小児医療提供体制の改革ビジョンと看護への期待

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1.現 状 ○ 発達障害は、人口に占める割合は高いにもかかわらず、法制度もなく、制 度の谷間になっており、従来の施策では十分な対応がなされていない ○ 発達障害に関する専門家は少なく、地域における関係者の連携も不十分で 支援体制が整っていない ○ 家族は、地域での支援がなく大きな不安を抱えている 2.発達障害者支援法のねらい.
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小児医療提供体制の改革ビジョンと看護への期待 何が問題で、何をどう変えるのか? 日本小児科学会・理事会 小児医療改革・救急プロジェクト 藤村正哲 大阪府立母子保健総合医療センター

小児科医の状況 救急の翌日の通常勤務 109名中98名(97%) 小児科医に感じる困難 体力・健康への不安 35% 翌日業務への影響 20% 体力・健康への不安  翌日業務への影響 研究・通常業務への影響 余暇・休日の減少 医療事故への不安 35% 20% 16% 8% 20 30 40 50 10 (%) 「限界」「大変疲れる」 109名中78名(72%) 大阪・小児救急医療機関連絡会議

一ヶ月の休日日数 (回答:55大学の小児科医859名) (桃井真里子、森 雅人。小児科の労働条件。厚生労働科学研究費補助金(こども家庭総合研究事業)「小児科産科若手医師の確保・育成に関する研究」2004)

病院小児科勤務医の労働時間(週労働時間換算) 小児科勤務医数   =5,124 90時間以上 5% 80~90時間 50時間未満 8% 24% 70~80時間 17% 50~60時間 24% 60~70時間 (青谷裕文) 22% 小児科医の常識は、社会にとっては非常識

小児科勤務医の労働時間(週)(中間集計) 病院小児科・医師現状調査 日本小児科学会・2005 小児科勤務医の労働時間(週)(中間集計) 年齢 週平均 労働時間 医師数 標準偏差 20歳~ 68.2 814 15.9 30歳~ 62.9 1446 13.2 40歳~ 58.9 1241 12.5 50歳~ 52.5 664 11.3 60歳~ 46.9 122 8.6 70歳~ 46.0 23 13.8 80歳~ 40.0 1 . 合計 60.6 4325 14.3

米国の小児科専門医の労働時間 米国小児科学会

英国の小児科専門医の労働時間 新専門医契約 2004 新専門医契約 2004 欧州労働時間指令(European Working Time Directive EWTD)は、すべての小児科専門医に適用され、英国医師会と英国保健省の間で協議された国家的合意の下にある。 この契約は、基本週労働時間を40時間とし、これを業務単位(Programmed Activities PA)と呼ばれる4時間の単位10個に分割するというコンセプトに基づいている。 専門医は、基本週労働時間の40時間を超えて働く義務はない 小児科研修医の労働時間は2009年までに週平均48時間に低減する

小児科に欠員のある病院数 -都道府県別・上位順- 病院小児科・医師現状調査 日本小児科学会・2005 小児科に欠員のある病院数 -都道府県別・上位順- N=1,224 異常事態は既に何年も前から進行してきた (柳原恵子)

小児科に欠員のある病院の比率 -病床数別- 病院小児科・医師現状調査 日本小児科学会・2005 小児科に欠員のある病院の比率 -病床数別- 病院数  =1,224 (柳原恵子)

現状のまとめ 1) 病院小児科勤務医の長時間労働が顕著です →良質な医療、医療の安全が損なわれる 1)    病院小児科勤務医の長時間労働が顕著です →良質な医療、医療の安全が損なわれる →燃え尽き症候群で、困難な職場(=重要な職場)から離脱する 2)    女性小児科勤務医師の割合は急増して20代では40%に達しました →育児休業による小児科医実働数の減少が補えない 3)    多くの大学小児科では急速な小児科志望者数の減少が認められます →困難な職場(=救急医療、過疎地の医療)へ医師を派遣してき      たセーフティ・ネットの破綻 4)    一般病院小児科の医師空席について、充足困難な状況が常態化しつ   つあります。

医療改革の必要性 病院小児医療の労働環境を改善して若手医師の志望者誘導を図らなければ、いっそうの労働条件の悪化による医師確保困難の悪循環がさらに進行するおそれがあります。 小児医療提供体制の構造改革が焦眉の課題です。その基本方針 は病院小児科の重点化・効率化です。それによって必要最小限の医師数増加で、提供できる医療内容の向上、医師労働条件の改善を図ることが期待できます。

