関数型オブジェクト指向言語 Scala超入門

Slides:



Advertisements
Similar presentations
アルゴリズムとプログラミン グ (Algorithms and Programming) 第6回:クラスとインスタンス クラスの宣言 アクセス修飾子 インスタンスの生成 (new キーワード) this キーワード フィールドとメソッドの実際の定義と使い 方 クラスの宣言 アクセス修飾子 インスタンスの生成.
Advertisements

オブジェクト指向 言語 論 第八回 知能情報学部 新田直也. 多相性(最も単純な例) class A { void m() { System.out.println( “ this is class A ” ); } } class A1 extends A { void m() { System.out.println(
2.5 プログラムの構成要素 (1)文字セット ① ASCII ( American Standard Code for Interchange ) JIS コードと同じ ② EBCDIC ( Extended Binary Coded Decimal for Information Code ) 1.
Scala + Lift フレームワーク. Scala の概要 JVM 上で動作するオブジェクト指向+関数型言 語 JVM のスケーラビリティを適用できる Java との相互利用が可能 trait を利用した多重継承( Mix-In )が可能.
プログラミング言語論 第10回(演習) 情報工学科 木村昌臣   篠埜 功.
Scala + Liftフレームワーク その2.
(Rubyistのための) 超音速:ML入門
JavaScript プログラミング入門 2006/11/10 神津.
プログラミング言語としてのR 情報知能学科 白井 英俊.
プログラミング基礎I(再) 山元進.
2008/03/01 D-BOF k.inaba はじめての initial D 2008/03/01 D-BOF k.inaba
Javaのための暗黙的に型定義される構造体
プログラミングパラダイム さまざまな計算のモデルにもとづく、 プログラミングの方法論 手続き型 関数型 オブジェクト指向 代数 幾何.
アルゴリズムとデータ構造1 2007年6月12日
プログラミング基礎I(再) 山元進.
第2回:Javaの変数と型の宣言 プログラミングII 2007年10月2日.
アルゴリズムとデータ構造 2011年6月13日
条件式 (Conditional Expressions)
ML 演習 第 7 回 新井淳也、中村宇佑、前田俊行 2011/05/31.
インタフェース プログラミング 第14回 インタフェース プログラミング第14回.
プログラミング言語論 第12回 関数型プログラミング 情報工学科 篠埜 功.
ソフトウェア工学 知能情報学部 新田直也.
プログラミング言語入門 手続き型言語としてのJava
アルゴリズムとプログラミング (Algorithms and Programming)
0からわかるF# Part1 中 博俊 F# September 2008 CTP Base.
0からわかるF# Part1 中 博俊 F# September 2008 CTP Base.
独習JAVA 6.8 コンストラクタの修飾子 6.9 メソッドの修飾子 6.10 ObjectクラスとClassクラス 11月28日(金)
オブジェクト指向 プログラミング 第十三回 知能情報学部 新田直也.
静的型付きオブジェクト指向言語 のための 暗黙的に型定義されるレコード
暗黙的に型付けされる構造体の Java言語への導入
第3回 2007年4月27日 応用Java (Java/XML).
0からわかるF# Part1 中 博俊 F# September 2008 CTP Base.
プログラミング言語入門.
0からわかるF# Part1 中 博俊 F# September 2008 CTP Base.
ソフトウェア制作論 平成30年10月3日.
プログラミング言語論 第五回 理工学部 情報システム工学科 新田直也.
Java8について 2014/03/07.
オブジェクト指向言語論 第十一回 知能情報学部 新田直也.
オブジェクト指向言語論 第八回 知能情報学部 新田直也.
0からわかるF# Part1 中 博俊 F# September 2008 CTP Base.
オブジェクト指向 プログラミング 第十ニ回 知能情報学部 新田直也.
0からわかるF# Part1 中 博俊 F# September 2008 CTP Base.
pointcut に関して高い記述力を持つ アスペクト指向言語 Josh
第5章 計算とプログラム 本章で説明すること ・計算の概観と記述法 ・代表的な計算モデル ・プログラムとプログラム言語.
オブジェクト指向言語論 第十一回 知能情報学部 新田直也.
オブジェクト指向言語論 第六回 知能情報学部 新田直也.
アルゴリズムとプログラミング (Algorithms and Programming)
プログラミング言語論 第十三回 理工学部 情報システム工学科 新田直也.
Webアプリケーションと JSPの基本 ソフトウェア特論 第4回.
プログラミング言語論 第十一回 理工学部 情報システム工学科 新田直也.
C#プログラミング実習 第3回.
計算機プログラミングI 木曜日 1時限・5時限 担当: 増原英彦 第1回 2002年10月10日(木)
アルゴリズムとデータ構造 2012年6月11日
アルゴリズムとデータ構造1 2009年6月15日
オブジェクト指向言語論 第五回 知能情報学部 新田直也.
情報処理Ⅱ 第7回 2004年11月16日(火).
JAVA入門⑥ クラスとインスタンス.
オブジェクト指向言語論 第十一回 知能情報学部 新田直也.
オブジェクト指向言語論 第九回 知能情報学部 新田直也.
アルゴリズムとデータ構造 2010年6月17日
オブジェクト指向言語論 第七回 知能情報学部 新田直也.
PROGRAMMING IN HASKELL
オブジェクト指向言語論 第六回 知能情報学部 新田直也.
オブジェクト指向言語における セキュリティ解析アルゴリズムの提案と実現
情報処理Ⅱ 2005年11月25日(金).
オブジェクト指向言語論 第三回 知能情報学部 新田直也.
オブジェクト指向言語論 第九回 知能情報学部 新田直也.
オブジェクト指向言語論 第十回 知能情報学部 新田直也.
オブジェクト指向言語論 第六回 知能情報学部 新田直也.
計算機プログラミングI 第2回 2002年10月17日(木) 履習登録 複習 ライブラリの利用 (2.6-7) 式・値・代入 (2.6-8)
Presentation transcript:

