サービス管理責任者等研修テキスト 分野別講義 「アセスメントと 支援提供の基本姿勢」 <児童発達支援管理責任者> 平成27年10月1日
(目 次) 1.児童発達支援管理責任者に係る事業概要 2.児童発達支援管理者に求められる サービス提供の基本姿勢 3.支援提供の基本的姿勢 (目 次) 1.児童発達支援管理責任者に係る事業概要 (1)研修目標の確認 (2)障害児通所支援及び障害児入所支援の 概要 (3)最近の動向 (4)児童発達支援管理責任者の役割 2.児童発達支援管理者に求められる サービス提供の基本姿勢 3.支援提供の基本的姿勢 4.支援提供のポイントとその評価 5.アセスメントのポイント 6.発達障害の理解とその対応 7.入所支援特有の機能及び求められる 役割 8.児童発達支援管理責任者と障害児相談 支援専門員の関係と役割 9.支援提供プロセスの実際 (1)相談支援時の状況把握 (2)アセスメント①初期状態の把握 ②基本的ニーズの把握 ③課題の整理 (3)個別支援計画の作成 (4)個別支援計画の実施 (5)中間評価と修正①個別支援計画の評価 ②個別支援計画の修正 (6)他機関との連携 (7)就学・卒業等の移行期支援 (8)終了時評価 10.放課後等デイサービスガイドライン
講義の進行 第2日目午前・午後(~13:50) 9:00 9:20 10:40 10:50 12:00 13:00 13:50 5 アセスメントのポイント 6 発達障害の理解とその対応 7 入所支援特有の機能及び 求められる役割 8 児童発達支援管理責任者と 障害児相談支援専門員の 関係と役割 児童発達支援管理責任者に係る事業 概要 2 児童発達支援管理責任者に 求められるサービス提供の 基本姿勢 3 支援提供の基本的姿勢 4 支援提供のポイントとその 評価 休憩(10分) 昼休憩(60分) 9 支援提供プロセスの 実際 10 放課後等デイサービス ガイドライン 1 1 児童発達支援管理責任者に係る事業概要(20分) (1) 研修目標の確認(ガイダンス) (2) 障害児通所支援及び障害児入所支援の概要 (3) 最近の動向 (4) 児童発達支援管理責任者の役割 2 児童発達支援管理責任者に求められるサービス提供の基本姿勢(30分) 3 支援提供の基本的姿勢(25分) 4 支援提供のポイントとその評価(25分) 5 アセスメントのポイント(20分) 6 発達障害の理解とその対応(15分) 7 入所支援特有の機能及び求められる役割(20分) 8 児童発達支援管理責任者と障害児相談支援専門員の関係と役割(15分) 支援提供プロセスの実際(30分) 10 放課後等デイサービスガイドライン(20分)
1.児童発達支援管理管責任者に係る 事業概要 障害児通所支援及び障害児入所支援の概要と 障害児福祉の動向 1.児童発達支援管理管責任者に係る 事業概要 障害児通所支援及び障害児入所支援の概要と 障害児福祉の動向 厚生労働省 社会援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害児・発達障害者支援室
児童発達支援管理責任者研修のポイント 【児童福祉法に関する知識】 ○ 平成24年4月以降の児童分野の制度改革について認識を深め、障害種別の一元化への対応の他、保育所等訪問支援などの地域生活支援、障害児相談支援事業との連携について認識を深める。 【アセスメント、支援等に関する知識】 ○ 適切な発達支援を行うために必要な発達評価(成育歴を含む)について認識を深める必要がある。 また、増加する発達障害児の療育ニーズに対応できるよう発達障害のアセスメント、支援等につい て、事例を通じながら認識を深める必要がある。 → 発達の評価方法、活用等について理解を 深める。 【発達支援・家族支援・地域支援】 ○ 療育は、子どもの発達支援だけでなく家族支援、地域(生活)支援も重要である。障害受容等保護者の心情に寄り添ったサポート、子どもや家庭のある地域資源へ支援について認識を深める必要がある。 → 障害受容など家族の心理機制について学習するとともに、家族のエンパワメント支援について理解を深める。また、地域支援の支援も押さえる。の3視点を押さえる。 【関係機関との連携】 ○ 児童期は、短期間でライフステージが交代し、関係機関も多岐にわたる。切れ目のない継続的な支援を行うためには、相談支援専門員をはじめ医療・保健・教育などの多くの関係機関との連携が必要である。 → 切れ目のない継続した支援の必要について、理解を深める。また、連携のカギとなる個別支援会議(移行会議等)の開催・運営について認識を深める。また、地域の発達支援システム構築について検討する(自立支援)協議会への参画の重要性について認識を深める。 ○ 必要に応じて、児童相談所との連携が必要である。 → 被虐待児童の支援に当たって共通認識を持って児童の権利擁護を図ることの重要性について理解を深める。
(1)研修目標の確認 児童発達支援管理責任者の役割を理解する。 ・アセスメント(ニーズの把握)と課題の整理 ・個別支援計画の作成とプロセス管理(モニタリング、 計画修正) ・終了後を意識した取り組み(関係機関との連携)等について演習を行いながら理解するとともに、 「模擬支援会議」等を通じて、会議運営や児童の支援に従 事する職員に対する指導・助言等についても理解する。
障害児支援の強化~児童福祉法改正のポイント~ (2)障害児通所支援及び障害児入所支援の概要 障害児支援の強化~児童福祉法改正のポイント~ ○ 障害のある児童が身近な地域で適切な支援が受けられるようにするとともに、併せて、年齢や障害特性に 応じた専門的な支援が提供されるよう質の確保を図る。 ■障害児施設の一元化 障害種別で分かれている現行の障害児施設を、通所による支援を「障害児通所支援(児童発達支援等)」、入所による支援を「障害児入所支援(障害児入所施設)」にそれぞれ一元化 ■障害児通所支援の実施主体を市町村へ移行 通所サービスの実施主体は身近な市町村に変更。これにより障害者自立支援法の居宅サービスと通所サービスの一体的な提供が可能。 ■放課後等デイサービス、保育所等訪問支援の創設 学齢児を対象としたサービスを創設し、放課後支援を充実。また、障害があっても保育所等の利用ができるよう訪問サービスを創設。 ■在園期間の延長措置の見直し 18歳以上の障害児施設入所者に対し障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを提供し、年齢に応じた適切な支援を提供。 *現に入所していた者が退所させられないようにする。
重症心身障害児(者)通園事業(補助事業) 障害児施設・事業の一元化 イメージ ○ 障害児支援の強化を図るため、現行の障害種別ごとに分かれた施設体系について、通所・入所 の利用形態の別により一元化。 << 障害者自立支援法 >> 【市町村】 【市町村】 << 児童福祉法 >> 児童デイサービス 障害児通所支援 ・児童発達支援 ・医療型児童発達支援 ・放課後等デイサービス ・保育所等訪問支援 << 児童福祉法 >> 【都道府県】 通所サービス 知的障害児通園施設 難聴幼児通園施設 肢体不自由児通園施設(医) 重症心身障害児(者)通園事業(補助事業) 知的障害児施設 第一種自閉症児施設(医) 第二種自閉症児施設 【都道府県】 入所サービス 障害児入所支援 ・福祉型障害児入所施設 ・医療型障害児入所施設 盲児施設 ろうあ児施設 肢体不自由児施設(医) 肢体不自由児療護施設 重症心身障害児施設(医) (医)とあるのは医療の提供を行っているもの
児童発達支援の概要 1.各障害別から3障害対応 2.地域支援体制の強化 3.小規模ニーズへの対応 ○ 従来の各障害別に分かれていた障害児通園施設・事業については、「児童発達支援」に一元化 し、様々な障害があっても身近な地域で適切な支援が受けられるようにする。 ○ 児童発達支援には、従来の事業形態等を踏まえて、①児童福祉施設として位置づけられる児 童発達支援センター、②その他の児童発達支援事業の2類型。 1.各障害別から3障害対応 ・身体に障害のある児童、知的障害のある児童又は精神に障害のある児童(発達障害児を含む) *手帳の有無は問わず、児童相談所、市町村保健センター、医師等により療育の必要性が認められた児童も対象 ・障害特性へのきめ細かい配慮を行いつつ、様々な障害を受け入れ通所支援を提供 *3障害対応を原則とするが、障害の特性に応じた支援の提供も可能 2.地域支援体制の強化 (1)児童発達支援センター (2)児童発達支援事業 ◆ 通所支援のほか、身近な地域の障害児支援の拠点 として、 ①地域にいる障害児や家族への支援、 ②地域の障害児を預かる施設に対する支援を実施す るなどの地域支援を実施 ◆ 関係機関等と連携を図りながら重層的な支援を提 供するとともに、児童発達支援事業との支援ネット ワークを形成するなど、地域支援体制を強化 ◇ 専ら通所利用の障害児に対する支援を行う身 近な療育の場として位置づけ ◇ 児童発達支援センターよりも緩やかな実施基準 とし、児童発達支援事業の設置を促進 ◇ 児童発達支援センターとの支援ネットワーク より地域をカバー(児童発達支援センターからの 支援等によ り質も向上) 3.小規模ニーズへの対応 利用定員を10人以上 (*重症心身障害児(者)通園事業からの移行の児童発達支援事業の場合は5人以上)
児童発達支援 ○ 対象者 ○ サービス内容 ○ 主な人員配置 ○ 報酬単価(平成27年4月~) ■ 基本報酬 ■ 主な加算 ■ 療育の観点から集団療育及び個別療育を行う必要があると認められる未就学の障害児。 ○ サービス内容 ○ 主な人員配置 ■ 日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練、その他必要な支援を行う。 ■ 児童発達支援センター ・児童指導員及び保育士 4:1以上 ・児童指導員 1人以上 ・保育士 1人以上 ・児童発達支援管理責任者 1人以上 ■ 児童発達支援センター以外 ・指導員又は保育士 10:2以上 ○ 報酬単価(平成27年4月~) ■ 基本報酬 ■ 児童発達支援センター(利用定員に応じた単位を設定) ■ 児童発達支援センター以外(利用定員に応じた単位を設定) ・難聴児・重症心身障害児以外 737~976単位 ・重症心身障害児以外 364~620単位 ・難聴児 900~1,220単位 ・重症心身障害児 699~1,608単位 ・重症心身障害児 798~1,152単位 ■ 主な加算 児童指導員等配置加算(6~12単位) → 児童指導員、保育士の有資格者等を配置した場合に加算。 ※児童発達支援センター及び主として重症心身障 害児を通わせる事業所を除く。 延長支援加算 障害児(重症心身障害児以外の場合) (61~123単位) 重症心身障害児の場合(128~256単位) → 営業時間が8時間以上であり、営業時間の前後の時間において支援を行った場合に加算。 事業所内相談支援加算(35単位) → 事業所内での障害児とその家族等に対する相談援助を行った場合に加算(月1回を限度)。 ○ 事業所数 3,133(国保連平成27年2月実績) ○ 利用者数 74,188(国保連平成27年2月実績)
医療型児童発達支援 ○ 対象者 ○ サービス内容 ○ 主な人員配置 ○ 報酬単価(平成27年4月~) ■ 基本報酬 ■ 主な加算 ■ 肢体不自由があり、理学療法等の機能訓練又は医学的管理下での支援が必要と認められた障害児。 ○ サービス内容 ○ 主な人員配置 ■ 日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練、その他必要な支援及び治療を行う。 ■ 児童指導員 1人以上 ■ 保育士 1人以上 ■ 看護師 1人以上 ■ 理学療法士又は作業療法士 1人以上 ■ 児童発達支援管理責任者 1人以上 ○ 報酬単価(平成27年4月~) ■ 基本報酬 ■ 医療型児童発達支援センター ■ 指定発達支援医療機関 ・肢体不自由児 333単位 ・肢体不自由児 333単位 ・重症心身障害児 445単位 ・重症心身障害児 445単位 ■ 主な加算 保育職員加配加算(50単位) → 定員21人以上の医療型児童発達支援事業所において、児童指導員又は保育士を加配した場合に加算。 延長支援加算 障害児(重症心身障害児以外の場合) (61~123単位) 重症心身障害児の場合(128~256単位) → 営業時間が8時間以上であり、営業時間の前後の時間において支援を行った場合に加算。 事業所内相談支援加算(35単位) → 事業所内での障害児とその家族等に対する相談援助を行った場合に加算(月1回を限度)。 ○ 事業所数 101(国保連平成27年2月実績) ○ 利用者数 2,588(国保連平成27年2月実績)
放課後等デイサービスの概要 ・ 学校通学中の障害児に対して、放課後や夏休み等の長期休暇中において、生活能力 ○ 事業の概要 ・ 学校通学中の障害児に対して、放課後や夏休み等の長期休暇中において、生活能力 向上のための訓練等を継続的に提供することにより、学校教育と相まって障害児の自 立を促進するとともに、放課後等の居場所づくりを推進。 ○ 対象児童 ○ 利用定員 学校教育法に規定する学校(幼稚園、大学を除く)に就学している障害児 (*引き続き、放課後等デイサービスを受けなければその福祉を損なうおそれが あると認めるときは満20歳に達するまで利用することが可能) 10人以上 ※児童デイサービスからの移行を考慮 D特別支援学校 A特別支援学校 ○ 提供するサービス ◆ 学校授業終了後又は休業日において、生 活能力の向上のために必要な訓練、社会 との交流の促進等 ①自立した日常生活を営むために必要な訓練 ②創作的活動、作業活動 ③地域交流の機会の提供 ④余暇の提供 ◆ 学校との連携・協働による支援(学校と放課後等デイサービスのサービスの一貫性) 放課後等デイサービス 事業所 ◎放課後利用 ◎夏休み等の長期休暇利用 ・ 午前・午後クラスなど、プロ グラムの工夫 ◎学校と事業所間の送迎 C中学校 B小学校
放課後等デイサービス ○ 対象者 ○ サービス内容 ○ 主な人員配置 ■ 基本報酬 ■ 主な加算 ○報酬単価(平成27年4月~) ■ 学校教育法第1条に規定している学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学しており、授業の終了後又は休業日に支援が必要と認められた障害児。 ○ サービス内容 ○ 主な人員配置 ■ 授業の終了後又は学校の休業日に、児童発達支援センター等の施設に通わせ、生活能力向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他必要な支援を行う。 ■ 指導員又は保育士 10:2以上 ■ 児童発達支援管理責任者 1人以上 ■ 管理者 ○報酬単価(平成27年4月~) ■ 基本報酬 ■ 授業終了後(利用定員に応じた単位を設定) ■ 休業日(利用定員に応じた単位を設定) ・重症心身障害児以外 276~473単位 ・重症心身障害児以外 359~611単位 ・重症心身障害児 577~1,329単位 ・重症心身障害児 699~1,608単位 ■ 主な加算 児童指導員等配置加算 授業終了後に行う場合(4~9単位) 休業日に行う場合(6~12単位) → 児童指導員、保育士の有資格者等を配置した場合に加算。 ※主として重症心身障害児を通わせる事業所を除 く。 延長支援加算 障害児(重症心身障害児以外の場合) (61~123単位) 重症心身障害児の場合(128~256単位) → 営業時間が8時間以上であり、営業時間の前後の時間において支援を行った場合に加算。 事業所内相談支援加算(35単位) → 事業所内での障害児とその家族等に対する相談援助を行った場合に加算(月1回を限度)。 ○ 事業所数 5,653 (国保連平成27年2月実績) ○ 利用者数 92,323(国保連平成27年2月実績)
保育所等訪問支援の概要 ・ 保育所等を現在利用中の障害児、又は今後利用する予定の障害児が、保育所等に ○ 事業の概要 ・ 保育所等を現在利用中の障害児、又は今後利用する予定の障害児が、保育所等に おける集団生活の適応のための専門的な支援を必要とする場合に、訪問支援を実施 することにより、保育所等の安定した利用を促進。 ○ 対象児童 相談支援事業や、スタッフ支援を行う障害児等療育支援事業等の役割が重要 保育所や、児童が集団生活を営む施設に通う障害児 *「集団生活への適応度」から支援の必要性を判断 *発達障害児、その他の気になる児童を対象 個別給付の ため障害受 容が必要 ○ 訪問先の範囲 A幼稚園 ・ 保育所、幼稚園、認定こども園 ・ 小学校、特別支援学校 ・ その他児童が集団生活を営む施設として、地方自治体が認めたもの 集団生活への 適応支援 集団生活への 適応支援 A保育所 児童発達支援センター 事業 集団生活への 適応支援 保育所等訪問支援 B幼稚園 B保育所 集団生活への 適応支援 ○ 提供するサービス ◆ 障害児が集団生活を営む施設を訪問し、当該施設における障害児以外の児童との集団生活への適応のための 専門的な支援等 ①障害児本人に対する支援(集団生活適応のための訓練等) ②訪問先施設のスタッフに対する支援(支援方法等の指導等) ◆ 支援は2週に1回程度を目安。障害児の状況、時期によって頻度は変化。 ◆ 訪問支援員は、障害児施設で障害児に対する指導経験のある児童指導員・保育士(障害の特性に応じ専門的 な支援が必要な場合は、専門職)を想定。
保育所等訪問支援 ○ 対象者 ○ サービス内容 ○ 人員配置 ○報酬単価(平成27年4月~) ■ 基本報酬 ■ 主な加算 ■ 保育所、幼稚園、小学校、特別支援学校、認定こども園その他児童が集団生活を営む施設に通う障害児であって、当該施設を訪問し、専門的な支援が必要と認められた障害児。 ○ サービス内容 ○ 人員配置 ■ 保育所等を訪問し、障害児に対して、障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援その他必要な支援を行う。 ■ 訪問支援員 ■ 児童発達支援管理責任者 1人以上 ■ 管理者 ○報酬単価(平成27年4月~) ■ 基本報酬 916単位 ■ 主な加算 訪問支援員特別加算(375単位) → 作業療法士や理学療法士、保育士等の専門性の高い職員を配置した場合に加算。 利用者負担上限額管理加算(150単位) → 事業所が利用者負担額合計額の管理を行った場合に加算。 ○ 事業所数 326(国保連平成27年2月実績) ○ 利用者数 1,954(国保連平成27年2月実績)
障害児入所支援の概要 1.各障害別から3障害対応 2.様々な障害や重複障害等への対応 3.18歳以上の障害児施設入所者への対応 障害児入所支援の概要 ○ 従来の各障害別に分かれていた障害児入所施設については、「障害児入所施設」として一元化 し、重複障害等への対応の強化を図るとともに、自立に向けた計画的な支援を提供。 ○ 障害児入所施設には、従来の事業形態等を踏まえて、①福祉型障害児入所施設、②医療を併 せて提供する医療型障害児入所施設の2類型。 1.各障害別から3障害対応 ・ 身体に障害のある児童、知的障害のある児童又は精神に障害のある児童(発達障害児を含む) *手帳の有無は問わず、児童相談所、医師等により療育の必要性が認められた児童も対象 *3障害対応を原則とするが、障害の特性に応じた支援の提供も可能(ただし、医療型の対象は、知的障害児、肢体不自由児、重症心身障害児) 2.様々な障害や重複障害等への対応 福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設 ◆ 従来の障害種別の施設と同等の支援を確保するとともに、主たる対象とする障害以外の障害を受け入れた 場合に、その障害に応じた適切な支援を提供(医療型は、このほか医療を提供) ◆ 18歳以上の障害児施設入所者は、障害者施策(障害者総合支援法の障害福祉サービス)で対応することと なることを 踏まえ、自立(地域生活への移行等)を目指した支援を提供。 *重症心身障害児施設は、重症心身障害の特性を踏まえ児者一貫した支援の継続が可能 3.18歳以上の障害児施設入所者への対応 ・ 障害者総合支援法の障害福祉サービスにより年齢に応じた適切な支援を提供。 * 障害福祉サービスの指定を受ける。現に入所していた者が退所させられないようにするため、指定に当たっての特例措 置を講ずる。 *ただし、引き続き、入所支援を受けなければその福祉を損なうおそれがあると認めるときは、満20歳に達するまで利用 することが可能。
(※)支援がなければ福祉を損なうおそれがあると認められるとき ○ 福祉型障害児入所施設について 福祉型障害児入所施設は、重度・重複化への対応や障害者施策に繋ぐための自立支援の機能を強化するなど、支援目標を明確化し、個別支援計画を踏まえた支援の提供を目指す。 《法律上》保護、日常生活の指導、知識技能の付与 【見直し前】 【24年4月】 障害の程度 知的障害児 施設 盲ろうあ児 肢体不自由児療護施設 ※保護を目的としたサービス ※昼夜分離せず 施設内完結型 サービス ※年齢の区分が 曖昧なサービス 児童福祉法 障害児入所 施設 ・福祉型 児童福祉法 軽 重 -支援目標を明確化- 個別支援計画の作成 自立(地域生活 移行)のための支援 専門機能の強化 ・知的障害、盲ろうあ、 肢体不自由など、障 害の特性に応じて提 供 ・重度・重複障害児、被虐待児等への対応 年齢 障害者施策に繋ぐ支援 居住環境の整備 障害者自立支援法 ○障害者施策による対応 法 18歳(20 歳※)以上 の入所者 〔例〕 昼夜分離したサービス 地域生活移行 グループホーム・ケアホームの利用 施設入所支援 生活介護等 (※)支援がなければ福祉を損なうおそれがあると認められるとき
福祉型障害児入所施設 ○ サービス内容 ○ 主な人員配置 ○報酬単価(平成27年4月~) ■ 基本報酬 ■ 主な加算 ■ 障害児入所施設に入所する障害児に対して、保護、日常生活の指導及び知識技能の付与を行う。 ■ 児童指導員及び保育士 ・主として知的障害児又は自閉症児を入所させる施設 4.3:1以上 ・主として盲児又はろうあ児を入所させる施設 乳児又は幼児 4:1以上 少年 5:1以上 ・主として肢体不自由児を入所させる施設 3.5:1以上 ・児童指導員 1人以上 ・保育士 1人以上 ■ 児童発達支援管理責任者 1人以上 ○報酬単価(平成27年4月~) ■ 基本報酬 ■ 主として知的障害児を入所させる施設(利用定員に応じた単位を設定) 435~740単位 ■ 主として自閉症児を入所させる施設(利用定員に応じた単位を設定) 571~735単位 ■ 主として盲児を入所させる施設(利用定員に応じた単位を設定) 419~679単位 ■ 主としてろうあ児を入所させる施設(利用定員に応じた単位を設定) 418~675単位 ■ 主として肢体不自由児を入所させる施設(利用定員に応じた単位を設定) 681~715単位 ■ 主な加算 児童発達支援管理責任者専任加算(7~148単位) → 児童発達支援管理責任者を専任で配置している場合に加算。 小規模グループケア加算(240単位) → 障害児に対して、小規模なグループによるケアを行った場合に加算。 福祉専門職員配置等加算(4~10単位) → ①常勤の児童指導員等のうち、社会福祉士、介護福祉士又は精神保健福祉士の資格保有状況に応じて加算、➁児童指導員又は保育士等のうち、常勤職員が75%以上又は勤続3年以上の常勤職員が30%以上。 ○ 事業所数 190(国保連平成27年2月実績) ○ 利用者数 1,822(国保連平成27年2月実績)
※専門性を維持、又は複数の機能を有することも可 ○ 医療型障害児入所施設について 医療型障害児入所施設においては、専門医療と福祉が併せて提供されている現行の形態を踏まえ、専門性を維持するか、又は複数の機能を併せ持つことも可。また、支援内容について、障害者施策に繋げる観点から見直 し、個別支援計画を踏まえた支援の提供を目指す。 《法律上》保護、日常生活の指導、知識技能の付与及び治療 【24年4月】 【見直し前】 障害児入所 施設 ・医療型 児童福祉法 自閉症児支援 肢体不自由児支援 重症心身障害児 支援 第1種自閉症児施設 肢体不自由児施設 重症心身障害児施設 ※保護を目的とし たサービス ※昼夜分離せず 施設内完結型 サービス ※年齢の区分が 曖昧なサービス 児童福祉法 ○専門機能の強化 ・自閉症、肢体不自由、重症心身障害など、障害の特性に応じて提供、重度・重複障害児等への対応 ・専門医療の提供 ・継続的な長期療育 ・精神科医療 ・リハビリ科医療 ・強度行動障害へ の対応 ・短期訓練 児者一貫した支援 ・母子入園(通園) 個別支援計画の作成 ○障害者施策に繋ぐための支援 個別支援計画の作成 障害者自立支援法 ○障害者施策による対応 法 18歳(20 歳※)以上 の入所者 昼夜分離したサービス 連携 施設入所支援 医療機関 療養介護 〔例〕 ・できる限り日中活動 サービス提供 生活介護等 (※)支援がなければ福祉を損なう おそれがあると認められるとき ※専門性を維持、又は複数の機能を有することも可
医療型障害児入所施設 ○ サービス内容 ○ 主な人員配置 ○報酬単価(平成27年4月~) ■ 基本報酬 ■ 主な加算 ■ 障害児入所施設又は指定医療機関に入所等をする障害児にたいして、保護、日常生活指導及び知識技能の付与並びに治療を行う。 ■ 児童指導員及び保育士 ・主として自閉症児を入所させる施設 6.7:1以上 ・主として肢体不自由児を入所させる施設 乳児又は幼児 10:1以上 少年 20:1以上 ・児童指導員 1人以上 ・保育士 1人以上 ■ 児童発達支援管理責任者 1人以上 ○報酬単価(平成27年4月~) ■ 基本報酬 ■ 主として自閉症児を入所させる施設 323単位(有期有目的の支援を行う場合(入所日数に応じた単位を設定) 291~355単位) ■ 主として肢体不自由児を入所させる施設 148単位(有期有目的の支援を行う場合(入所日数に応じた単位を設定) 133~163単位) ■ 主として重症心身児を入所させる施設 880単位(有期有目的の支援を行う場合(入所日数に応じた単位を設定) 792~968単位) ■ 主な加算 心理担当職員配置加算(26単位) → 心理担当職員を配置している場合に加算。 ※主として重症心身障害児を入所させる施設及び 指定発達支援医療機関を除く。 小規模グループケア加算(240単位) → 障害児に対して、小規模なグループによるケアを行った場合に加算。 福祉専門職員配置等加算(4~10単位) → ①常勤の児童指導員等のうち、社会福祉士、介護福祉士又は精神保健福祉士の資格保有状況に応じて加算、➁児童指導員又は保育士等のうち、常勤職員が75%以上又は勤続3年以上の常勤職員が30%以上。 ○ 事業所数 185(国保連平成27年2月実績) ○ 利用者数 2,145(国保連平成27年2月実績)