小児救急医療体制の整備方法 小児科医へのアンケート調査 大阪・小児救急医療機関連絡会議

出務 出務

出務 出務

プライマリケア、一般小児科 目指す 小児科の型 提供する小児医療 小児科医数 小児科診療所 一般小児科  「わが国の小児医療提供体制の構想」・ 日本小児科学会 プライマリケア、一般小児科 目指す 小児科の型 提供する小児医療 小児科医数 小児科診療所 一般小児科 地域小児科センターの一次救急に当番参加   (病院) 軽症用入院病床を設置し、それ以上は地域小児科センターへ紹介 6人未満 当直なし オンコール 地域小児科センターと交流 過疎小児科 地理的に孤立し、その地域に不可欠の小児科=他地域の小児科と統廃合が不適当である小児科 2人、当直なし

出務 出務

地域小児科センター病院 規模 提供する医療 勤務体制 新生児 救急+NICU型 人口 50-100万人 **カ所 ①小児専門医療 「わが国の小児医療提供体制の構想」・ 日本小児科学会 地域小児科センター病院 規模 提供する医療 勤務体制 新生児 救急+NICU型 人口 50-100万人 **カ所 ①小児専門医療 ②小児保健、育児援助、学校保   健など ③小児救急 一次、二次救急 365日、24時間診療 一次は市町村(複数共同も含む)の運営で、地域小児科医との共同参加 10人 +救急担当:4人、シフト勤務制とする 総合周産期母  子型  (NICU) NICU専任:10人、シフト勤務制とする

出務 出務

中核病院 規模 提供する医療 勤務体制 新生児 三次医療圏の中心総合病院、又は小児病院等 人口 100-300万人 **カ所 「わが国の小児医療提供体制の構想」・ 日本小児科学会 中核病院 規模 提供する医療 勤務体制 新生児 三次医療圏の中心総合病院、又は小児病院等 人口 100-300万人 **カ所 ① 小児高度専門医療 ② 小児救急科   一次は地域小児科医との    共同運営 二次、三次救急は小児救急    科で   感染病室を設置する    PICUを設置する 救急搬送(入院・転送) ③ 小児救命救急センターを   検討 小児科は救急科を支援 (研究専従は本案の員数外) 小児救急科:10人 (又は救急担当10人) シフト勤務制とする PICU:10人 総合周産 期母子型 (NICU) NICU専  任:10人 シフト勤  務制

小児医療提供体制の改革ビジョン 病院小児科を中心とする小児医療提供体制の改革は 医療圏における病院小児科ネットワークの形成   病院小児科を中心とする小児医療提供体制の改革は    医療圏における病院小児科ネットワークの形成    広域小児救急システム    新生児医療システム    医師の供給体制    各段階の教育-研修-研究   等を含みます   その企画立案・実施・評価の全過程において    地方自治体・関係諸団体    日本小児科学会・同地方会    医療・労働を提供する主体である大学・病院小児科医    地域の医療関係者   の参画が不可欠です 

小児科医増員の必要性 少なくとも1000名の純増が必要です。 退職を考慮すると、毎年各大学小児科に3割増の志望者(従  改革と平行して着実な病院勤務の小児科医の増加が必要です。    少なくとも1000名の純増が必要です。  退職を考慮すると、毎年各大学小児科に3割増の志望者(従    来440名、3割は132名)が10年続く必要があります。  現在の志望者が各大学で5名平均とすれば、2名の純増で7名   の志望者が必要です。

小児医療提供体制の検討経過 日本小児科学会理事会・小児医療改革・救急プロジェクト 2004年3月 「小児医療提供体制改革の目標と作業計画」策定 2004年6月 地方会「モデル案策定委員会」の設置 第一次「小児医療提供体制モデル案」策定作業開始 「地域小児科センター」、「中核小児科」、 「病院・過疎小児科」 の設定 2004年6月 「病院小児科・医師現状調査」 実施(~2006年3月)  支援URL: http://jpsmodel.umin.jp において情報、資料、検討結果を提供 2005年 地方会における検討の継続、病院調査の継続 合同策定委員会 4月、9月に開催、全国地方会代表が参加 2006年3月現在 36地方会で「第一次モデル案策定作業 」が終了

地方会総括表 様式1-2「地域小児科センター病院用」(例) 「わが国の小児医療提供体制の構想」・ 日本小児科学会 地方会総括表 様式1-2「地域小児科センター病院用」(例)

地方会総括表 様式2-2「地域小児科センター病院」との連携小児科(例) 「わが国の小児医療提供体制の構想」・ 日本小児科学会 地方会総括表 様式2-2「地域小児科センター病院」との連携小児科(例)