関数型オブジェクト指向言語 Scala超入門 豆ナイト2008.2.26 @新宿三井ビル豆蔵 怪盗RubyからScala座の怪人へ 関数型オブジェクト指向言語 Scala超入門 羽生田 栄一 株式会社 豆蔵 取締役会長

クイズ:次の式の意味は? val l = List(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10) (0 /: l)( _+_ )

Javaコード (37行、{}なしで21行) public class Person { private String lastName; private String firstName; private Person spouse; public Person(String fn, String ln, Person s) lastName = ln; firstName = fn; spouse = s; } public Person(String fn, String ln) this(fn, ln, null); public String getFirstName() return firstName; public String getLastName() return lastName; public Person getSpouse() { return spouse; } public void setSpouse(Person p) spouse = p; // 婚姻の対称性と姓の変更に関しては // 考慮していません public String introduction() return "私の名前は," + firstName + " " + lastName + (spouse != null ? " 相方の名前は," + spouse.firstName + " " + spouse.lastName + " 。" : " 。"); 参考) http://blogs.tedneward.com/2006/03/02/Scala+Pt+2+Brevity.aspx

RubyコードⅠ(16行、endなしで12行) class Person def initialize(firstname, lastname, spouse = nil) @firstName = firstname @lastName = lastname @spouse = spouse end attr_reader :lastName attr_accessor :firstName, :spouse def introduction if spouse == nil "私の名前は, #{firstName} #{lastName}" else   "私の名前は, #{firstName} #{lastName} 相方の名前は, #{spouse.firstName} #{spouse.lastName}"

RubyコードⅡ(11行、endなしで8行) class Person def initialize(firstname, lastname, spouse = nil) @firstName, @lastName, @spouse = firstname, lastname, spouse end attr_reader :lastName attr_accessor :firstName, :spouse   def introduction     "私の名前は, #{firstName} #{lastName} " + (spouse ?      " 相方の名前は, #{spouse.firstName} #{spouse.lastName}" : "")

Scalaコード(10行、{}なしで8行) Rubyとほぼ同じ簡潔さ + 強い型付き! <=型推論のおかげで型宣言が不要! class Person(ln : String, fn : String, s : Person) { def lastName = ln; def firstName = fn; def spouse = s; def this(ln : String, fn : String) = { this(ln, fn, null); } def introduction() : String = return "私の名前は, " + firstName + " " + lastName + (if (spouse != null) " 相方の名前は, " + spouse.firstName + " " + spouse.lastName + "。" else "。"); } <=型推論のおかげで型宣言が不要! Rubyとほぼ同じ簡潔さ + 強い型付き!