障害児が利用可能な支援の体系 サービス名 障害者総合支援法 利用児童数 9,524 18,719 2,791 6,927 1,439 9 障害児が利用可能な支援の体系 (注)利用者数及び施設・事業所数は平成27年3月現在の国保連データ。 ※通所系サービスは国保連委託分のみ(1.719市町村のうち、1,707市町村) 入所系サービスは国保連委託分のみ(69都道府県市のうち、52都道府県市) サービス名 障害者総合支援法 利用児童数 施設・事業所数 9,524 18,719 2,791 6,927 1,439 9 3,977 163 5,736 訪 問 系 居宅介護(ホームヘルプ) 自宅で、入浴、排せつ、食事の介護等を行う 同行援護 重度の視覚障害のある人が外出する時、必要な情報提供や介護を行う 行動援護 自己判断能力が制限されている人が行動するときに、危険を回避するために必要な支援、外出支援を行う 重度障害者等包括支援 介護の必要性がとても高い人に、居宅介護等複数のサービスを包括的に行う 活動系 日中 短期入所(ショートステイ) 自宅で介護する人が病気の場合などに、短期間、夜間も含め施設で、入浴、排せつ、食事の介護等を行う 児童発達支援 日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練などの支援を行う。 児童福祉法 75,011 3,198 2,623 101 1,670 1,844 2,148 312 192 186 94,978 5,815 障害児通所系 医療型児童発達支援 日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、 集団生活への適応訓練などの支援及び治療を行う。 放課後等デイサービス 授業の終了後又は休校日に、児童発達支援センター等の施設に通わせ、生活能力向上のための必要な訓練、社会との交流促進などの支援を行う 保育所等訪問支援 保育所等を訪問し、障害児に対して、障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援などを行う。 障害児入所系 福祉型障害児入所施設 施設に入所している障害児に対して、保護、日常生活の指導及び知識技能の付与を行う。 医療型障害児入所施設 施設に入所又は指定医療機関に入院している障害児に対して、保護、日常生活の指導及び知識技能の付与並びに治療を行う。 計画相談支援 【サービス利用支援】 ・サービス申請に係る支給決定前にサービス等利用計画案を作成 ・支給決定後、事業者等と連絡調整等を行い、サービス等利用計画を作成 【継続利用支援】 ・サービス等の利用状況等の検証(モニタリング) ・事業所等と連絡調整、必要に応じて新たな支給決定等に係る申請の勧奨 児福法 26,739 1,159 2,513 5,995 支援法 相談支援系 障害児相談支援 【障害児利用援助】 ・障害児通所支援の申請に係る給付決定の前に利用計画案を作成 ・給付決定後、事業者等と連絡調整等を行うとともに利用計画を作成 【継続障害児支援利用援助】
障害児支援の利用児童数の推移 (障害児支援計) (人) (人) ※保育所等訪問支援(再掲) 平成24年度 平成25年度 平成26年度
障害児支援の事業所数の推移 (障害児支援計) (カ所) (カ所) ※保育所等訪問支援(再掲) 平成24年度 平成25年度 平成26年度
(3)最近の動向 「障害児支援の在り方に関する検討会」について H26.1月 H26.7月9日 H26.4月~5月 検討会の 「障害児支援の在り方に関する検討会」について H26.1月 検討会の 立ち上げ H26.4月~5月 関係団体ヒアリング H26.7月9日 報告書とりまとめ 公表7月16日 (今後の主な日程) ① 平成27年度報酬改定 ② 障害者総合支援法施行後 3年を目途とした制度見直し (構成員名簿:合計19名) 朝貝 芳美 全国肢体不自由児施設運営協議会副会長 石橋 𠮷章 一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会副会長 市川 宏伸 一般社団法人日本発達障害ネットワーク理事長 大塚 晃 上智大学総合人間科学部教授(*座長代理) 大濱 早苗 滋賀県湖南市健康福祉部社会福祉課発達支援室長 大南 英明 全国特別支援教育推進連盟理事長 岡田 喜篤 公益社団法人日本重症心身障害福祉協会理事長 柏女 霊峰 淑徳大学総合福祉学部教授(*座長) 片桐 公彦 特定非営利活動法人全国地域生活支援ネットワーク事務局長 加藤 正仁 一般社団法人全国児童発達支援協議会会長 佐藤 進 埼玉県立大学名誉教授 高木 正三 社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会理事 田中 齋 公益財団法人日本知的障害者福祉協会 田中 正博 全国手をつなぐ育成会連合会統括 田畑 寿明 特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会事務局次長 柘植 雅義 筑波大学人間系障害科学域教授 辻井 正次 中京大学現代社会学部教授 宮田 広善 一般社団法人全国児童発達支援協議会副会長 渡辺 顕一郎 日本福祉大学子ども発達学部教授 (敬称略、五十音順) * 左記構成員に 加えて、合計21団体 からのヒアリング等を 実施して意見を聴取
今後の障害児支援の在り方について ~「発達支援」が必要な子どもの支援はどうあるべきか~ 平成26年7月16日 障害児支援の在り方に関する検討会 今後の障害児支援の在り方について ~「発達支援」が必要な子どもの支援はどうあるべきか~ (報告書のポイント) 基本理念 ○ 地域社会への参加・包容(インクルージョン)の推進と合理的配慮 ○ 障害児の地域社会への参加・包容を子育て支援において推進するための後方支援としての 専門的役割の発揮 障害児本人の最善の利益の保障 家族支援の重視 地 域 に お け る 「縦 横 連 携」 の 推 進 ○ ライフステージに応じた切れ目の無い支援(縦の連携) ○ 保健、医療、福祉、保育、教育、就労支援等とも連携した地域支援体制の確立(横の連携) 相談支援の推進 支援に関する 情報の共有化 児童相談所等との 連携 支援者の専門性の 向上等
<報告書提言の主な内容(1)> ① 地域における「縦横連携」を進めるための体制づくり ① 地域における「縦横連携」を進めるための体制づくり 〇 児童発達支援センターを中心とした重層的な支援体制(各センターによる保育所等訪問支援・ 障害児相談支援の実施等) ○ 保育所等訪問支援等の充実、入所施設への有期・有目的入所の検討 〇 障害児相談支援の役割の拡充、ワンストップ対応を目指した子ども・子育て支援新制度の 「利用者支援事業」との連携 〇 (自立支援)協議会の活性化、支援に関する情報の共有化を目的とした「サポートファイル」の 活用 〇 障害福祉計画における障害児支援の記載義務の法定化 ② 「縦横連携」によるライフステージごとの個別の支援の充実 ○ ライフステージごとの支援(乳幼児期、小学校入学前、学齢期、卒業後) 〇 保護者の「気づき」の段階からの支援、保育所等での丁寧なフォローによる専門的な支援への つなぎ、障害児等療育支援事業等の活用 〇 教育支援委員会や学校等との連携、卒業後を見据えた就労移行支援事業所等との連携
<報告書提言の主な内容(2)> ③ 特別に配慮された支援が必要な障害児のための医療・福祉の連携 ④ 家族支援の充実 ③ 特別に配慮された支援が必要な障害児のための医療・福祉の連携 〇 福祉の専門家だけでは適切に対応できないことを念頭に置いた医療・福祉の連携、医療機関や 入所施設の専門性を活用した研修の実施 ○ 強度行動障害支援者養成研修の推進、重症心身障害児者の地域支援のコーディネート機能を 持つ中核機関の整備に向けた検討 ④ 家族支援の充実 〇 ペアレント・トレーニングの推進、精神面のケア、ケアを一時的に代行する支援、保護者の就労 のための支援、家族の活動、障害児のきょうだい支援 ⑤ 個々のサービスの質のさらなる確保 〇 一元化を踏まえた職員配置等の検討、放課後等デイサービス等の障害児支援に関するガイド ラインの策定 ○ 児童養護施設等の対応を踏まえた障害児入所施設の環境改善及び措置入所を含めた障害児 入所支援の在り方の検討 → 子ども・子育て支援及び障害児支援の計画的進展のための関連部門の連携
地域における「縦横連携」のイメージ 「気づきの段階」からの支援 関係者間の共通理解・情報共有 → 途切れない支援の調整 本人 (家族) 本人 (家族) 本人 (家族) 計画相談 支援 医療 就労 支援 地域保健 障害福祉 職場・地域生活 成年期 卒業 障害児 相談支援 本人 ・ 家族 社会的 養 護 医療 障害児 支 援 学校保健 後方支援 学校等 学齢期 入学 本人 ・ 家族 障害児 相談支援 社会的 養 護 医療 障害児 支 援 母子保健 保育所等 後方支援 乳幼児期 「気づきの段階」からの支援
障害児通所支援に関するガイドライン策定検討会 平成26年7月『障害児支援の在り方に関する検討会の報告書』において、障害児通所支援について、その質を担保する観点からガイドラインの策定が必要である旨言及されている。これを受け、障害児通所支援に関するガイドラインを作成するため、有識者、関係者の参集を得て検討を行った。 障害児通所支援に関するガイドライン策定検討会 構成員名簿 秋山 哲生 (全国重症心身障害日中活動支援協議会) 石橋 大吾 (一般社団法人全日本ろうあ連盟情報・コミュニケーション委員会副委員長) 石橋 𠮷章 (一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会副会長) 市川 宏伸 (一般社団法人日本発達障害ネットワーク理事長) 猪平 眞理 (社会福祉法人日本盲人会連合) 宇佐美 岩夫 (社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会常務理事・事務局長) ◎ 大塚 晃 (上智大学総合人間科学部教授) 大南 英明 (全国特別支援教育推進連盟理事長) 尾崎 ミオ (一般社団法人日本自閉症協会) 片桐 公彦 (特定非営利活動法人全国地域生活支援ネットワーク事務局長) 岸 良至 (一般社団法人全国児童発達支援協議会事務局長) 田中 正博 (全国手をつなぐ育成会連合会統括) 柘植 雅義 (筑波大学教授(人間系障害科学域知的・発達・行動障害学分野)) 辻井 正次 (中京大学現代社会学部教授) 福島 愼吾 (特定非営利活動法人難病のこども支援全国ネットワーク常務理事) ○ 渡辺 顕一郎 (日本福祉大学子ども発達学部教授) (敬称略、五十音順) ◎ 座長 ○ 座長代理
「放課後等デイサービスガイドライン」の概要 ◆ ガイドラインの趣旨 ◆ 放課後等デイサービスの基本的役割 子どもの最善の利益の保障/共生社会の実現に向けた後方支援/保護者支援 ◆ 放課後等デイサービスの提供に当たっての基本的姿勢と基本活動 基本活動: 自立支援と日常生活の充実のための活動/創作活動/地域交流/余暇の提供 等 ◆ 事業所が適切な放課後等デイサービスを提供するために必要な組織運営管理 総則 設置者・管理者向け ガイドライン 児童発達支援管理責任者 向けガイドライン 従業者向け ガイドライン ◆ 子どものニーズに応じた適切な支援の提供と支援の質の向上 環境・体制整備/PDCAサイクルによる適切な事業所の管理 従業者等の知識・技術の向上/関係機関・団体や保護者との連携 等 ◆ 子どもと保護者に対する説明責任等 運営規程の周知/子どもと保護者に対する支援利用申込時の説明/保護者に対する相談支援等 苦情解決対応/適切な情報伝達手段の確保/地域に開かれた事業運営 等 ◆ 緊急時の対応と法令遵守等 緊急時対応/非常災害・防犯対策/虐待防止/身体拘束への対応 衛生・健康管理/安全確保/秘密保持等 等
放課後等デイサービスガイドラインに基づく自己評価等 「事業所は、本ガイドラインに基づく自己評価を実施し、その結果を事業運営に反映させ、自己評価結果については公表するよう努めるものとする。」 ○ そのためのチェックリストが必要との意見 ○ ユーザー評価にも使えるように、との意見 「事業者向け放課後等デイサービス自己評価表」と、より簡素な「保護者等向け放課後等デイサービス評価表」を作成 想定される自己評価の流れ ① 保護者へのアンケート調査 ② 事業所職員による自己評価 ③ 事業所全体としての自己評価 ④ 自己評価結果の公表 ⑤ 保護者のアンケート調査結果のフィードバック
児童福祉法等の改正による教育と福祉の連携の一層の推進について(概要) (平成24年4月18日付厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課連名通知) ◆ 趣旨 学校と障害児通所支援を提供する事業所や障害児入所施設、居宅サービスを提供する事業所(以下「障害児通所支援事業所等」という。)が緊密な連携を図るとともに、学校等で作成する個別の教育支援計画及び個別の指導計画(以下「個別の教育支援計画等」という。)と障害児相談支援事業所で作成する障害児支援利用計画及び障害児通所支援事業所等で作成する個別支援計画(以下「障害児支援利用計画等」という。)が、個人情報に留意しつつ連携していくことが望ましい。 ◆ 留意事項 1 相談支援 障害児支援利用計画等の作成を担当する相談支援事業所と個別の教育支援計画等の作成を担当する学校等が密接に連絡調整を行い、就学前の福祉サービス利用から就学への移行、学齢期に利用する福祉サービスとの連携、さらには学校卒業に当たって地域生活に向けた福祉サービス利用への移行が円滑に進むよう、保護者の了解を得つつ、特段の配慮をお願いする。 2 障害児支援の強化 (1) 保育所等訪問支援の創設 このサービスが効果的に行われるためには、保育所等訪問支援の訪問先施設の理解と協力が不可欠であり、該当する障害児の状況の把握や支援方法等について、訪問先施設と保育所等訪問支援事業所、保護者との間で情報共有するとともに、十分調整した上で、必要な対応がなされるよう配慮をお願いする。 (2) 個別支援計画の作成 障害児通所支援事業所等の児童発達支援管理責任者と教員等が連携し、障害児通所支援等における個別支援計画と学校における個別の教育支援計画等との連携を保護者の了解を得つつ確保し、相乗的な効果が得られるよう、必要な配慮をお願いする。
障害児に対する支援に係る教育機関との連携について 事務連絡 平成2 5 年1 0 月1 8 日 各 障害児支援担当課 御中 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課 障害児・発達障害者支援室障害児支援係 障害児に対する支援に係る教育機関との連携について 平素より、障害保健福祉行政の推進に、格段の御高配を賜り厚く御礼を申し上げます。 10月4日付で各都道府県・指定都市教育委員会委員長、都道府県知事等宛てに、文部科学省 初等中等教育局長通知「障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について」が 通知されております。 また、同省のホームページでは「教育支援資料~障害のある子供の就学手続と早期からの一貫 した支援の充実~」が公表されております。これらの資料は、主に障害児の就学手続等について 記載されておりますが、福祉などとの連携について、その重要性に触れられている部分も多く記載 されております。 つきましては、貴都道府県市の障害児支援担当課におかれましても、これらの内容についてご 了知いただき、教育部局と連携をしながら障害児支援の施策をさらに進めていただきますよう、よろ しくお願いいたします。 また、各都道府県におかれましては、貴管内市町村の障害児支援担当課にも周知いただきます ようご配慮願います。 <参考:教育支援資料掲載ページ(文部科学省)> http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1340250.htm 添付資料(以下略) 都道府県 指定都市 児童相談所設置市
発達障害者支援法のねらいと概要 Ⅰ ね ら い Ⅱ 概 要 ○発達障害の定義と発達障害への理解の促進 ※平成16年12月 超党派による議員立法により成立 17年 4月 施行 22年12月 発達障害が障害者自立支援法に明確化 Ⅰ ね ら い ○発達障害の定義と発達障害への理解の促進 ○発達障害者に対する生活全般にわたる支援の促進 ○発達障害者支援を担当する部局相互の緊密な連携の確保 Ⅱ 概 要 定義:発達障害=自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、 注意欠陥多動性障害などの脳機能の障害で、通常低年齢で発現する障害 就学前(乳幼児期) 就学中(学童期等) 就学後(青壮年期) ○早期の発達支援 ○乳幼児健診等に よる早期発見 ○就学時健康診断における発見 ○適切な教育的支援・支援体制の 整備 ○放課後児童健全育成事業の利用 ○専門的発達支援 ○発達障害者の特性に応じた 適切な就労の機会の確保 ○地域での生活支援 ○発達障害者の権利擁護 【都道府県】 発達障害者支援センター(相談支援・情報提供等)、専門的な医療機関の確保 等 【国】専門的知識を有する人材確保(研修等)、調査研究 等
巡回支援専門員整備事業 地域生活支援事業において実施 発達障害等に関する知識を有する専門員(※1)が、保育所等の子どもやその親が集まる施設・場を巡回し、施設のスタッフや親に対し、障害の早期発見・早期対応のための助言等の支援(※2)を行う。 ※1 「発達障害等に関する知識を有する専門員」 ・医師、児童指導員、保育士、臨床心理技術者、作業療法士、言語聴覚士等で発達障害に関する知識を有する者 ・障害児施設等において発達障害児の支援に現に携わっている者 ・学校教育法に基づく大学において、児童福祉、社会福祉、児童学、心理学、教育学、社会学を専修する学科又は これに相当する課程を修めて卒業した者であって、発達障害に関する知識・経験を有する者 (専門性の確保) 専門員は、国立障害者リハビリテーションセンター学院で実施している発達障害に関する研修や地域の発達障害者支援センター等が実施する 研修等を受講し、適切な専門性の確保を図る。 ※2 「障害の早期発見・早期対応のための助言等の支援」の例 ・親に対する助言・相談支援 ・児童相談所や発達障害者支援センター等の専門機関へのつなぎ ・M-CHATやPARS等のアセスメントを実施する際の助言 ・ペアレントトレーニング(ペアレントプログラム)の実施 ・ペアレントメンターについての情報提供 【市町村】 教 育 保 健 医 療 福 祉 保育所 児童館 つどいの広場 1歳6ヶ月 3歳児健診 幼稚園 巡回相談
普及啓発(関係機関、民間団体等への研修) 発達障害者支援センター運営事業 地域生活支援事業において実施 厚生労働省 補助 都道府県・指定都市 障害者総合支援法第78条に規定される 都道府県地域生活支援事業のうち、 「専門性の高い相談支援事業」として実施 直接実施又は委託(社会福祉法人等) ※医療法人,地方独立行政法人も可 ・相談支援(来所、訪問、電話等による相談) ・発達支援(個別支援計画の作成・実施等) ・就労支援(就労に向けての相談等) ※対象:発達障害児(者)のみ 発達障害者支援センター (67都道府県、政令市で設置) 発達障害児(者) ・家族 支援 連携 ・調整会議や機関コンサルテーション ・発達障害者支援センター連絡協議会の開催 ・障害者総合福祉法第89条協議会への参加 関係機関 児童相談所、知的障害者更生相談所、福祉事務所、 保健所、精神保健福祉センター、医療機関 障害児(者)地域療育等支援事業実施施設、 児童発達支援センター、障害児入所施設、 教育委員会、学校、幼稚園、保育所、 公共職業安定所、地域障害者職業センター、 障害者就業・生活支援センター等 (体制) ・管理責任者 ・相談支援担当職員 ・発達支援担当職員 ・就労支援担当職員 研修(関係機関、民間団体等への研修) 都道府県が別途配置する 「発達障害者地域支援マネジャー」と緊密に連携する 普及啓発(関係機関、民間団体等への研修) 地域住民
・ペアレント・メンター・コーディネーターの配置 発達障害者支援体制整備 地域生活支援事業において実施 乳幼児期から成人期における各ライフステージに対応する一貫した支援を行うため、関係機関等によるネットワークを構築するとともに、ペアレント・メンター・ペアレントトレーニング・ソーシャルスキルトレーニングの導入による家族支援体制の整備や、発達障害特有のアセスメントツールの導入を促進するための研修会を実施する。 また、市町村・事業所等支援、医療機関との連携や困難ケースへの対応を行うための「発達障害者地域支援マネジャー」を配置し、地域の中核である発達障害者支援センターの地域支援機能の強化を図る。 【都道府県・指定都市】 文部科学省 特別支援教育関連事業 ●家族支援等 ●検討委員会 (県内の状況把握や、ペアレント・メンターの養成等 の支援体制の充実に向けて検討) 連携 ●発達障害者地域支援マネジャーの配置 (平成26年度~市町村・事業所等支援、医療機関との連携 及び困難ケースへの対応等の地域支援機能強化) ・ペアレント・トレーニング (家族の対応力向上:平成26年度~) ・ソーシャル・スキル・トレーニング (当事者の適応力向上:平成26年度~) 連携 ・ペアレント・メンターの養成 ・ペアレント・メンター・コーディネーターの配置 (平成23年度~) ●調査・評価 (市町村の支援体制の状況調査・評価) ●発達障害特有のアセスメントツール の導入促進 (M-CHAT・PARS ・Vineland-Ⅱ等の導入を促進する 研修の実施) 連携 助言・指導等 助言・指導等 【市町村】 保健 労働 その他 教育 福祉 医療 関係機関等のネットワークの構築 医療機関等 支援 ◆早期発見・早期発達支援体制の構築(巡回による支援) ◆個別支援ファイルの作成(アセスメントツールの導入) ◆ペアレント・メンター等の活用による家族支援 等 発達障害者 支援センター
発達障害者支援センターの地域支援機能強化 発達障害者支援センターの地域支援機能強化 地域生活支援事業において実施 発達障害については、支援のためのノウハウの普及が十分に行われていないため、各地域における支援体制の確立が喫緊の課題となっていることから、市町村・事業所等支援、医療機関との連携や困難ケースへの対応等について、地域の中核である発達障害者支援センターの地域支援機能の強化を図り、支援体制を整備する。 発達障害者支援センター (地活事業) 職員配置:4名程度 (課題) 中核機関としてセンターに求められる市町村・事業所等の バックアップや困難事例への対応等が、センターへの直接 の相談の増加等により十分に発揮されていない。 ●相談支援(来所、訪問、電話等による相談) ●発達支援(個別支援計画の作成・実施等) ●就労支援(発達障害児(者)への就労相談)●その他研修、普及啓発、機関支援 都道府県等 発達障害者支援体制整備(地活事業) 地域支援機能の強化へ ●発達障害者支援体制整備検討委員会 ●市町村・関係機関及び関係施設への研修 ●アセスメントツールの導入促進 ●ペアレントメンター(コーディネータ) 地域支援体制マネジメントチーム 発達障害者地域支援マネジャーの配置:6名程度 ・原則として、センターの事業として実施 ・地域の実情に応じ、その他機関等に委託可 市町村 医療機関 体制整備支援(2名) 事業所等 困難ケース支援(2名) 医療機関との連携(2名) 困難事例の対応能力の向上 全年代を対象とした支援体制の構築 身近な地域で発達障害に関する 適切な医療の提供 (求められる市町村の取組) (求められる事業所等の取組) ①アセスメントツールの導入 ②個別支援ファイルの活用・普及 (求められる医療機関の取組) 対応困難ケースを含めた 支援を的確に実施 ①専門的な診断評価 ②行動障害等の入院治療
児童発達支援センター等の機能強化等(平成25年度~) 児童発達支援センター等の機能強化等(平成25年度~) 1 事業目的 地域における障害児等支援の基盤整備を進めるには、地域の障害児等支援の拠点を整備する必要があるため、児童発達支援センター等について、安定的な事業運営を図りつつ事業内容の改善を行うことによる機能強化等を進めるほか、障害福祉サービス事業所等による地域住民の相談等の対応及び啓発等を図る。 2 事業内容 ○ 都道府県等の計画的な指導の下、個々の児童発達支援センター等の特徴に応じて、多障害等対応や早期かつ専門的な対 応といった機能強化を推進するほか、地域に開かれた事業所運営を促進するため相談や助言等を実施するための体制整備、 介助や就労訓練体験を通した地域交流会の開催等を実施する。 ○ また、基本事業に加え、地域の障害児等支援の取組の充実を図る事業や障害が疑われる児童をサービスに繋げるための事業を実施し、多様な地域支援を推進する。 基本事業 選択事業(基本事業とあわせて実施) ① 多障害等対応地域支援 様々な障害の種別や障害の特性に対応した専門的かつ適切な支援等を実施できるよう体制整備を図り、また、支援困難事例に対応できるようにするための人材養成等(研修、マニュアル作成、関係機関のネットワーク構築等)に取り組む。 ② 早期専門対応地域支援 障害の早期発見・支援に取り組むため、従事職員の専門性向上のための研修実施や従事職員の指導を行う専門職員を配置することにより、支援技術等の向上を図るための指導体制を確保する。 ③ 住民相談等対応地域支援 地域に開かれた事業所運営を促進するため、相談や助言等 を実施するための体制整備、介助や就労訓練の体験を通じた 地域交流会の開催、障害者が作成した商品の展示会等の開 催を通じた地域住民の啓発等を目的とした事業を実施する。 ① 地域の障害児等支援の取組の充実を図る事業 (例) ・夏休み等の活動の場づくり(文化芸術活動、(文化芸術活動、 スポーツ・レクリエーション活動の実施等) ・学校入学前の障害児に対する集団適応ための指導・訓練の 実施 ・障害児の親に対する療育指導等の実施 ・乳幼児期からの早期療育や各ライフステージ毎に必要な支援 の連携した提供 等 ② 障害が疑われる児童をサービスに繋げるための事業 (例) ・産後の母親に対する相談等支援の実施 ・親子体験通園等の実施 ・障害児通所支援の専門性を活かし、母子保健事業や保育所 等の従業者を対象とした障害児支援に関する研修の実施 等 3 実施主体 都道府県、指定都市、中核市
○ 概要: 障害児を入所させて、適切な医療及び日常生活の指導等を提供 重症心身障害児者に対する支援 ● 重症心身障害とは 「重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複」(児童福祉法第7条第2項)し、発達期に発症し、医療的ケアの必要な児者。 ◇重症心身障害児者の推計値は、全国でおよそ43,000人。(うち、入所14,000人 在宅29,000人) ※ 岡田喜篤氏(元川崎医療福祉大学学長)の推計(2012年4月1日現在)。 ○ 重症心身障害施策の目的 生命を守り、ひとりひとりのライフステージに応じた支援の提供 施設における支援 (障害児(原則として18歳未満)の場合) ◆ 障害児入所支援(医療型)(児童福祉法) ○ 概要: 障害児を入所させて、適切な医療及び日常生活の指導等を提供 ○ 実施機関: 医療型障害児入所施設、指定発達支援医療機関 ・医療型障害児入所施設: H24.4児童福祉法改正により障害種別を一元化し、重症心身障害児施設等を再編・統 合した施設(都道府県が指定する病院) ・指定発達支援医療機関:国が指定する国立病院に重症児病棟を設置 (障害者(18歳以上)の場合) ◆ 療養介護(障害者総合支援法) ○ 概要: 著しく重度の18歳以上の障害者に対し、適切な医療及び常時の介護を提供 重症心身障害児施設等に入所する重症心身障害者や筋ジストロフィー患者等を対象 ○ 実施機関: 都道府県の指定を受けた病院
○ 訪問看護等(医療保険)、居宅介護等(障害者総合支援法) ◆ その他 ○ 介護職員等によるたんの吸引等の医療的ケアの実施 在宅における支援 ◆ 通所系サービス (障害児(原則として18歳未満)の場合) ○ 児童発達支援事業等(児童福祉法) ・重症心身障害児(者)通園事業(H1.4~補助事業として開始) ・児童福祉法への法定化(義務的経費化)、障害種別の一元化により重症児に対応できる事業所の拡大 ・療養通所介護事業所(介護保険)において重症児の受入れ(H24.4~) (障害者(18歳以上)の場合) ○ 生活介護等(障害者総合支援法) ◆ 短期入所 ○ 短期入所(障害者総合支援法) ・医療型短期入所の報酬単価の増額及び日帰り型の創設(H21.4~) ・医療ニーズの高い児者に対する特別重度支援加算を設定(H24.4~) ・緊急短期入所受入加算を増額(H27.4~) ◆ 訪問系サービス ○ 訪問看護等(医療保険)、居宅介護等(障害者総合支援法) ◆ その他 ○ 介護職員等によるたんの吸引等の医療的ケアの実施 ・H24.4~ 社会福祉士及び介護福祉士法の改正
