平成20年3月27日 前田 肇 関西電力㈱顧問 前原子力委員会委員 日本原子力学会 2008春の年会企画セッション 日本原子力学会シニアネットワーク連絡会第8回シンポジム 場所:大阪大学吹田キャンパス B会場(E1棟217号室) 魅力ある原子力の復活に向けて 平成20年3月27日 前田 肇 関西電力㈱顧問 前原子力委員会委員
講演内容 1.世界は原子力ルネサンス 2.取り残されつつある日本 3.原子力の光と影 4.社会の認識は影>光 5.光>影にするためには 1.世界は原子力ルネサンス 2.取り残されつつある日本 3.原子力の光と影 4.社会の認識は影>光 5.光>影にするためには 6.安全性の向上 7.規制の合理化 8.理解活動の推進 9.地域の持続的発展 10.人材の育成と研究開発 11.原子力関係者への期待
1.世界は原子力ルネサンス ◎東も西も、北も南も原子力拡大へ 地球温暖化対策 2 1.世界は原子力ルネサンス ◎東も西も、北も南も原子力拡大へ 米国:33基(注1) 中国:30基(注2) ロシア:40基(注1) 英国:再開 インド:20基(注2) ベトナム:計画 南アフリカ: 仏国: その他産油国を含めて10ケ国以上で計画 PWR:12基 PBMR:24基 EPR FR原型炉 ◎なぜ、いま原子力? エネルギー安定供給 地球温暖化対策 (注1)政府又は電力会社により計画されている基数 (注2)原子力発電所1基あたりの設備容量を100万KWと仮定し、政府計画における総発電容量を割った値。
2.取り残されつつある日本 ◎運転実績の低迷 ◎プロジェクトの停滞 ・プルサーマル ・高レベル放射性廃棄物処分 ◎電力会社の不正問題 ◎地震 3 ◎運転実績の低迷 ◎プロジェクトの停滞 ・プルサーマル 2010年度16~18基は? ・高レベル放射性廃棄物処分 処分場選定は白紙 ◎電力会社の不正問題 国民の信頼性を失う ◎地震 中越沖地震
3.原子力の光と影 光 影 ◎技術で作るエネルギー:天然資源に頼らず、浪費せず 化石燃料は途上国へ、ノーブルユースへ ◎高い供給安定性 4 3.原子力の光と影 ◎技術で作るエネルギー:天然資源に頼らず、浪費せず 化石燃料は途上国へ、ノーブルユースへ ◎高い供給安定性 少ない燃料で大きなエネルギー⇒石炭の10万倍(注1) FBR導入でウラン利用効率は約30倍(注2) ◎地球温暖化防止効果 世界のCO2を約24億トン抑制(石炭火力発電比) 光 影 ◎軍事転用のリスク ◎事故と放射線被ばく ◎放射性廃棄物処分の不透明性 (注1)100万kWの発電所を1年間運転するための必要な燃料量(1次エネルギー換算) より。 (注2) URANIUM2005より (注3)2006年の世界の原子力発電量(435基・約370GW)を「各電源のCO2排出特性」により試算。
4.社会の認識は影>光 ◎続発するトラブルや不正問題 放射線安全を脅かすものは皆無だが・・・ ◎プラントの長期停止 5 4.社会の認識は影>光 ◎続発するトラブルや不正問題 放射線安全を脅かすものは皆無だが・・・ ◎プラントの長期停止 事故・トラブル、検査、耐震・・・ ◎マスメディアの誇大報道が煽る反原子力ムード 中越沖地震の変圧器火災・放射能放出→風評被害 ◎学生の原子力離れ 米国では学生の原子力回帰が顕著なのに・・・ ◎イラン・北朝鮮の核問題、テロリストによる汚い爆弾の恐怖
5.光>影にするためには ◎高度の安全性の確保 ◎規制の合理化 ◎透明性、コンプライアンスの徹底 ◎原子力の正しい理解の促進 6 5.光>影にするためには ◎高度の安全性の確保 ◎規制の合理化 ◎透明性、コンプライアンスの徹底 ◎原子力の正しい理解の促進 ◎地域の持続的発展への貢献 ◎人材育成と研究開発 これらの課題に、産・官・学・地域社会がそれぞれの努力で、あるいは協力して取り組まなければならない。
6.安全性の向上 -事業者の第一義的責任- ◎安全第一の徹底・・・安全文化の定着 ◎“失敗に学ぶ”姿勢 ◎高経年化対策の着実な実施 7 6.安全性の向上 -事業者の第一義的責任- ◎安全第一の徹底・・・安全文化の定着 ◎“失敗に学ぶ”姿勢 ◎高経年化対策の着実な実施 ◎耐震評価と対策実施 ◎緊急時における危機管理能力の向上 耐震実証試験の例(主蒸気系) 出展:(財)原子力発電技術機構:「多度津 工学試験所30年のあゆみ」より
7.規制の合理化 -国- ◎最新の知見に基づく科学的かつ合理的な規制 ◎原子力の国際化に対応できる国際標準の規制に 8 7.規制の合理化 -国- ◎最新の知見に基づく科学的かつ合理的な規制 ◎原子力の国際化に対応できる国際標準の規制に ◎学協会の役割・・・基準作り 原子力安全・保安院(NISA)・ (独)原子力安全基盤機構(JNES) 2007シンポジウム 2007年11月14日(水) 有楽町朝日ホール 出展:(独)原子力安全基盤機構ホームページより
8.理解活動の推進 -国が先頭に立ち全員参加で- 9 8.理解活動の推進 -国が先頭に立ち全員参加で- ◎学校教育(エネルギー、原子力) ◎情報公開とリスクコミュニケーション ◎学習機会の充実 ◎産消対話とNPOへの期待 ◎シニアネットワークの活動 次世代層(小学生、中学生及び高校生)を 対象体験型移動展示館(資源エネルギー庁) 出展:経済産業省資源エネルギー庁ホームページより
9.地域の持続的発展 -国・自治体・事業者・学研の協働- 10 9.地域の持続的発展 -国・自治体・事業者・学研の協働- ◎原子力施設は地域の資産 雇用、地場経済・産業の活性化、学習機会の提供 ◎地域による自主的ビジョンの作成と産・学の協働 ◎電源三法交付金の効果的活用 高性能和紙 (福井県内和紙メーカ) 若狭特産「鯖のへしこ」 の製造効率化 出展:(財)日本立地センターホームページ等より (独)日本原子力研究開発機構 特許技術の活用(例)
10.人材の育成と研究開発 -国・自治体・学研・事業者- 11 10.人材の育成と研究開発 -国・自治体・学研・事業者- ◎原子力の職場を魅力ある職場に ◎大学(院)や研究所の連携による教育の充実 ◎研究開発の推進により若者に夢を ㈶若狭湾エネルギ-研究センター 科学機器の利用促進のための研究会開催 原子力研修センター(高浜町)を活用した 実技研修【福井】 (原子炉容器上蓋のボルト締付訓練) 出展:福井県「エネルギー研究開発拠点化計画」パンフレットより
12 11.原子力関係者への期待 “ 原子力関係者は、原子力施設には危険性が潜在することを片時も忘れず、また、原子力技術の優れた潜在特性にとらわれてその優位性を過信することなく、優れた他者と性能を競い合い、切磋琢磨し、必要に応じ躊躇することなくそのあり方を変革していくことにより、国民の負託や期待に将来にわたり応えていくことを原子力委員会は切望する。” (平成17年「原子力政策大綱」より)