関西学院大学 セミナー2016.8.24 光と磁気から光とスピンへ 佐藤勝昭.

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関西学院大学 セミナー2016.8.24 光と磁気から光とスピンへ 佐藤勝昭

はじめに 拙著「光と磁気」の初版が1988年、改訂版が13年後の2001年である。これらの 書では、磁性体という物質中において、磁気が光現象に及ぼす効果を基礎的に 論じ、さらには、その応用にまで言及した。 このコンセプトの延長におけるその後の発展は、いくつかの解説に述べた, 。 また、近接場磁気光学および非線形磁気光学については「新しい磁気と光の科 学」に述べた。 最近になって、「光と磁気」は「光とスピン」と名前を変えて、新たな飛躍の 時期を迎えようとしている。この飛躍には、スピントロニクス、スピンダイナ ミクス、超短パルス光制御技術など基礎研究の発展がベースになっている。 この小論では、はじめに、これまでの「光と磁気」について復習したあと、最 近の「光とスピン」の展開について述べたい。

これまでの光と磁気

これまでの「光と磁気」 「光と磁気」の関係としては、磁気が物質の光学応答に影響を与える「磁気光 学効果」と光が物質の磁気的性質に影響を与える「光磁気効果」の2方向があ る。 磁気光学効果は、ファラデーの発見以来、電磁気学による現象論的な取り扱い で説明され、その後、ミクロの電子論によって説明された。 光磁気効果には、フォトンモードと熱モードがあるが、実用になったのは熱 モードの熱磁気記録のみである。M

磁気→光 磁気光学の現象論 磁気光学効果の代表格がファラデー 効果、磁気カー効果であるが、これ らの効果は、磁化をもつ物質におけ る光学遷移の円偏光選択則から生じ る非相反の現象である。 現象論的には、磁化をもつ物質の左 右円偏光に対する屈折率の違いに よって直線偏光の回転をもたらす磁 気旋光が生じ、左右円偏光に対する 消光係数の違いによって楕円性をも たらす磁気円二色性が生じる。屈折 率の円偏光による違いは、誘電率テ ンソルの非対角項の存在によって説 明される。

磁気光学の電子論 電子論的には、図に示すように磁 化された物質の電子軌道間の光学 遷移の選択則がもとになって、光 の角運動量(円偏光性のヘリシ ティ)が電子系の角運動量に伝達 され、励起状態のヘリシティが バーチャルに基底状態に取り込ま れ、誘電率の非対角成分が現れる として説明することができる。こ の場合、磁化、したがって、スピ ンはスピン軌道相互作用を経由し て電子の軌道角運動量に寄与する と考えるのである。 図1 電子の軌道運動と円偏光の選択則

磁気光学効果の応用 計測・観測手段:高速時間応答 磁気光学効果の時間応答は 10-15[s]以下と非常に早い。 それは、磁気光学効果が電 子状態間のバーチャルな光 学遷移にもとづいているか らである。その高速性を 使って、超短パルス光照射 による磁化の消失や、超短 パルス光による高速磁化反 転の観測手段として使われ ている。

磁気光学効果の応用 計測・観測手段:スペクトル 磁気光学効果は電子状態間の光学遷 移の円偏光選択則からもたらされて いることから、電子状態のすぐれた プローブとなっている。 磁性半導体の電子構造をさぐる手段 として、赤外・可視・紫外領域の磁 気光学スペクトルが有効であること は、第1世代の磁性半導体である CdCr2Se4、第2世代の磁性半導体であ るCd1-xMnxTe、第3世代の磁性半導体 GaAs:Mn, TiO2:Co, ZnTe:Crなどで実証 されている。 安藤氏は、最近多くの室温磁性半導 体の報告があるが、真に磁性半導体 であるかどうかの判断基準として磁 気円二色性MCDを用いることを提唱し ている

磁気光学効果の応用 計測・観測手段:非線形磁気光学効果 非線形磁気光学効果は、強い超短パルス レーザ励起によって生成された高次の電気 分極による高次光発生が、磁化の影響を受 ける効果である。主として、2次高調波発生 (SHG)が使われ、入射偏光に対し出射SHG光 の偏光が磁化に応じて変化する非線形磁気 カー効果(NOMOKE)が観測されている。 例えばFeは、縦カー配置の線形磁気光学 カー回転角はせいぜい0.1ºと小さいが、非 線形磁気カー回転は90º近い大きな値が報告 されている。

磁気光学効果の応用 光磁気アイソレータ 磁気光学効果が最も実用されている のが、その非相反性を用いて光を一 方通行にするのが磁気光学アイソ レータである。 偏光軸を45度傾けた2枚の偏光子で 磁性ガーネット結晶を挟み、円筒永 久磁石の磁界中においたシンプルな 構造ながら、光ファイバ通信におい て戻りビームの半導体レーザへの入 射を抑えるために不可欠な光コン ポーネントとなっている。

