機関リポジトリの概要 JAIRO Cloud 講習会 平成 26 年 11 月 17 日 国立情報学研究所 柴田 育子(一橋大学附属図書館)
機関リポジトリとは Institutional Repository (=IR) 研究機関で生産された電子的な知的生産物 を捕捉し、保存し、原則的に無償で発信す るためのインターネット上の保存書庫 (国立大学図書館協議会( 2003 )「電子図書館の新たな潮流」 ) 2
機関リポジトリとは 大学がその構成員に提供する、大学やその 構成員により作成されたデジタル資料を 管理し発信するための一連のサービス Clifford A. Lynch ( Lynch (2003) “Institutional Repositories : Essential Infrastructure for Scholarship in the Digital Age.” ARL, 226.) 3
学術雑誌価格の高騰 市場の寡占化と価格高騰 機関や読者の購読中止の増加 売り上げ部数減少のため更に値上げ 購読中止の増加………という悪循環 4
学術雑誌価格の高騰 1誌あたりの平均価格 5
オープンアクセスの定義 学術論文を、経済的・法的・技術的障壁な く、インターネットを介して誰もが自由に 利用できること。 (Budapest Open Access Initiative (BOAI) (参考) ブダペスト・オープンアクセス・イニシアティヴから10年:デフォル ト値を「オープン」に(日本語訳) translations/japanese-translation-1 6
オープンアクセスの実現方法 1. オープンアクセスジャーナル (Gold OA) – 予約購読型以外のビジネスモデルの雑誌 著者負担モデル、予約購読型とのハイブリッド、 公的資金など 品質・掲載論文数は様々 オープンアクセスメガジャーナルの台頭 (PLoS ONE) 予約購読型の多くは、著者負担によるオープンア クセス化が選択可能(ハイブリッド OA ) ( Elsevier Open Access Options, Springer Open Choice など) 7
オープンアクセスの実現方法 2. セルフアーカイビング (Green OA) – 著者が自身の著作を OA リポジトリに保存す ること ( Suber (2012) “Open Access”) – 著者のウェブサイト – 機関リポジトリ – プレプリントサーバ (arXiv.org) – 政府主導分野別アーカイブ (PubMed Central) 8
機関リポジトリのコンテンツ 学術雑誌掲載論文 紀要等による学内発表物掲載論文 学位論文 国際会議等での口頭発表資料 教材, etc. 9
機関リポジトリの概要 10
機関リポジトリのメリット (研究者にとって) 研究成果の可視性の向上 – Google などの検索対象に 新たな情報発信のルート獲得 機関による一元管理と長期的な保存 – 「機関」であることの意味 11
機関リポジトリのメリット (大学にとって) 大学の研究成果を社会に還元 「大学からの情報発信力の強化や、大学の社会に対する 説明責任の履行の観点からも機関リポジトリは有効な手 段である。」 (「学術情報基盤の今後の在り方について(報告)」文部科学省 平成 18 年 ) 大学で生み出された知的生産物の長期保 存 12
機関リポジトリのメリット (学生にとって) 教員の著作が簡単に読めるようになった。 授業の履修選択、予習復習に便利 (受験関係者にとって) 大学の教育研究活動の一端が見える。英 語であれば海外のアクセスも 大学の研究のショーケース 13
機関リポジトリのメリット (一般の人にとって) 専門的論文が簡単に読めるようになった アメリカの高校生が OA 論文を利用して、 すい臓がんの検査方法を発明 “Open Access Empowers 16-year-old Jack Andraka to Create Breakthrough Cancer Diagnostic”. Right to Research Coalition old-to-create-breakth.shtml, (accessed ). 14
機関リポジトリ現状 全世界で 2,728 機関、日本は世界 4 位 ( 現在、 OpenDOAR による ) 日本では 476 機関 ( 現在、機関リポジトリ統計による ) – 2005 年の千葉大学が最初 15
日本の機関リポジトリ 16
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既存の図書館業務と IR 業務 既存 IR 固定(最終型)不安定(途中) 出版社・代理店・書店研究者 購入依頼・交渉・説得 入手・貸出入手・発信 大学構成員構成員 + 社会全体 18
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デジタルリポジトリ連合( DRF ) 156 機関が参加している日本の機関リポジ トリ構築機関の広域コミュニティ組織 ( 2014 年 10 月現在) メーリングリストや月刊 DRF 、 DRFwiki で の情報共有 図書館総合展でのワークショップ DRF Wiki 20