ERG衛星搭載用低エネルギーイオン分析器(LEP-i) の開発の現状(勉強中)

Slides:



Advertisements
Similar presentations
YohkohからSolar-Bに向けての粒子加速
Advertisements

Nagai laboratory.
内部導体装置Mini-RT 真空容器内に超伝導コイルを有する。 ポロイダル方向の磁場でプラズマ閉じ込め。 ECHでプラズマを加熱。
永久磁石を用いた 残留ガスモニターの製作 環境計測 西村荒雄.
W e l c o m ! いい天気♪ W e l c o m ! 腹減った・・・ 暑い~ 夏だね Hey~!! 暇だ。 急げ~!!
素粒子実験に用いるガス検出器の原理と動作
すざく衛星による 電荷交換反応酸素輝線の研究
地球内部磁気圏探査に向けた 高エネルギーイオン観測器の設計
単色X線発生装置の製作 ~X線検出器の試験を目標にして~
Determination of the number of light neutrino species
相対論的重イオン衝突実験PHENIX におけるシミュレーションによる charm粒子測定の可能性を探る
天体核反応測定のための イオンチェンバー開発
X線天文衛星用CCDカメラの 放射線バックグランドの評価
埼玉大学大学院理工学研究科 物理機能系専攻 物理学コース 06MP111 吉竹 利織
「すざく」搭載XISのバックグラウンド ――シミュレーションによる起源の解明
修士論文中間発表 ERG衛星搭載用 高エネルギー電子観測器の設計
SEDA-APのデータ解析 ~Albedo中性子の検出~
信号電荷の広がりとデータ処理パラメータの最適化
すざく衛星による、2005年9月の太陽活動に起因する太陽風と地球大気の荷電交換反応の観測
九大院理 山口 祐幸 相良 建至、寺西 高、藤田 訓裕 谷口 雅彦、岩淵 利恵、大場 希美、松田 沙矢香
太陽風プロトンの月面散乱による散乱角依存性の研究
Dissociative Recombination of HeH+ at Large Center-of-Mass Energies
SCOPE ミッション観測機器概要  基本的観測機器: DC磁場 プラズマ波動(DC電場を含む)    プラズマ/粒子                   について検討を開始.
ERG衛星搭載用低エネルギーイオン質量分析器の飛行時間分析部の特性評価
高出力Nier型イオン源の開発 環境計測学研究室 清水森人 高出力Nier型イオン源開発の報告を始めます。
放射光実験施設での散乱X線測定と EGS5シミュレーションとの比較
蓄積イオンビームのトラップからの引き出し
(GAmma-ray burst Polarimeter : GAP)
FPCCDバーテックス検出器における ペアバックグラウンドの評価 4年生発表 2010/03/10 素粒子実験グループ 釜井 大輔.
目的 イオントラップの特徴 イオントラップの改善と改良 イオンビームの蓄積とトラップ性能の評価
宇宙プラズマ相互作用の大規模シミュレーション
Azimuthal distribution (方位角分布)
研究背景 電荷移行反応とは・・・ 核融合(重水素 + 三重水素→ヘリウム原子核+中性子) ・・・しかし、
飛行時間法を用いた2次イオン 質量分析器の設計及び開発
高分解能ビーム軌道傾きモニターの設計開発
超並列宇宙プラズマ粒子シミュレーションの研究
東邦大学理学部物理学科 宇宙・素粒子教室 上村 洸太
開放端磁場における低温プラズマジェットに関する研究
K核に関連した動機による K中間子ヘリウム原子X線分光実験の現状 理化学研究所 板橋 健太 (KEK-PS E570 実験グループ)
宇宙線ミューオンによる チェレンコフ輻射の検出
Charmonium Production in Pb-Pb Interactions at 158 GeV/c per Nucleon
最高エネルギー太陽宇宙線の観測 甲南大学 村木 綏
宇宙線研究室 X線グループ 今こそ、宇宙線研究室へ! NeXT
重要な効果 ブラックホールや中性子星(パルサー)磁気圏 銀河団スケールの加速(L×Bが大きい) 1020 eV以上
極冠域電離圏における低エネルギー降下電子の起源について
サーマルプローブを用いたイオン温度計測の新しいアプローチ
偏光X線の発生過程と その検出法 2004年7月28日 コロキウム 小野健一.
X線CCD新イベント抽出法の 「すざく」データへの適用
X線CCD新イベント抽出法の 「すざく」データへの適用
天体核実験用の窓無しガス標的と ガス循環系の開発
卒業論文発表 中性子ハロー核14Beの分解反応 物理学科4年 中村研究室所属   小原雅子.
「すざく」搭載XISのバックグラウンド ――シミュレーションによる起源の解明
永久磁石を用いた高出力マイクロ波 放電型イオン源の開発
ガス電子増幅器を読み出しに用いた タイムプロジェクションチェンバー (GEM-TPC)の開発
ドラッグフリー技術の検討状況 2006.5.11 JAXA 石川 毅彦.
ILCバーテックス検出器のための シミュレーション 2008,3,10 吉田 幸平.
Geant4による細分化電磁 カロリメータのシミュレーション
pixel 読み出し型 μ-PIC による X線偏光検出器の開発
電子ビームラインの構築と APDを用いた電子計測試験
Simulation study for drift region
国際宇宙ステーション搭載 全天X線監視装置搭載用CCDカメラ開発の現状
ガス電子増幅器を読み出しに用いた タイムプロジェクションチェンバー (GEM-TPC)の開発
INDEX衛星によるオーロラ微細構造のin-situ観測
九大タンデムにおけるビーム・バンチャー改良
電離圏イオン流出現象 山田学,渡部重十(北大・理) プラズマ圏・内部磁気圏研究会(2002/03/13)
低速小型多価イオンビーム装置の開発 ~イオンビーム偏向器、及びビームプロファイルモニター~
5×5×5㎝3純ヨウ化セシウムシンチレーションカウンターの基礎特性に関する研究
高計数率ビームテストにおける ビーム構造の解析
荷電粒子の物質中でのエネルギー損失と飛程
シンチレーションファイバーを 用いた宇宙線の観測
Presentation transcript:

