新しいVPHグリズムおよび 櫛形格子のグリズム 日本天文学会2004年春季講演会 2004年 3月22-24日 新しいVPHグリズムおよび 櫛形格子のグリズム 海老塚 昇1・岡 恵子1, 2・小舘 香椎子2・川端 弘治3・家 正則4 理化学研究所1・日本女子大学理学部2・広島大学理学部3 ・ 国立天文台4
すばる望遠鏡 観測装置の波長帯域と分解能
各種回折格子の光路差 ニオブ酸リチウムのグリズム(上)とゲルマニウム Immersion grating(左)
各種回折格子を用いた同一波長分散の分光器サイズ 反射型回折格子 透過型回折格子 グリズム 各種回折格子を用いた同一波長分散の分光器サイズ
反射型回折格子とグリズムの対物分光器
各種グリズムと 透過型回折格子 Trispec用グリズム(名古屋大学理学部) しし座流星群の対物分光観測用グリズムおよび透過型回折格子 CIAO用グリズム (フッ素系樹脂Cytop 製)
SR (Surface Relief)型とVPH (Volume Phase Holographic)グリズムの回折効率
FOCAS用各種グリズム サイズ:110×106×最大106 [mm]。右から低分散 ( R=600 @0.4”スリット使用時) 、中分散 (R=1,400) と高分散エシェルタイプ(R=2,600)のSR (レプリカ) グリズム および、高分散VPHグリズム (R=2,600)。
超高分散(800nm直進, R=5,000, ZnSeプリズム)のVPHグリズム 入射面およびプリズムと格子の界面における屈折の式は sinα = n1sinθ1 ・・・(1) n1sin(α-θ1) = n2sinθ2 ・・・(2) である。臨界角はθ2が90゜すなわちsinθ2が1.0なので sin(α-θ1) = n2 / n1 ・・・(3) である。式(1)に(3)を代入して sinα = n1 sin {α- sin-1 (n2 / n1 ) } ・・・(4) である。ここでn1=1.5、n2=2.3とするとα=63.6゜である。n1とn2の臨界角が40.7゜、VPHグリズムはプリズムを2個使用するのでSR型と光路差が2tan(63.6)/tan(40.7)=4.7、すなわち約4.7倍の分解能を得ることができる。
SR型とVPH回折格子の回折効率
n=2 n≠2 頂角可変VPHグリズムの分光器
頂角可変VPHグリズム VPHの格子周期をdとするとブラッグ回折の式は、 mλ= 2n2d sin θb ・・・(1) sinα = n1sinθ1 ・・・(2) n1sin(α-θ1) = n2sinθ2 ・・・(3) である。θ2=θbとして式(1)に(3)を代入すると、 mλ= 2n1dsin(α-θ1) ・・・(4) である。ここでn1=2.0の場合に式(2)よりsinα=2sin θ1なのでα=2θ1と見なすと式(4)は、 mλ= 2d sinα ・・・(5) が導かれる。すなわち頂角αを変えることによって高い効率を保ったまま波長を変えることができる。
エシェルグラム 櫛形回折格子の高次高分散グリズム
VPH格子と櫛形格子の回折効率
まとめ 今後の課題 ・SR回折格子は低分散において高い効率。 ・VPH回折格子は高分散高効率を実現可能。 ・グリズム分光器は小型化が容易。 ・櫛形回折格子は広い波長範囲で高分散高効率を 実現可能。 今後の課題 ・波長可変VPHグリズムおよび分光器の開発。 ・櫛形回折格子の試作および実証実験。