あわしろいくや ikuya@fruitsbasket.info ikuya@oooug.jp Debianの日本語入力入門 あわしろいくや ikuya@fruitsbasket.info ikuya@oooug.jp
目次 自己紹介 前提知識 Etchの変更点 im-switchとは uimとは Anthyとは IIIMFとは ATOK for Linux SCIMとは uim vs SCIM 安定動作の勘どこ ろ 今後の展望 参考資料
自己紹介 あわしろいくや scim-anthy, scim-prime, scim-canna, scim-skk, kasumiのメンテナ 最近の肩書きはUbuntu Japanese Team 本業はDebianの面倒を見ること 雑誌原稿の執筆 Software Design 10月号など
前提知識① 日本語入力とは? その名のとおり日本語入力を行う仕組み インプットメソッド(以下IM)と変換エンジンの2つ を使用する ここではそう説明する 現在は多言語入力 モダンなIMは日本語以外の入力も可能なため →今日はこれだけ理解して帰ればOK!
前提知識② インプットメソッドとは? キーボードからの入力はアプリケーションに渡さ れ、それがインプットメソッドに渡される uim, SCIM, IIIMF, kinput2, skkinputなど
前提知識③ 変換エンジンとは? IMからかなを受け取り、漢字に変換する サーバの場合もあるし、ライブラリの場合もある それ以外の場合もある Anthy, PRIME, Canna, FreeWnn, ATOK for Linux, Wnn8など
前提知識④ XIMとimmodule XIM…旧来の仕組み その名のとおりXが必須 IMの切り替えが困難 キャレット(カーソル)の座標が取れない なので候補ウィンドウが左下に出たりする immodule…新しい仕組み GTKとQtのモジュールとして動作 XIMはモジュールのうちの一つ 右クリックして"Input Methods"から選択可能
Etchの変更点 im-switchの採用 デフォルトのIMがuimに デフォルトの変換エンジンがanthyに IIIMFがremoveされた
im-switchとは① Fedora由来のIMを切り替える仕組み alternativesを使用している set-language-envコマンドは非推奨 UTF-8を考慮していないなど多数の理由による .xsessionも不要 環境変数などを書きたい場合は $HOME/.gnomercに KDE(KDM)の場合は$HOME/.profileか? コマンドはim-switch 個別に選択する場合は-s、一覧から選択する場 合は-cオプション
im-switch② im-switchの動作の仕組み IMのパッケージにim-switchが読み込むスクリプト を含める /etc/X11/xinit/xinput.d/ im-switch自体はXの起動時にキックされる /etc/X11/Xsession.d/80im-switch ただし、言語ごとに設定する必要あり sudo update-alternatives --config xinput-ja_JP ルート権限とユーザ権限どちらでも動作 ユーザ権限の場合は$HOME/.xinput.d以下に
uimとは① Debian標準のIM 原作者は田畑悠介氏 現在の主な開発者はヤマケン氏と加藤悦史氏 ほかにも多数 Xの要/不要を含め、多彩な環境で入力可能 uim-fep, uim.el 現在も精力的に開発中
uimとは② Schemeの処理エンジン(インタプリタ)を自前で 持ち、プラグインなどをSchemeで書くことができ る 韓国人開発者はいるものの、中国人開発者はいな いため、中国語の入力が弱い 設定UIはツールキットへの依存を減らすため、自 動的に生成している Qt4への対応も容易か? 洗練されているとは言い難い
uimとは③ パッケージ…uim(メタ), libuim3, uim-anthy,uim- xim, uim-gtk2.0, uim-qtなど 設定…uim-ximに同梱 uim uim-toolbar uim-gtk2.0パッケージが必要 uim-systray uim-toolbar-qt uim-qtパッケージが必要
uimとは④ Debianで使用する上の問題点 XIMでしか使用できない iceweaselとuim-ximに相性問題がある? 解決方法 設定ファイルを直接書き換える /etc/X11/xinit/xinput.d/uim* uim-immoduleを入れる http://ikuya.info/wiki/index.php?etchpackages →uim 1.3.x以降では解決済み http://bugs.debian.org/cgi- bin/bugreport.cgi?bug=400871