ERG衛星搭載用低エネルギーイオン分析器(LEP-i) の開発の現状(勉強中) 斎藤研 M1 白井 康裕

目次 観測対象 ERGミッションの概要 LEP-iの役割 LEP-iの検出原理 LEP-iの開発の現状(勉強中) Future work

内部磁気圏 ・ 0.1eVから数十MeVまで幅広いエネルギーレンジを持つエネルギー帯 ・ 強い放射線帯 観測対象 内部磁気圏 ・ 0.1eVから数十MeVまで幅広いエネルギーレンジを持つエネルギー帯 ・ 強い放射線帯 ・ 強い放射線に耐えうる設計開発が必要

Ring current ionの生成過程 Ring current ionの消失過程 Ring current 太陽風起源と電離圏起源の二つに分けられる O+の注入過程問題 電離圏起源とされるO+がどのようにリングカレントへ輸送されるか。 ①プラズマシートを介してリングカレントへ注入 ②電離圏から直接注入 Ring current ionの消失過程 電離圏粒子との電荷交換による中性粒子化 Ring current ion Energy density : 10 ~ 200keV Plasma sheet Number density : 0.1 ~ 10 / cm^3 イオンサイクロトロン波動(EMIC波) 10keV-50keVのイオンの熱非等方性によって励起 Ionの熱非等方性は電荷交換によって発生 結果この波動相互作用によってプロトンが電離圏へ降下するのも観測されている 磁気圏外への流出 ピッチ角散乱、波動粒子相互作用による電離圏への落ち込み

過去に内部磁気圏を計測した衛星 CLUSTER(ESA)2000 CRRES (NASA) 1990 あけぼの(JAXA)1989 これまでの観測 過去に内部磁気圏を計測した衛星 CLUSTER(ESA)2000 CRRES (NASA) 1990 あけぼの(JAXA)1989 AMPTE (NASA) 1984 CRRES@NASA AMPTE/CCE@NASA 高エネルギー粒子がノイズとなり 低エネルギーイオン観測はこれまで 十分にされていない。 それぞれの軌道 AMPTE/CCE(赤道面軌道) 遠地点:56320km(8.8Re) 近地点:1100km Akebono(極楕円軌道?) 遠地点:10500km 近地点:275km CRRES(GTO軌道) 遠地点:350km 近地点:33580km CLUSTER(極楕円軌道) 遠地点:19000km 近地点:119000km AKEBONO@JAXA CLUSTER@ESA

