地方と都市の 医師数格差解消に向けて
医師偏在:テーマを決めるにあたって 医師不足 医師の絶対数の不足 診療科の医師偏在 病院の必要医師数不足 都市と地方の医師偏在 Etc..
agenda 1. 医師の地域偏在の実情 2. 現状でとられている政策 3. 解決に向けての仮説 …議論へ
1.医師の地域偏在の実情① →OECDの平均を大きく下回っている *そもそも医師って足りている? 過去10年で平均約1.4%の増加 (2010年 厚生労働省) にも関わらず OECD平均以下の現状は変わらず <2006年調べ>
医師の地域偏在:都道府県別 <人口10万人あたり> 全国平均 医師206.3人 ・一位京都と最下位埼玉の差は・・・ 137.4人(二倍以上) 全国平均 医師206.3人 ・一位京都と最下位埼玉の差は・・・ 137.4人(二倍以上) ・ちなみに、私の出身高知県は第4位 ギモン。。。 高知って医師足りてなかったんじゃないの?!
医師地域偏在:市町村・エリア別 *全国の例として高知県を取り上げる 人口1000人当たりの医師数 4% 8% (日本全国平均約2.1人) 人口1000人当たりの医師数 (日本全国平均約2.1人) 中央:3.34人 安芸:0.14人 高幡:0.14人 幡多:1.76人 4% 8% 2008年調べ
考察:地域偏在とは… ・単純に都道府県別の医師割合で見ても、その実態はつかめない ・県の中央部に極端に医師が集まる傾向にあり、田舎は医師の過疎化が顕著である やっぱり高知の田舎は医師足りてなかった (全国的に見られる傾向)
医師地域偏在の実害 ・住民にとって 病院の混雑→なかなか診察がうけられない 家から病院が遠い→緊急時手遅れに 老人にとって通院に不利 ・医師にとって 一人当たりの負担大→後継者不足に
2.現状で取られている政策① ・医学部入学定員増員 ピーク時(昭和56年~平成9年):8280名 削減期(平成9年~18年):7625名 増員期(平成20年):7793名 (平成21年):8486名 実際に医師が増員されるまで時間がかかる 地域偏在解消に貢献する可能性薄
現状で取られている政策② ・医大の地域枠入試制度 卒業後一定期間県内で働くことを誓約 現在、全国で半数以上の医大が実施 (募集人数は5年前の18倍) ※二次試験がいらない、偏差値が一般入試より低い、奨学金支給など、条件は大学によって異なる 制限が不徹底 →①卒業時に奨学金を返済すれば県外に出てもよい ②県内の田舎、都市部の選択はある程度自由 医師の入学時学力低下
地域枠が効果を発揮しない(制限の不徹底) 負のスパイラルとその原因 医師の偏在 地方医師の負担大 医大生の都市勤務願望↑ 地域枠が効果を発揮しない(制限の不徹底) 卒業後、都市部へ なぜ??
なぜ制限をきつくできないのか? 「医師の絶対数減少を招くため」 現状の医師数増加は、自由に地域を選べる環境のおかげ 「医師の絶対数減少を招くため」 現状の医師数増加は、自由に地域を選べる環境のおかげ 仮説:日本の医師数を現状維持・または増員するためには今後制限をさらに強めることは困難。 では、国外の労働力開拓により地域偏在問題を解決は可能。(?)
地域偏在解消に向けて 看護師を海外から地方へ増員 短期的政策 医師を海外から地方へ増員 長期的政策 実害を取り除く
地域枠が効果を発揮しない(制限の不徹底) 短期的政策 海外から地方へ看護師を増員 地方の看護師不足もこの原因 医師の偏在 地方医師の負担大 医大生の都市勤務願望↑ 地域枠が効果を発揮しない(制限の不徹底) 卒業後、都市部へ
EPAによる看護師受け入れ体制 *流れ ①インドネシアで2年の実務経験 ②JICWELSの斡旋による雇用契約 ③4か月の日本語研修 ④2か月の入国後日本語研修・看護研修 ⑤病院で就労・研修 ⑥看護師国家試験を受験 (合格までの猶予期間は入国後3年) →2008年の受け入れ開始以降、399人の希望者のうち、16人の合格者
受け入れ制度の改善点 ①日本での語学研修の改善 →不合格の主な原因である日本語力を強化 ②合格者を地方へ派遣 →不足している看護師数を補てん ③受け入れ要請のある、タイ・インド・ベトナムの看護師候補生受け入れ 効果は1年単位で出るのでは?
地域枠が効果を発揮しない(制限の不徹底) 長期的政策 海外から地方へ医師を増員 医師の偏在 地方医師の負担大 医大生の都市勤務願望↑ 地域枠が効果を発揮しない(制限の不徹底) 卒業後、都市部へ
長期的政策 医師を海外から地方へ増員 *医療法 外国人医師による日本国内の医療行為は禁止 →土台作りに時間がかかる (厚生労働省の許可の下例外あり) →土台作りに時間がかかる *5年ほど前から規制緩和を求める具体的な動きも… *ネックになっているのは医師会の姿勢 →しかし風向きは変わりつつある
政策の課題 ・住民の合意形成 ・日本人医師が拒否するへき地医療を外国人医師(看護師)にやらせていいのか? ・地方医師のさらなる負担増?(コミュニケーションの壁など)
論点 ・医師の絶対数を減らさないように、都市と地方の医師数格差を是正するには? (そもそも医師数は減ってもいい?) ・EPAによる看護師受け入れ制度は拡大すべきか? ・政策の是非
参考文献 ・OECD Health data http://www.med.or.jp/etc/iken/nanmin/iken3.pdf ・医師不足および偏在解消に向けて 2010年 社団法人日本医師会 http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20101006_11.pdf ・厚生労働省 平成18年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/06/index.html ・e-stat 政府統計の総合窓口 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001046512 ・文部科学省 平成24年度における医学部入学定員について http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/10/__icsFiles/afieldfile/2011/10/20/1312420_001_1.pdf ・日比経済連携協定に基づく看護師・介護福祉士候補者の受入れ関係 http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/other07/07-2.html ・日経ビジネスオンライン http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100906/216119/