ブラックボックスとしてモデルをみると、本質を見逃す。

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ブラックボックスとしてモデルをみると、本質を見逃す。 極限状態でのスタンダードモデルの限界 ブラックボックスとしてモデルをみると、本質を見逃す。 例:  電離非平衡プラズマ。 必死でモデルに合わせようとすると、 間違った元素を導入する。 元素組成に間違いがでる Shell-Type Mixed Morphology SN1006

SNR中でのプラズマ進化の常識 mv2 = 3kT 衝撃波通過→ 原子(イオン)、電子の加熱 イオン温度 電子温度 電離温度 NEI CIE エネルギー輸送 電子温度 電離温度 時間 ~10000年 NEI CIE 十分時間がたっていない ( nt <1012cm-3s) SNR イオン温度>電子温度>電離温度 : NEI Plasma

IC443 IC443  SN1006 O Lya

SN1006 Fe-L Line の謎 4:1 3s2p (730) 3d2p (820) 3:2 実は OVII Kγ, Kδ だった 820eV 730eV 4:1 3:2 SN1006 Fe-L Line の謎   3s2p (730) 3d2p (820) 実は OVII Kγ, Kδ だった 多くのプラズマコードには 入っていない。 (Lγ, Lδ は入っている) OVII Kα OVIII Lα これに気がつかないと、 Fe-Lで無理にあわせ、意味ないFeの abundanceを求めることになる。

低エネルギー側のスペクトルの謎 OVII: Kβ Kγ, Kδ 酸素輝線のエネルギー 酸素、ネオンの輝線で fit 極めて低電離な状態なら 575eV 672eV 820eV 730eV 920eV OVII: Kβ Kγ, Kδ 酸素輝線のエネルギー  He状 Kα ~ 570eV  He状 Kβ ~ 670eV  H状 Lyα ~ 650eV 酸素、ネオンの輝線で fit 極めて低電離な状態なら このスペクトルを説明可能 kTe = 1.5 [keV] nte = 4x109 [cm-3s] He-Kβ dominant !!

Triplet: Ka, Lya, Kb

Tycho (Under-Ionized: NEI (nt) ) 電子温度 (Te) Brems: 3.2 keV α/β 比 Si=2.3 keV, S= 1.9 keV, Ar =3.2 keV 電離温度 (Tz) He/Ly 比 Si= 0.54 keV, S= 0.70 keV α β γ δ α β γ δ

IC443 (no RRC) kTe Bremss   1.06 keV kTz Lyα/Kα Si=1.06 keV SARCA=1.35 keV

IC443 (+RRCs) kTe Brems 0.95 keV X^2=1.09 βγδ/α  0.59 keV Tz Lyα/Kα Si= 1.08 keV S= 1.38 keV

★ 放射再結合連続線 (RRC) ★ カスケード輝線 RRC幅⇔捕獲される電子の温度 電子の自由-束縛遷移に伴う放射   電子の自由-束縛遷移に伴う放射 ★ カスケード輝線   電子の高準位束縛→下位への落ち込み RRC幅⇔捕獲される電子の温度 電子温度 W49B Astro-H

Over-Ionized Plasma 1-APEC (1.64 keV) Fe=4.2, Ni=8.3 2-APEC (1.53 keV+ 72 keV) Fe= 5.8, Ni=8.8 1-APEC+RRC+Recombination lines (kTz=2.5 keV, kTe=1.5 keV) Fe=5.0, Ni = 3.5 Over-Ionized Plasma 1-APEC 2-APEC

カスケードラインの重要性 1S1 に集まる       ー>禁制線へ Li, Be, B …..

1.5 keV 2.5 keV Fe = 5.01 APEC ではNi はLi-Like までしか入ってない。 Ni = 3.47 主要元素でないので、省略した?

kTz=2.5 keV 相当のIon-Fraction  赤 1.5 keV 相当

G359.1-0.5 最も極端なOver-Ionized Plasma Si Abundance 1-APEC 5.8 + RRC 9.1 +RRC+Cascade(赤線) 3.6

電子温度<電離温度 にする2つのモデル 濃い星周空間でCIE プラズマ(Ti=Tz =Te)を作 り、その後薄い星間空間で 断熱冷却する。 電子温度<電離温度 にする2つのモデル イオン温度 (Ti) 電子温度 (Te) 電離温度 (Tz) 時間 濃い星周空間でCIE プラズマ(Ti=Tz =Te)を作 り、その後薄い星間空間で 断熱冷却する。     ( Ti=Te ) 2.SN時の強烈は光子場 (たとえばγバーストとX線 フラッシュ)で高電離イオン (大きなTi)を作り、その後 は通常のSNR進化    ( Ti > Te ) これらを区別するには、 Astro-Hで  Ti (ライン幅)を測定

断熱膨張 kTを与えて 電子温度は ~1.5 keV に 電離温度 は元素に よらず、 ~2.5 keV に冷える kT =4 keV nt = 6 ×1011        s.cm-3