福島県教育センター 生物研究室
主な高校生物教科書の中に出てくる地衣類 ○ 生物Ⅱ ・生物の分類 ・遷移 ・課題研究 (大気汚染調査) (いわき市石森山 撮 影)
(1)地衣類とは 地衣類は、菌類の仲間で、緑藻やシアノバクテ リ ア(藍藻)と共生して生活している。 菌類 藻類 安定した生活の場と水や無機物の提 供 光合成でつくる栄養(炭水化物)の 提供
地衣類の生態 ・地衣類は地上の樹皮、岩石、土の上など安定し た基 物上に生活する。 ・日本で約何種、報告されている? ① 300 ② 1500 ③1万 ④1万 5 千 ⑤3 万 → ② 1500 種 ・世界で約何種、報告されている? ① 3000 ② 6500 ③1万 ④ 2 万 ⑤3万 → ④ 2 万種
地衣類の分布 ・地衣類の分布域は広く、温帯以外にも、南極大 陸 や北極圏、高山、砂漠、熱帯雨林のように、低 温、 高温、乾燥、湿潤などの厳しい環境下でも多様 な種 が生育する。 ・地球の全陸上の約何%が地衣類で覆われている か。 ① 0. 9 ②8 ③13 ④16 ⑤19 → ②8%
地衣体内部構造 ・地衣体の内部構造は、葉状地衣類では上下の 皮層、藻類層、髄層の三層に分化している。 皮層 藻類層 髄層 ウメノキゴケ(2010年8月30日撮 影)
(2)地衣類の生殖 ①無性生殖(粉芽や裂芽などの栄養生殖器官によ っ て殖える) A. B. A.裂芽(ウメノキゴケ).トゲ状(約10倍) 2010 年 10 月 27 日撮影 B.粉芽(キウメノキゴケ).類粒状(約10倍) 2010 年 10 月 27 日撮影 ②有性生殖(生殖器官である子器から放出された菌 の胞子が共生藻と再共生することによ っ て新しい地衣体をつくる)
(4)地衣類の化学成分 ・地衣類は特有の化学成分(地衣成分)を作り出 す。現在まで 700 種類以上が知られているが、そ の内約 630 種類が地衣類に特有のものである。 ・地衣成分は、藻類の光合成産物を材料として、 菌類の様々な代謝経路を経て作り出される。 現在では、地衣成分には、菌類と藻類の相互作 用を調節する働きや、微生物・植物・動物などに 対する防御、紫外線からの保護などの機能がある ことが分かっている。 (大村嘉人 (平成 22 年)より 引用)
(4)地衣類の化学成分 ・地衣類は特有の化学成分(地衣成分)を作り出 す。現在まで 700 種類以上が知られている。 ・顕微化学的検出法によって、地衣成分を結晶化 できる。 サラチン酸( KK )200倍 (2010年8月31日撮 影)
(6)大気汚染の指標としての地衣類 ・大気汚染に敏感なウメノキゴケやマツゲゴケ等 の特定の種を用いてその分布を調べる方法がある 。 <調査例> いわき市( 1992 年) ※ 福島県立平商業高等学校生物部「平商 生物 部のあゆみ」(平成 7 年)より
引用・参考文献 [1] 大村嘉人 「コケでないコケ “ 地衣類 ” の観察と 調査研究」(国立科学博物館、平成 22 年) [2] 柏谷博之 「地衣類のふしぎ」(サイエンス・ アイ新書、平成 22 年) [3] 福島県立平商業高等学校生物部「平商 生物 部のあゆみ」(平成 7 年)