主に重症心身障害児を通わせる児童発達支援の事業等を療養通所介護 事業所において実施する場合の取扱い(概要) ◆ 趣旨 (平成24年4月3日付厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課、老健局老人保健課連名事務連絡) 介護保険法令に基づく療養通所介護事業所において、主に重症心身障害児・者を通わせる児童発達支援等を実施する場合の指定基準の取扱いを明確にし、医療的ニーズの高い重症心身障害児・者の地域での受入を促進し、QOLの向上及び介護者等のレスパイトを推進する。 ◆ 指定基準の概要 療養通所介護 (介護保険法) 主に重症心身障害児・者を通わせる児童発達支援等 主に重症心身障害児を通わせる 児童発達支援・放課後等デイサービス 主に重症心身障害者を通わせる 生活介護事業 定員 9名以下 5名以上(左記の定員のうち上記定員を設定可) 人員配置 管理者 管理者1名 (看護師兼務可) 1名 (左記との兼務可) 嘱託医 - 1名 (特に要件なし) 従業者 看護師又は介護職員 (利用人数に応じて 1.5:1を配置) 児童指導員又は保育士1名以上 看護師1名以上 機能訓練担当職員1名以上 ※提供時間帯を通じて配置。 生活支援員 看護職員 理学療法士又は作業療法士(実施する場合) ※上記職員の総数は障害程度区分毎に規定。 支援管理責任者 児童発達支援管理責任者1名 (管理者との兼務可。専任加算あり) サービス管理責任者1名 (管理者及び左記との兼務可) 設備 専用部屋 (6.4㎡/人) 必要な設備(兼用可) 指導訓練室の他、必要な設備 (左記と兼用可) ※主に、重症心身障害児・者を通わせる場合、児童発達支援及び放課後等デイサービス、生活介護を一体的に運営することが可能。 ※主に、重症心身障害児・者を通わせる場合、療養通所介護事業の人員基準に規定のない「児童指導員又は保育士」と「児童発達支援 管理責任者」又は「サービス管理責任者」の配置が必要。
人工呼吸管理を必要として1年以内に退院した児の退院先 ○自宅へ退院する児が80%であった。 退院時に必要とした医療的ケア 平成22年度「重症新生児に対する療養・療育環境の拡充に関する総合研究」
重症心身障害児者の地域生活モデル事業の概要 ○ 重症心身障害児者及びその家族が地域で安心・安全に生活できるようにするため、医療型障害児入所施設等を中核として関係する分野との協働による支援体制を構築すること等による総合的な地域生活支援の実現を目指し、モデル事業を実施。 ○ 平成24年度から平成26年度に採択された14団体が取り組んだ実例の報告をもとに、重症心身障害児者の地域生活を支援する体制をつくる上で特に留意すべき点をまとめると以下の通りである。 現状等の共有 幅広い分野にわたる協働体制の構築 具体的な支援の取組:好事例集 ① 地域の現状と課題の 把握 ・地域の重症心身障害児者の実 情を把握 ・利用できる地域資源の把握 ・地域の資源マップの作成 ➜ 課題の明確化 ② 協議の場の設定 ・目的に沿って有効な支援を図ることができる 構成員を選定〈当事者、行政、医療、福祉、 教育等関係機関等〉 ・検討内容は、実情把握、地域資源の評価、 必要な支援体制の構築、運営、評価、改善 ・多様な形態(障害者総合支援法に基づく協議 会の専門部会、ショートステイ連絡協議等) 重症心身障害児者や家族等に対する支援 ・「アセスメント」「計画支援」「モニタリング」 ★ツール1 ・保護者の学びの場の提供〈家族介護教室等〉 ・重症心身障害児者のきょうだい支援〈きょうだいキャンプ〉 ・家族のレスパイト支援〈ショートステイ〉 ・重症心身障害児者のケアホーム利用 ・地域の既存資源の再資源化 ・中山間地域の支援〈ICTの活用、巡回相談〉 ・ライフステージに応じた支援 ★ツール2 ・病院からの退院支援 ★ツール3 <退院後の生活に関する病院と家族の意識の違いを埋める> ・病院退院後のニーズと支援<退院後の訪問看護等ニーズに対応> ・医療機関に対する医療型短期入所の新規開設支援 ・併行保育に向けた支援 ★ツール4 ③ コーディネートする者の配置 ・福祉と医療に知見のある者を配置(相談支援 専門員と看護師がペアを組む、相談支援専門 員に看護師を置く等) 〈平成24年度〉 ・北海道療育園 ・下志津病院 ・全国重症心身障害児(者) を守る会 ・甲山福祉センター ・久留米市介護福祉サービス 事業者協議会 〈平成25年度〉 ・びわこ学園障害者支援セン ター ・大阪発達総合療育センター フェニックス ・重症児・者福祉医療施設 鈴が峰 ・南愛媛療育センター ④ 協働体制を強化する工夫 ・支援の届かない地域の施設等との相互交換 研修や出前研修の実施〈実技研修が有効〉 ・地域の相談支援事業所の後方支援〈相談支 援専門員等に向けたセミナーの開催、調査 等〉 支援ツールの例 ★1『重症心身障害児者のアセスメントシート』 ★2『重症心身障害児者のライフサイクル別検討シート』 ★3『NICUから地域移行に向けての支援ガイド』 ★4『重症心身障害児の並行保育に向けたガイドライン』 (★1~3は平成24年度、★4は平成26年度の報告書に掲載) ⑤ 地域住民への啓発 ・重症心身障害児者の生活を知ってもらうた めに、講演会やドキュメンタリー映画の上 映会の開催 ・重症心身障害児者や家族のエンパワメント を視野に入れたイベントの開催 〈平成26年度〉 ・ 南京都病院 ・ あきやまケアルーム ・ 長良医療センター ・ 浜松市発達医療総合福祉センター ・ あすか山訪問看護ステーション
児童虐待相談の対応件数及び虐待による死亡事例件数の推移 ○ 全国の児童相談所での児童虐待に関する相談対応件数は、児童虐待防止法施行前の平成11年度に比べ、 平成25年度は6.3倍に増加。 ※ 平成22年度は、東日本大震災の影響により、福島県を除いて集計した数値 ○ 児童虐待によって子どもが死亡した件数は、高い水準で推移。 ※ 第1次報告から第10次報告までの「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」より
児童福祉法第28条(家裁の承認を得て行う施設入所措置)及び 第33条の7(家裁に対して児童相談所長が行う親権喪失等請求)の件数 ○ 平成25年度の28条(家裁の承認を得て行う施設入所措置)に基づく請求件数は318件、承認件数は277件 である。 ○ 平成24年度から、33条の7により、親権喪失に加え、親権停止、管理権喪失宣告の請求が可能となった。 28条による施設入所措置の承認申立請求件数及び承認件数 ※平成22年度は、東日本大震災の影響により、福島県を除いて集計した数値
「民法等の一部を改正する法律」の施行等について 改正の趣旨等 児童虐待の防止等を図り、児童の権利利益を擁護する観点から、親権の停止制度を新設し、法人又は複数の未成年後見人の選任を認める等の改正を行うとともに、関連する規定について所要の整備を行うもの。 【平成23年6月3日 公布(一部施行) / 平成24年4月1日 施行】 1.親権と親権制限の制度の見直し ○ 子の利益の観点の明確化等 (改正後) 【民法関係】 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。 親権を行う者は、子の利益のために行われる子の監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。 離婚後の子の監護に関する事項として親子の面会交流等を明示。 (現行) 親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。 親権を行う者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒し、又は家庭裁判所の許可を得て、これを懲戒場に入れることができる。 親子の面会交流等についての明文規定がない。 ○ 親権停止制度の創設 (改正後) 【民法関係】 家庭裁判所は、「父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するとき」に2年以内の期間を定めて親権停止の審判をすることができる。 (現行) あらかじめ期限を定めて親権を制限する制度はない。 ○ 親権喪失・管理権喪失原因の見直し (改正後) 【民法関係】 家庭裁判所は、「父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するとき」に親権喪失の審判をすることができる。 家庭裁判所は、「父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するとき」に管理権喪失の審判をすることができる。 (現行) 家庭裁判所は、 「父又は母が、親権を濫用し、又は著しく不行跡であるとき」に親権喪失の宣告をすることができる。 家庭裁判所は、「父又は母が,管理が失当であったことによってその子の財産を危うくしたとき」に管理権喪失の宣告をすることができる。 ○ 親権喪失等の請求権者の見直し (現行) 子の親族及び検察官が、親権の喪失等について、家庭裁判所への請求権を有する。 (改正後) 【民法関係】 子の親族及び検察官のほか、子、未成年後見人及び未成年後見監督人も、親権の喪失等について、家庭裁判所への請求権を有する。 (現行) 児童相談所長は、親権喪失についてのみ、家庭裁判所への請求権を有する。 (改正後) 【児童福祉法関係】 児童相談所長は、親権喪失、親権停止及び管理権喪失の審判並びにこれらの審判の取消しについて、家庭裁判所への請求権を有する。
(4)児童発達支援管理責任者の役割 発達状況、心理状態を踏まえた上で、的確にニーズを把握する。 アセスメント全体を把握した上で、最終ゴールを想定することが重要。 情報が少ない場合こそ、あらゆる可能性を視野に入れることが重要。 障害のある子どもや家族が、まだ具体化できていないニーズを推測する。(真の ニーズを把握することが重要。) 利用者の真のニーズを含めた個別支援計画を策定し、支援プロセスの全体を 管理する。 個別支援計画の策定に当たっては、訓練担当職員、保育士等のチームで取り 組むよう、支援会議を開催し意見調整の上、方針の統一を図る。 地域の社会資源を理解し関係機関と連携調整を行う。 以上の支援全般に渡って、児童の支援に従事する職員に対し、適宜、指導・助 言を行う。
一般社団法人 全国児童発達支援協議会(CDS JAPAN) 2. 児童発達支援管理責任者に 求められるサービス提供の基本姿勢 うめだ・あけぼの学園 一般社団法人 全国児童発達支援協議会(CDS JAPAN) 加藤 正仁
1:「発達支援」を考えるとき 幽霊の正体見たり枯れ尾花 ② 闇夜に海図も気象予報図もなく船を漕ぐな! →frameを持たないところでは幽霊・お化けが多くなる→臆病・不安・苛立ち ② 闇夜に海図も気象予報図もなく船を漕ぐな! →様々な文脈の中での課題を受け止めるには支援者自身が多彩な文脈を持っている ことが必要 ③ 法や制度や意識の狭間に置かれている気になる子どもたち →Minorityの極みか ④ Supermanはいない。誰もがGradationの中に生きている。 →障害観の変更 ⑤ 学際的なティームアプローチの重要性 →課題の多様性と支援者の限界性
personal・social・normal NORMALIZATION personal・social・normal
Nothing about us without us! “Nothing about us without us”(私たち抜きに私たちのことを決めるな) は、「障害者の権利に関する条約(仮称)(Convention on the Rights of Persons with Disabilities)」(以下「障害者権利条約」という。)策定の過程において、すべての障害者の共通の思いを示すものとして使用された。これは、障害者が一般社会から保護される無力な存在とされ、自分の人生を自らが選択し、自らが決定することが許されなかった障害者の共通の経験を背景としている。そして、一般社会による保護的支配からの脱却と普通の市民としての権利を持つ人間であることを強く訴えるものであった。
Nobody's Perfect
● 生物多様性(biological diversity) ● 他者と違っていい ● あるがままが美しい ● 自己実現 ● Identity ● 自尊感情(Self Esteem)
2:子どもの育ち環境の今 ●育ちは社会の変化と無縁ではあり得ない ●社会の歪みは弱者に向かう 2:子どもの育ち環境の今 ●育ちは社会の変化と無縁ではあり得ない ●社会の歪みは弱者に向かう →核家族化と孤立化 →少子化による子育て未経験親や育児不安 →家族のストレス →共稼ぎ家族 →離婚・シングル親 →国籍(多文化) →価値観の多様化 →子育て資源の多様化 →子育て情報の氾濫と錯綜 →代償療法の跋扈 →社会規範の脆弱化 →家庭教育・社会教育・学校教育のバランス崩壊 etc.
児童虐待相談の対応件数及び虐待による死亡事例件数の推移 ○ 全国の児童相談所での児童虐待に関する相談対応件数は、児童虐待防止法施行前の平成11年度に 比べ、平成25年度は6.3倍に増加。 ※ 平成22年度は、東日本大震災の影響により、福島県を除いて集計した数値 ○ 児童虐待によって子どもが死亡した件数は、高い水準で推移。 57 ※ 第1次報告から第10次報告までの「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」より
3:「発達支援」が始まった経緯 1993年:当時の厚生省中央児童福祉審議会心身障害児(者)関係合同部会での施設一元化議論を契機に「三種別通園療育懇話会/知的障害児通園施設・肢体不自由児通園施設・難聴幼児通園施設」が立ち上がった。 1996年1月7日:「発達支援センター」全国整備計画案として厚生省児童家庭局障害福祉課長に提出された。
4:「発達支援」とは何をすること 2008年7月10日の第一回「障害児支援の見直しに関する検討会」で公益財団法人日本知的障害者福祉協会発達支援部会として示したのが「リンゴ樹」と「重層的発達支援センター機能図」である。
5:「発達支援」の今日的な課題 子どもの発達支援と保護者の就労支援が二律背反的に混在している。 インクルージョンとの相反、逆差別が起きている。 各種連携活動のskill不足 →異質なものとの出会いによる様々な気づきの中で、人間として、職業プロとし て築きあう。 →Staff間での等価性の確保 ④ 地域の(自立支援)協議会・子ども部会の形骸化→行政説明の場になっている。 ⑤ 子ども・子育て支援会議と気になる子供の非連続実態 ⑥ 同一給付によるサービス内容の質や量の格差が拡大中 ⑦ ハード、ソフト両面でのハードルの低さによる支援サービスの質の低下 ⑧ 人材養成の緊急性とその困難さ/定着率・利潤優先・基礎知識の欠落 etc.
地域における「縦横連携」のイメージ 「気づきの段階」からの支援 参考資料2 地域における「縦横連携」のイメージ 関係者間の共通理解・情報共有 → 途切れない支援の調整 本人 (家族) 本人 (家族) 本人 (家族) 計画相談 支援 医療 就労 支援 地域保健 障害福祉 職場・地域生活 成年期 卒業 障害児 相談支援 本人 ・ 家族 社会的 養 護 医療 障害児 支 援 学校保健 後方支援 学校等 学齢期 入学 本人 ・ 家族 障害児 相談支援 社会的 養 護 医療 障害児 支 援 母子保健 保育所等 後方支援 乳幼児期 「気づきの段階」からの支援
6:「発達支援」のこれから Passion(献身・自己犠牲)をもって自らのMissionを果たす。損得ではなく支援ニーズに気づいてしまったからには向き合う義務がある。 己の成長なくして、人の成長を願うことは難しい。人間として、プロとしての限りない向上を目指す。現状維持は堕落である。→人材養成が喫緊の課題 官制「発達支援指針」の作成 →納税者に対して事業内容についての説明責任があるのではないか →「幼稚園教育要領」、「保育所保育指針」がそれぞれの文部科学省、厚生労働省から出されているのに、「発達支援」分野にもあるべきではないのか。
(参考資料)
機能的・効果的な組織になるために サービスのmanagement 時間のmanagement Systemのmanagement Risk のmanagement
Passion と Mission ○Passion =intense emotion =strong feeling =受難・殉教 =受難・殉教 ○Mission =伝道 =使命・天職 =派遣
こども発達さぽーとセンター るぽろ 嘉ノ海 令子 3.支援提供の基本姿勢 こども発達さぽーとセンター るぽろ 嘉ノ海 令子
障害児支援の役割とは インクルーシブ社会の実現 支援対象 特別なニーズをもつ子ども 地域社会 ともに育つ ともに学ぶ ともに生きる 【障害児支援の在り方に関する検討会報告書】 支援対象 特別なニーズをもつ子ども 地域社会 一人の子どもとして ともに育つ ともに学ぶ ともに生きる 一市民として インクルーシブ社会の実現 基本理念
ともに育つ ともに学ぶ 障害児入所支援 児童発達支援 放課後等デイ サービス ともに生きる 保育所等訪問支援 地域資源との連携 相 談 育児支援 家族支援 福祉支援 障害児入所支援 児童発達支援 発達支援 医療的支援 自立支援 保育所等訪問支援 放課後等デイ サービス 訪問巡回 地域資源との連携 育ちの場における 児への支援 スタッフへの支援 ともに育つ ともに学ぶ ともに生きる 地域の中での受け入れをバックアップ する後方支援として専門的な役割を担う 体制 づくり 保育所、幼稚園 学 校 放課後児童クラブ ◆特別なニーズへの具体的な手立て ◆環境(物的、人的、形態等)への支援 ◆障害に関する知識、技術等支援スキル
支援提供の基本的姿勢 ①中核的機能は将来の自立に向けた発達支援 ②親・家族を含めたトータルな支援 ③子どものライフステージに応じた一貫した支援 ④身近な地域における支援 ⑤集団活動と個別プログラムの効果的な組み合わ せによる支援
①児童期支援の中核的機能は 将来の自立に向けた発達支援 将来の自立に向けた発達支援 障害児通所支援、入所支援の中核的機能は、子どもへの発達支援とし、将来の自立に向け個々の状態や年齢に応じて必要な支援を提供する。 発達課題のある児童に対して、できるだけ早期の段階から将来を見通した継続的な発達支援を行うことを中核的機能とする。 より身近な地域で必要な時期に必要な(専門的な)支援が提供できるよう質を確保する。
乳幼児期 自 立 へ の 道 筋 学齢期 成人期 発達を促す関わり 基本的信頼感 自尊感情の育ち 自律の芽生え 自律 意思決定への参加 自 立 へ の 道 筋 基本的信頼感 自尊感情の育ち 自律の芽生え 学齢期 自律 意思決定への参加 自主性の育ち 役割の自覚と責任意識 の育成 自己決定に基づいた 成功体験 自己肯定感の育成 自己概念の形成 社会の一員として活動 成人期 自己実現 自立
②親・家族を含めたトータルな支援 子どもの適切な発達環境を整えるために、親・家族支援を大きな柱とする。 子どもの発達課題や障害特性への理解を深め、具体的な手立てと見通しをもった取組みを通して、「障害受容」を支える。 子育て支援、子育ち支援、親子関係への支援、地域資源などとの連携・情報支援をトータルに行う。
③子どものライフステージに応じた 一貫した支援 一貫した支援 児童期支援の特殊性を考慮し、移行期に支援が途切れてしまわないように、一貫性、継続性のある支援を行う。(縦の連携) 保健・医療、福祉、保育、教育、就労支援等の関係者がチームとなって、子どものライフステージに添って必要な支援が提供できるようにする。(横の連携) 障害児相談支援が縦横をつなぐことによって、こどもの個別の支援の充実と地域の中での育ちを促す。
横の連携 縦の連携(切れ目のない支援) 個別の支援計画、サポートファイルの活用 乳幼児期 学 齢 期 移行期支援 成 人 期 就労支援等 幼稚園 ・ 保育所 学 齢 期 移行期支援 小学校 中学校 高 校 成 人 期 就労支援等 移行期支援 個別の支援計画、サポートファイルの活用
④身近な地域における支援 「気になる」段階から気軽に保護者からの相談に応じたり、子どもへの療育が提供できる場となる。 家族支援を含め個々の状況に応じた療育や発達への支援が、地域の支援システムづくりにつながることを意図して支援を提供する。 サービス担当者会議への参加等、より積極的な地域連携を心がけ、発達支援の地域拠点として機能発揮する。
地域の支援拠点としての機能 障害児入所支援 福祉型・医療型 相談支援 事業所 児童発達支援センター 広域カバー 施設支援 専門的機能 福祉型・医療型 児童発達支援センター 広域カバー 施設支援 専門的機能 セーフティネット 家族関係の再構築 短期入所(ミドルステイ) レスパイトなど 児童発達支援事業 身近な療育の場 市町村域カバー 乳幼児期の発達支援 相談支援 事業所 放課後等デイサービス 学齢期の発達支援 余暇的支援、創作活動・作業活動支援
⑤集団活動と個別プログラムの 効果的な組み合わせによる支援 集団活動と個別プログラムの効果的な組み合わせにより支援を提供する。 効果的な組み合わせによる支援 集団活動と個別プログラムの効果的な組み合わせにより支援を提供する。 子ども、親・家族との信頼関係をつくりながら、的確なアセスメントを行うことによって、集団活動と個別プログラムの効果的な組み合わせによる支援計画を作成する。 アセスメントは、チームアセスメント、エンパワメント、権利擁護の視点を加えることで、効率的、効果的な計画作成につながることが期待できる。
こども発達さぽーとセンター るぽろ 嘉ノ海 令子 4.支援提供のポイントとその評価 こども発達さぽーとセンター るぽろ 嘉ノ海 令子
支援提供のポイント (1)児童期支援の特殊性 (2)親・家族支援~障害受容を支える視点~ (3)「気になる段階」からの支援場所として (4)ライフステージを見通した発達支援 (5)アセスメントの重要性と 児童期特有のニーズについて
(1)児童期支援の特殊性 支援対象が0歳から18歳までと広い年齢幅 1 への対応 年齢によって関わる機関(スタッフ)の変動と 多様性 2 「気になる」段階と呼ばれる時期への対応 3 「ゼロ」へのサポート、「ゼロ」からのスタートを支援 4 子どもの自立に向けて「縦横連携」を意識した ネットワークづくり
1 支援対象が0歳から18歳までと広い年齢幅への対応 年齢によって関わる機関(スタッフ)の変動と多様性 乳幼児期 学齢期 (学齢後期) 保健所(保健センター)、医療機関 福祉事務所(家庭児童相談室) 児童相談所 保育所、幼稚園、児童館等 児童発達支援事業、児童発達支援センター 障害児入所施設、相談支援事業所 等 学齢期 小学校、中学校、高等学校、特別支援学校 福祉事務所、児童相談所 医療機関、療育機関、教育相談所、教育委員会 放課後等デイサービス、放課後児童クラブ 障害児入所施設、相談支援事業所 等 (学齢後期) 企業や障害福祉サービス等での実習、体験 地域障害者職業センター、ハローワーク 障害者就業・生活支援センター、相談支援事業所 等 卒後を見据 えた支援
「気になる」段階と呼ばれる時期への対応 2 育児不安を支える視点 「気になる」段階の子どもとは 軽度の発達遅滞はあっても知的障害のレベルではない 境界域知能(ボーダーライン)児 ② その時点で障害の診断が明確にできない児(ハイリスク 児や発達障害児を含む) ③ まだ診断・告知を受けていない児 ④ 客観的には障害が認められても、保護者がそのことを受 容できず申請に至らない児 将来的に支援が必要かどうか確定できない時期 障害の受容が充分にできない時期 子育て支援の立場での 専門的な支援の必要性 育児不安を支える視点
「ゼロ」へのサポート 「ゼロ」からのスタートを支援 親の考え方や姿勢によって、子どもの 環境は大きく変わる 育児放棄 育児不安 虐待 3 「ゼロ」からのスタートを支援 親の考え方や姿勢によって、子どもの 環境は大きく変わる ・子どもの発達に必要な療育機関など への通所やサービスの利用をしない ・子どもの障害を理解せずに、不適切 な関わりをする ・前向きな子育てができないなど、親 自身が精神的に不安定な状態になる 育児不安 育児放棄 虐待
育児面、医療面、療育面、心理面など 幅広い相談支援、情報理解のための支援 関わりの難しい子育てを 将来への見通しが 一生懸命している親・家族 もてず不安な気持ちを 抱えている親・家族 「ゼロ」へのサポート 子どもの発達や障害に関する知識・理解 福祉サービスに関する情報 「ゼロ」からのスタート 育児面、医療面、療育面、心理面など 幅広い相談支援、情報理解のための支援
「縦横連携」を意識したネットワークづくり 4 子どもの自立に向けて 「縦横連携」を意識したネットワークづくり 子どもの成長・発達とともに 個々がもつ発達課題、支援ニーズ変化 親・家族が抱える生活ニーズ変化 一機関だけでは支えきれない ライフステージを見通した一貫性・継続性のある支援 ◆移行期をどう繋いでいくかという視点 担任や学年が変わる小さな移行期 入園、入学、卒後などライフイベントと関連した大きな移行期 ◆「縦・横」のネットワークで個々のニーズに応じた支援を展開 するという視点
障害告知 親の心的危機 「障害告知」における支援 (2)親・家族支援~障害受容を支える視点~ 「思い描いていた健康な赤ちゃんを失う」 対象喪失経験 「なぜ自分の子どもが・・・」「何かの間違いだ」「子どもを育てる 自信がない」など 事実の否認、混乱、怒り、絶望感、哀しみ、拒否 不安などの心理的反応
障害受容とは 「わが子の障害の受容」と「障害のあるわが子の受容」 子どもの発達、成長とともに緩やかに子どもの姿を 受け止めていく 子どもへの発達支援の確実性、信頼性が受容過程を 側面的に支える 親の不安を受け止める、理解する 親の受容能力に合わせた具体的な助言
「障害受容」を支えるということ 障害告知 告知時期 関わるスタッフ の対応 告知の仕方 親・家族の心理的反応 育児への 子どもの障害理解 親への心理的 サポート 子どもの障害理解 への支援 育児への 具体的支援 子どもへの発達支援
(3)「気になる」段階からの支援場所として 親にとって身近で敷居の低い場所である。 障害の確定診断前からフォローできる場所 である。 発達支援のサービスを体験的に利用できる 場所である。 常にアクセスできるように、地域に事業内容など 情報発信している。
(4)ライフステージを通して発達を支援する それぞれのステージにおける早期発見・早期対応 将来の自立に向けて、学童期、思春期・青年期の発達支援の重要性 知的機能の水準 認知、行動の特性 学習の特性 興味や関心の対象 子どもの状況を把握 学校、教師との連携 学校での具体的な支援への対応 二次障害を防ぐ 自尊感情を高める 自分のよさに気づく 自己理解を深めるための支援
障害児入所支援 放課後等デイサービス 児童発達支援(通所支援) 地域における自立 自己肯定感・社会的行動の獲得
(5)アセスメントの重要性と 児童期特有のニーズについて 情報収集 【アセスメントの過程】 情報源・・相談者(親・家族)、関係者、相談者 児童期特有のニーズについて 【アセスメントの過程】 適切な情報選択 情報量・質の検討 正確性・事実性 信頼性・偏向性 偏見・先入観 子ども・親との面接 情報収集 情報源・・相談者(親・家族)、関係者、相談者 (家庭)の環境、子どもに関する記録 や資料 情報収集手段・・・面接、観察、記録・資料
収集した情報の吟味 情報の種類・・子どもの生活史(生育歴) 環境に関する情報 検討 情報の量・質が適切か 情報の正確性、事実性、信頼性を確認 環境に関する情報 検討 情報の量・質が適切か 情報の正確性、事実性、信頼性を確認 情報が偏っていないか 偏見や先入観によって歪められていないか 収集した情報の吟味
ニーズの確定 情報の分析統合 計画策定 情報の判断 相談者の意思や権利が尊重されているか 相談者の状況理解 ニーズ把握 問題(要因)の確認 相談者の状況理解 ニーズ把握 問題(要因)の確認 課題の整理 情報の分析統合 計画策定 目標、支援期間、 支援内容の設定 具体的な支援方法 の確認 情報の判断 相談者の意思や権利が尊重されているか
