GEM検出器による CF4混合ガス中の電子増幅 仁藤研究室.

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GEM検出器による CF4混合ガス中の電子増幅 仁藤研究室

背景 ILC(International Linear Collider)計画 中央飛跡検出器    背景 ILC(International Linear Collider)計画 それぞれ500GeV程度の電子と陽電子のビームを入射し、真正面から衝突させ、その際に発生したヒッグス粒子などを測定・研究する計画。 中央飛跡検出器 我々の研究室はCDCグループに所属しILCの中央飛跡検出器の研究開発を行っている。中央飛跡検出器とは寿命の長い粒子を測定する検出器。 TPC(Time Projection Chamber) この中央飛跡検出器には電子をガス中で増幅するMPGD増幅機構であるGEMを搭載したTPC検出器が検討されるようになってきた。TPCとは粒子の飛跡の空間配置が得られる検出器。

目的 GEM-TPCにおいてはTPC中のガス選択が重要 位置分解能が重要 位置分解能に寄与するパラメータ 電子の拡散 電子のドリフト速度 拡散が小さい ドリフト速度が低電場において速い等 低電場において電子のガス増幅がよい必要がある ガスを選択するにあたってはガスの比率や種類によって変わるガス固有のパラメータを知っておくことが重要 本研究ではGEMにおける電子の ガス増幅の測定評価を目的とした

研究内容 前述の目的を踏まえてAr-CF4-isoC4H10混合ガスの増幅率の測定・比較検討をテストチェンバーを用いて行う。 Arベースガスのクエンチングガスとして、従来はCH4ガスが使用されてきたが位置分解能、拡散、ドリフト速度等の面でCF4ガスが優れているのでAr-CF4混合ガスが検討された。 Ar-CF4混合ガスで実験を行った結果Ar-CF4混合ガスだけでは増幅率がAr-CH4ガスより悪くなることがわかった。そこで、このガスにisoC4H10ガスを添加して増幅率を改善できるかどうか検討してみた。 増幅率の測定にはMPGDであるGEMを用いたテストチェンバーを使用した。

(Gas Electron Multiplier) GEM (Gas Electron Multiplier) GEMはマスクを通した感光やフォトレジストによって不導体化された厚さ50㎛(100㎛のGEMもある)の絶縁体ポリマー(カプトン)に両側から厚さ5㎛の銅電極をサンドしたもので、直径70㎛の穴(GEM孔)が140㎛間隔で正三角形配列でエッチングされている10×10㎠のメッシュシートである。銅電極に異なった電圧をあたえ、ΔVGEM(電位差)をかけることによって穴に高電場を形成し運用する。

装置 使用したテストチェンバー 図:テストチェンバーの写真 電子の増幅機構(GEM) 電子の読み出し機構 (読み出しパッド) 特徴 ◎本体の大きさ◎ 直径26cm×高さ14cm ◎チェンバー容積◎ 直径20.5cm×高さ12cm (3.9ℓ) 電子の増幅機構(GEM) 電子の読み出し機構 (読み出しパッド) 特徴 ・チェンバーの中が見える ・ボルトのみで開閉可能 ・連続フロー型であるため   ガスの交換が容易 図:テストチェンバーの写真

拡大図 55Fe密封線源 VGEM 図:チェンバー内部の拡大図 天板 読み出しパッド(電子の読み出し機構) 10mm 1.5mm VGEM ※ドリフト領域 200[V/cm] 線源からでたX線はドリフト領域でガスと光電効果を起こし初期電子を生成する。ドリフト領域には電位差があるためGEM3方向に引っ張られる。さらにGEMに高電場が形成(例えばVGEM=100[V]の場合1.6×107[V/m])されているため急激に加速されGEM孔内のガスを電離させるのに十分なエネルギーをもちGEM孔内で電子雪崩を起こし電子の移動方向に電子の数が増加する。GEM3~GEM1にかけて同じ反応を繰り返し、増幅された電子はパッドで読み取る。 図:チェンバー内部の拡大図

実験条件 X線の線源として55Feを使用 ガス流量を100[cc/min]に固定 VGEMは200~400[V]で測定 使用したガス <P10> <Ar:CF4:isoC4H10> ①  90:3:7    ⑤ 96:3:1  ② 92:3:5    ⑥ 92:5:3  ③ 94:3:3    ⑦ 95:2:3  ④ 95:3:2    ⑧ 97:3:0

実験フローチャート attenuator2 divider discriminator delay pre Amp ADC post Amp gate generator pre Amp ADC post Amp camac attenuator1 PC 16ch Amp

信号 エスケープピーク メインピーク

電荷量―カウント数のヒストグラム エスケープピーク メインピーク

キャリブレーション キャリブレーションフローチャート attenuator2 divider discriminator 先のヒストグラムは各種モジュールを繋いだ後の信号であるためADC valueは下駄を履いているかたちになるのでキャリブレーションを行いADC value 1chあたりの電荷量を知る必要がある。 attenuator2 divider clock generator discriminator charge terminator delay gate generator pre Amp ADC post Amp camac attenuator1 PC 16ch Amp

