超臨界二酸化炭素を用いて作製した水素同位体交換反応用の 白金担持撥水性触媒 1 mm 超臨界二酸化炭素を用いた技術として、水素同位体交換反応用の白金担持撥水性触媒の作製も行っています。 水素同位体交換反応の触媒としては、撥水性であることが必要不可欠ですが、撥水を作る方法の簡単なものは、表面に油を塗ることです。 ここでは、油を塗るのではなく、凸凹の表面を作ってその上に撥水性の有機物を塗ることで撥水膜をつくります。 なぜ凸凹にするかというと、蓮の葉の上の水滴を思い出してみてください。 みなさん、綺麗な球状の水滴ができていることを見たことがあると思います。 あの現象は、表面に微細な凸凹があることによって生じる現象です。 これは触媒の担体となるステンレスの網ですが、表面に微細な凸凹形状の撥水膜を形成することで、このように水滴が網の目から抜けずに、保持されています。 超撥水の定義は接触角が150°以上とのことですが、このときの水の接触角は約145°で、非常に高い撥水性を有していることが分かります。 超臨界流体技術 放射性廃棄物処理 リサイクル
超臨界二酸化炭素中に形成した逆ミセルを用いた研究 (i) 金属微粒子の作製 Ave. 4.1±1.7 nm 白金微粒子が超臨界二酸化 炭素中に分散した様子 白金微粒子が担体に担持した様子 超臨界二酸化炭素中に界面活性剤を用いて金属イオンを含む水溶液を分散させ, その金属イオンを還元することで,金属微粒子を作製する. 形成した逆ミセルのサイズ以下の金属微粒子を作製することができる. 応用分野として・・・ 水素同位体分離 用の白金触媒 集積回路の配線 金属薄膜 (ii) 放射性腐食生成物の除染 原子炉の配管内部には,放射性腐食製生物であるフェライト(M(Fe(III)O2)2が堆積する. 微小なサイズの有機酸水溶液を 超臨界二酸化炭素中に分散 超音波 除染前 このような配管を一括廃棄すると・・・ 放射性廃棄物量が増大する. 配管表面に堆積したフェライトを 母材を損傷せずに除去することができた. 放射性腐食生成物を配管から分離し,分別廃棄することで放射性廃棄物量を低減できる. 超臨界二酸化炭素中の逆ミセルの利用→放射性2次廃液の発生量の低減 応用分野として・・・ 除染後 複雑な形状を有する機器に対する効率的な除染 汚染物質(衣類,手袋等)の除染
超臨界CO2ミセルを利用した有機物の超音波分解 これまでにない有機物分解法を提案・検証 ●超臨界CO2ミセルを利用することにより,単に界面活性剤を使用してミセルを形成させた場合に比べ,より多くの有機物を水中に保持できた. より多くの有機物が分解できる可能性がある! ●液体中に超音波を印加すると水相より油相のほうが高温になり油相中の有機物が分解される. 界面活性剤 有機物と混ざった超臨界CO2のミセルを界面活性剤水溶液中に形成させる. これに超音波を印加することで高温の気泡を生じさせ,ミセル中の有機物を分解させる. 超音波により生じる高温の気泡 有機物 + 超臨界CO2 超音波 この分解法の特徴・長所 CO2と毒性の低い界面活性剤を使用するので環境負荷が小さい. 界面活性剤のみを使う場合に比べより多くの有機物を水中に保持できる. 水中で分解させるため火災・爆発等の事故のリスクが小さい. 減圧時に生じる気体は低温なので排ガス処理が容易である.
超臨界CO2抽出への膜分離の適用 一般的な超臨界CO2抽出 問題点 減圧 CO2 抽出物 超臨界CO2抽出に膜分離を適用 超臨界CO2 装置が必要 ・特定の溶質を選択的に取 り出すことが困難 抽出物を含む 超臨界CO2 CO2 抽出物 超臨界CO2抽出に膜分離を適用 高圧下のまま,超臨界CO2と抽出物の分離が可能 超臨界CO2 抽出物を含む 超臨界CO2 膜分離 抽出物 ・CO2の循環利用が可能 ・特定の溶質を選択的に取り出す ことが可能
液体金属を用いた白金族の回収 ガラス固化体 ガラスに含まれる白金族の回収 ガラス成分 ・・・・・・75% 廃棄物 ・・・・・・25% ・・・・・・75% 廃棄物 ・・・・・・25% Ru, Rh, Pd ・・・・1~2% ガラス固化体 加熱 白金族(Ru,Rh,Pd)は・・・ ガラスに含まれる Pd, Ru, RuO2について,90%程度を回収できた. ガラスビーズ 金属塊として 回収 希少貴金属 触媒等による利用増加 溶融炉壁損傷の原因 白金族 回収用金属(Cuなど) ガラスへのCu微粒子の分散 Cuを微小化することで 硝酸への溶解を抑制 白金族との接触面積 の増加 Si,SiC による 加熱還元 還元後のガラスの 吸光スペクトル CuOを含有させたガラス 白金族回収率の向上が期待できる.
分相を利用したガラスからの金属の取り出し技術 ガラス固化体からの金属回収 高レベル放射性廃棄物の再取り出し可能性 資源(例えば廃棄物の構成要素)を処分施設から回収する 将来開発されるかもしれない他の処理処分技術を利用する ガラス固化体に含まれる金属を現存の技術を用いて取り出すことができることを示す必要がある. 分相を利用したガラスからの金属の取り出し技術 B2O3-金属酸化物 SiO2 B2O3 SiO2 分相 熱処理 酸処理 ガラス固化体 1 µm 模擬ガラス固化体 分相 金属取り出し
原子力の熱を利用した熱化学水素製造プロセスの開発 複数の化学反応を組み合わせることにより, 低温の熱のみで水を水素と酸素に分解する化学プロセス 低温なプロセスを提案することで, 既存の原子炉の活用 高温溶液による悪影響の低減 現在,主流として研究されているのは ヨウ素(I)と硫黄(S)を循環させるプロセス Oxygen Water Hydrogen 塩素と鉄を循環物質としたプロセスに着目 :420℃ O2 H2 2FeCl3→Cl2+2FeCl2 2H2O Fe3O4+8HCl→FeCl2+2FeCl3+4H2O :250℃ SO2 I2 3FeCl2+4H2O→Fe3O4+6HCl+H2 :650℃ H2SO4 → H2O+SO2+1/2O2 2HI → H2+I2 I2+SO2+2H2O → 2HI+H2SO4 Cl2+H2O→2HCl+1/2O2 :650℃ H2O→H2+1/2O2 H2SO4 HI 900℃ 450℃ I-Sプロセスより以前に検討され,熱効率の悪さや試料の焼結による劣化が問題視された. 高温ガス炉 これらの問題点は,現代の 膜分離技術,超微粒子作製技術を もって解決することが可能 ・熱効率40%の未達 ・高温ガス炉の実用化 ・高温溶液による材料腐食 問題点