新世代言語Scalaに関する事実1 ScalaからすべてのJavaクラスを簡単に利用可 JavaからScalaクラスを呼び出すことも自由 膨大なJava、J2EE、Java ME CLDCの資産が すべて、より合理的でコンパクトな形で利用可

新世代言語Scalaに関する事実2 ScalaはJava VM上で実行され その実行性能はJavaコードとほぼ同等 結果として、 ほとんどのスクリプト言語より一桁速い >Ruby, Groovyほか…

新世代言語Scalaに関する事実3 Scalaは純粋なオブジェクト指向言語 しかも本格的な関数型言語 文字列も配列も関数もすべて! 関数もオブジェクト: データとして自在に操作可(高階関数、クロージャ、カリー化)

新世代言語Scalaに関する事実4 Scala作者Martin Odersky教授 強力な開発体制 実用的な汎用プログラミング言語 JavacやJava Genericsの開発貢献者 強力な開発体制 早いペースでリリース ドキュメントも充実 実用的な汎用プログラミング言語 Scala言語処理系 2008年1月の時点でScala 2.6.1-finalが最新版

新世代言語Scalaの基本情報 Scalaの基本サイト Scala言語チュートリアル より詳しい解説 http://www.scala-lang.org/index.html Scala言語チュートリアル 「A Scala Tutorial for Java programmers」(日本語訳) http://homepage.mac.com/takashi_miyamoto/scala/ScalaTutorial.pdf Scalazine「First Steps to Scala」(英語) http://www.artima.com/scalazine/articles/steps.html より詳しい解説 Scala By Example http://www.scala-lang.org/docu/files/ScalaByExample.pdf

まずは対話型インタープリタ Read-Eval-Printループ Scala基本サイトからダウンロード

インタプリタ利用例 scala> val msg = "こんにちは" ,.................. valで定数の宣言。型省略。リテラルに日本語OK msg: java.lang.String = こんにちは,..................... msgがStringだと型推論されている scala> msg size ,.............................. msg.sizeやmsg.size( )としても同じ res2: Int = 5 ,......................... 結果の値がres<N>に、後で利用可。正しく5文字! scala> (1 to res2) foreach print ,.......... Intのメソッドtoで範囲。メソッドforeachの引数に関数print 12345 ,........................ 1~5を関数printに順番に適用。改行したければ関数println scala> msg = "さよなら" ,....................... valで定義したmsgは定数なので代入不可 <console>:2: error: assignment to non-variable ,.................... エラー:定数への代入 scala> var msg = "挨拶" ,................ varで変数を宣言。型指定するとvar msg: String = "挨拶" msg: java.lang.String = 挨拶,......................... 型指定しなくてもStringと推論。 scala> msg = "やぁ" ,................................ 変数なので新規に代入可能 msg: java.lang.String = やぁ scala> msg.foreach(println) ,......................... msgの各Charに関数printlnを適用 やぁ scala> msg (0) ,................ StringはArray[Char]とみなせ、ゼロ始まりの(i)で要素iにアクセス res3: Char = や,........... msg (i)はmsg.apply(i)の省略形。更新はupdate(i, a)だが文字列には適用不可 scala> for (c <- 'あ' to 'ん') ,..... toでIterator[Char]の範囲指定。<-は要素[集合記号]集合の記号を意味する | print(c) ,................ for文の途中であえて改行。インタープリタ中で縦棒で継続可能。 あぃいぅうぇえぉおかがきぎくぐけげこごさざしじすずせぜそぞただちぢっつづてでとどなにぬねのはばぱひびぴふぶぷへべぺほぼぽまみむめもゃやゅゆょよらりるれろゎわゐゑをん scala> :quit ,................................... Scalaインタープリタを終了

言語Scalaの文法の特徴1 統一性:すべての値は、オブジェクト すべて Int Array Function<N> メソッドをもち 変数に代入し 引数に渡せるs

