核磁気共鳴法とその固体物理学への応用 東大物性研: 瀧川 仁 [Ⅰ] 核磁気共鳴の基礎と超微細相互作用

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核磁気共鳴法とその固体物理学への応用 東大物性研: 瀧川 仁 [Ⅰ] 核磁気共鳴の基礎と超微細相互作用 東大物性研: 瀧川 仁 [Ⅰ] 核磁気共鳴の基礎と超微細相互作用 [Ⅱ] NMRスペクトルを通してスピン・軌道・電荷・格子の局所構造を探る (静的性質) [Ⅲ] 核磁気緩和現象を通して電子(格子)のダイナミクスを見る (動的性質)

[Ⅱ] NMRスペクトルを通してスピン・軌道・電荷・格子の 局所構造を探る (静的性質)     局所構造を探る (静的性質) 1.常磁性状態におけるNMRスペクトル 結晶の対称性とNMRスペクトル 例:SrCu2(BO3)2におけるホウ素サイトのNMRと圧力下相転移 不純物によって誘起される現象 2.磁気秩序状態におけるNMR 色々な秩序状態におけるNMRスペクトル 磁気構造についてNMRから何が言えるか (例:BaFe2As2) 強磁場下で出現する秩序相 (例:SrCu2(BO3)2における逐次磁化プラトー) 3.f電子系の多極子秩序とNMRスペクトル NMRでどうして多極子が見えるか? 例:CeB6、PrFe4P12における多極子秩序

1.常磁性状態におけるNMRスペクトル NMRスペクトル: 局所対称性(点群、point group)を反映。     原子核の位置から周りを眺める、という視点。 結晶中の点群対称性(サイトシンメトリー)を反映。 空間群(space group)の知識を活用。 International Tables for Crystallography Volume A: Space-group symmetry 230の空間群の表 解説 Space Groups for Solid State Scientists Gerald Burns and A. M. Glazer Academic Press 1990

P Fe Pr

結晶の対称操作 [1] 回転 (n=2, 3, 4, 6), 回反(回転+反転)、鏡映 [2] 併進 t=[I, j, k] or [½, ½, 0] or [½, ½, ½] [3] screw (回転+m/n併進) [4] glide (鏡映+1/2併進)

サイト・シンメトリーとシフト・電場勾配の対称性 [1] 観測しているサイトを通るn回軸 (n≥2)があれば、これは主軸の1つ。    特に n≥3 であればシフト、電場勾配は軸対称。    (軸に垂直な面内の2つの主値は等しい。) [2] 観測しているサイトが鏡映面上にあれば、この面に垂直な方向は    主軸の1つ。

等価なサイトにおける共鳴線の分裂と一致 (b) (a) (c) O B B Cu O A A B A 磁場下では一般に非等価。 磁場が[110]に平行。 結晶学的に等価 4+, 4-で移り変わる 4+, 4-の対称操作で磁場の方向が変わらない。 B AサイトとBサイトは等価 A

単位胞中に複数の結晶学的に等価なサイトがある場合。 その中の任意の2サイトA、Bに対し、AサイトをBサイトに移す対称操作{R|t }が存在する。 磁場の方向がRによって不変であれば、AサイトとBサイトの共鳴線は一致する。(不変でなければ共鳴線は一般に分裂する。) 共鳴線が一致する場合:  磁場が 1.Rがnのとき、n回軸(らせんを含む)に平行 2.Rが2のとき、2回軸に垂直 3.Rが鏡映のとき、鏡映(グライド)面に平行、または垂直 相転移における共鳴線の分裂 秩序の発生(対称性の破れ) NMRスペクトルの角度依存性から秩序パラメータを同定する。

例題1: PrFe4P12における31P-NMR Pサイトの対称性 2つのP1サイトは反転によって移る。 磁場をxy(001)面内で回転 2つのP1サイトは反転によって移る。 P1とP2は(001)面の鏡映、又は2回軸[010]周りの回転で移る。 1,2 5,6 3,4

例題2:Cs2CuCl4 (Pnma)における133Cs NMR スペクトル 2つのCsサイト:b軸に垂直な鏡映面上にある。 4種類の対称操作 4つの等価なサイト 反転(常に等価) C方向の1/2らせん、 又は、a-glide で不変な方向 磁場がc方向、又はab面内にあるとき 等価なサイトは分裂しない。それ以外の場合は 2本に分裂する。