児童期特有のニーズについて 自ら言葉で意思表示できない乳幼児期は親・家族から発信されるニーズが前面に押し出されやすい。⇒第三者のニーズ 自ら言葉で意思表示できない乳幼児期は親・家族から発信されるニーズが前面に押し出されやすい。⇒第三者のニーズ 親・家族のニーズは子ども自身のニーズと相反することもある。 子どもの生活・子育て環境を整えるために、子育てに不安を抱える親支援からスタートするが、年齢が上がるにつれ子ども本人を中心にニーズを明確化していく。
親・家族から発信されるニーズ 子どもの発達の遅れを解消する 親の関心事 障害を治す、良くする 治療・訓練ニーズの顕在化 潜在的ニーズ 障害受容、育児に向う姿勢 夫婦、家族関係の葛藤、対立 緊張、母親の心理的葛藤など
親・家族のニーズ 子どものニーズ 子ども自身の特性 から生じるニーズ 親・家族の特性 から生じるニーズ 子育て環境から 生じるニーズ 子どもの生活環境 から生じるニーズ 障害受容、障害認知、育児不安 ⇒ 育児支援、親支援 療育、訓練、教育⇒発達支援
支援の評価 支援の評価はなぜ必要か? その1 発達評価や支援技法、個別支援計画の内容 など支援の質の向上及び専門的機能の提供 支援の評価はなぜ必要か? その1 発達評価や支援技法、個別支援計画の内容 など支援の質の向上及び専門的機能の提供 状況の評価と把握 親のストレスマネジメントについての対応による子育て不安の軽減や虐待予防等が図れ たか、子育て支援機能の提供状況の 評価と把握
支援の評価はなぜ必要か? その2 関係機関との連携状況の把握 保育所、学校等への療育的バック アップ機能の提供状況の把握 支援の評価はなぜ必要か? その2 関係機関との連携状況の把握 保育所、学校等への療育的バック アップ機能の提供状況の把握 事業所の活動による地域貢献度の把握
評価方法 利用者満足度調査の実施 (利用者向け、事業所向け) 職員自己評価の実施 第三者評価の実施 等
支援の評価基準 視点 評価の項目 評価の方法 質の高い 支援の提供 職員の質の向上 事業の推進 発達や療育の支援 家族支援 ①利用児童の発達度や家族の支援内容へ の満足度 ②要望・苦情解決の件数 ③支援の質の第三者評価の導入 質の高い 支援の提供 ①資格取得の促進(キャリアアップ)による有 資格者数 ②OJT、OFF、JTの実施件数 ③部内外研修、自主研修の実施件数(時間) 職員の質の向上 家族支援 事業の推進 ①利用児童数の増減 ②事業所、利用者と社会資源との関係図作成 ③他の関係機関、事業と連携した件数 (支援 会議)
発達や療育支援の視点による評価 家族支援の視点による評価 ・例えば、各種の発達検査による分析などを行い、児童の 発達の伸びを評価する ・児童の生活ぶりに対する家族の評価を把握する ・家族が行う事業者評価表(例えば、満足度評価、苦情処 理件数など)に発達支援の視点を加えたものを事業所で 作成し、そのチェック度を評価する ・関係機関の事業所に対する発達支援技量の評価を確認 する 家族支援の視点による評価 ・家族にとって生活のしやすさという実感が生まれ見通しが もてているか把握する ・家族、特に母親のストレスの予防マネジメントについて、 どのような対応が出来たか評価する ・家族と社会資源の結びつきがエコマップ上どのように拡が っているか確認する
5.アセスメントのポイント 江東区こども発達センター 光真坊 浩史
発達支援におけるアセスメント (評価・査定)の意義 発達支援におけるアセスメント (評価・査定)の意義 ☆アセスメントに基づいた支援の実施 現状・効果・変化を客観的に捉え、共有する 支援に向けた対象理解・解釈・仮説を行う 家族を含めた多様な関係者との共通理解を図る 多面的に情報を収集し評価する 各情報の関連性を捉える 全体像としての包括的なアセスメントを行う
アセスメントとは 「一つ一つの情報を自分なりに解釈し、それらを組み立て、生じている問題の成り立ち mechanism を構成し(まとめ上げ)、支援課題を抽出すること、あるいは、その人がどんな人で、どんな支援を必要としているのかを明らかにすること」 (近藤直司(2012):アセスメント技術を高めるハンドブック.明石書店)
アセスメントの視点 ☆こどもの発達の全体像の把握(要因間の関連性も) ①生物的な要因(生理・医学的側面) ①生物的な要因(生理・医学的側面) 発達及び障害の特性、生来的な気質、疾患(診断、病歴、神経・生理学的特徴、服薬等治療方針)など ②心理的な要因(心理・学習・教育的側面) 不安、葛藤、希望、自己イメージ、防衛機制など(認知発達、言語コミュニケーション、社会・情動発達、運動発達などの発達面を含む)、反応パターン等の行動特徴 ③社会的な要因(環境・社会・文化的側面) 対人関係(家族・支援者・仲間等)、関係機関のつながり、環境構成(家庭・学校等)、周囲の理解・かかわり(家族・学校・支援機関等)、周囲の期待・希望など
アセスメントのプロセス (2)アセスメント過程 (1)初回面接時の状況把握 (3)個別支援計画の作成 ①初期状態の把握 ②基本的ニーズの把握 (2)アセスメント過程 アセスメントのプロセス (1)初回面接時の状況把握 (3)個別支援計画の作成 ①初期状態の把握 ②基本的ニーズの把握 ③課題の整理 <情報の収集> <情報の整理> 120
①初期状態の把握 ☆発達状態や行動特性の総合的分析的把握 現在の様子の把握 ・情報収集 ・行動観察 ・環境観察(かかわり含む) ①初期状態の把握 ☆発達状態や行動特性の総合的分析的把握 現在の様子の把握 ・情報収集 ・行動観察 ・環境観察(かかわり含む) ・複数の標準化された検査の実施・評価 ・家庭での子どもの状況+家庭・家族の状況・意向 ・地域での子どもの状況+地域の状況・意向 ・関係機関のつながりと役割 ● これまでの経過(ストーリー) ・情報収集(○○歴等) ・過去のアセスメント記録
生育歴からの把握 ☆現在、顕在化していることが根元に何を抱えているのかを知る ☆その子ども、家族の育ちのストーリーとして読み解く <発達歴> 母親の妊娠中、出産時の状況 運動発達、対人関係、言語発達の状況と発達 <病歴・療育歴・教育歴・社会資源活用歴> 医学的な意味での配慮すべき内容の把握 療育、保育、教育機関等多様な社会資源活用の状況
現在の状況把握 ①観察・聴取 <行動観察や引継ぎ報告の情報収集> <家庭状況の情報収集> <他機関状況の情報収集> 現在の状況把握 ①観察・聴取 <行動観察や引継ぎ報告の情報収集> 自由場面、設定場面(療育・教育的場面)の観察 ⇒特性の理解(障害に照らしたその子の特性) 行動の理解(環境、特性や行動特徴、関わり・結果) 日常的な活動の流れの中で示すエピソード記録から 前年度、前担当者の報告書からの情報把握 <家庭状況の情報収集> 保護者への観察項目に添った状況の聴取 <他機関状況の情報収集> 関係機関のつながり(エコマップなど)、地域資源調査 直接聴取/間接聴取(保護者から、報告書で確認)
現在の状況把握 ②発達検査 ☆検査の目的を明確にし、必要な情報の内容を確定 ☆通過/不通過だけでなく、一部正答等の芽生え反応も把握 現在の状況把握 ②発達検査 ☆検査の目的を明確にし、必要な情報の内容を確定 ☆通過/不通過だけでなく、一部正答等の芽生え反応も把握 ☆実施において保護者の了解と理解を得、結果を報告する ☆個人情報管理、活用範囲を明確にする 【発達・知能検査の例】 新版K式発達検査、 田中ビネー知能検査V、 WPPSI、WISCーⅣ、 KーABC心理教育アセスメントバッテリー PEPーⅢ 遠城寺式乳幼児分析的発達検査 等 【言語・コミュニケーション検査の例】 LCスケール、 ITPA言語学習能力診断検査 【その他検査の例】 フロスティッグ視知覚発達検査 JPAN感覚処理・行為機能検査 新版S‐M社会生活能力検査 ADOS自閉症診断観察検査
家族機能・生育環境の把握 <家庭・家族の状況> 家族構成、家族の印象(父母、きょうだい、祖父母) 1日、1週間の生活リズム(起床、就寝、帰宅、休日) 家庭での不満(手伝い、生活空間、過干渉、生活費) 理想とする家族像 <園や学校等の関係機関での状況> 得意な事、不得意な事 頼りにしている人、苦手な人、仲間関係、異性関係 機関への不満(接し方、見方、評価、カリキュラム、時間) 理想とする機関像
②基本的ニーズの把握 ☆「発達支援」に即したニーズ把握 ☆「家族支援」に即したニーズ把握 ☆「地域支援」に即したニーズ把握 ②基本的ニーズの把握 ☆「発達支援」に即したニーズ把握 子ども本人の発達したいというニーズ ・生活習慣、社会技能等の自立課題の把握(できる/できない) ・運動や言語発達、認知特性の把握(得意/苦手)(強み/弱み) ・社会性・行動・情緒の発達課題の把握(未学習・誤学習) ・自分の希望(やりたいこと、好きなこと、将来の夢など) ☆「家族支援」に即したニーズ把握 家族の希望(どう育ってほしいか)、困りごと、不安など ・家庭内または外出時に困っていることの把握 ・子どもの特性に応じた家庭環境、子育て力等の把握 ☆「地域支援」に即したニーズ把握 地域生活を送る上での課題、関係機関の困りごとなど ・園や学校、他施設で困っていること ・連携や役割分担が必要な機関の把握
③課題の整理 ☆集められた初期状態の情報の評価 ☆本人や家族等の意向 ☆支援者が気になること ☆支援の課題の抽出 ☆将来の見通し ・発達支援/家族支援/地域支援毎に整理 ・生物学的/心理的/社会的視点で整理 ☆本人や家族等の意向 ・本人/家族/地域の各ニーズと相互関係の整理 ☆支援者が気になること ・課題、要因の理解・解釈・仮説としてまとめる ☆支援の課題の抽出 ・支援が必要なこと(育てたい、修正したい(環境含む)) ☆将来の見通し ・その支援をすることで、将来何が期待されるか
③課題の整理 ☆課題の整理で大切な視点 ⇒ アセスメントの要約を(100~200文字程度) *全体性と特異性の視点 *全体性と特異性の視点 *発達の順序性と特性の視点 *学習(誤学習と未学習)の視点 *得意・強み、苦手・弱さの視点 (苦手・弱さをリフレーミングすることで、支援の視点に気づくことがある:必ずしも悪いことではない、できている部分もある、活用できるいい部分がある・・・) (できている部分を伸ばす、活用する、発展させる) *多様な機関や職種の役割分担と協働の視点 ⇒ アセスメントの要約を(100~200文字程度)
6.発達障害の理解とその対応 江東区こども発達センター 光真坊 浩史
発達障害者支援法のねらいと概要 Ⅱ 概 要 Ⅰ ね ら い ○発達障害者に対する生活全般にわたる支援の促進 (経過) 昭和55年 知的障害児施設の種類として医療型自閉症児施設、福祉型自閉症児施設を制度化 平成 5年 強度行動障害者特別処遇事業の創設 平成14年 自閉症・発達障害者支援センター運営事業開始し広汎性発達障害者を対象とした地域支援の拠点を整備 平成16年12月 超党派による議員立法により発達障害者支援法が成立 → 平成17年 4月 施行 平成22年12月 発達障害が障害者に含まれるものであることを障害者自立支援法、児童福祉法において明確化 Ⅰ ね ら い ○発達障害の定義と発達障害への理解の促進 ○発達障害者に対する生活全般にわたる支援の促進 ○発達障害者支援を担当する部局相互の緊密な連携の確保 Ⅱ 概 要 定義:発達障害=自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、 注意欠陥多動性障害などの脳機能の障害で、通常低年齢で発現する障害 就学前(乳幼児期) 就学中(学童期等) 就学後(青壮年期) ○早期の発達支援 ○乳幼児健診等に よる早期発見 ○就学時健康診断における発見 ○適切な教育的支援・支援体制の 整備 ○放課後児童健全育成事業の利用 ○専門的発達支援 ○発達障害者の特性に応じた 適切な就労の機会の確保 ○地域での生活支援 ○発達障害者の権利擁護 ・第1種(医療型)自閉症児施設(昭和55年)→医療型障害児入所施設(平成24年) 東京都 東京都立小児総合医療センター 三重県 三重県立小児心療センター あすなろ学園 大阪府 大阪府立精神医療センター たんぽぽ 札幌市 札幌市児童心療センター) ・第2種(福祉型)自閉症児施設(昭和55年)→福祉型障害児入所施設(平成24年) 東京都 袖ヶ浦のびろ学園 神奈川県 弘済学園第2児童寮 ・強度行動障害特別処遇事業(平成5年)→重度障害者支援加算(平成18年) H5:北海道 おしまコロニー、東京都 袖ヶ浦ひかりの学園、岡山県 旭川荘 H6:滋賀県 かいぜ寮、三重県 あさけ学園 H10:北海道 厚田はまなす園、青森県 八甲学園、神奈川県 東やまたレジデンス 岐阜県 大野やまゆり園、山口県 ひらきの里、愛媛県 いつきの里、 長崎県 コロニー雲仙、長崎県 草笛が丘、鹿児島県 榎山学園 ・自閉症・発達障害者支援センター運営事業の実施要綱に定める「センターの利用者」 センターが行う事業の利用対象者は、自閉症(知的障害を伴わない自閉症(高機能自閉症)を含む。)、アスペルガー症候群、レット症候群等の特有な発達障害を有する障害児(者)及びその家族とする。 【都道府県】 発達障害者支援センター(相談支援・情報提供等)、専門的な医療機関の確保 等 【国】専門的知識を有する人材確保(研修等)、調査研究 等
・ペアレント・メンター・コーディネーターの配置 発達障害者支援体制整備 地域生活支援事業の内数 乳幼児期から成人期における各ライフステージに対応する一貫した支援を行うため、関係機関等によるネットワークを構築するとともに、ペアレント・メンター・ペアレントトレーニング・ソーシャルスキルトレーニングの導入による家族支援体制の整備や、発達障害特有のアセスメントツールの導入を促進するための研修会を実施する。 また、市町村・事業所等支援、医療機関との連携や困難ケースへの対応を行うための「発達障害者地域支援マネジャー」を配置し、地域の中核である発達障害者支援センターの地域支援機能の強化を図る。 【都道府県・指定都市】 文部科学省 特別支援教育関連事業 ●家族支援等 ●検討委員会 (県内の状況把握や、ペアレント・メンターの養成等 の支援体制の充実に向けて検討) 連携 ●発達障害者地域支援マネジャーの配置 (平成26年度~市町村・事業所等支援、医療機関との連携 及び困難ケースへの対応等の地域支援機能強化) ・ペアレント・トレーニング (家族の対応力向上:平成26年度~) ・ソーシャル・スキル・トレーニング (当事者の適応力向上:平成26年度~) 連携 ・ペアレント・メンターの養成 ・ペアレント・メンター・コーディネーターの配置 (平成23年度~) ●調査・評価 (市町村の支援体制の状況調査・評価) ●発達障害特有のアセスメントツール の導入促進 (M-CHAT・PARS ・Vineland-Ⅱ等の導入を促進する 研修の実施) 次に、先ほど申し上げましたように、H25年度から統合補助金である「地域生活支援事業」の中で運用する形になった「発達障害者支援体制整備事業」です。これについては、事業としては 「ペアレントメンターの養成等」 「市町村サポートコーチの派遣」 等が主なものですが、私としては、ポイントとしては「検討委員会」がある意味最も大きな意味があるものと思っています 「委員会」として、医療、保健、福祉、教育及び労働等の関係分野の有識者及び担当部局、当事者団体、親の会、発達障害者支援センターの関係者に入ってもらった上で、 「事業内容」として、都道府県内の支援ニーズや支援体制の現状等を把握し、市町村又は障害福祉圏域ごとの支援体制の整備の状況や発達障害者支援センターの活動状況について検証を行うこととしております。 また、委員会の設置に当たっては、文部科学省の特別支援教育関連事業において設置される「特別支援連携協議会」と密接に連携を図ることとされております。 さらに申し上げると、ペアレントメンターの養成や市町村サポートコーチの派遣については発達障害者支援センターに委託してもOKとなっておりますが、この検討会による検証等については、軽微な事務手続き等を除き委託できないものとしております。すなわち、「会議の日程調整等の事務手続きは発達障害者支援センターにまかせてもいいですが、具体的な検討会の運営と施策への反映は、それぞれの都道府県・政令市の責任においてやってください」ということです。もちろん、これは任意事業ですのでやるやらないは最終的には自治体としての判断ですが、根っこのところは都道府県・政令市がちゃんと責任をもってくださいという、我々のメッセージをくみ取っていただければと考えております。 連携 助言・指導等 助言・指導等 【市町村】 保健 労働 その他 教育 福祉 医療 関係機関等のネットワークの構築 医療機関等 支援 ◆早期発見・早期発達支援体制の構築(巡回による支援) ◆個別支援ファイルの作成(アセスメントツールの導入) ◆ペアレント・メンター等の活用による家族支援 等 発達障害者 支援センター
発達障害者支援センターの地域支援機能強化 発達障害者支援センターの地域支援機能強化 発達障害については、支援のためのノウハウの普及が十分に行われていないため、各地域における支援体制の確立が喫緊の課題となっていることから、市町村・事業所等支援、医療機関との連携や困難ケースへの対応等について、地域の中核である発達障害者支援センターの地域支援機能の強化を図り、支援体制を整備する。 発達障害者支援センター (地活事業) 職員配置:4名程度 (課題) 中核機関としてセンターに求められる市町村・事業所等の バックアップや困難事例への対応等が、センターへの直接 の相談の増加等により十分に発揮されていない。 ●相談支援(来所、訪問、電話等による相談) ●発達支援(個別支援計画の作成・実施等) ●就労支援(発達障害児(者)への就労相談)●その他研修、普及啓発、機関支援 都道府県等 発達障害者支援体制整備(地活事業) 地域支援機能の強化へ ●発達障害者支援体制整備検討委員会 ●市町村・関係機関及び関係施設への研修 ●アセスメントツールの導入促進 ●ペアレントメンター(コーディネータ) 地域支援体制マネジメントチーム 発達障害者地域支援マネジャーの配置:6名程度 ・原則として、センターの事業として実施 ・地域の実情に応じ、その他機関等に委託可 市町村 事業所等 困難ケース支援(2名) 医療機関 体制整備支援(2名) 医療機関との連携(2名) 困難事例の対応能力の向上 全年代を対象とした支援体制の構築 身近な地域で発達障害に関する 適切な医療の提供 (求められる市町村の取組) (求められる事業所等の取組) ①アセスメントツールの導入 ②個別支援ファイルの活用・普及 (求められる医療機関の取組) 対応困難ケースを含めた 支援を的確に実施 ①専門的な診断評価 ②行動障害等の入院治療
発達障害者支援法にみられる視点 ○ 発達障害の特性を知ること ○ 様々な制度、機関、人を活用すること ○ 発達障害の特性を知ること ・現場において支援や対応の困難な人たちの中に、発達障害の方が含まれることを想定すること【気づき】 ・発達障害の特性の理解すること【知識】 ・その上で、個々の特性を把握すること【アセスメント】 ・本人の困り感と要因を確認すること(将来も想定して。困っている背景[特性と対応]を知ること)【支援課題の把握】 ・特性、困り感に応じた対応・支援を行うこと【支援の工夫】 ○ 様々な制度、機関、人を活用すること ・生活や対人関係など支援をトータルに行うこと【総合支援】 ・支援はチームで行うこと【チーム支援、支援体制】 ・情報を関係機関で共有すること(横連携)、そして、過去から現在、未来へとつなげること(縦連携)が重要【情報共有】
◎「発達障害者」とは、上記障害があり日常生活又は社会 生活に制限を受ける者 【定義】(第2条関係) ◎「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の 広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その 他これに類する脳機能の障害で、通常低年齢で発現 ◎「発達障害者」とは、上記障害があり日常生活又は社会 生活に制限を受ける者 「発達障害児」とは、発達障害者のうち18歳未満の者 ◎「発達支援」とは、心理機能の適正な発達を支援し、円滑 な社会生活を促進するために行う発達障害特性に応じた 医療的、福祉的及び教育的援助
【参考】 他の法律における定義 ◎障害者基本法:身体障害、知的障害、精神障害(発達障 害を含む)その他の心身の機能の障害がある者で、 障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は 社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの ◎児童福祉法:身体に障害のある児童、知的障害のある 児童、精神に障害のある児童(発達障害児を含む) 又は治療方法が確立していない疾病その他の特殊 の疾病のある児童 ◎障害者総合支援法:身体障害、知的障害、精神障害 (発達障害児を含み、知的障害を除く)又は治療方 法が確立していない疾病その他の特殊の疾病の者 児童福祉法では、障害者手帳や医学的診断を要件とはしておらず、障害があることが想定され、早期の支援(いわゆる診断前支援)が必要な児童を「障害児」としている。
精神保健福祉法 発達障害者支援法 精神保健福祉手帳 【 定義 】 「発達障害」とは、広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群等)、学習障害、注意欠陥・多動性障害等、通常 低年齢で発現する脳機能の障害であり、「発達障害者」とは、発達障害を有するために日常生活又は社会生活に制限を 受ける者をいう。(発達障害者支援法第2条) →ICD-10におけるF80-98に含まれる障害(文部科学事務次官、厚生労働事務次官連名通知) ICD-10(WHO) *1992にWHO総会で採択。現在は平成15年に一部改正されたものを使用。今後改訂案が示される予定。 <法律> <手帳> F00-F69 統合失調症や気分(感情)障害など 精神保健福祉法 精神保健 福祉手帳 1995~ 福祉法 障害者 知的 1960~ 療育 手帳 1950~ F70-F79 知的障害 <精神遅滞> 1973~ F80-F89 心理的発達の障害 ・F80 会話及び言語の特異的発達障害 ・F81 学力の特異的発達障害(特異的読字障害、特異的書字障害など) ・F82 運動機能の特異的発達障害 ・F84 広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群など) など F90-F98 小児<児童>期及び青年期に通常発症する 行動及び情緒の障害 ・F90 多動性障害 ・F95 チック障害(トウレット症候群など) ・F98 行動及び情緒の障害(吃音症など) など 発達障害者支援法 2005~ 精神保健福祉手帳 1995~ (注) *下線は、発達障害者 支援法に例示されて いるもの 「精神障害(発達障害)を含む」と明記している法律 障害者基本法(第2条) 、 障害者総合支援法(第4条) 、 児童福祉法(第4条)、 障害者虐待防止法(第2条) 、 障害者差別解消法(第2条) 、 障害者雇用促進法(第2条) (注) 障害者自立支援法(現:障害者総合支援法)の「障害者」に発達障害者が含まれることが明確化されたこと等を踏まえ、2011年4月より「精神障害者保健福祉手帳制度実施要領」に広汎性発達障害等を明記。
「発達障害(実線)」と 「発達の障害(実線+点線)」 広汎性 発達障害 学習障害 知的障害(精神遅滞)の他、身体障害、聴覚障害、視覚障害など、発達期に見られる障害 自閉症 ADHD その他の発達障害(トゥレット症候群など) 137
「発達障害」を取り巻く状況 ○「発達障害」は誤解されやすい ・養育環境が原因ではない ⇒ 脳の機能障害 ○「気になる子」と呼ばれる子どもたち ・養育環境が原因ではない ⇒ 脳の機能障害 ○「気になる子」と呼ばれる子どもたち ・発達障害予備群だけではない。被虐待児も含む ○「発達障害」フィーバー ・発達障害をまず疑う雰囲気 ⇔ 支援の問題 ○ひとり一人の特性に応じた支援の必要性 ・保育所は専門機関に、「障害の見極め」「障害の知識」よりも「専門指導」を期待している (2012:明治学院大学調査)
通常学級における発達障害等のある子ども 公立小中学校の通常学級に、注意欠陥多動性障害(ADHD) など発達障害等の可能性ある児童生徒(推計) (文部科学省調査:H24.12発表) 公立小中学校の通常学級に、注意欠陥多動性障害(ADHD) など発達障害等の可能性ある児童生徒(推計) ・学習面又は行動面で著しい困難を示す…… 6.5%(6.2%~6.8%) ・学習面で著しい困難を示す………………… 4.5%(4.2%~4.7%) ・行動面で著しい困難を示す………………… 3.6%(3.4%~3.9%) ・学習面と行動面ともに著しい困難を示す…… 1.6%(1.5%~1.7%) ・小学1年 9.8% ・小学4年 7.8% ・中学1年 4.8% ・中学3年 3.2% 特に支援を受けていない児童生徒:約4割 低年齢ほど高率で出現。就学前はもっと多いことが想定。 一方で、就学前は個人差も大きい。小中学校では学習面 での困難が最も多いことから、保育所や幼稚園では目立 たない可能性も想定される。
「発達障害」とは ○発達の凸凹 ○連続性(スペクトラム) ・「グレーゾーン」ではなく「パステルゾーン」 (「名護療育園」泉川良範) ・「グレーゾーン」ではなく「パステルゾーン」 (「名護療育園」泉川良範) ○「障害」および「障害者」の捉え方の変化 ・医学的には、基礎的疾患や機能障害(個人因子) ※名称:「障害」 ⇒ 「症」 へ ・「障害者」の枠組みの変更 ※福祉的には本質は「生活のしづらさ」 (個人と環境との相互作用で発生)
発達障がいの種類 ○診断名に見る種類(DSM-Ⅴ) ・「自閉スペクトラム症」(ASD) ・「社会的コミュニケーション症」 ・「社会的コミュニケーション症」 ・「注意欠如・多動症」(AD/HD) ・「局限性学習症」 ・「発達性協調運動症」 ○一方で、 「非障害自閉スペクトラム」 ・特性はあるが、社会で適応できている ・「特性がある = 障がい」ではない (本田秀夫(2013)自閉症スペクトラム.ソフトバンク新書)
「自閉スペクトラム症」と「広汎性発達障害」 DSM 5(2013) ICD-10(1992) 対人コミュニケーション及び対人的相互交流の障害 相互的な社会関係とコミュニケーションのパターンにおける質的障害 限局された反復的な行動や興味、活動 限局した情動的で反復的な関心と活動の幅 児童期早期に明らかになる 生後5年以内に明らかになる 症状全体で日常生活の機能を制限する 精神年齢に比較して偏った行動がある これらの障害が、知的障害や全般的な発達の遅れでは説明できない もし精神遅滞が存在するなら、それは広汎性発達障害に普遍的な特徴ではないので別にコードする 注 DSM-4の自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害に該当する場合は、自閉症スペクトラムの診断とする 注 下位分類は次の通り:自閉性障害、非定型自閉症、レット症候群、他の小児期崩壊性障害、精神遅滞及び情動運動に関連した過動性障害、アスペルガー症候群、他の広汎性発達障害、広汎性発達障害特定不能のもの 注 社会的コミュニケーションに明白な障害があるが、自閉症スペクトラムの診断に該当しない場合は、社会的コミュニケーション障害を疑う 注 下記の場合は特記する ・知的障害の合併の有無 ・言語障害の合併の有無 ・医学的、遺伝的あるいは環境因が明らかな場合 ・他の神経発達、行動障害がある場合 ・カタトニアの合併 142
