木 哲也
Marco Ruggieri 、大西 明(京大基研)
Massive Gravityの基礎と宇宙論
原子核物理学 第7講 殻模型.
格子QCDの理論的進展と フレーバー物理への応用II
原子核物理学 第6講 原子核の殻構造.
行列 一次変換,とくに直交変換.
媒質中でのカイラル摂動論を用いた カイラル凝縮の解析
現実的核力を用いた4Heの励起と電弱遷移強度分布の解析
実数および純虚数化学ポテンシャル領域における 2+1フレーバーPNJL模型を用いた QCD相構造の研究
Orientifolding of IIB matrix model
Massive Gravityの基礎と宇宙論
Fourier 変換 Mellin変換 演習課題
ランダムプロジェクションを用いた音響モデルの線形変換
陽子の中のSeaクォーク 柴田研究室 02M01221 渡辺 崇 [内容] 1.Seaクォークとは 2.β崩壊とクォーク
瀬戸直樹 (UC Irvine) 第5回DECIGOワークショップ
Presentation transcript:

QCD Sum rule による中性子電気双極子 モーメントの再評価 永田 夏海(名古屋大学) 2012 年 3 月 27 日 日本物理学会第 67 回年次大会 共同研究者:久野純治,李廷容,清水康弘 関西学院大学

中性子の電気双極子モーメント( nEDM )  時間反転( T ),空間反転( P )の対称性を破る ( CPT 定理の下では CP 対称性を破っている)  CKM 行列からの寄与はとても小さい 実験による制限( Institut Laue-Langevin ) Phys.Rev.Lett. 97, (2006). QCD セクターにおける,フレーバーを変えない CP の 破れに非常に感度がある。

Effective Lagrangian CP-violating parameters quark EDMsquark CEDMs θ term ( QCD スケール;次元5まで) (physical parameter)

目標  QCD sum rule を用いて計算を行った 他のアプローチ Naive Dimensional analysis, カイラル摂動論,格子計算  パラメーターの一部に格子計算の結果を使った 結果 CP を破る相互作用に関して,従来の計算結果 よりも1桁ほど大きな(保守的な)制限を得た nEDM に対する 実験的制限 nEDM に対する 実験的制限 QCD セクターの CP に対する制限 QCD セクターの CP に対する制限

QCD Sum Rule M. Shifman, A. Vainshtein, V. Zakharov, (1979) 既存の計算 M. Pospelov and A. Ritz (1999, 2001) ハドロン場の相関関数を,2通りの方法で計算する ① 演算子積展開( OPE )で計算 ② 現象論的模型で計算 Borel 変換の後 等号でつなぐ Borel 変換の後 等号でつなぐ 短距離の寄与長距離の寄与 など nEDM d n Borel 変換 … 連続部分の寄与をうまく落とせる

現象論的計算 中性子場 η (x) n 相関関数 この相関関数から nEDM を引き出したい 余分な位相因子 α … nEDM と磁気双極子モーメントを 混ぜる カイラル不変な項に着目 n

現象論的計算 N NN N * N * N * Double pole Single pole No pole 以下では, A :定数, B 〜0を仮定して計算する

中性子場 中性子場をクォーク場で表す 中性子と同じ量子数を持つ複合演算子 選び方に自由度がある β =1と取るのが良いと分かった OPE 計算の高次の寄与が抑えられる CP-odd な寄与を拾って場が混ざる効果を消せる

OPE 計算 NLO まで計算を行った。

OPE 計算 Λ :質量次元1の任意のパラメーター Θ は CP を破る演算子の係数の線形和 表式は複雑なので省略

QCD Sum Rule 以上で求めた相関関数を Borel 変換して等しくおくと, M : Borel 質量 右辺の Borel 質量依存性 結果

今回は, λ の値として,格子計算の結果を用いた n Y. Aoki et. al. (2008) 従来計算では QCD Sum Rule の計算結果を利用 格子計算の結果の方が, QCD Sum Rule の計算 結果と比較して,(絶対値で)数倍大きい値 従来計算よりも小さな(およそ 20 %) nEDM を予測 Preliminary

まとめ  QCD sum rule を用いて中性子電気双極子 モーメントの計算を行った  パラメーターに格子計算の結果を用いること で,従来計算よりも保守的な結果を得た  計算の不定性,高次の演算子の寄与などを評 価することが今後の課題

Backup

Error Estimate Single pole の寄与が 30 %以下であることを要請

CP violating parameters

Parameters for Condensates

PQ 対称性