解析 解析 増幅後の電子数 増幅率 = 初期電子数 初期電子数 X線のエネルギー 初期電子数 = 混合ガスのW値 解析は先にでたヒストグラムにGauss曲線をフィッティングさせ頂点のADC valueを求めこれにキャリブレーションしたADC value 1ch当たりの電荷をかけ、さらに素電荷で割ることにより増幅後の電子数を求める。求めた電子数を初期電子数で割ることで増幅率をだす。 増幅後の電子数 増幅率 = 初期電子数 初期電子数 初期電子数はX線のエネルギーと混合ガスのW値の関係から導出することができる。 X線のエネルギー 初期電子数 = 混合ガスのW値

各VGEMでとったデータ(P10) VGEM=310[V] VGEM=315[V] VGEM=320[V] VGEM=325[V]

解析結果 P10のVGEM-Gain P10

実験結果 <実験結果のまとめ1> Ar:CF4:isoC4H10=90:3:7 P10(Ar:CH4=90:10) P10とAr:CF4=97:3のVGEM-Gainの関係 Ar:CF4:isoC4H10=90:3:7 Ar:CF4=(97:3) P10(Ar:CH4=90:10) P10(Ar:CH4=90:10)

<実験結果のまとめ2> Ar:CF4:isoC4H10=90:3:7 P10(Ar:CH4=90:10) クエンチングガス量がP10と同じAr:CF4:isoC4H10のVGEM-Gainの関係 Ar:CF4:isoC4H10=90:3:7 P10(Ar:CH4=90:10)

<実験結果のまとめ3> 測定したすべてのガスのVGEM-Gainの関係 P10ガス Gain Ar:CF4混合ガス Ar:CF4:isoC4H10混合ガス VGEM[V]

<実験結果のまとめ4> CF4を3%に固定した場合のisoC4H10の割合と増幅率の関係 isoC4H10の割合と増幅率の関係 VGEM=245[V] VGEM=250[V] VGEM=235[V] VGEM=240[V]

<実験結果のまとめ5> isoC4H10を3%に固定した場合のCF4の割合と増幅率の関係 CF4の割合と増幅率の関係 VGEM=245[V]

結論 P10ガスに比べAr:CF4混合ガスだけでは良い増幅率を得るには高電場が必要とわかった。 性質を持っているため。 P10ガスやAr:CF4混合ガスに比べAr:CF4:isoC4H10混合ガスは低電場で良い増幅率が得られた。特にCF4を3%に固定した場合isoC4H10が2%付近においてよい増幅率を得られた。 isoC4H10がペニング効果の働きを したのではないかと推測できる。 増幅率の観点からはisoC4H10が2%の時が最適と考えられる。 isoC4H10を3%に固定した時にCF4の割合が下がるに連れて 増幅率が良くなった。 CF4がクエンチングの効果を 持っていることが確認できた。

今後の展望 isoC4H10とCF4との組成比のマトリクス ・左図のマトリクスを埋める。 ・Ar:CF4:CH4 ・Ar:CF4:C2H6 0 2 3 5 7 10 1 CF4[%] iso C4H10[%] ・左図のマトリクスを埋める。 ・Ar:CF4:CH4 ・Ar:CF4:C2H6 ・Ar:CF4:C3H8等 他の炭化水素系のガスでも実験を行う。 ・増幅率の絶対値についてもさらなる検討を行う。

おわり

55Fe密封線源 VGEM 図:チェンバー内部の拡大図 天板 10mm ※ドリフト領域 200[V/cm] GEM3 1.5mm GEM2 読み出しパッド(電子の読み出し機構) 10mm 1.5mm VGEM ※ドリフト領域 200[V/cm] 図:チェンバー内部の拡大図

W値・・・X線が原子や分子を電離させるのに必要なエネルギ- Gas W値[eV] Ar 26 CH4 28 CF4 54 isoC4H10 23 電子付着・・・電子が原子と相互作用を起こして負イオンが生成される       反応で、電離作用に影響を及ぼす電子が減り電子雪崩が起きにくくなる

・タイムプロジェクションチェンバー(TPC) 電場と磁場を平行にかけることができ、飛跡を3次元に構成することができるガス検出器 磁場と電場が平行にかかっているため、  電子はガス分子との衝突によって散乱 をうけるが、磁場によって戻される 効果により拡散が抑えられる 長い距離を電子がドリフトしても 位置分解能がそれほど悪化しない 電子のドリフト方向 E&B方向  Z=vdrift・(tz―t0) ・t0:荷電粒子がチェンバーを横切った時刻 ・tz:信号が陽極に到達したときの時刻 ・vdrift:ドリフト速度 X Y Z