擬2次元直交ダイマースピン系SrCu2(BO3)2 H. Kageyama et al. PRL 82 (1999) 3168. J’ J Shastry-Sutherlandモデル J’/J < 0.7では、ダイマー・シングレットの直積が厳密な基底状態 相図 J=84 K, J’=54 K J/J’=0.64 plaquette dimer Neel

SrCu2(BO3)2における磁化プラトー トリプレットの反発力による局在化 --- ボゾンのモット絶縁体

SrCu2(BO3)2におけるホウ素サイトのNMR ホウ素サイトはミラー面上にある。 磁場を(110)面で回転すると、3,4サイトは等価。

圧力下の相転移:2.4GPaにおける11B-NMR T. Waki et al., J. Phys. Soc. Jpn. 76 (2007) 073710. 2段階の共鳴線分裂 H // c 7T ギャップレス シングレット 30K以下で共鳴線が徐々に分裂。 (B1, B2) サイトと (B3, B4)サイトが非等価になる。 4K以下で更に2本のシャープなラインと2本のブロードなラインに分裂する。 シャープなラインは非磁性シングレットの振る舞いを、ブロードなラインはギャップレスな磁気的振る舞い(低温の極限で有限のシフト、緩和率)を示す。 3.6Kにおいて明瞭な相転移を示す異常。

圧力下の相転移:2.4GPaにおける11B-NMR T. Waki et al., J. Phys. Soc. Jpn. 76 (2007) 073710. 3.6Kにおいて磁気的な相転移。 (B1, B2) サイト、 (B3, B4)サイトともにシャープなラインとブロードなラインに分裂 --- 相転移。 バルクな磁化率も明瞭な折れ曲がりを示す。 H // [110]

[110] [1-10] 10K(中間温度相)におけるシフト、四重極分裂の角度依存性 - - 中間温度領域: T. Waki et al., J. Phys. Soc. Jpn. 76 (2007) 073710. [110] [1-10] 中間温度領域: (110)面内の磁場下での(B1, B2)サイトのシフトと (110)面内の磁場下での (B3, B4)サイトのシフトが異なる。 4回対称性の欠如。鏡映対称性は残る。 - 1GPa、10Kにおいて (8, -6, 2) X線反射の分裂が観測された。 Orthorhombic or monoclinic distortion - 100K付近で構造相転移 I42m Fmm2 Yamaura unpublished.

低温相におけるシフトの角度依存性 低温相: 2倍の単位胞が実現 B1 – B4 サイト全てにおいて、共鳴線がシャープなラインとブロードなラインに分裂 2倍の単位胞が実現 磁気的ダイマーと非磁性ダイマーが超構造を形成。

低磁場での振舞い: 2つの異なるギャップ a b 秩序パラメータは何か? 低磁場ではブロードなラインも低温で非磁性基底状態に落ち込む。 ダイマー内スピン相関の反強的秩序 新しいタイプの valence-bond-solid (VBS) 秩序? H=1.4 T // c

不純物によって誘起される現象 相関が強いにも拘らず無秩序状態にあるスピン系では、局所的な乱れがスピン相関を長距離にわたって乱す可能性がある。非磁性不純物に対するスピン系の応答は、乱れがない時の基底状態の性格を反映する。 例 1. S=1 ハルデイン鎖の端に現れる不純物スピン 89Y NMR in YBa2Ni1-xMgxO Tedoldi, Santachiara, Horvatic, PRL83 (1999) 412. 各Y原子核は主として隣り合う鎖上の2つのスピンと結合する。

YBa2Ni1-xMgxO におけるサテライト共鳴線 Shift of the 1st satellite line. 89Y NMR spectra for x=0.05 Free spin 1/2

周波数シフトのサイト依存性 x 周波数シフト(磁化)の指数関数的な減少から、スピン相関距離が求まる。 バルクな系に対する相関距離の計算結果と良く一致する。 bulk correlation length x

H 例2:S=1/2 ハイゼンベルグ鎖の端に生じる磁場誘起交替磁化 一様な磁場が端付近に交替(反強磁性的)磁化を誘起する。 Eggert and Affleck, PRL75 (1995) 934. 一様な磁場が端付近に交替(反強磁性的)磁化を誘起する。 H Monte Carlo T=J/15 x~1/T

Sr2CuO3における63Cu NMR スペクトル Hyperfine form factor 450サイトの シミュレーション Takigawa et al., PRB55 (1997) 14129. 450サイトの シミュレーション Hyperfine form factor

DH is proportional to and anisotropic. Average chain length ~ 1800. Origin of the defects ?