「注意欠如・多動症」と「多動性障害」 DSM 5(2013) ICD-10(1992) A 1か2のどちらか 注意の障害と多動が見られる DSM 5(2013) ICD-10(1992) A 1か2のどちらか 注意の障害と多動が見られる 1 不注意項目(9項目より6項目、17歳以上は5項目) 2 多動・衝動性項目(9項目より6項目、17歳以上は5項目) B 著しい症状のいくつかは12歳未満に存在 特徴的な問題行動は6歳以前に発現する C 症状による障害は2場面以上で出現 1つもしくはそれ以上の状況で注意の障害と多動が明らかである D 臨床的に著しい障害が存在する明確な証拠 状況から予想される程度より活動が過度でかつ同じ年齢とIQの他の小児と比較して活動が過度である E 他の精神障害の経過中に起こるものではなく、他の障害では説明できない 広汎性発達障害、不安障害、気分障害等の診断基準が満たされる場合は、注意欠陥多動性障害とは診断しない 下位分類は次の通り:活動性及び注意の障害、多動性行為障害、他の多動性障害、多動性障害特定不能のもの 143
AD/HDの3特徴 ①不注意:○ 必要な物事に注意が向きにくい ②多動性:○ 一つの場所にじっとしていない ①不注意:○ 必要な物事に注意が向きにくい ○ 一つの物事に長く注意を持続できない ○ 外から刺激があると注意が逸れやすい ②多動性:○ 一つの場所にじっとしていない ○ 何かする時に不必要な身体の動きが多い ○ よく動くわりに生産的・建設的な活動に結び付かない ③衝動性:○ 思い立ったらよく吟味せずに実行してしまう ○ 外からの刺激に反射的に反応する ○ 何度失敗しても同じ過ちを繰り返す
「発達障害」の本人支援 ◎支援の目的: ①二次障害の予防 :生きづらさの解消 ②よりよく生きていく :良さを活かす ◎支援の基本的姿勢 ①二次障害の予防 :生きづらさの解消 ②よりよく生きていく :良さを活かす ◎支援の基本的姿勢 ・この子どもの困っていることに気づく ・この子どもの特性の理解 ← 障害の特性の知識 ・課題の分析(背景を知る:氷山モデル) ・特性に応じた環境の調整(かかわり方を含む) ・「できる」、「楽しむ」ことを大切に(自己肯定感)
「発達障害」の本人支援 ◎具体的対応 ・得意なことを伸ばし、苦手なことは補う ・生活習慣の獲得(自分でできることを増やす) ・得意なことを伸ばし、苦手なことは補う ・生活習慣の獲得(自分でできることを増やす) ・環境を調整し、見通しを持ち安心して暮らしやすく ・自律スキルとソーシャルスキルを身につける (本田秀夫) ・特性に応じた具体的手段 ・具体的に伝える ・視覚的に伝える ・役に立つことを習慣化する ・システムを使う ・興味を活かす ・感覚刺激の調整 ・情報を整理する
「限局性学習症」と「学力の特異的発達障害」 DSM 5(2013) ICD-10(1992) A 下記のうち1つが少なくとも6ヶ月続く 単なる学習の機会の欠如のためでなく、後天的な脳損傷によるものではない 1 不正確でゆっくりした、努力のいる読み、 2 読まれている意味を理解することが困難 たとえば、文章を正確に読めたとしても、連続性、関連性、 推論、より深い意味が理解できない 3 うまく綴れない たとえば、母音や子音が余計だったり、抜けていたり、 置き換えてしまう 4 うまく書いて表現できない たとえば、文章内の文法や句読点の多くの間違い、考えが はっきりしない表現、段落の構成が少なかったり、手書きが きわめて少ない 5 数字の意味や意識あるいは計算を習得するのが難しい 6 数学的な推論が難しい 特定された学力に臨床的に有意な程度の障害がある 障害は単に精神遅滞あるいは比較的軽度の全体的知能障害から説明できない 障害は教育の早期から存在し、教育の過程で生じたものではない B 17歳以上では、標準化されたアセスメントで学習上の困難を証明することができる 学業困難の十分な理由となり得る外的要因がない C 学習上の困難は、学齢期に始まるが、学業成績に影響する要求が個人の能力の限界を超えるまでは明らかにならないこともある 特異的発達障害は矯正されない視覚あるいは聴覚の障害に直接起因するものではない D 学習上の困難は、知的障害、視聴覚上の問題、知的または神経学的障害、心理学的逆境、言語習得機会欠如、不適切な教育状況では説明できない 下位分類は次の通り:特異的読字障害、特異的書字障害、特異的算数障害、学力の混合性障害、他の学力の発達障害、学力の発達障害特定不能のもの 147
「発達障害」の本人支援 ◎幼児期の課題 ◎学齢期の課題 ①親との基本的信頼感の獲得 ②基本的生活習慣(健康、生活リズム等) ①親との基本的信頼感の獲得 ②基本的生活習慣(健康、生活リズム等) ③日常生活動作の確立(着脱衣、食事、排泄等の自立) ④自己決定(自分のことは自分でする) ◎学齢期の課題 ①セルフマネジメント(自分で環境を調整する) ②支援つき試行錯誤(できないことの理解と解決) ③意見表明(自分の気持ちに気づき、表現する) ④自己理解・他者理解(特性や得意・不得意を知る) ⑤様々な生活体験、遊び、社会経験 ※ 一貫しているのは、「自己肯定感」を育むこと
「ひきこもり」について 「ひきこもり」とは わが国の「ひきこもり」の推計数 ○ひきこもりとは、様々な要因の結果として、社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭 外での交遊など)を回避し、原則的には6か月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態。 (他者と関わらない形での外出をしている場合も含む) ・ひきこもりには、確定診断がなされる前の精神障害が含まれている可能性がある。 ・背景にある精神障害の診断や治療だけではなく、ひきこもりがもたらす「自立過程の挫折」に対する支援も 必要である。 出典 : H19~H21年度 「思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・援助システムの構築に関する研究」 (厚生労働科学研究 主任研究者 齋藤 万比古) <思春期・青年期ひきこもりケースの背景にある精神障害の実態把握> ・実施方法:H19~H21年度に、全国5か所の精神保健福祉センターにひきこもりの相談に訪れた16歳~35歳の方(本人の来談)184人に 精神科的診断を実施(分担研究者:近藤直司の調査による) ・結果:診断の確定は約8割に当たる149人、情報不足等のための診断保留が35人 第一群(統合失調症、気分障害等の薬物療法が中心となるもの)49人 (32.9%) 第二群(広汎性発達障害や精神遅滞等の生活・就労支援が中心となるもの)48人 (32.2%) 第三群(パーソナリティ障害や適応障害等の心理療法的アプローチが中心となるもの)51人 (34.2%) 分類不能1人 (0.7%) わが国の「ひきこもり」の推計数 <把握の方法> 全国11地域の住民から無作為に選択した4,134名を対象に、訓練を受けた調査員の戸別訪問による直接 面接を実施。(平成14年~平成17年度に、世界精神保健日本調査と合同で実施) <調査の結果> ・対象者のうち、20~49歳の者(1,660名)の中で、過去にひきこもりを経験したことのある者 : 1.14% ・面接を受けた対象者全員(4,134名)の中で、現在ひきこもり状態にある子どものいる世帯 : 0.56% (全国推計では約26万世帯) 出典 : H18年度 「こころの健康についての疫学調査に関する研究」(厚生労働科学研究 主任研究者 川上 憲人 研究協力者 小山 明日香)
行動障害関連の障害福祉サービス・障害児支援の利用者 「強度行動障害」に関する対象者の概要 「強度行動障害」とは 自分の体を叩いたり食べられないものを口に入れる、危険につながる飛び出しなど本人の健康を損ねる行動、他人を叩いたり物 を壊す、大泣きが何時間も続くなど周囲の人のくらしに影響を及ぼす行動が、著しく高い頻度で起こるため、特別に配慮された支援 が必要になっている状態のこと。 「支援の対象者」については 障害福祉サービスを受ける際に行う障害支援区分の調査に併せて把握する「行動関連項目」(福祉型障害児入所施設の場合は 「強度行動障害判定基準表」)を用いて判定し、一定の点数以上となる人(24点中10点)に対して手厚い支援 (下記の図参照)が 提供される。 強度行動障害にいたる前からの支援や行動改善が見られた後における継続的な支援が提供できるようにするため、「行動援護」 は平成20年、「共同生活援助、短期入所、施設入所支援の重度障害者支援加算」は平成24年に対象者判定の基準点を引き下げた ところであり、その結果支援対象者が拡大している。 行動障害関連の障害福祉サービス・障害児支援の利用者 (国民健康保険団体連合会データ) のべ30,714人(平成27年1月時点) (行動援護、共同生活援助、短期入所を重複して利用する 場合があるため、のべ人数としている) 行動援護 8,132人 共同生活援助(重度障害者支援加算) 4,029人 短期入所(重度障害者支援加算) 2,329人 施設入所支援(重度障害者支援加算) 16,217人 福祉型障害児入所施設(強度行動障害者特別支援加算) 7人 (参考)平成26年度からは、重度訪問介護についても、行動援護等の基準と同様の対象者に対して支援を提供することが可能となっている。
行動を特性から理解する(氷山モデル) 環境 特性 対応 片づけない 散らかす 気が散りやすい 注意の配分や調整が苦手 段取りができない どこに片づけるか決められない 手順が多いととりかかれない 等 環境 特性 対応
感覚およびその統合と最終産物 (イメージ図:感覚統合Q&Aより) 入力の統合 第1段階 第2段階 第3段階 最終産物 第4段階 聴覚 前庭覚 固有覚 触覚 視覚 眼球運動 姿勢 バランス 筋トーン 重力に対する安心感 身体知覚 身体の両側統合 運動企画 活動レベル 注意力 情緒的安定 話し言葉 言葉 吸う 食べる 母と子のきずな 触覚的心地よさ 目と手の協応 視知覚 目的的活動 協応の弱さ 運動下手 集中の弱さ 集中力 組織力 自尊心 自己制御 自信 学習能力 抽象的思考や論理的能力 身体と脳の特殊化 姿勢保持の弱さ ふらふら、多動 制作、 創造性を要する 遊びが苦手 触覚防衛 コミュニケーションの弱さ 152
感覚統合障害 (イメージ図:感覚統合Q&Aより) <知っておきたい 発達背景の一つ> 感覚統合障害 (イメージ図:感覚統合Q&Aより) 第4段階 第3段階 第2段階 第1段階 聴覚 前庭覚 固有覚 触覚 視覚 153
身体感覚を育てる支援(感覚運動的活動) 体の動きをコントロールすることが苦手なお子さんに 身体感覚・平衡感覚・筋力、ボディイメージを育てる 体の緊張の軽減、過敏の軽減を図り、体の適応力を育成 ①遊びの中で体を動かす ②体に触られた部分の感覚(識別力)を育てる ③平衡感覚を育てる ④運動技能(ジャンプ、四肢の協調等)を育てる ⑤即時反応(リズムの変化、静止)を育てる
応用行動分析学(ABA)の応用 行動に焦点を当て、行動変容を試みる 行動の枠組み「先行要因ー行動ー随伴要因」 環境要因の評価(子どもの行動に対応するスタッフ の行動も評価の対象となる) 行動の機能分析:要求、注目、回避、感覚 随伴性を活用した適切な行動の獲得、不適切な 行動の消去 エビデンス・ベースの支援 【種類】トークン・エコノミー、ソーシャルスキルトレーニング、 セルフマネジメント、ペアレントトレーニング、 TEACCHプログラム
ソーシャルスキル・トレーニング(SST) ・社会生活や人間関係に必要なスキルの学習 ・指導内容:挨拶、基本的学習態勢、遊びへの参加、 順番交替、役割遂行、他者の視点の習得、 会話のやりとり、質問の仕方、感情表現、 他者へ相談や助けを求めることができる、 社会ルールを守るなど ・指導技法:教示法、モデリング法、リハーサル法フィー ドバック法、般化法など(保育現場での指 導では、他児を含めて行うこともある) ・障害特性との関わりを考慮した指導:共同注意、心の 理論、統合能力、保続、不注意、衝動性
TEACCHプログラムの応用 理念と原則 構造化で伝える情報 構造化の方法 ①理論ではなく子どもの観察から特性を理解する、②保護者と専門家の協働、③目標は治癒ではなく自分らしく地域で生きること、④正確なアセスメント、⑤構造化された指導法の利用、⑥認知理論と行動理論を重視する、⑦スキルを伸ばすと同時に弱点を受け入れる、⑧包括的な見方を重視する、⑨生涯にわたって地域に基盤をおいた支援サービス 構造化で伝える情報 ①どこで、②いつ、③何を、④どれだけ、⑤どのようなやり方で、⑥終わったら次何をするのか 構造化の方法 ①物理的構造化、②スケジュール、③ワークシステム、④視覚的構造化
「発達障害」の保護者支援 発達障害のある子の保護者の負担とリスク 育てにくさ ・子育ての辛さ・負担感 関わりにくさ ・達成感や喜びが少ない 育てにくさ ・子育ての辛さ・負担感 関わりにくさ ・達成感や喜びが少ない 理解のしにくさ ・親としての自信の喪失 行動の問題への心配 ・適切に関わる回数の減少 将来への心配 ↓ 『子育てがつらい』・・・ ↓ 親子関係が不安定・・・ 二次的問題の併発へ 158
基本的な考え方 家族ができることを助言する (家庭で取り組みやすい構造化や情報の伝え方の工夫等) 出来るだけ正確で確かな情報を伝える (家庭で取り組みやすい構造化や情報の伝え方の工夫等) 出来るだけ正確で確かな情報を伝える (今使えるサービス、将来的に使えるサービス等) 家族のがんばり、工夫を評価する (ペアレントトレーニングなどを通して、成功場面を増やし褒める) 家族が、仲間と出会うことを助ける (ペアレント・メンターなど、先輩を紹介する) 関係者同士が、情報の共有や引き継ぎをきちんと行う
家族が出来ることの助言例(場面や手順の構造化) ①情報の整理、場面の枠を作り分かりやすく ②環境の構造化;居場所の整理 ・大まかな生活リズム表の作成 ・物の置き場所を決める、整理する ・自分の持ち物を分かりやすくする ・手順を示す(指、表など) ・開始や終了をわかりやすく予告する ・自分の居場所(安全基地)を確保する *現在、発達障害者の就労支援においても構造化のアイデアは引き継ぐべき支援として捉えられていることから、構造化の支援はなくすべきものではなく引き継ぐべきものと考える
家族が出来ることの助言例(情報の伝え方等) ①視覚的な情報の手掛かりを用いる 絵・写真・文字を用いて、必要な場所に貼る ②新しいことを前もって言葉+視覚的に伝える ③これから行うことをはっきり分かりやすく伝える ④伝えることをひとつにしぼる ⑤注意したいことは、感情的にならないでその場で伝える ⑥感覚に配慮(過敏/鈍感) ⑦できた、できている、できそうなことを褒める ⑧プライドと自尊感情に配慮 見通しを持たせる
出来るだけ正確で確かな情報を伝える例 ①地域で安心した子育てを行うための支援情報 ・相談機関・支援機関の紹介 ・相談機関・支援機関の紹介 医療機関、療育機関、就学相談、教育相談など ②地域生活を安心し充実して送るための支援制度情報 ・障害者総合支援法によるサービス ・様々な手帳の交付から得られる援助措置 「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の取得による援助措置 ③就労を支える支援制度情報 ・区市町村の就労支援事業、ハローワーク、障害者雇用支援セン ター等 *情報の収集・整理、情報提供システムづくり *機関連携、担当者間連携、連絡調整、地域機関ネットワーク (個人情報の管理)
ペアレント・トレーニング 発達障害のある子どもに対する理解を深め、親子の間の悪 循環を断ち、円滑に日常生活が送れるように具体的な対処 方法を親が手に入れるためのプログラム(6~10回程度) 子どもの行動に注目し、好ましい行動に肯定的な注目を与 え、ほめる/無視するの組み合わせで好ましくない行動を 減らし、親子のコミュニケーションが促進し信頼感の回復や 自尊心の形成に働く。 各段階ごとで行動記録の個別作業(宿題)を持ち寄り、グル ープワークを行い気づきを話し合う。 運用のための基本的知識:①発達障害の特性と基本的支 援、②子育てのストレスなどの理解、③応用行動分析など の理解、④カウンセリング基礎知識、⑤プログラム運用理解
ペアレント・メンター養成事業 発達障害の子どもを持つ家族が、ピアサポートとして 支援の一部の役割を担う取組み ペアレント・メンター養成講習の受講 活動内容;グループ相談、情報交換会、個別相談、 理解啓発活動 同じ発達障害児・者を育てている親として共感でき寄り 添うことができ、様々な子育て経験を提供でき、将来の 見通しを立てやすくなる。 専門機関等の情報を利用者の視点で伝えることが できる。
家族支援 ◎ペアレントトレーニングとペアレントプログラム ◎ペアレントメンター ・ペアレントトレーニング(ペアトレ) (法§13関係) ◎ペアレントトレーニングとペアレントプログラム ・ペアレントトレーニング(ペアトレ) 親が自分の子どもの行動を冷静に観察して特徴を理解したり、発達障害の特性を踏まえた褒め方や叱り方等を 学ぶことにより子どもの問題行動を減少させることを目標とする。トレーナーには専門知識が要求される。 ・ペアレントプログラム(ペアプロ) 地域での普及を図るために開発された、より簡易なプログラム。子どもの行動修正までは目指さず、「親の認知 を肯定的に修正すること」に焦点を当てている。発達障害やその傾向の有無に関わらず有効とされている。 関係図 ペアプロ(ペアトレへの導入) 専門性 ペアトレ 対象者の範囲 専門家、習熟した職員による実施 地域生活支援事業 による普及 地域の保育士、 保健師等による実施 都道府県等への国庫補助 子育て施策の延長として の支援が可能 ◎ペアレントメンター 発達障害児の子育て経験のある親であって、その育児経験を活かし、子どもが発達障害の診断を受けて間もない 親などに対して相談や助言を行う人。 支援の内容等 ペアレントメンター 親 特徴 ・同じ親としての 共感性の高さ ・当事者視点の 情報提供 地域生活支援事業 による普及 ●条件 ・自分も発達障害者の親 ・しかるべき人からの推薦 ・守秘義務への同意 等 ・経験を共有 ・必要な情報を提供 ●ペアレントメンターの紹介が必要となる状況の例 ・診断を受けた後に不安や悲し みを感じている ・支援を受けるまでの順番待ち をしている 都道府県等への国庫補助 -165-
関係者同士が、情報の共有や引き継ぎ 行動・情動・認知の特性に関する情報の引き継ぎ 検査結果、遅れ/特異性、強み/弱み、年齢経過による変化 検査結果、遅れ/特異性、強み/弱み、年齢経過による変化 個別支援計画の引き継ぎ ニーズの整理、長期・短期目標、達成状況、 保護者満足度、新たな課題の整理へ 支援の方法及び内容の引き継ぎ 計画に基づく日々の支援の具体的内容(教材、声掛け等) 保護者と話し合ってきたことの引き継ぎ 生育歴(子の育ちの特徴、苦労してきたこと) 提供された情報(健診、医療機関受診、相談経緯) 家族(父・母、祖父母、兄弟等)の思いや不安 周囲の環境 地域関係機関の情報の引き継ぎ 利用頻度、担当者、情報共有の方法、役割分担など
7.入所支援特有の機能及び 求められる役割 あさひが丘学園 水流 純大
(※)支援がなければ福祉を損なうおそれがあると認められるとき ○ 福祉型障害児入所施設について 福祉型障害児入所施設は、重度・重複化への対応や障害者施策に繋ぐための自立支援の機能を強化するなど、支援目標を明確化し、個別支援計画を踏まえた支援の提供を目指す。 《法律上》保護、日常生活の指導、知識技能の付与 【見直し前】 【24年4月】 障害の程度 知的障害児 施設 盲ろうあ児 肢体不自由児療護施設 ※保護を目的としたサービス ※昼夜分離せず 施設内完結型 サービス ※年齢の区分が 曖昧なサービス 児童福祉法 障害児入所 施設 ・福祉型 児童福祉法 軽 重 -支援目標を明確化- 個別支援計画の作成 自立(地域生活移行)のための支援 専門機能の強化 ・知的障害、盲ろうあ、 肢体不自由など、障 害の特性に応じて提 供 ・重度・重複障害児、被虐待児等への対応 年齢 障害者施策に繋ぐ支援 居住環境の整備 障害者自立支援法 ○障害者施策による対応 法 18歳(20 歳※)以上 の入所者 〔例〕 昼夜分離したサービス 地域生活移行 グループホーム・ケアホームの利用 施設入所支援 生活介護等 (※)支援がなければ福祉を損なうおそれがあると認められるとき
障害児入所施設の機能 ①発達支援機能 ・児童福祉法改正により、障害種別が一元化され、他種別の障害への対応が求められることとなった。 ・児童福祉法改正により、障害種別が一元化され、他種別の障害への対応が求められることとなった。 ・また、重度・重複障害、行動障害、発達障害、被虐待児等多様な状態像の児童への専門的対応が求められている。 ・多様な障害児に対応するハード面の整備や専門性のある人材の育成、療育技術の向上が課題。
障害児入所施設の機能 ②自立支援機能 ・児童福祉法改正により、20歳以上の入所期間延長規定が廃止されたため、制度の枠組み変更により支援の連続性が分断されないように、障害児施策から障害者施策にスムーズにつなぐ仕組みが必要。 18歳(又は20歳)以降、利用者が地域生活、一般就労、福祉的就労、障害者支援施設の利用等を行えるよう自立支援を行う。 ・障害者施策とのスムーズな連携を図るために、相談支援体制の強化や行政責任の明確化、(自立支援)協議会の有効活用、特別支援学校との連携等の仕組みの構築が必要。 ・入所児童の「自立支援」を念頭に置いた個別支援計画の進捗状況の管理について、児童発達支援管理責任者の役割は極めて重要。
障害児入所施設の機能 ③社会的養護機能 ・環境上、保護を要する児童への生活支援(生活保障) ・親の死亡、疾病、障害、入院、服役、貧困、養育困難、養育放棄、虐待等により、 「家庭から離れざるを得ない子ども、家庭から離さざるを得ない子ども」を家庭に代わって育てる場である。 ・安心、安全な環境 →虐待による入所の場合は、面会、外出、外泊、退所等については児童相談所との緊密な連携のもと、慎重な判断が必要。 ・より家庭に近い生活環境を保障することが課題 →小規模グループケアの取り組み
障害児入所施設への入所理由(H25全国知的障害児施設実態調査) 主たる要因 従たる要因 合計 在籍者(5719名)比 家族の状況等 親の離婚・死別 487 242 729 12.7% 家庭の経済的理由 132 276 408 7.1% 保護者の疾病・出産等 343 156 499 8.7% 保護者の養育能力の欠如 1740 757 2497 43.7% 虐待・養育放棄 1083 213 1296 22.7% きょうだい等家族関係 142 186 328 5.7% 地域でのトラブル 61 98 159 2.8% 住宅事情・近隣の事情 69 56 125 2.2% その他 384 164 548 9.6% 本人の状況等 ADL・生活習慣の確立 1631 921 2552 44.6% 医療的ケア 178 197 375 6.6% 行動上の課題改善 1135 666 1801 31.5% 強度行動障害等 190 55 245 4.3% 養育者への暴力 163 43 236 4.1% 多胎や兄弟とも障害 64 151 215 3.8% 学校での不適応・不登校 152 284 5.0% 学校就学・通学 435 341 776 13.6% 127 57 184 3.2%
障害児入所施設の機能 ④地域支援機能 ・入所施設の機能を地域に展開していくことで、地域における障害児支援の拠点としての役割を果たしていく。 ・短期入所、日中一時支援、放課後等デイサービス、居宅介護、行動援護等の在宅サービスを実施し、在宅障害児及びその家族を支援する。 ・在宅支援機能を地域の障害児やその家族が有効に活用し、地域での生活を維持していくためには相談支援機能の充実が必要。
障害児入所施設と児童相談所との関係 (措置入所の場合) 措置・援助指針・訪問・助言・指導 児童相談所 障害児入所施設 報告 相談 児童・保護者 入所 調査・判定・一時保護 個別支援計画 サービス提供 負担金決定 都道府県 負担金支払
障害児入所施設と児童相談所との関係 (契約入所の場合) 実態把握(必要に応じて調査・診断・判定等) 障害児入所施設 児童相談所 相談 相談 入所申込 児童・保護者 契約 調査・判定・入所判断 個別支援計画 サービス提供 支給申請 利用料請求 都道府県 支給決定 利用料支払
措置入所の判断基準 【障害児施設給付費等の支給決定について】 (平成25年障発0329第20号) ① 保護者が不在であることが認められ利用契約の締結が困難な場合 ② 保護者が精神疾患等の理由により制限行為能力者又はこれに準じる状態である場合 ③ 保護者の虐待等により、入所が必要であるにもかかわらず利用契約の締結が困難と認められる場合 【障害児施設の入所に係る契約及び措置の運用について】(平成21年11月17日障障発1117第1号) *上記③についての具体的取り扱い(「虐待の恐れがある場合」も虐待等に含めて柔軟に対応する等)や、保護者が利用料を滞納している場合の取扱い等について定める。 *民法上、対象児童の保護者以外の者(保護者でない祖父母など)と契約することはできない。
障害児入所施設における 児童発達支援管理責任者の役割 ①個別支援計画の作成 ア.措置入所、契約入所にかかわらず、入所児童の個別支援計画を作成する責任者です。 イ.措置入所の場合、児童相談所が作成する「児童援助指針」と施設における独自のアセスメントを基に個別支援計画を作成しますが、契約入所は多くの場合、「児童援助指針」が作成されませんので、施設のアセスメントに基づいて個別支援計画を作成することとなります。 ウ.児童発達支援管理責任者の役割は、担当児童指導員・保育士等が作成した個別支援計画の原案を担当者会議の議論を踏まえて完成させていくプロセスを管理していくことです。
障害児入所施設における 児童発達支援管理責任者の役割 ②個別支援計画作成のポイント ア.正確な状態像の把握 ・アセスメント項目の例 生育歴、健康状態、基本的生活習慣、コミュニケーション、社会生活スキル、障害の状況、家族の状況、発達の状況、学習の状況、特別な行動等 イ.自立支援を目標として支援計画を作成する ・児童の年齢、発達段階(幼児期・少年期・青年期等)に応じた支援目標、支援内容を設定する ・最終的には社会自立を目標として支援計画を作成していく視点が重要 ウ.支援計画の実施状況の把握(モニタリング) ・少なくとも6カ月に1回以上のモニタリングと支援計画の見直しを行う
障害児入所施設における 児童発達支援管理責任者の役割 ③職員への助言・指導・連携 ア.直接処遇職員への助言・指導 ・OJT(職務を通じての研修)、OFF-JT(職務を離れての研修)、SDS(自己啓発制度)等を通じて直接処遇職員(児童指導員、保育士)への助言・指導を行い、直接処遇職員の支援能力の向上を図ることにより、入所児童支援の質の向上に資すること。 イ.間接処遇職員との連携 ・看護師、栄養士、事務職員、専門職員(PT・OT・ST等)との連携を図り、多様なニーズのある入所児童の支援の質の向上を図ること。
障害児入所施設における 児童発達支援管理責任者の役割 ④関係機関等との連携・調整 ア.児童相談所との連携 ・児童及び家族の情報提供、児童援助指針 ・虐待等による入所の場合は、家族との接触については緊密な連携と慎重な判断が必要 イ.学校との連携 ・児童の通学校との連携は家庭に代わる施設としての重要な役割 ウ.自立支援に向けた関係機関との連携 ・市町村、相談支援事業所、障害福祉サービス事業所、就労支援事業所一般企業等
障害児入所施設の将来像のイメージ図 地域拠点としての障害児入所施設 障害児入所施設 児童相談所 小規模ケア 小規模ケア 小規模ケア 市町村 (公財)日本知的障害者福祉協会提案 ・障害児入所施設は、入所支援だけを行うのではなく、地域支援機能を明確に位置づけることにより、障害児及びその家族を支援する地域における拠点施設としての機能を持つものとする。 ・入所機能は、本体施設を小規模ケア化するとともに、グループホームやファミリーホームの開設・運営・支援、里親支援等の機能を持つものとする。 ・児童の入所にあたっては、児童相談所を中心として市町村・施設を交えた入所調整会議を実施するとともに、退所後の自立支援に向けての自立支援会議を開催する。 地域拠点としての障害児入所施設 保育所 幼稚園 児童相談所 障害児 グループ ホーム 敷地外 措置 ファミリーホーム 連携 学校 児童発達支援事業 里親 契約 連携 開設・運営 開設・支援 支援 家庭 敷地内 障害児入所施設 入所調整会議 復帰 自立援助ホーム 自立支援会議 小規模ケア 小規模ケア 小規模ケア グループホーム 市町村 移行 移行 短期入所・日中一時支援・放課後デイ 移行 障害者支援施設 一般就労等 児童発達支援・子育て支援・親子訓練 移行
