地球環境史(地球科学系) 現代地球科学(物理系学科)

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風速 風向 気温・湿度 クローズドパス システムBOX 32m 積雪深 純放射量 m 地温 土壌水分量 地中 熱流量 cm 5cm ×4地点 水蒸気密度 吸気口 オープンパス 二酸化炭素濃度 三次元風速.
13 室内空気環境 ○気温、気湿:アスマン通風湿度計 ○カタ冷却力:カタ温度計(カタ係数÷カタ温度計が38℃から35℃に下降するまでの時間)
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地球科学概論Ⅱ 担当:島田浩二.
VLBI観測によって求められたプレートの移動速度
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地球環境史(地球科学系) 現代地球科学(物理系学科) 担当教員:長濱裕幸、今泉俊文、海保邦夫

授業計画 1.授業概要ガイダンス 2.惑星地球の環境(太陽・大気・海洋) 3.惑星地球の環境(地球内部と温度)  項目1から5と9を長濱教授が、項目6から8を今泉教授、 項目 11から15を海保教授が担当し、最終回にテストを実施 する(合計15 回)。 1.授業概要ガイダンス 2.惑星地球の環境(太陽・大気・海洋) 3.惑星地球の環境(地球内部と温度) 4.活動する固体地球(マントル対流、プレートテクトニクスと 大気) 5.活動する固体地球(プレートテクトニクスと大気)

授業計画 6.プレートの沈み込み(地震・火山活動) 7.プレートの沈み込み(日本列島の成り立ち)  項目1から5と9を長濱教授が、項目6から8を今泉教授、項 目 11から15を海保教授が担当し、最終回にテストを実施する (合計15 回)。 6.プレートの沈み込み(地震・火山活動) 7.プレートの沈み込み(日本列島の成り立ち) 8.地球環境と災害(地殻変動による災害:地震・津波・火山) 9.大気と海洋の大循環(ジェット気流) 10.大気と海洋の大循環(海水の熱塩循環)

水と二酸化炭素の循環 水:地球の全質量の0・5%、地球表層に総計137万立方km (1)水の分布と循環 海水:97.2%、陸水:2.8%  水:地球の全質量の0・5%、地球表層に総計137万立方km    海水:97.2%、陸水:2.8%    淡水の総量:地中海の海水の10倍以上相当    全淡水の3/4にあたる2.1%が氷床・氷河に分布    その90%が南極氷河で占める。    残り0.7%のうち0.6%が地下水であり、河川・湖沼・土     壌中の水を併せても、全体の0.1%を満たさない。そのう     ち0.001%が大気中に水蒸気として存在。    淡水湖と河川の水:それぞれ0.009%と0.0001%    大気中には全河川の水の10倍の水が貯蔵。

自然水の分布と割合および平均滞留時間

平均降水量 海水は蒸発することにより分別され純水となり、 雨となって地表に戻る。 年平均降水量の地球全体での平均   雨となって地表に戻る。 年平均降水量の地球全体での平均   約1000mm(陸上741mm、海上1135mm)  日平均降水量:2.74mm/日  地球全体で1日で降る雨の総量:日平均降水量×地球の表面積

平均滞留時間  

海水の平均滞留時間  

二酸化炭素の循環と温度調節機構 二酸化炭素(温室効果ガス)は大気、海洋、堆 積物(炭酸塩岩)、土壌、生物の間を形を変えて 循環している。 地球大気中の二酸化炭素量は一定ではなく、 長い地質時代の間は変動していた。 しかし、金星や火星のようになったわけではなく 、温度を一定に保とうとする自然機構が働き、 温度が暴走することはなかった。

地球全体の炭素の循環

地球表層の5つのCO2貯蔵庫  

地球表層の5つのCO2貯蔵庫 (3)化石燃料:石油・石炭 1.2万Gt(ギガトン:10億トン) (4)陸上生物圏:森林が炭素の固定に貢献 毎年大気との間で60Gtやりとり。 (5)大気:750Gt.産業革命前までのは600Gtであっ たが、その後250年間の化石燃料の燃焼により150 Gt増加。

Missing sink 化石燃料の燃焼による炭素の大気への放出量:5.5±0.5 Gt 合計の放出量6.6±1.6 Gt のうち、 3.2±0.2 Gtが大気中に 残留し、温室効果によって温度を上昇させる。また2.0±0.8 Gtは海に吸収される。しかし、その他の1.4Gtの行方はわ かっていない。

大気中の二酸化炭素濃度の経年変化

大気中の二酸化炭素の経年変化 産業革命以前の大気中の二酸化炭素濃度:280ppm 現在の大気中の二酸化炭素濃度:380ppm 過去250年あまりの間に、100ppm増加 しかし、上昇気温は0.9℃あまり

地球全体で平均した地上気温の変化

南極氷床コアの分析による過去17.5万年の気温と二酸化炭素濃度変化

南極氷床コアの分析 南極氷床コアの分析の分析によると、過去16万年間 に大気中の二酸化炭素濃度は増減を繰り返し、80pp mの増減に伴い、温度は10℃増減した。 産業革命以後の二酸化炭素濃度の上昇により10℃ の温度上昇が予想されるが、実際には、0.9℃程度 しか変化していない。 この違いの原因は、何か?   二酸化炭素濃度の上昇にかかった時間の違いか?   この議論には、火山や温泉の効果が含まれていない 。

火山による影響 1.5億トンの二酸化炭素を大気中に供給 供給された二酸化炭素は光合成により植物に 固定  供給された二酸化炭素は光合成により植物に 固定  雨水に溶け込んだ二酸化炭素は、炭酸あるい は重炭酸イオンとなり、石灰岩を溶解する。  海水中のもpHに応じて炭酸・重炭酸イオンとな る。  大気中の二酸化炭素は、6000億トン、火山活 動が停止すると、二酸化炭素は4000年で消費さ れる。

二酸化炭素循環と火山活動 二酸化炭素は、数千万年から数億年単位の中で、固体地球と大気・海洋を循環している。 二酸化炭素循環と火山活動 二酸化炭素は、数千万年から数億年単位の中で、固体地球と大気・海洋を循環している。

宿題  火山活動によって大気と海洋に加わる二酸化炭素の量と、生物によって有機物あるいは炭酸塩岩として固定される二酸化炭素の量を等しくることによって、大気温度を一定に保とうとする働きがある。  温暖化と寒冷化により、それぞれどのような反応は進み、大気温度を一定に保とうとする働きが起こるか、右図を用いて考察せよ。