インターネットの 電力消費とエネルギー効率 グループDー2 川原研究室 M1 稲富 祐希
はじめに 課題論文 “Power Consumption and Energy Efficiency in the Internet “ K. Hinton, J. Baliga, M. Feng, R. Ayre, R. Tucker; IEEE Network, March/April, p.6, 2011 紹介内容 Network Model 本論文で使用するネットワークモデルについて Where Power Goes インターネット内で電力消費の多い場所 Improving Energy Efficiency of the Internet エネルギー効率を改善するための方策 Content Distribution and Data Centers コンテンツ配信ネットワークとデータセンタの消費電力 Conclusion
Network Model 機能提供のための最小構成でのモデル 以下のネットワークが含まれる コアネットワーク メトロ/エッジネットワーク アクセスネットワーク データセンタ IPTVネットワーク(コンテンツ配信ネットワーク)
Network Model
Where Power Goes 提供されるネットワークのアクセス速度 メトロ/エッジ,コアネットワーク ISP(インターネットサービスプロバイダ)が告知する速度 メトロ/エッジ,コアネットワーク 最悪の場合を想定し,顧客に最低限の速度を提供できるように設計 oversubscription ratio(過剰収容率)を定義 oversubscription ratio25の場合の消費電力を算出 ISPの公称値 顧客に提供される速度
Where Power Goes 無線の利用者は増加傾向 アクセスが用意 移動性がある 高速な無線アクセスを求める 利用者が増加していく 消費電力の面で利用者全員への 無線アクセスの提供が困難となるため, エネルギー効率の改善が必要 無線(Wimax,UMTS):エネルギー消費大 光ファイバ(PON):エネルギー消費小
Where Power Goes アクセス速度は40%/年増加 エネルギー効率は10%/年改善 現状:アクセスネットワークの消費電力大 アクセス速度の向上により, コアネットワークの電力が増大する恐れ
Where Power Goes アクセス速度が大きい場合 →コアルータの消費電力が支配的に 電力供給と冷却, フォワーディングエンジン →消費電力の65%を占める 負荷が最大限のルータ →10mJ/bの電力を消費 消費電力を抑えるには ルータの負荷の軽減が必要
Improving Energy Efficiency of the Internet インターネットで消費電力が多い場所 アクセスネットワーク機器 コアネットワークルータ EUでは電力消費に関するガイドラインを刊行 “Code of Conduct on Power consumption of Broad- band Equipment” ガイドラインで示されている方策の一部を紹介 機器のスリープ,アイドル 機器の処理速度を抑える コアルータのエネルギー効率改善 その他の方策 機器に使用する回路の変更 ネットワークの再構築
Improving Energy Efficiency of the Internet 使用していない時に消費電力を減らす装置 “スリープ”,”アイドル”と呼ばれる低消費電力状態 非通信時に,必要の内機能の一部をシャットダウン 装置を常に利用可能にするため,少量の電力は必要となる. 現在の機器は高速で動作できるため, 1秒よりもはるかに小さい時間で省電力効果が見込める
Improving Energy Efficiency of the Internet 負荷の低い時,機器の処理速度を減らす 装置の多くは,必要な処理速度以上の速度で動作 電子回路は処理速度が低い場合,消費電力が小さくなる トラヒックの負荷が低い時に,処理速度を低くすることで消費電力の削減が可能 →レートアダプテーション(rate adaptation) エネルギー効率化のためのイーサネットプロトコルで適用 インターネットの多くの箇所にも適用可能
Improving Energy Efficiency of the Internet コアルータのエネルギー効率を改善する 信号処理技術やルータの機能変更により実現 コアネットワークの消費電力が増大する傾向にあるため,重要な研究テーマとなる. もっとも効率のよいアクセスネットワーク技術の利用 アクセスネットワーク機器の消費電力の増大は明確な課題となっている
Improving Energy Efficiency of the Internet 使用する回路の変更 電子回路から光回路への変更 光回路は電子回路よりも高速で動作が可能 電子回路は100Gb/s程を実現できると予測されている(2010年時) 光回路は10Tb/sを実現する見込みがある. 研究者による提唱 既存のルータを小数の光回路のルータに置き換え →全体の消費電力削減に繋がる
Improving Energy Efficiency of the Internet 光回路における問題点 光信号処理技術の消費電力 CMOSが光回路よりも消費電力が5桁低い 光回路の消費電力は,ほとんど改善されていない 一方,CMOS回路の消費電力は年々改善されている ネットワーク機器に利用される回路として, 電子回路を利用するほうがエネルギー効率が良い
Improving Energy Efficiency of the Internet ネットワークの再構築も提案されている ルータに直接接続するのではなくSDH/SONETを経由して接続を行う SDH/SONET:光ファイバを用いた高速デジタル通信の国際規格 IPルータで処理されるトラヒックを減らすことが目的 トラヒックは,エンドーエンド間で平均して14のルータによって処理される. コアネットワークのルータを避けるように再構築
Improving Energy Efficiency of the Internet 10nJ/b 1-3nJ/b 1nJ/b SDH/SONETとWDMを用いたネットワーク構成により消費電力の削減でき,多くのトラヒックをエネルギー面で効率的に処理できる
Content Distribution and Data Centers コンテンツ配信ネットワーク 複数のコピーをデータセンターに保存 コンテンツ要求時に適切なデータセンタから転送 このサービスの成長とともに機器の消費電力も増加 消費電力の計算 以下の項目からダウンロードによる消費電力を算出 コンテンツのファイルサイズ →1.8Gbyte(2時間の標準的な映画 ) コンテンツの要求数 →1時間毎のリクエスト数
Content Distribution and Data Centers コンテンツ要求数に応じて配置の仕方の工夫が必要 人気のコンテンツ →複製を増やし,地理的に分散させる ・不人気のコンテンツ →複製を少なく,サーバに集中保存
Conclusions インターネットの規模は年々成長している 規模の拡大に伴い消費電力も増加 インターネットで最も電力が消費される場所の把握, インターネットの消費電力の管理は重要となる ネットワークモデルに基いて電力消費が多い場所を明示 電力の消費を効率化するための方策を示した
インターネットの 電力消費とエネルギー効率 グループDー2 川原研究室 M1 稲富 祐希
補足:光回路と電子回路 省電力手法について 電子回路 光回路 機器のスリープ レートアダプテーション 機器のスリープのみ 参考:K. Hinton , “Energy Consumption Perspective” invited paper FT1, OECC 2009
補足:コアルータの消費電力 高負荷時は10mJ/byte消費 1Gb/sの通信の場合 参考:“家電の消費電力” 製品 消費電力 電子レンジ 1300W ドライヤー 600W~1200W デスクトップPC 150W~300W ノートPC 50W~120W 掃除機 1000W-1100W 洗濯機 500W-900W エアコン 45W-2000W 参考:“家電の消費電力” http://www.eco-taisaku.net/denki/denkidai_list.html