参 考 「障害児支援の在り方に関する検討会報告書」(H26.7)において障害児入所施設に言及されている箇所
障害児入所施設の入所児支援の ための児童相談所等との連携 ○ 障害児入所施設には、養育困難や児童虐待等の家庭環境が原因で行政機関の措置により入所している障害児も多い。このような状況も踏まえ、障害児入所施設に入所した障害児の支援の在り方について、「子どもの最善の利益の保障」の観点、養育困難や児童虐待等の障害児の家族を支援する観点から、児童相談所、市町村、福祉事務所等と障害児入所施設との情報共有や役割分担を踏まえた連携の在り方について検討を進める必要がある。(p14) 「障害児支援の在り方に関する検討会報告書」より
入所施設の機能の活用 〇 障害児入所施設が担うべき機能として、①重度・重複障害、行動障害、発達障害等多様な状態像への対応のための「発達支援機能(医療も含む)」、②退所後の地域生活、障害者支援施設への円滑な移行、就労へ向けた対応のための「自立支援機能」、③被虐待児童等の対応のための「社会的養護機能」、④在宅障害児及び家族への対応のための「地域支援機能」が考えられる。それらを基本としつつ、今後の入所施設の在り方について検討し、その機能の活用を図るべきである。(p16~17) 「障害児支援の在り方に関する検討会報告書」より
入所施設の機能の活用(つづき) 〇 具体的な機能としては、短期入所等による家族支援、親子入所等による保護者の育児能力向上への支援、医療機能を持つ施設については医療支援、児童福祉施設への専門的な支援、施設での実地研修や出張研修による人材育成、あるいは地域住民が障害児者に対する理解を深めるための活動等が期待できる。さらに、特に医療支援その他専門性の高い支援を行うに当たっては、地域で生活する障害児の支援を行う観点から、障害児の身体機能を最大限に伸ばす、あるいは行動障害を軽減する等の一定目的をもった短期入所よりも長い期間の入所の制度的な裏付けを検討することも必要である。厚生労働省においては、今後の制度見直しの検討に当たっては、そのような入所施設の機能の内容について整理して具体化していくべきである。(p17) 「障害児支援の在り方に関する検討会報告書」より
行政主体間の連携・市町村関与の さらなる強化等 ○ 都道府県は、障害児通所支援の広域的な調整及び障害児入所支援の体制整備の双方の観点から一体的な方針を策定することが必要である。一方、市町村については、障害児入所支援から障害者施策への円滑な移行等の観点から、入所者について継続的に一定の関与を行うことが求められており、そのようなことが可能となるシステムの構築について検討すべきである。なお、その際には児童相談所との役割分担等について整理を行う必要がある。(p20) 「障害児支援の在り方に関する検討会報告書」より
入所施設の生活環境の改善等 〇 児童養護施設等については、「社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会」及び「児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会」のとりまとめた報告書の中で施設の小規模化、機能の地域分散化等の方向性が示され、順次対応が進められている。障害児入所施設についても、被虐待児等の入所が増えている状況を鑑み、同様の観点から社会的養護機能の充実を図っていく必要がある。(p29~30) 「障害児支援の在り方に関する検討会報告書」より
入所施設の生活環境の改善等 (つづき) ○ 具体的には、障害児入所施設については、「子どもが育つ環境を整える子どもの施設」「子ども本人が望む暮らしを保障する施設」といった幼児期からの子どもの育ち、発達に係る基本的な観点から、より家庭に近い生活環境、少人数の生活の場、普通の暮らしの環境、個々に配慮した生活環境とすべきである。小規模グループケアを推進するとともに、専門里親等の活用も含めて、より家庭に近い暮らしの場を提供する方向性の検討が必要である。(p29~30) 「障害児支援の在り方に関する検討会報告書」より
入所施設の生活環境の改善等 (つづき) ○ また、障害児入所施設が持つべき機能については、児童養護施設等と同様に、子どもの心の傷を癒やして回復させるための専門的ケアの充実、家庭復帰を目指した親子関係の再構築支援、施設退所後のアフターケアを行う相談支援などが考えられる。さらに、児童相談所等の関係機関とも連携を図った上で、乳児院、児童養護施設等の社会的養護の下で暮らす障害児について、障害児支援の観点から何らかの支援ができないかについても併せて検討を進めるべきである。(p29~30) 「障害児支援の在り方に関する検討会報告書」より
入所施設の生活環境の改善等 (つづき) 〇 さらに、重症心身障害児者への入所支援については、成長した後でも本人をよく知る職員が継続して関われるようにするなど、児者一貫した支援が望ましい。そのような重症心身障害の特性を踏まえ、障害児入所施設と療養介護が一体的に実施できる事業所指定の特例措置を恒久的な制度にする必要がある。さらに、その他の障害児入所施設についても、利用者が20 歳になった後の扱いについて、本人に不利益が起きないようきめ細かな対応を行うべきである。(p29~30) 「障害児支援の在り方に関する検討会報告書」より
8.児童発達支援管理者と障害児相談 支援専門員の関係と役割 8.児童発達支援管理者と障害児相談 支援専門員の関係と役割 柏学園 金丸 博一
支援提供プロセスの連携イメージ -本人・家族を中心において- 障害児相談支援専門員による「つながる」支援 相談支援 専門員 障害児支援利用計画案の作成 サービス担当者 会 議 支給決定後の、 障害児支援利用計画の作成 ①地域でサポートするためのチームを作り、ネットワークを組織する。 ②本人・家族や環境、生活全体に関する様々な情報や知識、技術の共有、ニーズ、支援方針を確認して統括する 相 談 受 付 課題分析 アセスメント 支 援 利 用 モニタリング・評価 終 結 または、各機関の子どもの評価・方針の確認 関係者による事前の連絡会議 トータルプランの作成 支給決定 本人・家族、支援者が混乱しないように障害特性の理解、適切な支援方法を共有する Aさん 相談支援時の状況把握 ア セ ス メ ン ト 個別支援会議 個別支援計画の作成 個別支援計画の実施 中間評価と修正 終了時評価 ①障害児支援利用計画を参考にして、事業所内で個別支援会議を開き、個別支援計画を作成する。 ②それぞれの支援の提供状況、目標の達成状況、本人の状況について評価を共有する ここは 大切! 児童発達支援 管理責任者 児童発達支援管理責任者による「深める」支援 192
障害児相談支援とは? 障害児相談支援は、児童福祉法に規定する障害児通所支援の支給決定を受ける際に作成する障害児支援利用計画にかかる業務を行うが、本来は障害児通所の利用相談から始まるのではなく、発達が気になるなどの子育て相談から、保護者の障害受容に寄り添いながら、就学、進学、不登校、就労と、必要に応じ、計画にかかること以外に多大な時間をかけていくものである。 計画に関しては、通所支援だけでなく、障害福祉サービスの利用や、保育所・幼稚園・学校などでの支援、子育てサークルなどインフォーマルな地域資源なども組み合わせた、①子どもの成長のため、また②家族が前向きに子どもと向き合うため、さらに③地域の中にその子どもの理解者を一人でも多く増やすために、様々な工夫と配慮がなされた内容であるべきである。合わせて、地域の関係機関を結びつけていくために、参考となる情報が盛り込まれているべきである。
Q&A : 児童期の相談支援体制の整備に関すること Q&A : 児童期の相談支援体制の整備に関すること Q: 以前から地域療育に関する連携会議を行う組織があり、早期療育、早期対応について情報交換等を行ってきましたが、制度が変わり、児童期のことがよく分からないという相談支援専門員が中心に、(自立支援)協議会の子ども部会が開催されることになりました。これまでの地域療育の体制のままの方が話し合いは深められたような気がしていますが・・・? A: これまでの連携会議にプラスして、新たなメンバーが入り、(自立支援)協議会で子ども部会を立ち上げていることはとてもいいことだと思います。確かにこれまでのメンバーでの会議の方が、話が通じて良かったところもあるでしょうが、子どもの時期のことに詳しい相談支援専門員が地域に育ってくると、これまで難しかった進学・卒業などのつなぎの部分で、大いに活躍してくれることになるでしょうし、早期発見・早期療育をメインとしたテーマになりがちだった連携の部分が、乳児から大人になるまでの長期的な視野のもとで行われる部会となっていくことでしょう。粘り強く、地域における子どものための相談支援体制を作っていきましょう。
図が入る 「厚労省 H25年度障害者福祉推進事業 障害児通所支援の今後の在り方に関する調査研究 報告書 「厚労省 H25年度障害者福祉推進事業 障害児通所支援の今後の在り方に関する調査研究 報告書 平成26年3月 一般社団法人 全国児童発達支援協議会」P227より抜粋
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。 児童発達支援管理責任者として、児童期における相談支援について、その役割がイメージできないまま、職務に就かれている方が少なくありません。また現実としては、相談支援専門員の作成した利用計画は、事業所にとってあまり参考にならないものが多いと言われることがあります。研修では、目指すべき方向を示していくことが大切ですので、3枚目のスライドの「障害児相談支援とは?」について、しっかりと伝えてください。 さらに、児童期の相談支援体制についてしっかりと示していただきたいと思います。できれば、貴都道府県の先進的な市町村における児童期の相談支援体制について、現状を示していきましょう。その中では(自立支援)協議会における「こども部会」(発達支援部会、特別支援教育部会など・・・)の活動の様子を、示していくことも大切です。 児童専門の相談支援専門員が地域の中で活躍しているところは少ないものです。今後も児童発達支援管理責任者が、地域の中で重要な役割を担わないと、地域の児童福祉は向上しないことも研修でお伝えください
乳幼児期における 障害児相談支援専門員は 学齢期における 障害児相談支援専門員は 地域の子育て支援ネットワークの一員としての役割を担う 地域及び圏域の療育機関に関する情報を細かく知る ノーマライゼーション、インクルージョンについての意識を持ち、地域のあらゆる子育てに関する資源にも目を向ける アセスメントに関する情報は、家族からだけではなく、可能な限り多くの所から得る 養育者の養育に関する価値観とその環境を細かく観察した上で、子どもの発達の支援として、ベターな選択肢をいくつか準備し、療育的な支援を中心とした利用に関する計画をたてる 支援利用に関する計画を立てる際、何度も各児童発達管理責任者等との連携を持ち、各事業所が納得できるようなプレゼンテーションができる力量を持つ 地域の療育支援・特別支援教育ネットワークの一員としての役割を担う 地域及び圏域の学齢期における療育機関に関する情報を細かく知る ノーマライゼーション、インクルージョンについての意識を持ち、地域のあらゆる社会資源にも目を向ける アセスメントに関する情報を、家族からだけでなく、可能な限り多くの所から得る 養育者の養育に関する価値観とその環境を細かく観察した上で、子どもの発達の支援として、ベターな選択肢をいくつか準備し、支援の利用に関する計画を立てる サービス利用に関する計画を立てる際、何度も特別支援教育コーディネーター等との連携を持ち、各関連機関が納得できるようなプレゼンテーションができる力量を持つ
乳幼児期における 児童発達支援管理責任者は 学齢期における 児童発達支援管理責任者は 地域の療育支援ネットワークの一員として重要な役割を担う。また、保健師との連携を常に持ち、できれば健診のフォロー体制の構築に寄与する 地域及び圏域の療育機関の中で、自事業所の地域での役割と立ち位置を常に意識する ノーマライゼーション、インクルージョンについての意識を持ち、退園の可能性とその時期をイメージする アセスメントに関し、自事業所のスキルを高める 担当の作成した支援計画について、家族への支援と子どもへの発達支援がバランスよく考えられているか等をチェックし、モニタリングの時期が適切かを判断する 事業所の窓口であり、送り出した後のアフターケアの責任者としての自覚を持ち、障害児相談支援専門員に必要な情報を提供していき、自らも支援会議等に出席する 地域の特別支援教育ネットワークの一員として重要な役割を担う。また、特別支援教育コーディネーターとの連携を重視し、特に進級、進学の際に関係者との連携に努める 地域及び圏域の療育機関と放課後支援機関等の中で、自事業所の地域での役割と立ち位置を常に意識する ノーマライゼーション、インクルージョンについての意識を持ち、将来の社会生活のために必要なスキルを意識する アセスメントに関し、自事業所のスキルを高める 担当の作成した支援計画について、保護者のニーズだけに対応した支援計画にならないことと、子どもへの発達支援の視点も組み込まれているかを等をチェックし、モニタリングの時期が適切かを判断する 事業所の窓口であり、送り出した後のアフターケアの責任者としての自覚を持ち、障害児相談支援専門員に必要な情報を提供していき、自らも支援会議等に出席する
障害児相談支援専門員と児童発達支援管理責任者との関係を作っていくために実施したいこと 障害児相談支援専門員は、障害児支援利用計画案を立てる時、(更新・モニタリングの際は、利用している事業所の子どもの様子を実際に見ておくことは大切です。)また立てた後で、関係者にその内容を伝え、事業所の意見を十分に把握した上で、正式なプランを作成していきます。 正式な障害児支援利用計画は児童発達支援管理責任者の手に届けていく。 児童発達支援管理責任者は、障害児支援利用計画の内容に納得をした上で、自事業所における個別支援計画を作成し、障害児相談支援専門員に届けていく。 本人・家族の承諾のもとで
児童発達支援管理責任者は・・・ 障害児相談支援専門員の示した障害児支援利用計画を参考にして、自事業所が展開する支援を、必要なだけ、子どもとその家族に提供することになります。(利用人数が少ないからと、受給量に余裕がある場合は、勝手に利用頻度を多くするよう勧める事業所がありますが、そうしたケースでは子どものためにはいいことだとは思えないことが多くあります。) 事業所が提供する支援内容についての具体的な個別の支援計画を担当に作成させ(あるいは自身が作成し)、家族の承諾を得て、適切に支援が自事業所で提供されているかをチェックし、モニタリング時などに障害児相談支援専門員に支援提供の状況を報告していく、といった流れが、主な児童発達支援管理責任者と、障害児相談支援専門員の関係と理解しておきましょう。
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。 都道府県研修におきましては、本テーマについての講義について、まず、児童期においては、専門的な視点から様々な評価や方針を、すでに持っている機関もあることから、相談支援専門員が立てる利用計画の「案」ができる前か、できてすぐに、支給決定前における事前の関係者会議が大切となります。その点を強調して下さい。 児童期における障害を持つ子どもの支援システムは、ある程度形としては以前から機能している地域は多いものです。そうした地域においては、支援システムの中で、どのように相談支援専門員と児童発達管理責任者が動き、支援システムの図の中に、双方をどう描いていけばいいかをイメージして下さい。できれば、都道府県内の一つの市町村の児童の支援システムを示し、その中で、相談支援専門員の活動範囲と具体的な仕事ぶり、児童発達管理責任者AさんとBさんの動きを、それぞれ見せていけると、わかり易くなるのではないかと思います。
しかしながら、現実は・・・ やはり、障害児相談支援専門員と児童発達支援管理責任者の関係がイメージできない。 (下記のことについては全ての地域に当てはまるわけではありません。全国的に児童の分野の現場から、よく聞こえてくる声の内容です。) やはり、障害児相談支援専門員と児童発達支援管理責任者の関係がイメージできない。 児童の事業所は、障害児支援利用計画を手にすることもなく、また見ることができたとしてもあまり参考にならない内容が多い。一方では、事業所の個別支援計画を、相談支援専門員が目にすることないまま、計画の更新も行われている。 障害児支援利用計画の案が提示された関係者の連絡会議・個別支援会議が実施されていない。 子どものことがあまりよくわかっていない人が相談支援専門員として活動している。あるいは、子どものことを専門とした相談支援事業所自体が地域にないか、かなり少ない状況にあり、行政からは名簿を渡されてここから利用計画を作成しているところを探してと言われるものの、なかなか見つからないままで困っている。 障害児支援利用計画と個別支援計画との違いがまだ分からない。
現場から聞かれる困り感をどう解決していくか? 障害者ケアマネジメントの目的と、その手法をしっかり理解した相談支援専門員が作成した障害児支援利用計画とはどんなものなのかを、学んでいきましょう。そうした利用計画を手にした家族は、前向きになり、今やるべきことが整理され、元気になっていきます。そうした利用計画を受け取った事業所は、その内容に安堵し、大いに参考にもしていき、これからの子どもの支援に展望が持てることになります。 子どもの支援利用計画がしっかりと立てられるようになるためには、都道府県単位での人材育成のシステムとその内容の充実が、一層必要になってきます。事業所における個別支援計画の内容の充実に関しても、同様です。 都道府県及び市町村における(自立支援)協議会には、子どもの支援に関する部会の設立が必要ですし、多くは障害保健福祉圏域単位で話しを進めなければ、人材不足で部会自体が成立しにくいところも少なくありません。いずれにしても、障害児支援利用計画と、事業所における個別支援計画の内容の充実を求めて、研修会・勉強会、ケース検討会、OJTのための職員交流の実施に力を入れていくことが、当分の間重要です。
障害児相談支援体制が整っていくまで・・・ 児童畑で経験豊富な児童発達支援管理責任者は、当面の間、障害児相談支援専門員が地域に育ってくるために、力を分けて下さい!当面の間、できあがった個別支援計画の中身をていねいに、相談支援専門員に説明して下さい。そして、「うちの事業所ではここからをしっかり考えるので、この点についてあなたには頑張って考えてほしい。」と、相談支援専門員にやさしく情報提供して下さい。また、児童のことはわからないと言っている障害児相談支援専門員がいれば、温かいまなざしで、子どもの中で遊ぶ機会を提案して下さい。さらに、個別支援会議を自らが計画して実施し、ご家族の承諾を得ていき、その会議に障害児相談支援専門員を呼びましょう!保護者の方とは、公的サービスの利用ペースについて、今一度サービスを使いすぎていないかも含め、ホントに子どもはそれでいいの?子どもは疲れていないかな?という問いを投げかけましょう。一方で、できれば地域の中で児童発達支援管理責任者が集まる機会を作っていきましょう。
障害児相談支援体制が整うまでに留意したいこと 個別支援計画と障害児支援利用計画の間には、上下関係はもちろん、どちらが先かということもないと考えていくことが、現実的な解釈となります。どちらからの提出でも、互いに温かく受け止めていくようにしたいものです。 相談支援体制は何のため、誰のためなのかを何度も確認していきましょう!運営的に成り立たないという声は特に相談支援事業所で大きいのですが、本人と家族はもちろんのこと、行政としても、事業所としても、この体制を進めることで、先々は利になる部分があることを、何度も確認しましょう。 子どもの朝の姿、ご飯を食べる姿、お風呂の時の姿、買い物に行っている時、床に入ってからの姿など、生活している様子を確認しながら、一日、一週間をイメージし、関係者と共有することが、児童期における「連携」ということではないでしょうか。(それを取りまとめ、イメージの元を作っていくのが、障害児相談支援専門員の大切な仕事の一つです。)ていねいに時間をかけて、その協働作業をやっていきましょう。
児童発達支援管理責任者は・・・ 障害児相談支援専門員は・・・ ・ 子どもの発達上の課題とその家族がより前向きに生活していけるよう「深める」支援を展開していくための事業所の責任者です。(自事業所を中心に、事業所内のスタッフのスキルアップを常に考えての活動をし、子どもに応じて地域の中に出かけます。) 障害児相談支援専門員は・・・ ・ 家庭と児童期における地域の関連機関(保健師・幼稚園・学校等)とを「つなげる」支援を展開していくための地域の責任者です。(担当する地域全体が活動の場です) 腰を据えて、 子どもを 守る! 子どものために 地域の中を 駆け回る! 1.送る 2.受けとめる 5.地域内の調整 3.事業所内の調整 障害児 相談支援専門員 児童発達支援 管理責任者 4.返す
このシステムが機能していくためには、多くの課題があります。 重要 このシステムが機能していくためには、多くの課題があります。 障害を持つ児童の支援に関しては、地域にもよりますが、保健師、総合病院の小児科医、児童相談所心理判定員、児童発達支援センター園長あるいは主任保育士といったスタッフが中心となっているところは多いと思います。そうした流れの中で、これからは障害児相談専門員と児童発達支援管理責任者が、地域のキーマンとして活躍するようになってほしいものです。そのためには、様々な仕掛けが必要です。地域の子育てネットワークに相談支援専門員は参画して自身の役割をアピールすること、児童発達支援管理責任者同士が情報交換する場を定期的に持つこと、相談支援専門員と児童発達管理責任者の児童分野に特化した現任研修、または児童期の支援に関する専門研修の実施、といったことが当面の課題としてあげられます。 家族と子どもと事業所だけの話し合いの中で支援が実施されている例は多く、子どもにとって本当に必要な支援なのかが検討されていないケースも多いようです。地域の関係事業所において、隣は何をする人ぞ!ということが、児童の支援の中で生じないように工夫しましょう。
このシステムが機能していくためには、多くの課題があります。 重要 このシステムが機能していくためには、多くの課題があります。 児童発達管理責任者は、正直なところ、自事業所の運営に精いっぱいで、直接支援の中心的役割を担い、送迎の運転もしつつ、フル稼働状態の所が多いようです。事業所以外の地域の関係者に自らが関わりを持つことは少なく、家族に言われるまま、必要以上にサービスを提供していくことにばかり熱心な事業所をよく目にします。 中でどのような支援が行われているのかを監視し、子どものための支援となっているのかを見守るために、相談支援専門員は事業所に行って担当の子どもと遊ぶ時間を当面しっかりと持ってほしいものです。 子どもがやってはいけないことを事業所スタッフが見つけた時に、大声で怒鳴り、力づくで押さえつけるといった対応の多くで、とても合理的な配慮とは認められないものがほとんどです。経験不足と、障害に対する理解不足が、そうした結果を招いており、児童発達支援管理責任者自身が、不適切な対応をしているという情報も、少しずつ聞こえてきます。子どもへの愛情、障害を持つ子への敬愛のない人が、児童福祉の世界に参入する資格はありません。
9.支援提供プロセスの実際 柏学園 金丸 博一
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。 「支援提供プロセスの実際」では、事業所のおける支援の流れを示していくことになりますが、大きな目的は、個別支援計画をベースとして一人一人の子どもの支援を展開していくことにあります。内容の充実した個別支援計画が作成されないと、支援の流れとしてはOKでも、事業所としては、まだまだ十分機能したことになりません。支援計画の中身の質が大切であることを当然ながら強調してお伝え下さい。 本講義は事例を使いながら、支援提供プロセスを示していきますが、児童発達支援管理責任者の役割と出番をしっかりと示してほしいと思います。研修自体は、個別支援計画を立てていくことに注目が行きがちですが、支援のプロセスの中で、児童発達管理責任者としての役目を具体的に示しましょう。それぞれのプロセスで、児童発達支援管理責任者の仕事はここだよね!とお伝えください。常にスタッフを育てることを意識し、事業所が地域で社会的な役割を果たすことを意識していく仕事であることを、ケースを通して示していくことが肝要です。
児童期は特に互いに連携を取り合い、情報を交換しながら、同時並行して状況把握をしていくというイメージの方が現実的だと思います。 児童期の支援提供のプロセス (障害児支援利用計画案/正式な計画) 障害児相談支援事業者との連携 事業所 における 定期的に 繰り返し! (1)相談支援時の状況把握 (2)アセスメント ②基本的ニーズの把握 ③課題の整理 ①初期状態の把握 (3)個別支援計画の作成 ①到達目標の設定 ②個別支援計画の作成 (4)個別支援計画の実施 (5)中間評価と修正 ①支援計画の中間評価 ②支援計画の修正 (6)終了時評価 * 他機関との連携 * 就学・卒業等の移行期支援 児童期は特に互いに連携を取り合い、情報を交換しながら、同時並行して状況把握をしていくというイメージの方が現実的だと思います。 支 援 会 議
ケースの概要と経過-1 (注:本講義用のケースです。演習で取り上げるケースとは違います。) ダウン氏症候群。3歳4カ月男児。(B園に入園して二カ月目)初歩は2才6カ月。 妊娠後期、地元の産科医の紹介で、総合病院に転院。出産後間もなく、診断名の告知。生後、中隔欠損が認められたが、経過観察のまま現在に至る。運動制限が必要な状態ではない。また同病院で発達検査、各種専門スタッフによる定期指導を受けることができたこともあり、3才まではその病院で、診察、療育的関わり等を受けた。地元の保健師は年に7~8回ペースで訪問を続け、母親の話し相手となってきた。3歳になって、児童発達支援センターB園を紹介され、すぐに外来療育等指導事業による個別指導を開始。3:3には、B園に入園。通園バスを利用し、単独通園。入園を機に母親は職場復帰。保育園と併行通園することとなり、週に三日ずつ、それぞれの園を利用。 初回アセスメント(生活年齢;3歳1カ月) 使用検査:新版K式発達検査 (枠内数値は、発達指数。括弧内は発達年齢) *積み木の塔3個~(+)、円板回転~(+)、なぐり描き~(+)、予期的追視~(-)、 2個のコップ~対応難、釘抜状把握~(+)、紐付き輪を紐で下げること~(+)、 検者とのボール遊び~(+)、指差しについては、「手さし」の状態なので (-) とした。 歴年齢 全領域 姿勢・運動 認知・適応 言語・社会 3:1 39(437日) 68(761日) 39(439日) 31(347日)