Anthyとは① Debianデフォルトの変換エンジン 原作者は田畑悠介氏 現在のリリースメンテナはいくや当人 パッチの適用とリリースしかしない(できな い) 辞書のメンテナは大泉氏 フリーな変換エンジンとしてはもっとも変換効率 がいい …といわれている ライブラリなのでセキュア
Anthyとは② 派生版もある WinAnthy http://www.kmc.gr.jp/proj/winanthy/ Social IME http://www.social-ime.com/ 例文(コーパス)を追加することによって変換効 率を向上することができる コーパス集めにご協力を http://blog.goo.ne.jp/ikunya/e/c6ca6bfc6c622c 69d7cd3fbacb36cbaf
Anthyとは③ パッケージ…anthy, libanthy0など 設定…基本的には特に必要なし dpkg-reconfigure anthyで2ch辞書が使用可能に 辞書設定ツールがいくつか uim-dick-gtkやkasumiなど anthy-dic-toolというコマンドもあり
IIIMFとは もっとも歴史のあるモダンなIM 「トリプリアイエムエフ」と読む Sun Microsystems製 Solaris標準 完全なサーバ・クライアントモデル 商用変換エンジンのIMとして使用されている Debianでは動作させるだけでも結構大変 各パッケージがどういう役割を担っているか知 らないと動作させることができない httとかxbeとかiiimgcfとか用語も独自
ATOK for Linux IIIMFのパッケージがない atokx2パッケージもない →基本的に動作不可 使用方法はDebianスレッドテンプレに http://debian.fam.cx/index.php?Japanese#conte nt_1_35 安定して動作するかは不明
SCIMとは① 多くのディストロで標準になっているIM 開発者はJames Su氏 大力亮氏が1.6を開発中 James氏はSCIM2.0のベースとなるIMBUSを開 発中 http://code.google.com/p/imbus/ EtchのSCIM関連パッケージはきっちりメンテされ ているとは言い難い scim-bridgeがないのは致命的 これがないとSCIMを安定して動作させること が不可能 →Etchでは使用しない方がいい
SCIMとは② IMEngineというモジュールで多くの言語、変換エ ンジンに対応できる scim-anthyなどもこのIMEngineである C++で書かれているため、他のC++アプリケーショ ンと相性が出る場合がある Adobe Readerが起動しないとか、Real Playerが 起動できないとかはこれ flash-pluginも? scim-bridgeを使って解決する
SCIMとは③ パッケージ…scim, scim-gtk2-immodule, libscim8c2aなど scim-anthy, scim-prime, scim-skk, scim-cannaも あるが別ソース 設定…scimに同梱 scim scim-immodule scim-gtk2-immoduleが必要 当方による独自パッケージあり http://ikuya.info/wiki/index.php?etchpackages scim-bridge, scim-qtimm, scim-wnnなど
uim vs SCIM 動作環境の多彩さ…uimの勝ち。SCIMは現状ほぼX 必須 GUIの忠実度…SCIMの勝ち。scim-anthyはキーの 割り当てやローマ字変換テーブルのカスタマイズ が簡単 各種言語の対応度…SCIMの勝ち。uimの中国語対 応が弱いのは致命的 →Debianでは言語ごとにデフォルトのIMを設定でき 、コンソールからの入力も考慮しているため、uim がデフォルトになったと思われる
安定動作の勘どころ 環境変数を確認すべし! プロセスを確認すべし! im-switchコマンドを叩くべし! SCIMではscim-bridgeを使用すべし!
今後の展望 開発は全体的に停滞気味 Debianパッケージのメンテナも多忙な人が多い KDE 4など新しいものに対応していけるかが疑問 uimなら何とかなりそう? →強い意気込みを持った人を絶賛募集中!
参考資料 Software Design 2007年3月号 Linux日本語入力システム入門 UNIX USER 2004年5月号 最適な日本語入力環境を発掘せよ http://kodou.net/unixuser/200405/ Software Design 2007年9月号 X Window System最前線 Debian GNU/Linux スレッドテンプレ http://debian.fam.cx/index.php?TopPage
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