言語Scalaの文法の特徴2 統一性:すべての操作は、メソッド適用 3 + 4 ・・・ 実は、次の式と同じ意味 3 + 4    ・・・  実は、次の式と同じ意味 3 . +(4) ・・・  +というメソッドを引数4で適用 array (3)   ・・・  配列の要素の参照も array. apply(3) ・・・  実は、メソッドapply(i)の適用 array(3) = 0      ・・・  配列の要素の更新も array. update(3, 0) ・・・  実は、メソッドupdate(i, v)の適用

言語Scalaの文法の特徴3 基本: 必要に応じて省略可 文と文の区切り: ;か改行 ブロック: {S; T; U} ⇐ DSLに便利 基本: 必要に応じて省略可 オブジェクト . メソッド (引数リスト) オブジェクト メソッド (引数リスト) オブジェクト メソッド  1引数 文と文の区切り:  ;か改行 ブロック:       {S; T; U} 式を整理するための括弧: ()か{} ( a .m( b )) * ( c / ( d + f(e) ) ) { a m( b )} * { c / { d + f(e) } } ( a m b ) * ( c / { d + f(e) } ) { a m b } * ( c / { d + f(e) } ) ⇐ DSLに便利 ⇐ DSLに便利 ⇐ DSLに便利

Scala vs. Java:文法上の相違点1 型の宣言は型名変数= 値ではなくて変数:型名= 値で指定 代入不可の変数はvalで宣言 ただし、与えられた値から型推論できる場合には型名は省略可 代入不可の変数はvalで宣言 通常の変数はvarで宣言 任意のデータにdefを用いて名前を付けられる valの代わりにもdefを使えるが振る舞いは若干異なる 関数やメソッドの宣言にはdefを用いる 文の区切り目の;はオプション。通常は改行で表す 一連の複文は;で区切ってブロック{ }でまとめる。 単文はブロックにしなくてよい。 forループ中のprint(c)は{ print(c) }としてもしなくても問題ない

Scala vs. Java:文法上の相違点2 数や文字列、配列も含めすべてのデータはオブジェクト。int、double、booleanなども含めすべてのデータは特定の型を表すScalaクラスに属する voidはUnitクラスとして扱い、Unit型の唯一のインスタンスは( ) 配列のインデックスはarray[i]ではなくarray(i)と アクセスする。配列の参照array(i)および更新 array(i)=xもarray.apply(i)およびarray.update(i,x)という通常のメソッド適用と見なされる

Scala vs. Java:文法上の相違点3 [ ]は型パラメータの指定に使われ、type IList =List[Int]のように宣言 型T へのcastはasInstanceOf [T]メソッドで 型パラメータを使えばほとんど無用 forループはfor-comprehensionとして定義 map、filterなどに変換される staticという概念はない Singletonパターンで代用される。classではなくobjectを object Singleton extends Object { val data: Int }など として定義し、その特性にstaticメンバ代わりにアクセスできる import文でパッケージやクラスをインポートできる *ではなく_を利用 import javax.swing.JFrame; import javax.swing.JFrame._ などとする。 import javax.swing.{JFrame=>MyWindow}などと 名前を付け替えられる

関数の定義 基本は、名前付きの関数 Scala関数のシグニチャ def 関数名 (引数リスト):戻り型 = 関数本体 関数の仮引数の型は絶対に省略できません 戻り型は通常は型推論できるので省略可 ただし、関数定義本体が再帰的な場合は 戻り型を省略できない 戻り型voidは、Unit型として宣言: ()はUnit型の唯一のリテラル Scala関数のシグニチャ 関数名: (引数型リスト)戻り型

関数の定義例 scala> def ##(str: String) = str.size , 文字数カウント。戻り型は省略 $hash$hash: (String)Int ,.... 戻り型Intをメソッドsizeから型推論 scala> ##(“Scala大好き”) ,........... ##といった未使用記号も名前に可 res4: Int = 8 scala> def fact(n: BigInt): BigInt =  再帰なので戻り型宣言 | if (n == 0) 1 else n * fact(n - 1) fact: (BigInt)BigInt ,.................... 関数factのシグニチャ表示 scala> fact(100) ,............. 整数リテラル100から暗黙型変換でBigInt res5:BigInt=93326215443944152681699238856266700490715968264381621468592963895217599993229915608941463976156518286253697920827223758251185210916864000000000000000000000000