例3: ドープされたスピン・パイエルス系CuGe1-xSixO3 スピン・パイエルス転移 不純物をドープしたCuGeO3における2量体化と反強磁性の共存。

誘起された磁気モーメントはどこにあるか ? Si 63,65Cu NQR Kikuchi et al., PRL88 (2002) 037603. サテライトS1 (S2) は最近接と次近接Geのうち、1個 (2個)がSiで置き換えれたCuサイトに対応する。 メインラインは線幅の大きな変化なく、急激に wipeout (信号強度の減少)される。これは磁気的原因(T2の減少)による。

Relaxation rate Frequency shift S1サイトは磁気的に不活性。S1サイトの近くではスピン・パイエルス転移温度以上でシングレットペアは形成されている。磁気モーメントはSiから離れたところにある。 スピン・格子結合を入れた有限鎖に対する計算結果とも一致。 Ohnishi and Miyashita, J.Phys.Soc.Jpn. (2000).

2.磁気秩序状態におけるNMRスペクトル 磁気秩序 があれば、外部磁場なしでも 共鳴が観測可能。 --- ゼロ磁場NMR 共鳴条件: 更に外部磁場が加わると、

非整合(incommensurate)な磁気秩序 Spin density wave Helical order 非整合構造:qが一様に連続分布 局所磁場分布 擬3角格子 Cs2CuBr4

粉末試料の場合(powder pattern) Incommensurate SDW 整合反強磁性

磁気秩序状態におけるNMRスペクトルの解析 A K 鉄ヒ素系超伝導体の母物質 AFe2As2 (A=Ba, Sr, Ca) Fe Co 超伝導 加圧(Sr) BaFe2As2 Ba 構造変化:I4/mmm Fmmm 遍歴反強磁性秩序 140Kで1次相転移 Fe As 2副格子反強磁性、Hhf // c Kitagawa et al., JPSJ 77, 114709 (2008)

超微細結合テンソルの対称性 低温構造:Fmmm m 一般にBは対称テンソル m 同様に 一様磁化 a, b, c軸がシフトの主軸。

可能な反強磁性構造の同定 Q=(100) or (101) ストライプ構造 case I) case II) 超微細磁場がc方向を向くことはできない。

可能な反強磁性構造の同定 case III) Q=(001) 1つの層に関しては一様磁化と同じ。 case I case III

BaFe2As2における構造・磁気相転移の様相 ヒステリシスを伴った1次転移 低温斜方晶で電場勾配の大きな非対称性。構造相転移に伴い電場勾配の最大主軸はc軸からab面内に90度変わる ! ヒ素サイトの電子状態の大きな変化

高圧下のSrFe2As2における超伝導と反強磁性の共存 Kitagawa et al. arXiv:0906.4740 5.4GPaで超伝導転移 --- 低温で有限な状態密度 ギャップレス

高圧下のSrFe2As2における超伝導と反強磁性の共存 Kitagawa et al. arXiv:0906.4740 18K以下で2副格子反強磁性相と超伝導相が共存。 18K以上はインコメンシュレート?

高圧下のSrFe2As2における超伝導と反強磁性の共存 Kitagawa et al. arXiv:0906.4740

実験装置の工夫

SrCu2(BO3)2における強磁場下逐次磁化プラトー 1/3 1/4 (2/g)M (mB/Cu) 1/8 Magneic field (T)

20 MW 電磁石 Grenoble High Magnetic Field Laboratory 1/8プラトー相におけるCu-NMRスペクトル Ac=-23.8 T/mB, gc=2.28, nQ=22MHz. もしトリプレットが1個のダイマーに局在していれば、NMRスペクトルは6本の共鳴線の組2セットからなると予想される。 20 MW 電磁石 Grenoble High Magnetic Field Laboratory ~200 MHz frequency

