宇宙空間物理学の課題 Space Physics

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宇宙空間物理学の課題 Space Physics 長井嗣信 2007/03/22 11:45-12:10

研究環境の整備 1.既存衛星の観測継続 Akebono 1989- Geotail 1992- 2.外国の衛星のデータの整備 Cluster PD浅野芳洋 ACE 太陽風 3.新規衛星への参加 SELENE 月探査  本年(2007) 夏 4.将来衛星への準備 水星探査 2019 PS 藤本正樹 磁気圏探査 ?

あけぼの 放射線帯 1989-2011  22年  (太陽活動サイクルの2周期)

Geotail 1992- 日本でのデータ受信 大学院生の主体 データの1/3しか受信できない NASA Senior Review Data reception (米国 スペイン オーストリア) -2008

宇宙科学研究本部での衛星運用 (受信、管制)

Geotail 1992- 日本でのデータ受信 大学院生の主体 データの1/3しか受信できない NASA Senior Review Data reception (米国 スペイン オーストリア) -2008

Magnetic field W. Baumjohann 研究環境の整備 3.新規衛星への参加 SELENE 月探査  本年(2007) 夏 Y. Saito et al. Low energy charged particle measurement by MAP-PACE onboard SELENE, Earth Planets Space (in preparation). 4.将来衛星への準備 水星探査 2019 MMO Plasma Saito (ISAS) Magnetic field W. Baumjohann W. Baumjohann et al. The magnetosphere of Mercury and its solar wind environment: Open issues and scientific questions, Advances in Space Research, 38, 604-609, 2006

研究課題 (博士論文、修士論文、卒業研究) 1.ケルビン・ヘルムホルツ渦の成長とプラズマ混合 中村T、高木 2.磁気回転不安定性(Magneto-Rotational Instability, MRI) 中村K 3.磁気リコネクション はい島、早川、山崎 井筒、石倉、斉藤 (Cluster)  指導 PD浅野 4.放射線帯のダイナミクス 木下

研究課題 (博士論文、修士論文、卒業研究) 1.ケルビン・ヘルムホルツ渦の成長とプラズマ混合 中村T、高木 D. H. Fairfield et al. J. Geophys. Res. 2007 NASA/GSFC Geotail

T.K. Nakamura 1 2 3 1 密度 磁場 速度 N By Vy

T. K. Nakamura 1 2 3 1 密度 磁場 速度 N By Vy

研究課題 (博士論文、修士論文、卒業研究) 2.磁気回転不安定性(Magneto-Rotational Instability, MRI) 中村K 学部 「宇宙プラズマ物理学」MHD理論 磁気回転不安定性の線形理論の解説 S. Chandrasekhar (1961) S. A. Balbus and J. F. Hawley (1991)

研究課題 (博士論文、修士論文、卒業研究) 3.磁気リコネクション (Magnetic Reconnection) はい島、早川 Simulations 山崎 Dayside reconnection 井筒、石倉、斉藤 Cluster tail reconnection Nagai, T. Space Science Reviews, 122, 39-54, 2006. 境界条件の磁気リコネクション 発生への役割

研究課題 (博士論文、修士論文、卒業研究) 4.放射線帯のダイナミクス 木下 地球近傍の放射線帯 どのようにして電子を 相対論的エネルギーに加速するか? (MeV) あけぼの衛星

大きな磁気擾乱の数日後に相対論的電子のフラックスは増加 at 6.6 RE (地球半径) ほぼ20年前 大きな磁気擾乱の数日後に相対論的電子のフラックスは増加 at 6.6 RE (地球半径) Nagai, T., Space weather forecast, Geophys. Res. Lett., 15, 425-428, 1988. 西田篤弘「宇宙天気予報とは」2005に引用

電子の加速  keV to MeV  電場しか加速はできない 1. 波動の電場による加速 波動は存在  加速に時間がかかる 1日以上 理論的研究の発展 Summers et al. [1998] 準線形理論 相対論的プラズマ 2. 電場による加速 (大きな磁場変動による誘導電場) 加速の時間スケールは、1時間程度 十分に大きな電場は存在するか?

衛星 あけぼの 放射線モニターのデータ整理 「波動の電場では加速できない」 T. Nagai, A. S. Yukimatu, A. Matsuoka, K. T. Asai, J. C. Green, T. G. Onsager, and H. J. Singer, Timescales of relativistic electron enhancements in the slot region, J. Geophys. Res., 111, A11205, doi:10.1029/2006JA011837, 2006. NOAA/Space Environment Centerグループの協力を得て Simultaneous observations with Akebono at high altitudes NOAA 15, 16, 17, 18 at low altitudes (800 km)

「あけぼの」の観測 2005年9月11日 150分で 相対論的電子の増加 Prior to storm Flux minimum Main phase Recover phase Flux minimum in the slot region Flux increases in the outer belt (c) 0749 UT on September 11, 2005 (d) 1020 UT on September 11, 2005 A significant flux increase is completed at 0749 UT A further significant flux increase occurred within 150 minutes between 0749 UT and 1020 UT Each dashed line is flux profile at the previous time

NOAA observations at L = 2.6-3.0 for 3 days (Sep. 10-12, 2005) The flux increase started near 06 UT and ended near 10 UT 06UT 10UT Both proton contaminations and geographic effect due to the non-uniform Earth’s main magnetic field are eliminated. 4時間で 相対論的電子の増加

「あけぼの」の観測 2005年8月24日 Prior to storm Flux minimum Recover phase 「あけぼの」の観測 2005年8月24日 Prior to storm Recover phase Flux minimum in the slot region Flux increases

NOAA observations at L = 2.6-3.0 The flux increase started near 09 UT and ended near 12 UT 09UT 12UT Both proton contaminations and geographic effect due to the non-uniform Earth’s main magnetic field are eliminated. 3時間で 相対論的電子の増加

二段階の加速過程 電子の加速  keV to MeV  電場しか加速はできない 1. 電場による加速 (大きな磁場変動による誘導電場) 加速の時間スケールは、1時間程度 十分に大きな電場は存在するか? 2. 波動の電場による加速 波動は存在  加速に時間がかかる 1日以上 理論的研究の発展 Summers et al. [1998] 準線形理論 相対論的プラズマ

なぜ「発見」ができたか? 1.外国の衛星による観測 軌道のため同じ場所へ戻ってくるのに1日以上 2.衛星「あけぼの」  打ち上げてからだいぶ経って軌道が下がる 軌道周期が150分程度に 教訓 古い衛星でも 時間が経つにしたがって軌道の変化をし、 (大気による摩擦、月による摂動) 新しい「探査」ができる。 衛星 あけぼの 衛星 Geotail 観測の継続

研究環境の整備 1.既存衛星の観測継続 Akebono 1989- Geotail 1992- 2.外国の衛星のデータの整備 Cluster PD浅野芳洋 ACE 太陽風 3.新規衛星への参加 SELENE 月探査  本年(2007) 夏 4.将来衛星への準備 水星探査 2019 PS 藤本正樹 磁気圏探査 ?