情報通信システム論I ---無線航法---

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情報通信システム論I ---無線航法--- 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 岡田 実

測位システム 測位のために使用できる情報 到来方向 伝搬時間 ドップラー効果 電界強度 方向探知 RADAR ロラン GPS 速度レーダ VOR 電界強度 PHS

RADAR ---Radio Detection And Ranging--- 対象物に向けて電波を発射し、反射波を測定することで、対象物までの距離や方向を測定する パルスレーダ FMレーダ ドップラーレーダ 一次レーダ ターゲットからの反射波を受信 二次レーダ ターゲットが能動的にする。

パルスレーダ パルス 送信機 指向性アンテナ パルス 受信機 target 送信機からターゲットまでの距離測定 非常に鋭い指向性アンテナにより ターゲットの方向測定 受信パルス パルス送信

ドップラーレーダ (m/s) 速度 (Hz) (Hz) (Hz) (Hz) ターゲットの速度を推定できる CW 送信機 指向性アンテナ 周波数 測定 target (Hz) (Hz) (Hz) ターゲットの速度を推定できる

FMレーダ FM 送信機 指向性アンテナ 周波数差 測定 target 周波数 ターゲットの位置を 推定できる 周波数差

DME --- Distance Measuring Equipment --- 二次レーダの一種 機上インタロゲータ カウンタ 時間回路 送信機 受信機 質問波 応答波 受信機 送信機 自動起動 地上トランスポンダ

レーダー方程式 距離の4乗に反比例 送信機からの信号電力がどの程度反射して受信機に戻ってくるか? 送信電力 送信アンテナ利得 受信電力 受信アンテナ開口面積 散乱断面積 距離の4乗に反比例 ターゲットまでの距離

伝搬損失 送信電力(W) 距離(m) 受信アンテナ 開口面積(m2) 受信電力(W) 送信アンテナ無指向性

送信アンテナ利得とは 単位面積を通過する電力 右半分だけに 電波を放射 無指向性 送信利得 (=3dB) 指向性を鋭くする⇒送信利得が上がる

アンテナの指向性 開口アンテナを考える アンテナの開口面積 b a ホイヘンスの原理: 波面のそれぞれに置いた 点波源から球面波が放射 されると考える. a 各波源から放射された波の 位相ずれ

アンテナの指向性2 の範囲に電力の 大半が含まれる

アンテナの指向性と利得 開口面積 距離 R[m]先の面積 の面に電波を投影.

レーダー方程式 代入する 送受アンテナが同じなら

雑音温度 B C freq 熱雑音⇒白色ガウス雑音 T: 絶対温度(K) k:ボルツマン定数 (1.38e-23 J/K) (真値)

雑音指数 F,G 入力SNR 出力SNR 増幅器 F,G 出力SNR 増幅器 + V4

最大探知距離 SNR 最小受信電力 Minimum Detectable Signal: MDS しかし分解能が低下する。

レーダーの分解能 距離分解能 角度分解能 パルス幅 アンテナの半値角に依存 の距離差は分離できない。 信号帯域Bで決まる。 アンテナ長さaで決まる。

警報誤り確率、未検出確率 レーダー出力 有リと判定 無しと判定 ターゲット 有無 有り 正解(検出) 未検出** False Negative 無し 警報誤り* False Positive 正解 *False Alarm, 第一種誤りとも呼ばれる **第二種誤りとも呼ばれる

誤り確率 pdf: probability density function 確率密度関数 受信信号 + 雑音 振幅 検出 x 閾値 判定 警報誤り確率 未検出確率 閾値を上げると→ 警報誤り確率小、未検出確率大 閾値を下げると→警報誤り確率大、未検出確率小

合成開口レーダー Synthetic Aperture Radar 小開口アンテナを移動させ 信号を合成することで等価 的に大開口アンテナを形成 し、角度分解能を向上 合成

方向探知 アンテナの指向性を利用 NDB: Non-Directional Radio Beacon 160—415kHz ADF: Automatic Direction FInder 放送局A 放送局B

方向探知 中波から短波帯 ループアンテナ V/UHF アドコックアンテナ null null ループアンテナ 2素子アンテナを逆相合成

VOR VHF Omni-Directional Radio Range 送信アンテナを(電子的に)回転 ドップラー効果により方位計測 周波数低く受信 周波数高く受信 受信機

双曲線航法 R A,Bから同時にパルス送信 db da Rでパルス到来時間差測定 B A da-db=cΔT →双曲線

双曲線航法 C A-B A-C 二組の送信局により 位置決定 R A B

PHSによる測位 CS CS R1 R2 CS R3

GPS --- Global Positioning System --- 24個の周回衛星 6軌道 4衛星/軌道 高度20200km 周期約12時間

GPS 衛星 第1世代:Block I 第2世代:Block II/IIA 第3世代:Block IIR 1978/2/22打ち上げ 1995/11/18サービス終了 設計寿命4.5年 第2世代:Block II/IIA 1989-1997打ち上げ期間 設計寿命7.5年 第3世代:Block IIR 2001/7 打ち上げ開始 設計寿命10年 Block IIR

GPSの周波数 L-Band (GPS 信号) S-Band (制御用) L1: 1572.42 MHz L2: 1227.6 MHz 2227.5 MHz (S-Band)

GPSの信号構成 C/A code P code Coarse acquisition code 1023ビットブロックを1ms毎に送信 1.023Mbps 1Mbps=>1us … 300m精度 L1のみに変調 P code Precision code 10.23Mbps L1/L2両方に変調 C/A t P t t λ

GPSの原理 衛星位置既知 受信機時計誤差あり R2 R3 R1 相関演算 →時間差測定 Tx Rx

GPSの原理 衛星位置既知 受信機時計誤差あり 3D位置計測 →4衛星同時に受信 cΔT

GPSの誤差 衛星起因誤差 受信機起因誤差 軌道誤差 衛星クロック誤差 受信機クロック誤差 マルチパスによる誤差 受信機雑音 アンテナ位相中心誤差 電離層遅延 対流圏遅延

GPSの精度改善法 R4 R2 R1 R3 base remote RTK-GPS (Real Time Kinematic GPS) キャリア位相を利用 2-5cm精度 DGPS (real time Differential GPS) 符号利用 1m--5m精度 R4 R2 R1 R3 base remote

むすび RADAR パルス/CW/ FM 一次レーダ/ 二次レーダ 合成開口レーダ 方向探知 双曲線航法 GPS