1/8プラトー相におけるCu-NMRスペクトル Kodama et al., Science 298 (2002) 395. Fit: 11 sites Site <Hn> (T) Intensity 1 -16.23 1/8 2 -11.01 1/8 3 -4.05 1/8 4 -3.51 1/8 5 -3.04 1/16 6 0.60 1/16 7 1.97 1/8 8 2.61 1/16 9 2.95 1/16 10 3.30 1/16 11 4.61 1/16 <sz>=0.3 <sz><0 <sz>=0.2

Spin density of one “triplet” is distributed over three dimers. 1/8 プラトーにおけるスピン超構造 Kodama et al., Science 298 (2002) 395. Exact diagonalization of the Shastry-Sutherland model Theory + on-site hyperfine coupling A= -23.8 T/mB Miyahara, Becca and Mila, PRB 68 (2003) 24401 Experiment A + 4B + C = -23.8 T/mB  B = -1.04 T/mB C = -2.45 T/mB Theory + on-site, NN and NNN coupling <Sz1>=0.386 <Sz4>=-0.215 <Sz6>=0.312 <Sz2>=0.01 <Sz3>=-0.0063 <Sz5>=0.0073 <Sz7>=-0.035 <Sz8>=0.04 Spin density of one “triplet” is distributed over three dimers.

m 最近の進展:新しいプラトーと逐次相転移(磁化・トルク測定) /Cu) )M ( (2/g Field (T) 15 15 20 20 torque at NHMFL (30 mK, field shifted by -0.8T) S. Sebastian et al., arXiv: 0707/2075. 15 15 20 20 25 25 30 30 pulsed field at 1.5 K (+ adiabatic cooling), K. Onizuka et al., JPSJ 69 (2000) 1016. 0.20 1/4 torque and magnetization at GHMFL (60 mK) 1/6 F. Lévy et al., EPL 81 (2008) 67004 and unpublished. 0.15 ? 1/6 /Cu) 2/15 Cu NMR shift (50 mK) m B 1/8 ? +e )M ( 0.10 1/8 c (2/g 理論的に予測された新しいプラトー: 1/9, 2/15, 1/6, 2/9. 0.05 0.00 Dorier, Schmidt, Mila, Phys. Rev. Lett. 101 (2008) 250402. 15 20 25 30 35 Field (T)

2つの新しいプラトー相:2/15, 1/6 T = 0.43 K 1/6 ? "1/4" 1/8+e "1/8" 2/15 ? プラトー: June 2008 @ GHMFL T = 0.43 K "1/8" 1/8+e "1/4" 1/6 ? プラトー: シャープな共鳴線(コメンシュレート構造) 中間相: 連続的なバックグラウンドの上にブロードなピーク。 (ドメイン又は非整合構造?) 2/15 ?

11B-NMRスペクトルから決定されたスピン超構造 F. Mila and M. Takigawa 1/8 1/6 1/4 1/3 2/15

f 電子系の多極子秩序とNMRスペクトル 電子系の自由度:電荷密度、スピン密度、電流密度 f 電子系:強いスピン・軌道相互作用 J=L+S       結晶場分裂 --- 高対称な結晶場では大きな縮退度。 f 電子系の状態を表す自由度(秩序パラメーター):     電荷、磁気双極子モーメント、電気四重極モーメント、磁気8極子、     電気16極子、・・・ 酒井、菊地、椎名、瀧川、日本物理学会誌 63、427 (2008).

NMRでどうして多極子が見えるか? 超微細相互作用 磁気8極子の例 網の目のように張り巡らしたリガンド核によって多極子の磁化分布を検出する! PrFe4P12 磁気8極子の例 全空間で積分した磁化はゼロであるが、局所的には有限のスピン密度が存在する。 網の目のように張り巡らしたリガンド核によって多極子の磁化分布を検出する!

CeB6における四極子秩序と磁場誘起8極子 Bサイト 磁場を(110)面で回転すれば、B1, B2サイトは等価、B3サイトとは非等価。 B I相:常磁性状態。 II相:各サイトの共鳴線が2本に分裂。反強磁性?    磁場ゼロで分裂幅もゼロ。  磁場誘起反強磁性 Ce 分裂幅の角度変化 分裂幅の磁場変化 D3 D1,2 H // z H⊥c Takigawa et al., JPSJ 52, 728 (1983).