テストチェンバーにおける電子雪崩 チェンバー内にはガスが封入されていて、ドリフト領域でX線とガスが光電効果を起こし生成された初期電子は電場により引っ張られる。GEMに電位差が与えられ高電場となっており電子はGEM孔に吸い寄せられる。GEM孔に入った電子は高電場により加速されエネルギーが増加する。エネルギーが増加した電子はガスから電子を電離させる。このようにGEM孔中では電子の移動方向に電子の数がネズミ算式に増幅していく、この電子の増幅を電子雪崩と呼ぶ。 電圧をかけ 10mm 電場を形成 1.5mm 1.5mm 1.5mm

特性X線( 55Fe密封線源)を用いる利点 ・ 特性X線(55Fe)のエネルギー領域におけるチェンバーガスとの相互作用は、光電効果に支配される。 光電効果では、X線のエネルギーがすべて電子に吸収されるので電気信号の揺れ幅を小さくでき、増幅率を測定するのに適している。 ・密封線源は小さくて軽い。時間的制限も少ない。その上、経済的負担もそれほど大きくない。また、密封線源なので取扱い方に重大な欠落がない限り、放射線による汚染も心配する必要がない。

※ ヒッグス粒子…素粒子の質量獲得に関する理論に現れる場(ヒッグス場)を量子化して得られる粒子。 バーテックス検出器…電子と陽電子の衝突によって最初にできた粒子を精密に測定する検出器。 ※チェンバー…ここでは、ガスを用いた粒子検出器である”ガス検出器”のことを指す。 MPGD(Micro Pattern Gas Detector)…微細加工技術を応用して作られた装置。電子を増幅させる機能をもつ。 TPC(Time Projection Chamber)…飛跡を三次元に構成することができるガス検出器。 ※クエンチングガス…電場によって放電しにくくするために添加するガス。 GEM(Gas Electron Multiplier)…1996年にCERNのF.Sauliによって開発された電子増幅器。MPGDの一種。 読み出しパッド…増幅された電子を電気信号として検出する金属板 ※55Fe…半減期2.73年で軌道電子捕獲を起こす鉄の放射性同性体。約5.9keVの特性X線を放射する。 チェンバー…ここでは、ガスを用いた粒子検出器である”ガス検出器”のことを指す。 読み出しパッド…増幅された電子を電気信号として検出する金属板。 ※E×Bエフェクト…磁場と電場によって発生するローレンツ力により、位置分解能を悪化させる現象。 陽イオンフィードバック…電離によって発生した陽イオンが電子とは逆の方向に移動する現象。      ドリフト領域の電場形成や電子の増幅率等に不利益な影響を及ぼす。

◎拡散◎ 気体中に分子密度の差があれば、 これらの差を減させるような方向に分子の流れが生じる。 気体がイオン・電子の状態に分離している場合、 各成分粒子の密度に傾斜があると、 その粒子の流れが起こり、 各成分の密度の傾斜を緩和しようとする。 このような現象を”拡散”という。

原子の励起状態がこれよりイオン化ポテンシャルの低い分子や原子に衝突すると、イオン化ポテンシャルの低い分子や原子が電離するという効果 ◎ペニング効果◎ 原子の励起状態がこれよりイオン化ポテンシャルの低い分子や原子に衝突すると、イオン化ポテンシャルの低い分子や原子が電離するという効果 気体AとBが存在して、気体Aが準安定状態(励起状態)であり、かつその準安定電圧Vmが気体Bの原子の電離電圧Viよりも低い場合、 Am+B→A+B++e- という反応が起きる。 アルゴンとイソブタンは、ペニング効果が起きていると考えている。これにより、低いVGEMでも比較的高い増幅率が得られているのではないかと考えている。

◎アルゴン◎ 電離電圧 15.8eV 励起電圧 11.6eV 準安定電圧 11.5eV程度 (寿命が102~4秒と比較的寿命の長い準位) ◎イソブタン(isoC4H10)◎ 電離電圧 10.6eV ◎メタン( CH4 )◎ 電離電圧 13.1eV

電子雪崩で励起した原子等が脱励起をする際、紫外線等の光を放射する。 ◎クエンチングガス◎ 電子雪崩で励起した原子等が脱励起をする際、紫外線等の光を放射する。 その光が光電効果によって陰極面等の金属や周囲の原子から光電子を放出し、この光電カもまた電子雪崩を起こしてしまう。 クエンチングガスは、原子の脱励起による紫外線などの光を吸収する役割を果たし、チェンバー内の放電を防ぐ効果を持っている。 クエンチングガス ⇒光電効果が起きない。 (光電子が発生しない。) 励起状態 脱励起光:11.6eV 銅:仕事関数=約4.7eV ⇒光電効果が起きる。 (光電子が発生する。) 基底状態 Ar  

装置 テストチェンバー 右図に示したテストチェンバーを用いてGEMにおける電子の増幅率の測定を行った。

信号 ゲート

飛跡 Xpad : 各パッドの中心 Xtrack チャージの割合 Xtrack-Xpad : trackingで求めた関数からの値 ADC  1     2 3   4 飛跡 チャージの割合 Xtrack-Xpad Xpad  Xtrack : 各パッドの中心 : trackingで求めた関数からの値