ERG mission ERGミッション 特徴 広いエネルギーレンジによる 粒子・電磁場・波動の初の総合観測 太陽活動極大期(2014?)に打ち上げ予定 他衛星(RBSP(NASA), ORBITALS(カナダ))との連携 軌道 近地点高度:250km 遠地点高度:25000km

ERG衛星に搭載予定の粒子観測機器 電子観測器 ion観測器 0.1eV 12eV 5keV 30keV 200keV 10eV 20keV 2MeV 20MeV ion観測器 0.5eV 10eV 10keV 100eV 25keV 180keV

LEP-iの役割 LEP-iの観測意義 Ring currentの観測には粒子と電磁波・波動の総合観測が必要. LEP-iはその一端を担う Ring currentに存在するO+の供給源は地球の電離圏とされるため どのようにして加速されるかをみるためには低エネルギーion観測が必要不可欠 105eV以上の加速 電離圏(~0.1eV) Ring current(10~200keV) 主な検出対象の粒子 H+, He+,He2+,O+,O2+ H+ m/q~1 太陽風&電離圏起原 He+ m/q~4 おもに電離圏起原 He2+ m/q~2 おもに太陽風起原 O+ m/q~16 ほとんどが電離圏起原。いかに電離圏(~0.1eV)から リングカレント(~200keV)まで加速されるかをその場観測 O2+ m/q~8

LEP-iの構成 質量分析部は16セクタ(22.5°分割)で構成され、どのセクターも同じ構造になっている。 ion Carbon foil electron ion Post acceleration MCP carbon foilを通過できるだけのエネルギ ーをもたせるために+5kV加速させる [Uchida 2008] modified

LEP-iの性能要求 LEP-iの性能要求 Energy range 10eV/q~25keV/q Time resolution 8sec Angle resolution(azumuth) 22.5° Angle resolution(elevation) 5.625° Energy resolution 10% Mass resolution 15% G-factor 10-3~10-2 cm2 sr keV/keV/22.5° 他衛星との比較 AMPTE/CCE Energy range  0.3 – 300 keV/q Time resolusion < 60sec Angle resolusion Energy resolusion Mass resolusion G-factor // Cluster // Energy range 10 – 40000eV/q Time resolusion Energy resolusion 0.16 G-factor 2.16*10^-3cm^2 sr

静電分析部の検出原理 球殻状の極板に電圧をかけることで E/q を測定 式変形 m: 荷電粒子の質量 v : 荷電粒子の速度 Energy range:10eV/q~25keV/q m: 荷電粒子の質量 v : 荷電粒子の速度 E: 荷電粒子のエネルギー q: 電荷 ⊿Φ: 極板間に生じる電位 Rc=(Rinner+Router)/2 Router ΔR=Router - Rinner 軸対称 Rinner 式変形

質量分析部の検出原理 start信号,stop信号の検出タイミングの 時間差を計測することでion の飛行時間を測定 start stop Time Of Flight法によって飛行時間を測定 start信号,stop信号の検出タイミングの 時間差を計測することでion の飛行時間を測定 ionが当たることで 二次電子が発生 静電分析部 を通過したion start stop carbon foil Foil通過時のタイミング electronの 飛行時間 (te) ionの飛行時間:ti time ti L 距離:L te ⊿t MCP start信号 stop信号 得られたイオンの飛行時間、距離と静電分析部で得られたE/qを用いてm/qがわかる

現在の状況(立ち位置) LEP-i(静電分析部+質量分析部)のモデル設計開発 設計済み LEP-i(質量分析部)の製作 Here! 現在、質量分析部製作中 LEP-i(質量分析部)の性能試験 実験で得られるカウントレートで設計 を確認するために、Simulationによ ってカウントレートを見積もる。 LEP-i(+静電分析部)の製作 LEP-i(静電分析部+質量分析部)の性能試験 性能試験での確認事項 ・設計図通りの作りになっているか ・これまでの計算は正しかったか ・スペック通りの性能を得られるか LEP-i完成 ERG観測機器完成

