学習にあたって 学習のポイント 事例分析を通じて、事業には様々なリスクファクター が内在することを認識する

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事業リスクマネジメント学習支援教材 事業リスクマネジメント ケーススタディー NO.1 事業リスクファクター ティーチングノート

学習にあたって 学習のポイント 事例分析を通じて、事業には様々なリスクファクター が内在することを認識する  学習にあたって 学習のポイント 事例分析を通じて、事業には様々なリスクファクター  が内在することを認識する リスク認知のパターン、評価の尺度等が個々人によって  異なることを認識する 学習するスキル内容 多様なリスクの種類を知っている リスクの典型的な分類ができる 実務でよく利用されているリスク同定の手法を理解し、  その適用性、手法の強み・弱みについてコメントできる リスクファクターの構造、因果関係の把握、評価方法について  説明できる 第2章、第3章です。 基本テキストで対応しているのは: (注)本ノートについて: 本ティーチングノートは、平成15年12月に開催された 「事業リスク評価・管理人材育成システム開発事業」実証プログラムにおける 実習「事業リスクファクター」 の内容を学習支援用教材に再編集したものです。    なお、前半(~P20)が設問、後半(P21~)は解答例という構成になっております。    自習される場合は、前半を読んで考察を加えた上で後半の解答例を参考にしてください。

この実習の目的 事業リスクファクターとは、「企業がさらされているさまざまなリスクの状況に影響を与える要因」のことです。  この実習の目的  事業リスクファクターとは、「企業がさらされているさまざまなリスクの状況に影響を与える要因」のことです。  これはリスク項目に影響を与える要因、とも言い換えることができます。例とえば為替変動を考えてみましょう。為替が変動するのは、その国の経済環境や金融・債券市場の状況などによって引き起こされます。あるいは、テロや戦争によっても為替は変動するでしょう。こうした諸要因は為替変動のリスクファクターとなります。  また、リスク項目には、それ自体がリスクファクターとなっているものもあります。為替変動もしかりです。為替が変化すると、企業が保有している資産負債のポジションが変化します。その結果として損失を被るかもしれません。損失を生み出すリスク状況が変化しているという点で、為替変動は事業リスクファクターの一つと考えられるのです。  自社のリスク状況を改善するためには、これらの事業リスクファクターを判別し、それぞれの事業リスクファクターに対する最適な管理方法を検討することが必要となります。  この実習は、事業にはどのようなリスクファクターが伴うものなのかをケーススタディ「株式会社青空油圧」を通じて実習することにより、事業を取り巻くリスククファクターの存在を実感することを目的としています。   なお、より具体的なリスクの把握方法、算定・評価方法の手法およびその理論的背景については、実習「個別リスクの把握方法2」、「リスクコントロール・リスクファイナンス」等で取り上げていきます。 為替損失発生の リスクファクター 為替損失 発生 為替変動 テロや戦争 為替変動の リスクファクター

 なお、本プログラムの中におけるこの実習の「ねらい」および受講することによって習得が期待される「スキル」の位置づけは以下の通りです。  「ねらい」  ◇事業リスクファクターの多様性を認識する  ◇リスク認知が個々人で異なることを認識する  ◇リスクの定性的評価が個々人で異なることを認識する  ◇リスクコミュニケーションがいかに重要であるかを認識する  「スキル」  ◇リスクの典型的な分類ができる  ◇リスクファクターの構造、因果関係の把握、評価方法について説明できる

実習1 リスク発見のアプローチ 実習①  ケーススタディ「株式会社青空油圧」を読んで、その内容および一般的な観点から、この会社がさらされているであろうリスクを解答欄の区分にしたがって、14の分野に分類した上で思いつくだけあげてください。 実習②  ①であげたリスクを以下のアプローチから分類します。解答欄の区分にしたがって、思いつくままにリスクを記入してください(分類しきれなかったり、重複するものがあっても構いません)。   ・対象別   ・発生源別   ・原因別   ・保険可能別    (全部もしくは一部について保険の付保ができるものを考えましょう)   ・情報源別    (外部からの情報収集が可能なものについてはその情報源を考えましょう) §考察§  これらリスクの中で「株式会社青空油圧」にとって、何が重要なリスクになりうるかについても考えてみましょう(この実習の段階では直感的な考えで構いません)。

実習① 主要分類別のアプローチ

実習② 対象別のアプローチ

実習② 発生源別のアプローチ

実習② 原因別のアプローチ

実習② 保険可能別のアプローチ

実習② 情報源別のアプローチ

実習2 シナリオアプローチによる因果関係の把握 実習2 シナリオアプローチによる因果関係の把握 実習①  リスクを一通り認識できたら、次にこれらのリスクについての発生に至る原因、背景および要因を整理して記述していくと役に立ちます。これによって、リスクの発生に至るまでの因果関係がはっきりするとともに、さら新たなリスクが発見されることによってリスク認識の網羅性が高まることが期待できるからです。  このための手法としてはシナリオアプローチとよばれる有効です。この中でも例えばイベント・ツリー手法(ETA;Event Tree Analysis)の概念を用いると以下のような視点でリスクの因果関係を整理することができます。  イベント・ツリー手法は、その危機事態、結果・損失が発生するにいたる前提要因・因果関係などを樹状状にして整理して理解するもので、もともとは安全工学の分野で用いられてきた考え方です。  下記の作成例を参考に、演習1で認識したリスクのうち幾つかを取り上げ、上記の視点から因果関係の整理を行なってください。 促進要因 原因・背景 事態の発生 結果・損失 促進要因

実習②  あるリスクに対策を講じることによって、新たなリスクを生み出してしまう場合もあります。  リスクマネジメントにおいては、これらの因果関係について認識することも非常に重要です。ケーススタディの内容および一般的な観点から、対策を講じることによって新たにリスクが生じてしまう事例を1つ考えてください。 促進要因 リスク対策 事態の発生 結果・損失 促進要因

演習① 因果関係の把握

演習② リスク対策によって新たに生み出されるリスク

解答作成例:実習1① 

解答作成例:実習1②(対象別) 

解答作成例:実習1②(発生源別) 

解答作成例:実習1②(原因別) 

解答作成例:実習1②(保険可能別) 

解答作成例:実習1②(情報源別) 

解答作成例:実習2①

解答作成例:実習2②

実習の進め方 講師挨拶 5分程度 ケーススタディの説明 20分程度 実習の説明 15分程度 グループ実習 45分程度 実習の解説 20分程度 ※一応、受講者は既にケーススタディを読んできていることを前提とする 実習の説明 15分程度 グループ実習 45分程度 ※受講者のグループ内での自己紹介、ケーススタディの質疑応答はこの時間内に行う  サポートスタッフも各テーブルを巡回して適宜対応する  幾つかのグループから代表者に出てもらい、ホワイトボードに解答を書いてもらう。  また取り上げたリスクの相対的な重要度について受講者に議論してもらう。 実習の解説 20分程度 ※リスク認知における留意点を交えつつ解説を行なう。  特に社内でこのようにリスクについて整理、議論すること(リスクコミュニケーション)が  いかに大切かについて言及する。  より具体的なリスクの把握方法、算定・評価方法の手法およびその理論的背景 については2日目以降の講義および実習でとりあげることに留意する。 ( 計105分+予備15分)