小児医療改革・救急プロジェクト http://jpsmodel.umin.jp/ 小児医療改革・救急プロジェクト http://jpsmodel.umin.jp/ このサイトは、日本小児科学会会員、モデル案策定委員会に対する情報提供を目的としています (管理者:青谷裕文) 文書 ファイル形式 サイズ 掲載日付 更新日付 回答、未回答病院数(2006年1月現在)UPDATE エクセル 25kb 2005/07/08 2006/01/16 地方会医師計画数と解析用ファイル(2006.1.5現在)UPDATE 133kb 2005/09/12 2006/01/06 2005年12月9日厚生労働省医政局主催、「全国小児救急医療関係主管課長会議」配布資料 「小児科・産科医師確保が困難な地域における当面の対応について」 PDF 4,602kb 2005/12/13 2005年9月10日合同策定委員会説明スライド パワーポイント 422kb 2005/09/20 2005年9月10日合同策定委員会配布資料 ワード 775kb 二次医療圏別・年齢別人口 285kb 「病院小児科・医師現状調査」調査票 137kb 2005/06/30 「地域小児科センター構想」について(解説付き) 337kb 2005/06/27 「地域小児科センター構想」について 574kb 2005/06/13 病院小児科・医師現状調査結果(抜粋)   320kb 2005/05/24 病院小児科医の将来需要について 706kb 2005/04/06 小児医療改革説明資料(1) 215kb 2005/03/03 「中核病院、地域小児科センター病院」の一覧表(県別集計) 32kb 2005/03/01 2005/07/29 Q&A 112kb 小児医療改革説明資料(2) 282kb 作業計画全文 299kb 2005/02/19 html -

モデル案策定委員会専用書庫 掲載資料(要読み取りパスワード) ファイル形式 サイズ 掲載日付 更新日付 都道府県別医療機関配置白地図 ワード 24.9Mb 2006/02/03 地方会様式1,2記載病院一覧表(全国版)NEW エクセル 274kb 2006/01/30 - 病院小児科・医師現状調査 総リスト(20051031) 2,394kb 2005/12/01 病院小児科・医師現状調査 総医師リスト病院情報つき(20051031) 9,516kb  日本小児科学会員がいる病院名簿(改訂データ) 499kb 2005/07/08 (データ管理者:青谷裕文)

地方会が提出した総括表(様式1)平成18年3月末現在 「わが国の小児医療提供体制の構想」・ 日本小児科学会 地方会が提出した総括表(様式1)平成18年3月末現在 様式1の集計 中核病院 地域小児科センター病院 様式1,2を策定した都道府県数 36 都道府県 病院数 78病院 262病院        一般小児病床 3717 床 7916 床          (平均病床数) (47.6 床) (30.2 床)        小児集中治療病床 156 床 207 床 (2.0 床) (0.8 床)        NICU管理料認可病床 530 床 1096 床 (6.8 床) (4.1 床)        その他の疾病新生児病床 899 床 2448 床 予定専任医師数 一般・専門小児科 1108 人 1764 人 新生児集中治療 290 人 422 人 小児集中治療 119 人 67 人 連携する病院 一般小児科 348 病院 559 病院         予定病床数 3288 床 4316 床         予定医師数 960 人 1097 人        過疎小児科 75 病院 185 病院 455 床 789 床 159 人 310 人

様式1(中核病院+地域小児科センター病院)の集計 47県では約 8,200人

「わが国の小児医療提供体制の構想」・ 日本小児科学会 地域小児科センター病院の計画数 地域小児科センター病院数=262

←小児科集約化 人口密度大又は小の県は補正必要? 「わが国の小児医療提供体制の構想」・ 日本小児科学会 地域小児科センター病院当たりの小児人口 ←小児科集約化 人口密度大又は小の県は補正必要?

地域小児科センター病院の計画数と小児人口 「わが国の小児医療提供体制の構想」・ 日本小児科学会 地域小児科センター病院の計画数と小児人口 都道府県別 現在まで 44都道府県で計画数 307センター +中核病院 91 二次医療圏の数 351 ●やや多いが、一応妥当な計画数で進行していると考えられる 計画数: 小児人口20万人に3センター センター病院数

モデル計画案における 病院小児科医一人当たりの小児人口 ←医師過剰配置 医師過少配置→ 病院小児科医一人当たり、小児人口1500~2000 「わが国の小児医療提供体制の構想」・ 日本小児科学会 モデル計画案における 病院小児科医一人当たりの小児人口  ←医師過剰配置      医師過少配置→ 大阪 東京 病院小児科医一人当たり、小児人口1500~2000 医師確保困難な状況で計画して、過小配置となることもある

米国の一般小児科医一人当たりの小児人口 数値は似ているが日本との比較はやや困難 米国の数値はpost-GME clinical general pediatrician 日本の病院小児科医に該当する医師数は算定不能(Hospitalistは普及不十分)

小児科医師数別病院数 49% ! 16%! 病院小児科・医師現状調査 1小児科当たりの 医師数 計 1人 284 2人 238 3人 158 日本小児科学会・2005 1小児科当たりの 医師数 計 1人 284 2人 238 3人 158 4人 99 5人 74 6人 45 7人 46 8人 20 9人 16 10人- 41 15人- 30 20人- 18 合計 1069 49% ! 16%!