ケースの概要(3歳2か月時)と事業所の状況-2 (注:本講義用のケースです。演習で取り上げるケースとは違います。) 3歳2カ月時の母親の気持ち:仕事を始めるにあたり、不安は大きい。また、歩けるようになって間がないので、ふらつきも多く、特に保育園に通う日は、けがをしないかと心配。この三年間、この子にかかりきりだったので、子どもの姉(年長児)に対してすまない気持ちも膨らんできている。一方では、諦めかけていた仕事に就くことができ、就業を応援してくれたB園の先生には感謝している。ただマイペースなところがある夫が、悠然と構え、子どもとなかなか遊んでくれないのに大きなストレスを感じている。何を尋ねても「なんとかなるさ!」と言っていることにも腹が立ててしまう様子。 入園初日より、単独での通園開始。月曜と木曜と土曜日に利用。通園バスを利用し、10:00から14:30在園。縦割りクラス(1日定員12名)。土曜は13時まで。月・木曜日は同じ市内ながら、少し離れたところに住む祖母宅近くに園バス停を設定し、祖母が送迎する。 事業所では、保護者参加の個別指導(60分)を月に2~3回、クラスごとに実施する母子通園日は月一日、クラスでは、設定場面は視覚的に楽しめる内容を中心に、集い・運動・リトミック・造形・クッキング・感覚系の遊びを中心に実施。午後は、子どもの体力に合わせて、遊戯室・園庭・午睡等を、当日の参加メンバーも考慮して実施。前期・後期の二学期制。家庭訪問時に目標の設定・修正を実施、個別支援計画は年二回作成。家庭とのやり取りは日々行い、生活リズムについても、毎日詳細にチェックを実施。本ケースの個別指導は、土曜日に実施し、母親が参加。 213
ケースの概要(3歳4カ月時)-3 (注:本講義用のケースです。演習で取り上げるケースとは違います。) 発語は母音中心。このところ、「あっあ~」「おお!」と、音が二つ重なることがある。要求は手を引いてくるか、手さしで示す段階。 体はやわらかく、椅子に座っていても、すぐにずれてきてしまうので、OTにより、本児用のいすを先日作成してもらう。そのため座位は、かなり安定してきた。 歩行は、左右に揺れながら、膝をあまり曲げずに歩くようなレベル。階段は幼児用の手すりを両手で持ち、主に右足から一段ずつ降りる。 入園してからは、体力を考慮し、昼食後は午睡をさせている。 食事は食べこぼしが多いものの、一人で食べる意欲があるため、本児が保持しやすいスプーン・フォークを作成し、すくい易い食器を準備しただけで、あとは本人が椅子から立ち上がるまで、身体的な介助はせずに、笑顔で見守っている。 5月の連休明けくらいから、少し余裕が出てきて、朝から笑顔が見られることが増えてきた。靴箱のところから教室まで20mはあるが、一人で歩いていく。手を引こうとすると、睨みつけてくる。 クラス以外のスタッフからの声かけで、ハイタッチを楽しめるようになっている。 ペープサートや絵本は口をあけて、じっと見ている。自由遊びの時間にペープサートを持たせると、本人なりにイメージを再現しているような動作を見せる。 音楽遊びの時は、教室の隅に言って座り込み、嬉しそうにクラスの子が踊ったりする姿を見ている。 214
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。 ここで取り上げているケースは、3歳のケースです。都道府県研修の多くの受講生は、学童期の支援を実施する関係者であることを理解した上で、このケースにしています。それは乳幼児期のケースは、発達支援の視点を色濃く示せるからであり、また、保護者の心理状態に寄り添いながら家族支援を進めることが、大切であると強調したいからでもあります。 学齢期になり、さらに学齢期後半に入ってからも、幼児期のきめ細かい評価や支援の視点が必要なくなるわけではありません。成長著しい児童期全般において、幼児期の支援スタイルを継続してもらいたいものです。 説明の時には、時には学齢期のケースのエピソードも交えながら、専門家の視点が入ると、ケースの捉え方が変わり、日常の関わり方が根本的に違ってくることもあると伝えていただければと思います。(例えば利き手の操作の不器用さを問題として考えていたところ、専門家の意見を取り入れるうち、椅子の工夫と支持する側への支援により、大きな改善がみられたといったことがあります。)
(1)相談支援時の状況把握 実施方法 保護者の主訴を、語感や言葉のニュアンスも含めて適切に評価し、把握する。 保護者の表情を注意深くくみ取り、寄り添う姿勢が大切! 実施方法 保護者の主訴を、語感や言葉のニュアンスも含めて適切に評価し、把握する。 主訴に対し、事業所のできることだけを伝えず、不安や心配事の軽減に努める。 (相談支援専門員・保健師等、関連機関からの情報を事前に得た上で)これまでの経過について把握する。 自事業所としての、子どもの状態像に関する見立て・所見も事前にまとめておく。 保護者の状況(心理状況、家族状況など)について、失礼のない程度に把握する。 個人情報の管理については慎重に行う 必要なツール 相談支援専門員の作成した障害児支援利用計画及び基本情報 相談受付表 事業所案内、事業所の利用手続き説明書 重要事項説明書(契約時) 事例より (3歳0ヶ月) 主訴は、病院からの紹介、療育を受けたい。 母親は就労予定でもあり、不安は大きい。 保育園にも合わせて入所予定。 大人しくずっと母親の膝の上に座っており、笑顔はたくさん示していた。 。 できれば、初回の面接時に子どもの笑顔を引き出していきましょう!そのための知識と 子どものための環境づくりが児童発達支援管理責任者には必要です。 5
主訴はニーズ? 主訴を元に相談を展開していくわけですし、始めの主訴は、当然ながら大切に受け止めていかなければなりませんが、言葉の通りに、「主な訴え」とは受け止めない方が良いと思います。 「ことばの遅れ」が主訴であっても、まず遅れを指摘したのは姑であり、母親はそこでは心配はしておらず、危ないことを平気でやってしまう子どもにどう接したらいいかで困っているということや、もう少し子育てに参加してほしいと思う夫への不満とそのストレスが、何より相談にのってほしいことである・・・といったことはよくあることです。 主訴をきっかけとして、訴えを示したご家族の方の頭の中を、緩やかに整理していくことを、児童発達支援管理責任者は上手に行ってほしいものです。一番困っていること、優先度の高いことなどについて、語り合う中で、主訴を示した人自身が気づいていけるように、助言を急がず、温かみのある支援を実施してほしいものです。
子どもの生活全体を知ること 「家の中ではテレビばかり見ているし、いたずらも多いので、放課後や休日にできるだけ通わせたい!」と相談をしてきた母親に対し、「わかりました。当事業所が、今対応可能な日は~です。他の日も受け入れられる日があればすぐ連絡します。できるだけ通ってください。」などと即答している事業所もあるようです。 子どもの睡眠の様子、学校での状況、放課後にテレビの他に楽しみにしていること、家族でのお出かけでの様子、普段の買い物での様子等々、月曜から日曜まで、朝から就寝までの様子を知らずに支援を行って良いのでしょうか? 子育ては大変でも、もう少し関わることで、親としての喜びにつながることがあります。子どもの方は、日中の大きなストレスを、夕方からのだらだらした時間で補っていることもあります。すぐに利用を勧めることが支援とはならないこともあることを、十分に意識しましょう。
(1)大切にしたい視点 気軽で身近なアクセス先になるように、事業所の提供内容を地域に発信できているか。 相談者が初めて訪れたときに、分かりやい支援内容と、親しみやすい雰囲気をもっているか。 相談者の基本情報、主訴、これまでの経緯を過不足なく収集できているか。その際、特に相談支援専門員との連携はスムーズか。 相談者の質問や要望に適切に答えられているか。 必要な場合には他機関紹介ができるように、地域の情報を整理しているか。 個人情報保護は職員に徹底できているか。 紹介元への必要な連絡(結果の報告等)はできているか。
支援プロセスの流れをイメージしていくため講義です。事例をうまく話の中にはさみながらお話し下さい。 注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。 支援プロセスの流れをイメージしていくため講義です。事例をうまく話の中にはさみながらお話し下さい。 「実施方法」とは、支援プロセスの中でその事業所で行う主なことです。児童発達支援管理責任者の役割を示しているものではありません。 「必要なツール」とは、事業所が実施する内容に関し、予め準備した方が良いと考えられるものの例です。事業所として準備しておいた方が良いものですから、担任・担当者が決まるまでは、児童発達管理責任者による指示、助言のウェートは高いと考えられます。 「大切にしたい視点」は、事業所全体の活動として大切な視点を示しています。事業所が適切な支援の提供をできているかを振り返り、大切な視点をチェックし、スタッフにその評価を返していく役割は、児童発達支援管理責任者の仕事であることを、お伝えください。
(2)アセスメント ①初期状態の把握 実施方法 事例より(3歳1ヶ月) 必要なツール 心理検査 発達検査、知能検査など (2)アセスメント ①初期状態の把握 実施方法 必要なツール 心理検査 発達検査、知能検査など (フォーマル検査) 発達評価表 (研究機関等によるもの、 事業所固有のもの) 発達検査、あるいは障害に応じた適切な評価を実施し、身体状況や心理・発達状況など状態像の客観的な把握に努める。 聴取により生育歴、発達歴などこれまでの状況について、さらに知っておきたいことを把握する。 必要な場合には、保護者の許可を得て、他機関からの情報を入手する。 事例より(3歳1ヶ月) 音の出る玩具、もののやり取りを繰り返すこと、ボール投げ(投げたものを急いで取りに行って渡すと笑顔)に興味を示した。 自ら次々と遊ぶことはない。動き回ることもなく、他の子どもの様子を見て楽しんでいる。 慣れてからのスキンシップは抵抗なく受け入れてくれた。 。 発達の状態を知ることにより、過剰な声かけ、過度な介助などの関わりを避けることができます。少なくとも知らずに支援することの怖さを認識しておきましょう。
(2)ー① 大切にしたい視点 当然ながら、検査の結果を伝えただけでは、保護者の不安は増大します。検査結果も含めて、発達の状態を丁寧に分析していくことで、初めて「評価」したことになります。事業所のスタッフだけでは、そこは難しいところもありますので、外部の関係者の協力も得ていくよう努めたいものです。 子どもの状態に応じ、適切な評価ツールを使用して実施しているか。また、大まかな評価するために準備した玩具・教材等はあるか。 他機関の評価、保護者からの情報を含め、評価に必要な情報収集ができているか。または、情報を収集するための人脈、ルートは形成されているか? 評価の結果を、保護者に分かりやすく、子どもの一人ひとりの生活の実態に合わせて具体的な説明をしているか。また、評価の結果が、事業所として支援にどのように活かしていこうとしているかを説明できているか。 例えば、子どもがご飯を食べる時に使用するものは、手の操作レベル、言葉の理解のレベル、姿勢の状態、子どもの意欲、保護者の思いなどを総合的に評価して、決めていくことになります。
発達の評価をすると見えてくる! 発達検査により、例えば聴覚系の記憶容量が2つのレベルであり、3つになるとその情報が混乱する子どもの場合、A・B・Cの順列の聴覚刺激の情報のうち、大きくはA・Bが入り易いタイプと、B・C、A・Cのタイプとの三つに分かれてきます。B・Cのタイプなら、声をかけた時、「鉛筆とノートを片付けます。」といった内容なら、ノートだけを片付けたら、よく反応できたことになります。A・Cのタイプなら、「先生にノートを渡しましょう。」の声かけで、先生にノートでないものを渡しても、指示が聴けなかったことにはなりません。 子どものことを細かく評価していないと、間違った対応になってしまうわけですから、わからないでは済まされないのです。できないことには理由があり、上記の例の場合は、声かけの仕方を工夫するだけで、「よくできました!」と褒めることは多くなります。発達の評価の重要性を、児童発達支援管理責任者が、改めて肝に銘じていきましょう。
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。 (2)アセスメント ①初期状態の把握 の部分で示していることは、全ての児童発達支援センター、児童発達支援事業所、放課後等支援事業所で実際に実施できているわけではないようです。保護者のレスパイト支援を中心に事業を展開したり、保護者の就労支援をメインとして子どもの受け入れを実施したりする事業所においては、示されたことをしっかり行わなくても、事業は成立します。しかしながら、自らが言葉で要求や希望を示せないことが多い児童期において、「本人のニーズ」が不明確なまま支援を行う以上、子どもの発達段階をしっかりと把握し、発達段階に沿った関わりを考えていくことが、子どものニーズを満たしていく支援になると考えられています。そこで、児童期の場合、子どもの自尊心や主体性を育てながら発達上の課題を達成させていくことを「発達支援」とし、「子どものニーズ」については、「発達ニーズ」といった言葉に置き換えることがあります。いずれにしても、基本としては十分に研修を重ね、初期のアセスメントで発達チェックができる事業所となるよう、受講生にお伝え下さい。
できれば、ご親族の方々の状況、思いも、失礼のないようにして、聞かせていただきたいものです。 (2)アセスメント ②基本的ニーズの把握 できれば、ご親族の方々の状況、思いも、失礼のないようにして、聞かせていただきたいものです。 必要なツール 実施方法 相談時の面談、初回アセスメントの情報等を整理して、子ども、母親、父親、それぞれのニーズを把握する。 それらのニーズにずれはないか、その有無を把握する。 面談時の情報、発達評価結果 事例より(3歳2ヶ月 入園の前月) 週に6日間、集団生活に入っていくことで、体力的に持つかどうかは心配。事業所、保育所ともに無理をさせない日課の設定をまず考えたい。 母親の思い~自身の就労のこと、二人の子どものこと、夫を今ひとつ頼りなく感じることで混乱気味 父親の思い~母親の再就労は早すぎないか?協力はしていきたい。保育所では、友だちを作ってほしい。 【大事なこと】 ・保護者のニーズの把握ー客観的に把握すること 親の発することばの背景にある ものを考えること 保護者のニーズと子どもの状態の誤差があるので、そこは時間を掛けて調整 することで、子どもの状態の正しい理解につながる ↓ これも幼児期の療育機関の職員の役割 保護者の思いをていねいに整理していきましょう。また、保護者のニーズは、昨日と今日は変わるところもあることを、十分に理解しておきましょう。「先日はこうおっしゃっていましたよね!?」という言い方は好ましいものではありません。
(2)ー② 大切にしたい視点 子どもの「発達ニーズ」が適切に把握できているか。 (2)ー② 大切にしたい視点 子どもの「発達ニーズ」が適切に把握できているか。 父親、母親、家族の思いを丁寧に聞き取り、理解し、主訴として把握できているか。 これらを合わせて、家族支援のニーズを把握できているか。 *「発達ニーズ」とは、「子どもが暮らしの中で必要とするもの」であり、「子どもの本音」であり、「子どもが欲求しているもの」です。子どもの健全な日々の生活と成長を保障していくために、子どもが 「快感」「喜び」「満足感」「達成感」「活動欲求」「愛情のある関わり」 等を得られるよう、多くの知識と情報を持ち合わせていきましょう。
児童期の支援提供のプロセス この講義用のスライドの6枚目で使っている、以下の表題の図について、 注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。 この講義用のスライドの6枚目で使っている、以下の表題の図について、 都道府県研修の講義の際には、各プロセスを図の順に説明していくわけですが、講義用のスライドとして、各プロセスの説明に入る度にこの図を示し、「今からはここの部分を説明します」と伝えてから、説明していかれることをお勧めいたします。 ・ 「②基本的ニーズの把握」における事例の状況としては、子どもの状態として、体力的に大丈夫なのかという心配と、母親の気持ちとしては、入園を前に不安でいっぱいなところ、父親はどうにか支えになろうとはしているのだが、結果的には母親の気持ちに寄り添うことができていないといった状況をお伝え下さい。こんな状況の母親にどう声をかけるべきか、時間があれば、受講生に尋ねてもいいですね。 児童期の支援提供のプロセス
(2)アセスメント ③課題の整理 実施方法 必要なツール 基本的ニーズの把握に基づき、課題を整理する。 (2)アセスメント ③課題の整理 実施方法 必要なツール 基本的ニーズの把握に基づき、課題を整理する。 支援項目ごとの内容と方法は、保護者の同意を得ながら進める。 併用する他の機関がある場合は、必要に応じて、他機関と役割分担と協働による支援を実施する。 支援項目ごとの課題の整理表 事例より:大まかな課題の整理 <子どもへの支援> ・移動の時間を大切にし、自分の力でゆっくり目的のところへ行けることを重視。 ・活発に子どもの模倣をする段階ではなく、大人が寄り添いながら、一対一の遊びを設定。 ・園生活の中に休養の時間を多めに設定。 <家族への支援> ・個別指導の時間にプラスして、当面は園での様子をこまめに伝えていく ・入園後に父親‐母親同堰の話し合いの機会の設定
(2)-③ 大切にしたい視点 列挙された課題に優先順位を付けて整理ができているか。 *緊急度、効果、般化度、家族の方の納得状況 (2)-③ 大切にしたい視点 列挙された課題に優先順位を付けて整理ができているか。 *緊急度、効果、般化度、家族の方の納得状況 家族支援についても同様に整理できているか。 発達支援の課題と家族支援の課題の関係性を整理しているか。 現実的な実施可能性を想定して課題整理しているか。 他機関との連携・役割分担が確認されているか。 課題としては重要であることが確認されつつも、自事業所では取り組むことが難しいということがわかれば、直ちにそのための手立てについて、相談支援専門員を始め、他機関へヘルプコールを出していきましょう。
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。 経験を積み、子どもの支援に少し慣れてきたら、いきなり個別支援計画の作成から始めてもいいですし、実際の現場では、課題の整理をしっかりと行うところは少ないようです。 ニーズとして『言葉が増えてほしい』という話があったから、支援目標に『言葉が増えるように支援します』では、子どもを大切にした支援とは考えにくいものです。言葉が遅い⇒初歩は二歳過ぎだった⇒手先の操作については1歳過ぎのレベル⇒言葉を発する段階ではない⇒子どもなりに自分でやりたい気持ちは芽生えている⇒好きな遊びの中で(一歳前半のレベルの玩具遊び)繰り返して一人で遊べる遊びは増やしたい・・・といったような実際の姿と評価・子どもの姿から考えられること・子どもが得意とすることを確認した上で、現実的に課題となることを推測し、初めて支援目標が見えてきます。課題の整理がしっかりできないと、個別支援計画は立てられないはずです。そうした説明をしていくとよいと思います。
個別支援計画を立てる前に整理しておきたい項目の例 (乳幼児期のケース) <子どもへの支援> ・全体的発達支援:運動・認知・社会・言語 ・子どもが力を発揮しやすい環境を再評価し検討 ・短時間ながらまとまった一連の行動の習得 ・遊びの中での活動の調整、子どもに合った生活リズムの検討 <家族への支援> ・子どもへの発達状況理解と関わり方の支援 ・父親‐母親の育児への協力関係づくり、兄弟姉妹への関わり方 ・母親の育児負担感の軽減 <地域支援> ・これまで関わってきた保健師との情報交換及び、事業所としてどういった支援を行っていくかの説明 ・保育所との連携~まずは、一回目の連携をいつ行うか?また、保育所等訪問支援事業をどの時点で開始していくか
課題の整理表 *本講義での事例における課題の整理の例 № 子どもの名前 ○川 金タロ さん 発 達 支 援 子どもの名前 ○川 金タロ さん № 発達ニーズ・意向等 の把握 初期状態の評価 (利用者の状況 ・環境の状況) 支援者の気になること ・推測できること (事例の強み・可能性) 解決すべき課題 発 達 支 援 *今はとにかく、B園でも保育所でも、その生活に慣れていってほしい。 B園のクラスに体験で入った時は笑顔は少し見られ、母親に抱かれて、子どもの様子をよく見ていた。 大人との一対一での遊びでは、反応はよく、対人興味は良好。 体力的にはまだ1歳後半くらいの状態。まだまだ疲れやすい状態にある。スキンシップを求め、笑顔はさらにたくさん引き出せていけると思う。自分でやろうとする自我は芽生えている 集団の流れとは別に、ゆっくりと過ごせる時間の設定は大切ではないか。 その中でも本人なりにできることは、手を出しすぎないようにして、見守っていけるよう配慮すべき。 *まだしゃべることができない。焦ってはいないが、たくさんしゃべるようになってほしい 認知面、手先の操作性のレベルは一歳前半で、口腔機能だけでなく全般の筋力の弱さ等を考えると、まだ発語が出てくる段階ではない。 関心があることはよく注目し、繰り返して何度も遊んで楽しむことができる。 何でも緊張はしやすく、慣れるまでに時間はかかるが、気を許すと積極的に人と関わろうとする姿も見られる。 言葉の発達に関しては、時期を見て両親に対し、どのような発達になるのか見通しを示していく機会を持つことは必要。 表現としては、動作模倣と日常的な生活場面でのジェスチャーの獲得の段階。 *保育所では友だちを作ってほしい(おとうさん) 子どもが遊ぶ様子を見ていることはある。持っているものをとられた時は、きょとんとしていた。 個別指導を行う部屋では、大人が行う手遊びやペープサートによく注目していた。 机上で一つの玩具でよく集中して遊べる子がいると、じっと見ていることがあった。活発に遊ぶ子どもに対しては、その動きを追いかけることが難しそう。 金タロくんが喜ぶ遊びは、少しでも多く具体的に両親に伝えていきたいところである。大人との遊びが、今は最も刺激があることになることも伝えたいところ。 家 族 *母親は父親に対しもっと子どもと関わってほしいと感じている。また長女に対し、しばらく放任だった気がしている。 父親とゆっくり話す機会はないが、一度会った感じは、愛想のよい優しそうなお父さんではあった。金タロくんの姉は、はきはきした口調で話しをする。明るく元気な印象。 子どものことで頭がいっぱいになっている母親を、そっと見守っている父親ではないか。母は子ども二人のことと自分の就労のことで混乱気味なので、寂しい思いをしつつ、今の状況を受けとめているかもしれない。 父親の言い分をしっかりと受け止めていく機会は作っていきたい。金タロくんの姉は母親そっくりのタイプとも感じる。似ているからこそ生じる子育てに関することを、一度話しをしていき、励ましたい。 地 域 連 携 *保育所との併行通園となる 送迎のことを考えて選んだ保育園。規模的にはやや大きめで、金タロくんの入るクラスは、27名で二人担任。 クラスには他に担任が気になっている子が二人いる。その子らのことも含め加配職員が一人つくことになった。 定期的に連携をとっていくことは、保育園園長としては大歓迎とのこと。その頻度と連携の仕方について、近く具体的に決めたい。
アセスメントにおける他機関との連携 アセスメントに関しては、例えば「母親自身のストレスと不安が大きいので、ひとまずできるだけ多く、放課後は当事業所で子どもには過ごしてもらおう。」ということもりっぱな評価です。その際に、その「ひとまずできるだけ・・・」というのが、半年なのか一年なのかまで評価してほしいものです。 「この子が生まれ、障害を持っていたからこそ、私は初めて親になれたのかもしれない。」といったことを話す親たちは多くいます。そして、「あの時に自分を見つめる機会ができたから、今の私がいる。」と話す親もいます。 親が親としての役割を果たし、親としての喜びを少しずつ感じていくための支援も展開しなければなりません。そのために、他機関の意見も聞き取りながら、必要な支援を必要なだけ提供できるよう、課題の整理を行っていきましょう。
事例より(3歳4カ月時):課題の整理をもとに (3)個別支援計画の作成 実施方法 必要なツール 個別支援計画表 支援項目の課題に基づき到達すべき長期目標と短期目標を定める。 時間(支援期間)と領域(支援内容)という2つの観点から個別支援計画を作成する。 到達目標は、時間軸を通して段階を踏んで達成される。 保護者の意見や希望を確認しながら作成し、保護者の同意を得る。 事例より(3歳4カ月時):課題の整理をもとに ・長期目標(1年)~できるだけ体調を崩さずに各園に通えるよう、休養の取り方には十分気をつけて過ごしていきましょう。 ・短期目標(3~6カ月) ・ 毎日午睡の時間は確保し、他の時間帯も金タロくんの休養の取り方について、その空間と過ごし方について随時考えていきましょう ・ 大人との一対一での遊びで、金タロくんから要求を示してくるものをいくつか見つけていきましょう ・ 言葉の成長について、B園の言語聴覚士と話し合う機会を作り、家庭での接し方について話し合いましょう。 ・ ご両親と保育所の先生、B園のスタッフで、話し合う機会を5月と7月に持ちましょう。
(3) 大切にしたい視点 長期目標と短期目標が適切な期間で設定されているか。 (3) 大切にしたい視点 長期目標と短期目標が適切な期間で設定されているか。 (短期:3か月前後~期間が長すぎる目標は具体性がないことが多い) 目標と課題内容は分かりやすく、具体的で、実施可能か。 発達支援3つ、家族支援1つ、地域連携1つといったバランスで設定してみましょう。 課題・目標とは、多重性、相互性があるのであり、その分析をした上で、合理的で実践的な支援を組み立てましょう。 育ちの特長・芽生えを活かしているか(ストレングス)。 分かりやすく文章化し、保護者に渡しているか。 保護者・子どもの立場に立った表現 ポジティブ表現(支援計画を読んで、保護者は前向きな気持ちになれたか?) 保護者の同意を得ているか。保護者の同意は選択可能な状況・条件の中で行われているか。
実地指導における不適切な事例? 児童期においては、予想をはるかに超えて、学童期の支援の事業所が増えています。そのため、年々膨大に増えていく全体の受給量を抑えていくために、行政の実地指導が厳しくなっているという動きも出てきています。実際に不適切な支援をしている事業所が多くなっているのであれば、それは当然のことでもありますが、十分な支援を行っているのに、年々厳しくなる実地指導や様々な通知に振り回され、その対応に追われている事業所もあります。 いずれにしても、事業所の支援内容に関しては、個別支援計画の内容が充実していれば、何も問題はないはずです。ご家族と検討を重ね、納得してもらった支援計画に、署名と捺印があるわけです。個別支援計画の質の向上に、常に重点を置いていくことが、事業所運営にとっても要となると考えていきましょう。
(4)個別支援計画の実施 実施方法 事例より~3歳6カ月 必要なツール ケースファイル、各記録用紙、評価記録用紙、支援実施一覧表など 支援スタッフはお互いに情報交換しながら支援を実施する。 支援のペースやスケジュールについては、保護者の同意を得て実施する。 設定された目標を、効率よく達成することに努める。 事例より~3歳6カ月 <療育実践> 思いの外、ほとんど欠席なく通園できている。 毎朝、靴箱から教室まで、20分かけて一人で行っている。各教室をのぞきこみながら楽しんでいる。 朝と帰りは、スタッフに会うたびに深々と頭を下げている。 療育修了後に日々の振り返りを実施 <保護者関係> 個別指導時に毎回療育状況を伝えている。 父親はすでに二回来園。よくしゃべる! STとの話し合いについて、6月に実施することになった。保育所との話し合いはすでに二回実施。 母親はお疲れ気味。
(4) 大切にしたい視点 支援内容は計画通りに実施されているか。 支援の記録が残されているか。(実施した支援会議の記録も必要) (4) 大切にしたい視点 支援内容は計画通りに実施されているか。 支援の記録が残されているか。(実施した支援会議の記録も必要) 支援内容と方法は、目標達成に効果がありそうか。 支援スタッフの相互連携がとれているか。 保護者が意見や希望を伝えることができているか。 支援スタッフが外部と連携しながら、支援内容の状況の評価を受ける機会を作るなど、定期的に学ぶ機会は設けられているか。 安定した出席率となっているか。(長期の欠席はないか?)