無名関数の定義 関数名を指定せずに関数が定義できる 例 これらの関数はすべてオブジェクトなので、 (a: T1, b:T2,... )=>関数本体 ()=>関数本体 例 (n: Int) => n * 2 (a: Int, b: Int) => a * b () => println(”言語はScala”) これらの関数はすべてオブジェクトなので、 関数として他のオブジェクトにメソッド適用したり 変数に代入したり 後から名前を付けたりできる

無名関数の利用例 scala> (n: Int) => n * 2 ,........ 2倍するという無名関数λn:Int. (n * 2) res6: (Int) => Int = <function> ,.......... (Int)=>Intという型の関数 scala> res6(10) ,........ 仮名res6で関数を参照し整数10に適用 res7: Int = 20 ,............................. 結果は整数20 scala> val double = (n: Int)=> n * 2 ,..... 無名関数にdoubleと名前を double: (Int) => Int = <function> ,...... scala> double ( 100 ) ,..... 関数バインド変数doubleに引数リスト適用 res4: Int = 200 ,.......................... 結果は整数200 scala> List(1, 2, 3, 4, 5) map double ,. リスト各要素に関数を適用 res14: List[Int] = List(2, 4, 6, 8, 10) ,............ 結果は2倍の値のリスト

Scalaにおける関数の正体 実は関数は、 といった引数の数を末尾に持つクラスのインスタンス    Function0、Function1、Function2, … といった引数の数を末尾に持つクラスのインスタンス object double extends Function1[Int, Int] { def apply(n: Int): Int = n * 2 }

Scalaにおけるクラス定義 クラス宣言が基本コンストラクタの定義も兼ねる class Person(na: String, ag: Int) { def name() = na def age() = ag } scala> val tanaka = new Person("田中", 25) tanaka: Person = Person@13c2797

Scalaにおけるクラス定義2 言語としての簡潔さ Javaの場合 class ClassA { private String name; private int age; public ClassA(String name, int age) { this.name = name; this.age = age; } Scalaの場合 class ClassA(name: String, age: Int) {}

Traitによる多重継承(Mixin機能) 単一継承しか認められない通常クラスとは別に、JavaでいうInterfaceをより強力にし属性や操作も持たせられる Mixin的に多重継承が可能 Rubyのモジュールに相当 しかも、インスタンス生成時にwith節を使ってMixinすることもできる

ScalaにおけるTrait(Mixinのこと) class Person trait Teacher { def teach:Unit {}................. バーチャルなメソッドであってもよいし } trait PianoPlayer { def playPiano = .........実装をともなう具象メソッドであってもよい class PianoplayingTeacher extends Person with Teacher with PianoPlayer ..................クラスとしてTraitから継承 val tanakaTaro = new Person with Teacher with PianoPlayer ……………..田中太郎インスタンスに個別に性質を付与!

ScalaからJavaを呼ぶ Scalaでは自由にかつ簡単にJavaクラスやJavaインタフェースを利用できます。 次の例は、JavaのSwingライブラリの利用例: import javax.swing.{JFrame=>Mado} import javax.swing.JFrame._ val mameMado = new Mado("豆窓") mameMado setSize(200, 150) mameMado setDefaultCloseOperation(EXIT_ON_CLOSE) mameMado setVisible(true)

パターンマッチング機能 パターンマッチ対象を「case class」として宣言 caseクラスを利用して、抽象データ型を定義 そのクラスのインスタンス生成時のコンストラクタ呼び出し時にnewを省略可 new Var(“x1”) Var("x1") caseクラスを利用して、抽象データ型を定義 abstract class Term case class Var(name: String) extends Term case class Fun(arg: String, body: Term) extends Term case class App(f: Term, v: Term) extends Term Fun("x", Fun("y", App(Var("x"), Var("y"))))