1病院当たりの小児科医数 -日英の比較ー 日本の常識は世界の常識ではない 森 臨太郎:英国・国立母子保健共同研究所 1病院当たりの小児科医数 -日英の比較ー 森 臨太郎:英国・国立母子保健共同研究所 トラスト:英国の地域ごとの病院運営組織。複数の病院を持つこともある 日本の常識は世界の常識ではない

病院当たりの小児科病床数の分布(一般病院) 病院小児科・医師現状調査 日本小児科学会 病院当たりの小児科病床数の分布(一般病院) 現在 N=982 病床数 病院数

病院当たりの小児科病床数の分布(一般病院) 小児医療改革プロジェクト 日本小児科学会 病院当たりの小児科病床数の分布(一般病院) 構造改革で目指す未来 N=910 病床数 地域小児科センター病院 外来型小児科 病院数

小児科・産科における医療資源の集約化・重点化の推進 平成17年12月22日 小児科・産科における医療資源の集約化・重点化の推進 医政局長、雇用安定・児童家庭局長、総務省自治財政局長、文部科学省高等教育局長 小児科・産科医師確保が困難な地域における当面の対応について  Ⅱ 小児科部門を有する病院の集約化・重点化に向けての基本的な考え方  小児部門を有する病院の医師の確保が困難な地域においては、集約化・重点化に取り組む必要がある。 その場合、地域医療の確保という観点から、都道府県が中心にならなければならない。 具体的な検討や実行に当たっては、既存の地域医療対策協議会等を中長期的な検討や評価を含めて活用し、市町村、住民代表はもちろん、医師会、日本小児科学会、日本小児科医会、大学医学部等の関係者を加えるものとする。

小児医療提供体制の構造改革は、小児看護のあり方を問い直すことになると予想されます 看護への期待  小児医療提供体制の構造改革は、小児看護のあり方を問い直すことになると予想されます 小児科の集約化・重点化に伴う、専門医療の比重の増加、小児専門看護の要求の増加 小児医療の質の向上に伴う、子どもの権利とニードの擁護の要求 疾病構造の変化と、小児医療の地域への展開に伴う、在宅医療や外来治療のニードの増加 新しい育児世代に対応する、子育て知識と精神の共有 欧米にみられるような、ICU,・NICU・ER等における、医療行為のjob sharingの進展

小児科の集約化・重点化に伴う、 専門医療の比重の増加 地域小児医療ネットワークの形成 小児専門看護の要求の増加 小児専門看護の市民権確立  専門医療の比重の増加  地域小児医療ネットワークの形成  小児専門看護の要求の増加 診療所小児科 病院小児科 小児専門看護の市民権確立 地域小児科センター

母子分離と発達への影響 小児医療の質の向上に伴う 子どもの権利とニードの擁護の要求 (ジョン・ボウルビーの研究:WHO)  子どもの権利とニードの擁護の要求 母子分離と発達への影響 (ジョン・ボウルビーの研究:WHO)    第二次世界大戦後のホームレスの子ども(孤児)への取り組み 母子分離の結果 発達遅延=身体発育・知的発達・社会性 疾病発生=身体疾患・精神疾患    その永続性 結果を左右する要因 分離が起きた時の子どもの年齢 分離の期間 分離の程度 “子どもの精神的な安定と正常な発達にとって、母性的ケアほど重要な ものはない。それは発育にとってビタミンや蛋白質が欠かせないのと 同じである“

疾病構造の変化と、小児医療の地域への展開に伴う 在宅医療や外来治療のニードの増加  在宅医療や外来治療のニードの増加 診療所小児科 病院小児科 地域小児科センター

新しい育児世代に対応する  子育て知識と精神の共有 医療が奪ってきた母子愛着形成の機会        を復活させる必要があります 産後の母子同室と母乳哺育 子育て知識を提供する看護師の役割 子育て精神を共有する看護師の役割

ICU、NICU、ER等における job sharingの進展 産科医師不足→助産師の自律的助産 新生児科医の不足→NICU看護師の役割 時間外子ども急病の洪水→小児救急電話相談 ERにおけるトリアージ・ナースの役割

ともに満足できる子ども医療を創りましょう! 何が問題で、何をどう変えるのか? 今その具体化が問われる時代に入りました 力を合わせて 医療を受ける人も、医療を提供する人も ともに満足できる子ども医療を創りましょう! Coffee break!