(5)中間評価と修正 ①個別支援計画の評価 実施方法 事例より(入園して5か月後の状態。) 必要なツール 中間評価記録表 療育アンケート (5)中間評価と修正 ①個別支援計画の評価 必要なツール 実施方法 中間評価記録表 療育アンケート 必要に応じて発達評価など 時期(段階)ごとに、到達目標達成度を評価し、分析する。 (まずは、目標が達成か未達成か判断し、未達成ならばその原因を考えましょう。もちろん、達成している場合も、何が良かったか、あるいは目標の設定が低すぎたのかどうかも振り返りましょう。) 保護者からのサービス評価を取り入れる。 保護者の要望や状況の変化については、常時情報を得るようにする。 事例より(入園して5か月後の状態。) <子どもの様子> B園の生活の流れにはほとんど沿えている。リズム体操の時は、にこにこしながら見ている。 片付け、かばんかけ、連絡帳の提出などが、できる日が増えている。 声を出して笑う姿が見られだした。 調子に乗って少しふざけることも出てきている。 <両親の思い> 両園にほとんど休みなく通えていることに安堵している。 金タロくんは、実際にかなり成長しているとは思うが、母親としてはそのことを受けとめる余裕はなさそう。
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。 「実施方法」のところに、(まずは、目標が達成か未達成か判断し、未達成ならばその原因を考えましょう。もちろん、達成している場合も、何が良かったか、あるいは目標の設定が低すぎたのかどうかも振り返りましょう。)と書いていますが、このことが特に大切な作業となることを伝えましょう。わりとできていないのが、達成した原因を探ることです。うまくいかなかったことを反省をしていくことはできても、実践の中ではなかなか生かされないものです。しかし、上手くいったこと、適切な関わりであったと振り返ることは、殊に経験数の少ない職員にとっては、励みとなると思います。上手くいっている要因を上手に事業所のスタッフに評価し伝えていくことは、児童発達管理責任者の役割の一つと言える部分です。事業所のよくない面に頭を悩ませ、修正してほしいことを伝えるばかりで、結果として職員集団の中で孤立している児童発達支援管理責任者は少なくありません。ぜひ、そうした部分も含めて、このプロセスの説明のところでお伝えください。
(5)-① 大切にしたい視点 設定した期間(短期目標)ごとに中間評価を実施しているか。 (5)-① 大切にしたい視点 設定した期間(短期目標)ごとに中間評価を実施しているか。 設定した期間以外でも、常に発達ニーズや保護者ニーズの変化に気を付け、必要に応じて中間評価と修正を加えることができているか。 保護者の満足度、要望、苦情を知る方法を設定しているか。 当然ながら、保護者の気持ちは日々揺れていく場合もあります。要望や訴えに一貫性がなくても、振り回されることなく、温かく受けとめていき続けていくことが、特に児童発達支援管理責任者に求められることでしょう。
(5)中間評価と修正 ②個別支援計画の修正 実施方法 事例より 必要なツール 個別支援計画の修正、変更記録表 (5)中間評価と修正 ②個別支援計画の修正 実施方法 必要なツール 個別支援計画の修正、変更記録表 到達目標に達成できていない場合は、その原因を分析的に考え、新たな目標設定をしていく。 修正にあたっては、 担当者間で連携を取る。必要に応じて、他の視点からの助言を得る。 保護者に修正や変更の同意を得る。 事例より <園内関係者会議での検討内容> ①欠席が少なかったのは、B園、保育所ともに、休養時間の確保がうまくいったのではないか。 ②母親の不安は、むしろ大きくなってきている。 ③関心ごとが増え、子どもからの要求が出てきている。 各担当者の意見 クラス担当;大人との関係を中心に、遊び方が変わってきている。 個別指導担当;手元をみて操作することが増えている *児童発達管理責任者は、会議内容を保護者に伝え、今後の方針について話し合った。
(5)ー② 大切にしたい視点 中間評価に基づき、適切な修正ができているか。 適切なスタッフで検討会議を開催しているか。 (5)ー② 大切にしたい視点 いつ、どんなメンバーで、どのようなテーマのもとに検討会議を行ったのかは、記録として残していくことが必要です。個別の支援目標についての評価は、決して一人で行わないようにしていきましょう。 中間評価に基づき、適切な修正ができているか。 適切なスタッフで検討会議を開催しているか。 必要に応じて、修正内容の検討のための評価を実施しているか。 保護者の意見を聞き、同意を得ているか。 修正結果を文章化できているか。
(6)他機関との連携 実施方法 必要なツール 連携希望書 他機関連携記録 併用機関について、内容、日程、担当者等を正しく把握する。 報告書 併用機関について、内容、日程、担当者等を正しく把握する。 電話、報告書、訪問等、必要に応じた方法で連携を取る。 連携の希望の有無、その方法と内容、時期については、保護者と十分に話し合いながら実施する。 個人情報保護の視点と発達支援、家族支援の視点から、伝えるべき内容と伝えるべきでない内容について吟味する。 連携希望書 他機関連携記録 報告書 事例より <保育園との機関連携> 保育所等訪問支援事業について、かねてから保育所には説明してきているが、9月あたりから開始に踏み切ってはどうか。 母親の不安については、相互に確認していきたい。 引き続いて、無理に集団参加させることはなく、本児のペースに合わせた生活の流れを考えていくことでは、大いに意見が一致した。 保育所の担任としては、思うように金タロくんと関われないことで悩んでいた。頻繁に個別の指導が必要な子が他におり、日常的な保育で、何から優先すべきか混乱気味である。
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。 事例についての補足:母親の不安について~何故不安が解消されないのか?疲れているのなら、移動支援や家事支援は使えないのか?短期入所を利用することも考えてはどうか?といった議論に繋がることがあります。しかし、まずは家族の力、親戚・近所の方の協力といったことから考えていくことが基本です。このケースの場合、母親は、久しぶりの就労による疲れと、就学を迎えている本児の姉への思い、夫への様々な不満、子どもの将来についての漠然とした不安などが重なっており、不安が解消されないのも当然とも思える状況です。こうした状況は、子どもに障害があるなしにかかわらず、再び仕事に就いた母親には、普通に生じるものとも考えられ、乗り越えてほしい壁にぶつかっている状態です。子育てをしながら働いている職員を中心に、母親に寄り添い、共感しつつ、母親の話を傾聴し続けることが、何よりも大切な支援であると考えることもできます。公的サービスを勧めれば、それでよいというわけではなく、子育て支援の視点を持って、母親とその家族が自分たちの力で乗り越えていく姿を見守ることも、大切な支援の一つであることをどうぞお伝えください。
(6) 大切にしたい視点 必要な時に、主体的に、連携が実施されているか。 *連携の目的・・・そのための課題の整理 *連携する機関・関係者 (6) 大切にしたい視点 *相談支援専門員との連携 役割の確認 必要な時に、主体的に、連携が実施されているか。 *連携の目的・・・そのための課題の整理 *連携する機関・関係者 *連携の方法 *頻度 *事業所内の役割分担とキーパーソン 保護者の希望、相手機関の希望を把握してるか。 地域ネットワークの視点で連携しているか *ヴィジョン・アクション・フィードバック・連携ツール 個人情報保護の視点を持って行っているか。 (本人主体・倫理の共有)
(7)就学・卒業等の移行期支援 実施方法 事例より 必要なツール(就学期の場合) 保護者への情報提供 保護者が悩みや考えを話し合える場の提供。 担当者が意見や考えを伝えるのではなく、家族で話し合い、情報を収集し、子どもにとって適切な場を選択していくプロセスを支える。 このプロセスを通して、子どもの状態と、住んでいる地域の状況をより理解できるように支援する。 各市区町村の特別支援教育体制に関する情報 (就学相談、巡回相談、学習支援体制など) 学校情報 (学校公開日程、教育内容など) 就学支援シート(サポートファイル等) 事例より ・年長児の時は、B園には週に一度通った。 ・年長児対象の保護者学習会には、両親が参加。 ・学校の教職員が保育園に様子を見に行ったときに、B園児童発達管理責任者、相談支援専門員も保育園を訪問。以後、移行支援会議が実現した。 ・教育委員会には、保護者には相談に行ってもらい、子どもの報告書の提出、特に保護者の思いの変遷については、直接報告した。
(7) 大切にしたい視点 移行期に関する相談支援が、実施されているか。 (移行期を迎える子ども・児童・生徒全員に対して) (7) 大切にしたい視点 保護者にとって、次に生活の場の転換迎える時期は、ストレスフルな時期であり、結論を出せない状況を繰り返すものです。決してせかさず、助言を避けながら、何度も温かく話を受けとめる機会を作っていきたいものです。 移行期に関する相談支援が、実施されているか。 (移行期を迎える子ども・児童・生徒全員に対して) それは、保護者の主体的な行動・選択を支えているか。 地域の学校情報、最新の特別支援教育の体制やサービス、18歳以降の福祉サービスの実態、就労支援の状況等について把握し、整理しているか。 移行期に向けての企画が、タイムリーに実施できているか。
移行期支援のプロセス(課題解決プロセス) 気持ち・考えの整理・・なぜ○○学校・○○施設・○○会社に行かせたいか 情報の収集・・資料の集め方、見学、体験等 情報の整理・・子どもにとっての長所と短所 子ども理解の再整理と親の希望(価値観)の整理 ・・ここが一番苦しい 選択・・選ばなかったことの補償の方法 希望が満たされるための交渉、関係作り 振り返り このプロセスを支え課題解決の姿勢と方法を伝えていくことが、移行期支援 このプロセスに両親/家族の参加を促すことが、家族支援につながる。 この姿勢とスキルは、その後の選択場面に活かされていく。 この姿勢とスキルは、やがて子ども自身の生き方に大いに活かされていく。 移行期支援は児童発達支援の要の一つ!
移行期支援に含まれる意味 なぜ「移行期支援」が効果的か 障害理解と受容 エンパワメント カウンセリング 家族機能の育成・回復 全員が通過する課題 テーマと目標(学校等行き先を決めること)が明確 選択肢(学校等)が絞られている~現実的な視点に立たされる 日程と期間が定められている 家族全体のことを考えられる 継続的に振り返りができる(結果検証) 支援する側としては、この四つの視点をしっかりと意識して、実践が行えているかどうかで、親の信頼度も違ってくると考えられる。
「厚労省 H25年度障害者福祉推進事業 障害児通所支援の今後の在り方に関する調査研究 報告書 平成26年3月 一般社団法人 全国児童発達支援協議会」P223より
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。 数年前までは、「就学支援」としていたのを、「就学・卒業等の移行期支援」という表現に変えています。児童期が、0~18歳ということを考えると、この方が適切であり、都道府県の本研修を受講する方の多くが、学齢期を支援する事業所の方であることを考慮してのものです。但し本来は、就学を前にした5、6歳の時期はとても大切な時期であることを伝えたかったものであることは、ご留意ください。 「つなぐ支援」を定着させ、相談支援体制を進めていくためには、移行期における事業所の役割は大きいと言えます。移行期が多くある児童期の「つなぐ支援」が充実しないと、長い成人期の期間に、情報が不足したまま支援を展開することになります。児童期に関心を持ったこと、得意だったこと、性格的なものなのか障害なのかという見方、家族関係、社会性のスキルに関することなどについては、大人になってからの支援を考えるにあたり、かなり有益な情報となることがあります。児童期の移行期支援はまだまだ多くの課題を持っていますが、改めて情報をバトンタッチすることの重要性をお伝え下さい。
事業所の何に満足し、何に関して期待外れだったのかが、正直に表現できるような工夫はできているでしょうか? (8)終了時評価 実施方法 必要なツール 終了時評価表 到達目標達成度を含めた個別支援計画全体を客観的に評価。 支援提供はスムーズに行われたか、また、行われなかった場合の原因は何かを評価。 利用者の状態の変化・満足度などの観点から評価。 同様のケースの個別支援計画作成に評価を活かす。 事例より(就学前の3月) ・元気に毎日通園・通所しているが、一度体調を崩すと、なかなか完全には治りにくい面は持っている。 ・・保育園の年長の時の行事には、張り切って参加する金タロくんの姿が見られた。他の父兄からの声かけ、声援は絶大である。 ・発語については、不明瞭ながら単語レベルで伝えようとする。保育所では、金タロくんの言葉を通訳できる子が3人いる。 ・相談支援専門員と両親の信頼関係は良好。 ・就学先の校長・特別支援Co.は、金タロくんが周りの子どもを和ませてくれる力をかなり評価している。特別支援学級に在籍するが、交流の機会は多く設定したいとのこと。 事業所の何に満足し、何に関して期待外れだったのかが、正直に表現できるような工夫はできているでしょうか?
(8) 大切にしたい視点 到達目標の達成度はどうか。 適切な支援提供ができたか。 利用者の満足度はどうか。 (8) 大切にしたい視点 できれば、第三者に、利用はじめから退所までの目標達成度を評価してもらう機会を作りましょう。 到達目標の達成度はどうか。 適切な支援提供ができたか。 利用者の満足度はどうか。 事例としてまとめ、今後の参考としているか。 子ども本人にも評価してもらう方法を考えていますか?特に学童期以降は、日頃の支援から評価を受けられるように、表情の描いてある用紙などを使っていきましょう。
「終了時」って、次の移行先が決まる時のこと? 支援していくにあたり、「終了」ということは、なかなかイメージしにくいものです。障害の状態にもよりますが、少なくとも障害の重い・軽いにかかわらず、長期的に公的な支援を継続することが必要なケースは少なくありません。 「障害者ケアマネジメント」の考え方のもとで、「相談支援体制」を展開していくためには、できれば、初期のアセスメントの時に「終了時」がイメージできていることが大切です。《終了》とは、次の移行先が決まるまでのことではありません。《終了》というのは、利用始めの時の「ニーズ」「要望」「希望」を受けとめ、事業所として、大きな目標がどこまで達成したら、支援を引いていくかという視点です。役割を終えて、次にバトンタッチしていくイメージを持とうとしなければ、事業所は育ちません。個別支援計画の修正時の会議も、長期の利用になると、慣れ合いのものとなり、「引き続いて利用されますか?」だけの確認の会となってしまいます。子どもにとって、本当に必要な支援なのか?という見方が薄れては、支援の効果はなくなります。
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。 初期のアセスメント、繰り返される中間評価と修正について、児童発達管理責任者が一人で担い、その内容をスタッフに伝えきれないまま支援を実施している事業所が目につきます。そうした事業所は、保護者の要望のまま長期にわたって支援を提供し、高校を卒業するまで受け入れていくことも多いようです。母親への就労支援をメインとする事業所であったとしても、利用する子どもに対して、何を目指して支援を提供しているのか、どういった年代をターゲットとして支援をしているのか、明確な事業所としての今後の方向性は持っておくべきです。そうしないと実際に支援しているスタッフの出入りが激しく、職員がいつまでたっても育ちません。 自分の事業所の地域的な役割、目指すべき方向性がはっきりしていれば、自ずと「終了時」をイメージすることもできます。支援のゴールが見えないと、支援スタッフが育たないということを、この項では強調していかれると良いと思います。
わ・Wa・わ 訪問型発達サポートセンターSeam 岸 良至 10.放課後等デイサービスガイドライン わ・Wa・わ 訪問型発達サポートセンターSeam 岸 良至
事業創設 と ガイドライン作成までの経緯① 障害児支援の見直しに関する検討会報告書 改正児童福祉法による障害児通所支援 開始 事業創設 と ガイドライン作成までの経緯① 障害児支援の見直しに関する検討会報告書 (平成20年) ※ 放課後活動支援の重要性を指摘 ⇒ 社会保障審議会障害者部会にて確認 平成24年4月~ 改正児童福祉法による障害児通所支援 開始 児童発達支援 放課後等デイサービス (創設) 保育所等訪問支援 (創設)
事業創設 と ガイドライン作成までの経緯② 障害児支援の在り方に関する検討会報告書 ※ 平成24年4月以降の状況を踏まえ、 事業創設 と ガイドライン作成までの経緯② 障害児支援の在り方に関する検討会報告書 (平成26年7月) ※ 平成24年4月以降の状況を踏まえ、 特に放課後等デイサービスにはガイドラインが必要 「支援の一定の質を担保するための全国共通の枠組みが必要であるため、障害児への支援の基本的事項や職員の専門性の確保等を定めたガイドラインの策定が必要」 「特に、平成24年度に創設した放課後等デイサービスについては、早期のガイドラインの策定が望まれる」 現在の放課後等デイサービスの提供形態の多様性 支援の多様性自体は否定されるべきものではない 学齢期の子どもの健全な育成を図るという支援の根幹は共通 支援の質の向上のための基本的事項も共通
障害児支援の総費用額の推移 (障害児支援計) (百万円) (百万円) ※保育所等訪問支援(再掲) 平成24年度 平成25年度 平成26年度
放課後等デイサービス事業創設まで 「心身障害児通園事業」(昭和47年に制度化) 「障害児通園(デイサービス)事業」に名称変更(平成10年) 放課後等デイサービス事業創設まで 「心身障害児通園事業」(昭和47年に制度化) 「障害児通園(デイサービス)事業」に名称変更(平成10年) 対象は小学6年までに拡大 児童デイサービス(Ⅱ型)(平成18年) 対象は18歳までに拡大 “療育”の流れ “居場所” 提供の流れ 放課後等デイサービス 創設
障害児通所支援に関するガイドライン策定検討会 障害児通所支援に関するガイドライン策定検討会 構成員名簿 平成26年7月『障害児支援の在り方に関する検討会の報告書』において、障害児通所支援について、その質を担保する観点からガイドラインの策定が必要である旨言及されている。これを受け、障害児通所支援に関するガイドラインを作成するため、有識者、関係者の参集を得て検討を行う。 障害児通所支援に関するガイドライン策定検討会 構成員名簿 秋山 哲生 (全国重症心身障害日中活動支援協議会) 石橋 大吾 (一般社団法人全日本ろうあ連盟情報・コミュニケーション委員会副委員長) 石橋 𠮷章 (一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会副会長) 市川 宏伸 (一般社団法人日本発達障害ネットワーク理事長) 猪平 眞理 (社会福祉法人日本盲人会連合) 宇佐美 岩夫 (社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会常務理事・事務局長) 大塚 晃 (上智大学総合人間科学部教授) 大南 英明 (全国特別支援教育推進連盟理事長) 尾崎 ミオ (一般社団法人日本自閉症協会) 片桐 公彦 (特定非営利活動法人全国地域生活支援ネットワーク事務局長) 岸 良至 (一般社団法人全国児童発達支援協議会事務局長) 田中 正博 (全国手をつなぐ育成会連合会統括) 柘植 雅義 (筑波大学教授(人間系障害科学域知的・発達・行動障害学分野)) 辻井 正次 (中京大学現代社会学部教授) 福島 愼吾 (特定非営利活動法人難病のこども支援全国ネットワーク常務理事) 渡辺 顕一郎 (日本福祉大学子ども発達学部教授)
放課後等デイサービスガイドラインの 特徴 と ビジョン(願い) 放課後等デイサービスガイドラインの 特徴 と ビジョン(願い) ・障害を理解していることを前提とする その上で、 ① 発達支援の役割 ② 後方支援の役割(共生社会の実現のため) ③ 家族支援の役割 ・従事者それぞれのガイドラインの構成 児童発達支援管理責任者 向け 設置者・管理者 向け 従業者 向け ・評価表(チェックリスト) 事業者向け自己評価表 保護者等向け評価表
「放課後等デイサービスガイドライン」の概要 ◆ ガイドラインの趣旨 ◆ 放課後等デイサービスの基本的役割 子どもの最善の利益の保障/共生社会の実現に向けた後方支援/保護者支援 ◆ 放課後等デイサービスの提供に当たっての基本的姿勢と基本活動 基本活動: 自立支援と日常生活の充実のための活動/創作活動/地域交流/余暇の提供 等 ◆ 事業所が適切な放課後等デイサービスを提供するために必要な組織運営管理 総則 設置者・管理者向け ガイドライン 児童発達支援管理責任者 向けガイドライン 従業者向け ガイドライン ◆ 子どものニーズに応じた適切な支援の提供と支援の質の向上 環境・体制整備/PDCAサイクルによる適切な事業所の管理 従業者等の知識・技術の向上/関係機関・団体や保護者との連携 等 ◆ 子どもと保護者に対する説明責任等 運営規程の周知/子どもと保護者に対する支援利用申込時の説明/保護者に対する相談支援等 苦情解決対応/適切な情報伝達手段の確保/地域に開かれた事業運営 等 ◆ 緊急時の対応と法令遵守等 緊急時対応/非常災害・防犯対策/虐待防止/身体拘束への対応 衛生・健康管理/安全確保/秘密保持等 等
放課後等デイサービスガイドラインに基づく自己評価等 「事業所は、本ガイドラインに基づく自己評価を実施し、その結果を事業運営に反映させ、自己評価結果については公表するよう努めるものとする。」 ○ そのためのチェックリストが必要との意見 ○ ユーザー評価にも使えるように、との意見 「事業者向け放課後等デイサービス自己評価表」と、より簡素な「保護者等向け放課後等デイサービス評価表」を作成 想定される自己評価の流れ ① 保護者へのアンケート調査 ② 事業所職員による自己評価 ③ 事業所全体としての自己評価 ④ 自己評価結果の公表 ⑤ 保護者のアンケート調査結果のフィードバック
放課後等デイサービス ガイドラインは ・基本的事項を示す ・事業マニュアルではない 事業の運営上は留意すべきことを述べている 放課後等デイサービス ガイドラインは ・基本的事項を示す 事業の運営上は留意すべきことを述べている 障害児通所支援全般に共通すること 放課後等デイサービス特有のこと ・事業マニュアルではない 創意工夫、支援の質の向上は事業所の意識と努力次第 ※参考①:CDS Japan受託 平成25年度厚生労働省障害者総合福祉推進事業 「障害児通所支援の在り方に関する調査研究」報告書 ※参考②:発達支援学 (CDS Japan編集) 協同医書出版 ※参考③:発達支援の指針 ※参考④:障害児通所事業マニュアル(仮称)編集中 (平成28年2月までには出版予定)
ガイドラインを読み込むために 視点次第で見え方が変わる 知識次第で深まりが変わる 成長、発達に関する知識 疾患や障害に関する知識 成長 (年齢、体の大きさ、手足の長さ、食事の量等) 運動発達 (筋肉の緊張、動き滑らかさ、パワー等) 感覚 (好む感覚、苦手な感覚、鋭い感覚、鈍い感覚等) 疾患や障害に関する知識 疾患や状態 (診断名と一般的臨床像、特徴、禁忌、予後等) 生活環境把握と理解のための知識 知能 (その子の学習形態) 学習 (好きな遊び、得意な遊び、好きな教科、苦手な教科等) 身辺動作 (日常生活関連活動) 家庭環境 (家屋構造、親子関係、家族力動) 子どもと集団 (誰と遊ぶ、どんな友達とどのように遊ぶ、つるむ等) 発達段階と障害状況、生活状況を統合する 視点次第で見え方が変わる 知識次第で深まりが変わる
様々な生活場面が学齢児の発達支援の活動の場になりうる 様々な生活場面が学齢児の発達支援の活動の場になりうる 発達障害 知的障害 肢体不自由 視覚障害 聴覚障害 教科学習 認知発達 操作性 学習 多様で、変化する学齢期の 発達像 と 多様な主訴 に対応出来る専門性 ICF 心身機能 身体構造 活動 参加 個別活動 集団活動での個々への対応 個別評価に基づく SST 話し合い 仲間作り 社会性 アセスメント (放課後等デイサービス計画への記載) 個別支援計画への記載 活動( による) OT 姿勢管理 変形対応 運動学習 運動 活動(OT以外の) 日常生活活動 (食事、着替え、排泄) 余暇 生活 余暇活動 生活の場 レスパイト 活動の場/形態 〈引用:一般社団法人 日本作業療法士協会 ※注 今後、改編があり 〉
放課後等デイサービスにおける地域との関係(例) 学 校 放課後 児童クラブ 家庭 先生 友 家族 後方支援(専門支援) 一貫した支援・分担しての支援 障害のない 子ども、若者 高齢者等 地域と交流 する支援 店舗等 放課後等デイ サービス事業所 客 店員 人 人 地域に出向いての支援 地域人材を活用した支援 公園、自然等 人 人 人 地域にいる人材 (特技や趣味等) 人 友 放課後等デイサービスにおける地域との関係(例)
障害児通所支援による 子どもへの関わりに不可欠な視点(知識) ⇒多面的に見れる感性の基盤 疾患や状態(診断、特徴、禁忌、予後等)に関すること 成長(年齢、体の大きさ、手足の長さ、食事の量等)に関すること 運動発達(筋肉の緊張、動き滑らかさ、パワー等)に関すること 感覚(好む感覚、苦手な感覚、鋭い感覚、鈍い感覚等)に関すること 知能や学習(好きな遊び、得意な遊び、好きな教科、苦手な教科等)に関すること 子どもと集団(誰と遊ぶ、どんな友達とどのように遊ぶ、つるむ等)に関すること ⇒複合的に関われる関係機関とのつながり