パターンマッチング機能 def print(term: Term): Unit = term match { case Var(n) => print(n) ,.......... マッチ時の対応は個別にcase以下で定義 case Fun(x, b) => print("/\" + x + "." ); print(b) case App(f, v) => print("("); print(f); print(" "); print(v); print(")") } scala> val t1: Term = Fun("x", Fun("y", App(Var("x"), Var("y")))) t1: Term = Fun(x,Fun(y,App(Var(x),Var(y)))) scala> print(t1) /\x. /\y. (x y) def isIdFun(term: Term): Boolean = term match { case Fun(x, Var(y)) if x == y => true ,......... case中のif節で等値テスト case _ => false ,.................... 残りすべてのケース「 - 」 scala> isIdFun( Fun("a", Var("a") )) ,......... 項/\a.aは明らかに恒等関数Id res33: Boolean = true scala> isIdentityFun(t1) ,........... 項/\x. /\y. (x y)は恒等関数ではない res32: Boolean = false

高階関数・クロージャの利用 Scalaでは、関数もオブジェクトなので自由に 引数の名前呼び(call by name)で遅延評価 変数に代入できる 他のオブジェクトに対し、メソッド適用できる 引数の名前呼び(call by name)で遅延評価 f1( p1: T1) ・・・通常の値呼び(call by value) f2( q1: =>T1) ・・・名前呼び(call by name)

DSLとしてのScalaの可能性1: 独自の制御構造の定義例 例:独自の制御構造Whileの定義 def While (p: => Boolean) (s: => Unit) { if (p) { s ; While(p)(s) } } scala> var i: Int = 0 scala> While(i < 3) {i=i+1; print(“がってん ”)} がってん がってん がってん scala>While (true) ( print(”世界は無限だ”) )

DSLとしてのScalaの可能性2: 新しいデータ構造や型の追加 新しい型(例:BigInteger)を追加したいとき > factorial(30) 265252859812191058636308480000000 従来の言語(JavaでもHaskelでも*1)だと… import java.math.BigInteger def factorial(x: BigInteger): BigInteger = if (x == BigInteger.ZERO) BigInteger.ONE else x.multiply(factorial(x.subtract(BigInteger.ONE))) *1 ここに最初は「Rubyでも」といれていたら、会場一番前で聞いておられたマツモトさん本人に誤解だと指摘され削除しました。ご指摘ありがとうございました。

DSLとしてのScalaの可能性3: 使い慣れたリテラルや演算子でOK def factorial(x: BigInt): BigInt = if (x == 0) 1 else x * factorial(x - 1) クラスBigIntはJavaのBigIntegerをラップしているだけなのに通常の演算表記で使える! 演算子(+,-,*,・・・)のオーバーローデングが簡単 暗黙の型変換Implicit Conversionが強力! implicit def intToBigInt(x: Int) = new BigInt(x)

DSLとしてのScalaの可能性4: 無名引数とカリー化 無名関数の別記法( _ 無名パラメータ) ( _.isUpperCase ) == (c:Char)=>c.isUpperCase ( _+_ )  == (a, b)=> a + b …変数の型は推論 カリー化(関数の部分的具体化) def foo(x: Int)(y: Int) = x + y def add1(x:Int) = foo(x)(1)     // x + 1に相当 add1(100)  101 def `100add`(y:Int) = foo(100)(y)  // 100+yに相当 `100add`(7)  107 クイズの答え val l = List(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10) (0 /: l)( _+_ )   計算結果55 0にリストlの要素を左から順番に足し込んでいくfoldLeft(a0:A, l:List[A]) 2008/2/28 カリー化の説明を簡単に追加。