実験への備え 質量分析部はセクター構造 モデル設計開発で得られた性能 現在の状況 実験への備え モデル設計開発で得られた性能 ・G-factor : 2.6×10-3 [cm2 sr keV / keV / 22.5°] ・Energy range : 10[eV/q] – 25[keV/q] 実験で得られたカウントレート と比較するために、simulation でカウントレートを調べる ・Energy resolution : 16% ・angle resolution(azimuth) : 22.5° ・angle resolution(elevation) : 5° 質量分析部はセクター構造 1セクタにビームを入れて simulateし、カウントレートを調べて 実験に備える [Uchida 2008] modified

Beam simulation in TOF section only 現在の状況 Beam simulation in TOF section only 目的 [mm] 実験とsimulation結果を比較することで、 設計図通りに作られているかを見る。 z 入射エネルギー E/q = 8keV/q TOF部の構造 カウントレートで判断 r ①ビームの入射位置を変える(電圧一定) ②TOF部内の電圧を変える(入射位置一定) Collimator 幅(4mm) の条件でカウントレートを調べる Slit(幅4mm) TOF section 奥行き:2mm Slitの形 幅:4mm [mm]

①ビームの入射位置を変える(電圧=一定) 現在の状況 y ①ビームの入射位置を変える(電圧=一定) x [mm] 10 入射位置をazimuth方向で変化させて 電子、プロトン、O+のカウントレートを調べる 8 6 4 2 azimuth方向 φ 22.5[deg] -2 -4 Foil付近の粒子軌道 -6 -8 -10 10 20 30 40 [mm] φを-11.25[deg]~11.25[deg]まで2[deg]刻みで角度を変えてカウントレートを調べる

カウントレートと入射位置の相関関係 プロトン O+イオン 電子 Count rate[%] 100 80 60 40 20 -10 -5 5 現在の状況 カウントレートと入射位置の相関関係 Count rate[%] 100 プロトン 80 O+イオン 60 電子 40 20 -10 -5 5 10 φ[deg] ±5deg以上で急激にカウントレートが悪くなる

electron ion ②TOF部内の電圧を変える(入射位置は一定) 初期設定 A -4900[V] B -3500[V] 現在の状況 ②TOF部内の電圧を変える(入射位置は一定) 初期設定 A -4900[V] B -3500[V] B,Cの電圧を100V刻みで下げながら それぞれの粒子のカウントレートを調べる ion beam C -4850[V] D -3700[V] electron ion

カウントレートと電圧の相関関係 O+イオン プロトン 電子 電圧が下がるに従い,電子だけほぼ線形的にカウントレートが低くなる 現在の状況 Count rate[%] 100 O+イオン プロトン 90 電子 80 70 60 50 40 30 20 -3500 -4850 -3300 -4650 -3100 -4450 -2900 -4250 -2700 -4050 -2500 -3850 B [V] C [V] 電圧が下がるに従い,電子だけほぼ線形的にカウントレートが低くなる

今後の予定 Future work 入射位置と質量分析部の電圧のパラメータを組み合わせて 同様にカウントレートを調べて実験に備える イオンビームで質量分析部を性能試験 高エネルギー粒子によるノイズの除去を考慮した静電分析部の設計 静電分析部+質量分析部で性能試験

まとめ ERG衛星に搭載予定であるLEP – iの開発を行う上で、既に設計が終わっている現状でこれからの指針を紹介した。 現在の状況 まとめ ERG衛星に搭載予定であるLEP – iの開発を行う上で、既に設計が終わっている現状でこれからの指針を紹介した。 今後行う予定である質量分析部のビーム試験に向けて、実験結果との照合を行うために入射位置と質量分析部内の電圧を変えてカウントレートを調べた。 入射位置を変えてカウントレートを調べると、±5deg以上でカウントレートが急激に悪くなった。 質量分析部内の電圧を変えると、電圧が下がるにつれてほぼ線形的にカウントレートが悪くなった。