CeB6のII相に関するNMRと中性子の矛盾 H // c に対し,B3, B3ペアの共鳴線が分裂するためには、Q(0,0,1/2)の秩序が必要。 しかし、中性子回折の実験ではこのような波数は観測されなかった。 中性子回折の結果: 1.H // [111], H // [110]の場合、Q=(½, ½, ½)の反強磁性モーメントが   誘起される。 2.H // [001] の場合、反強磁性モーメントは誘起されない。

CeB6のNMRスペクトルの新解釈 核スピンと多極子の相互作用の不変式 磁気的多極子: dipoles octupoles Sakai et al., JPSJ 66, 3005 (1997). 核スピンと多極子の相互作用の不変式 磁気的多極子: dipoles octupoles B3核とCe1サイトの結合を考える。 B3-Ce1ボンド軸は(1-10)鏡映面上にある。従って 相互作用は(1-10)鏡映に関して不変な項に限られる。 x y 奇パリティ: 偶パリティ:

対称操作に関して不変な相互作用 H // z で共鳴線が分裂 Izに結合する多極子が内部磁場の原因。 不変式: 同様な表式を他のCeサイト2, 3, 4について足し合わせる。 4回操作でJzは不変、しかしTxyz=JxJyJzは符号を変える! Q=(1/2,1/2,1/2)の波数を持つTxyzの反強秩序はz方向の内部磁場を作る。

反強四極子秩序と磁場によって誘起された8極子 ゼロ磁場でOxy型の電気四極子秩序。 磁場で誘起されるスピン密度は元の電荷密度分布を反映する。 分裂幅の角度変化 D3 電荷小 電荷大 D1,2 H // z H⊥c

ゼロ磁場での四極子秩序変数とコンパチブルな磁場誘起モーメント Shiina, Shiba, Thalmeier, JPSJ 66, 1741 (1997).

PrFe4P12における全対称多極子秩序 磁化 電気抵抗率 6.5K(ゼロ磁場)で相転移。 低温相ではQ=(100)の超周期構造。   t[½,½,½]併進が欠如。 磁化 電気抵抗率

例題1: PrFe4P12における31P-NMR Pサイトの対称性 2つのP1サイトは反転によって移る。 磁場をxy(001)面内で回転 2つのP1サイトは反転によって移る。 P1とP2は(001)面の鏡映、又は2回軸[010]周りの回転で移る。 1,2 5,6 3,4

低温相における31P-NMRスペクトルの分裂 Kikuchi et al., JPSJ 76, (2007) 043705. どの方向に対しても、共鳴線が2倍に分裂する。 体心立方から単純立方への変化   単位胞の大きさが2倍 2種類にPrサイト(P12の籠)が非等価になる。

分裂幅の磁場・方向依存性 磁場ゼロで分裂幅も消失。 超微細磁場の起源は磁場で誘起された磁気的多極子。 分裂はどの方向でもゼロにならない。 Kikuchi et al., JPSJ 76, (2007) 043705. 磁場ゼロで分裂幅も消失。 超微細磁場の起源は磁場で誘起された磁気的多極子。 分裂はどの方向でもゼロにならない。 分裂幅はTA以上のシフトと同じ対称性。 サイト対称性は低下していない。

磁場誘起多極子、ゼロ磁場秩序変数と共鳴線の数の関係 Q=(100)の反強秩序を仮定。 P1,P2サイトの超微細磁場の交替成分の不変式 +:P1 -:P2 例えば、ゼロ磁場でOyzの反強4極子秩序がある場合、 [001]方向の磁場下ではP1とP2サイトの共鳴線はJy, Ty によって分裂する。 四極子秩序では実験を説明できない。

全対称な秩序変数 四重極では説明できない理由 (H // [111]の場合) Kikuchi et al., JPSJ 76, (2007) 043705. 四重極では説明できない理由 (H // [111]の場合)

一般化されたパイエルス転移 Q=(100)方向のフェルミ面のネスティング G1型多極子のQ=(100)のオーダーが、伝導電子に対するポテンシャル変調を作り出す。 パイエルス転移:格子変形  PrFe4P12: f電子の電荷分布の変形 ポテンシャル変調

V6: 26=64th; hexacontatetrapole 何故全対称か? Harima, private commun. 伝導帯を作る分子軌道:xyz対称性 in Th V4: 24=16th; hexadecapole V6: 26=64th; hexacontatetrapole