DSLとしてのScalaの可能性5: 日本語で語彙(型・関数・変数)自由に表現! case class `住所`(adr: (Int, String, String, String)) case class `利用者`(`登録id`:BigInt, `氏名`:String, `連絡先`:`住所`) case class `図書`(`書名`:String, `図書id`:BigInt){ def `を貸し出す=>`(`借り手`:`利用者`) } val `段田塊太` = `利用者`(9200800345, “段田塊太”, `住所`(101630434, “新宿”, “2-1-1”, “スカラ座ビル”)) val `本1`=`図書` (“はじめてのスカラ”, 1200700077) `本1` `を貸し出す=>` `段田塊太`  <= `本1`.`貸し出し`(`段田塊太`) Scalaの識別子の定義(以下の4種のいずれか) alphanumeric:a letter or _ で開始  例) HHanyuda _var _Max _Int operator:printable ASCII 文字 +, :, ?, or #等で開始  例) + ++ ::: <?> :-> mixed : alphanumeric+ operator op_ + op_* power_** human_? toBeOrNotToBe_? literal : ‘任意の文字列‘ (2つのback-tick‘で囲った文字列) ‘x‘   ‘<clinit>‘   ‘yield‘   ‘人間‘   ‘貸し出す‘  ‘処理A‘ 要求コード のトレーサビリティの確立 日本語で書いた要求を日本語のクラスとメソッドで仕様化し、 日本語の変数や文字列でプログラミングできる!

その他のScalaの可能性:注目機能 Lisp以来の関数型言語の伝統の柔軟なリスト構造の処理 部分関数、カリー化や高階関数、クロージャの自由な扱い 総称型(generics)および暗黙の型変換を含む高度な型処理 文字列やリスト・クラス(case class)まで含めた強力なパターンマッチング for文( 正確にはfor -comprehension)とSome(T)によるモナドの実現 遅延評価lazy機能 メタプログラミングのためのアノテーション@機能 構造的サブタイピング(継承に依らないポリモルフィズム・Duck Typing) XML操作機能(XMLリテラル、Scala式の埋め込み、DOMツリー操作) PEG(Parsing Expression Grammar:解析表現文法)とJSONパーサ アクター理論にもとづく並列性ライブラリ(RubyのFiberに相当) Lift(Scala=階段、に対しエレベータの意。http://liftweb.net)というRuby on Rails風の強力なフルスタックのWebアプリ開発フレームワーク。Liftを利用し140行で作られたサイトhttp://scala-blogs.orgも存在する

lift Web Framework : http://demo. liftweb lift Web Framework : http://demo.liftweb.net/lift/ Rails風フルスタックF/W(現在v0.5) lift はJava Webコンテナ上で動く + Scala で簡単にコーディング. lift アプリは、 WAR files で任意の Servlet 2.4 engine (Tomcat 5.5.xx, Jetty 6.0, etc.)にデプロイ可能 lift は、オープンソースであり、Apache License V2.0で配布 lift の特徴: セキュリティ, アプリ開発の高生産性, 開発・保守の容易性, 高い実行性能, 既存J2EEシステムとの互換性 影響を受けた既存のフレームワーク Seasideの柔軟なセッションとセキュリティの取り扱い, Rails の超お手軽な高速アプリ開発, Djangoの単なるCRUD 以上の機能, ErlywebのCometスタイルのアプリのスケーラビリティ Lift vs. Rails 同じくらいクリーンで簡潔なコード lift と Rails でコード規模はほぼ同じ。ただし、テストコードサイズは、 強い型のおかげで約60% 厳密な型チェック User.find(By(User.email, "foo@bar.com")) // legal User.find(By(User.birthday, new Date("Jan 4, 1975"))) // legal User.find(By(User.birthday, "foo@bar.com")) // compiler error 6倍高速、マルチスレッド対応 簡潔なDSLの提供 User.find(20) // find the user with primary key 20 // find all the users that registered 4 days ago User.findAll(By(User.registered, 4.days.ago)) // activate the account or suspend it after 4 days State(NewAcct, On({case Activate =>}, Activated),After(4 days, Suspended)) State(Suspended) entry {sendSuspendedEmail}

まとめ:RubyもいいけどScalaもネ! さまざまな機能は言語としてでなく、ライブラリとして 性能を意識した最適化された処理系 Rubyと比較して、Scalaは強い型付け 動的な性質が弱い分だけ柔軟性に欠けると予想されがちだが 統一性、型推論や高階関数、パターンマッチングに助けられて、 表現力において 記述のコンパクトさにおいて 十分互角に戦える言語に仕上がっている ぜひ食わず嫌いを止めて、まずは味見を! なんてたって、 Scala