磁気光学効果の応用 光磁気アイソレータ 光多重通信における光ファイバーア ンプEDFAにも線路挿入型の光磁気 アイソレータが使われている。 このほか、光サーキュレータ、可変 光アッテネータ、光スイッチなどの 光通信用にコンポーネントに活躍し ている。 光磁気アイソレータの課題は、光集 積回路への実装である。光多重通信 用コンポーネントへの実装を念頭に 入れた超小型導波路型アイソレータ の研究が行われている。

磁気光学効果の応用 光磁気記録 1990年代に開発されマーケットに投入された光 磁気ディスク、ミニディスクは、磁性物理の粋 を集めた先端技術のかたまりともいえるもので あった。熱磁気記録された磁気情報の再生には 磁気光学効果が用いられた。 記録密度を上げるために直径数十nmにまで小 さくした記録マークを(回折限界を超えて)読 み出すために、磁気超解像の技術が開発され GIGAMOという名称で市場に投入された。 さらに磁区拡大や磁壁移動を利用した再生技術 も開発されたが、コスト高となり、その地位を ハードディスク、携帯音楽プレーヤなどに明け 渡し、製造が中止されてしまった。

磁気光学効果の応用 空間光変調器 磁気光学空間光変調器MOSLMは高速動作が可能な ことから、ホログラフィックメモリーや立体画像 ディスプレイなどの分野で期待が大きい 。 磁界変調に電流磁界を用いたものはすでに実用化 されているが、電力消費の問題があった。井上ら は、磁性フォトニック結晶を用いて大きな磁気回 転角を得ることによって、低い電流で変調できる こと、さらにピエゾ素子と組み合わせることに よって電圧で制御できることを発表した。 最近、強誘電体との界面効果によって、可視域で 透明な常磁性物質を用いることが可能になり、新 しい展望が開けつつある 。

磁気光学効果の応用 イメージング 磁気光学効果は古くから磁区のイメージング手段 として用いられてきた。さらに紙幣の磁性イン ク・磁気カードなど磁気光学効果の小さな磁性体 の磁気状態の観測には磁性ガーネット薄膜などを 介して磁気光学イメージングすることが行われて いる。同じ手法を超伝導体への磁束浸入の観測に 用いることができ、超伝導電流の大きさを見積も りイメージングすることも可能になっている 。 面内磁化イメージングの空間分解能はほぼ光の回 折限界で決まるが、近接場光を用いた磁気光学イ メージングでは、回折限界以下の微細構造を観測 することができる 。放射光によるX線磁気円二色 性XMCDを利用した元素選択的な磁気光学イメージ ングも行われている

光→磁気:光磁気効果 光照射による磁性の変化を一般に光磁気効果という 狭義の光磁気効果 熱磁気効果 光誘起磁気効果 光誘起磁化 光誘起スピン再配列 キュリー温度や補償温 度での磁化や保磁力の 変化によるもの 温度誘起スピン再配列

光磁気効果の応用 光磁気記録 光磁気ディスクやミニディスクにおける記録には、キュリー温度Tcに おける磁化の消滅と、補償温度付近での保磁力の変化が利用される。 キュリー温度記録の場合、レーザ光照射によりTc以上に加熱された領 域は磁化を失うが、冷却の際、周囲からの反磁界を受けて、周囲とは 逆向きに磁化される。 より安定に記録するため、バイアス磁界が印加される。補償温度記録 の場合、補償温度Θcomp付近で、保磁力Hcが増大することを利用する。 Θcompが室温付近にあると、レーザ照射によってHcが減少し、バイ アス磁界または周囲ビットからの反磁界で反転が起きる。温度が下が るとHcが大きくなって安定に存在する。 実際の光磁気ディスクでは、キュリー温度記録と、補償温度記録の要 素をともに利用している。

光磁気記録 情報の記録(1) レーザ光をレンズで集め磁性体を加熱 キュリー温度以上になると磁化を消失 冷却時にコイルからの磁界を受けて記録 M Tc 温度 Tc 光スポット 光磁気記録媒体 外部磁界 コイル

光磁気記録 情報の記録(2) 補償温度(Tcomp)の利用 アモルファスTbFeCoは 一種のフェリ磁性体なので 補償温度Tcompが存在  一種のフェリ磁性体なので  補償温度Tcompが存在 TcompでHc最大: 記録磁区安定 Hc M Tb FeCo Mtotal 室温 Fe,Co Tb Tcomp Tc T

光磁気効果の応用 熱アシスト磁気記録 ハードディスク媒体は、磁性微粒子の集合体である。記録密度の増大 に伴い微粒子のサイズが小さくなっていくと、時間とともに各粒の磁 化がバラバラな方向に向いていき、情報が保てないという超常磁性限 界が起きる。これを解決するためには、保磁力Hcの大きな媒体を用い ればよいが、ヘッド磁界で記録できなくなる。 室温付近では大きなHcを示すが温度上昇によってHc が減少する媒体を 用いて、温度を上げて磁気記録するのが熱アシスト磁気記録HAMRの考 えである。HAMRに用いる光ヘッドは、光磁気ディスクのヘッドと異 なって、媒体との距離がサブナノメータとなり、ビットサイズも微小 なので、近接場光を使う必要があり、近接場発生素子NFTが使われる。

超常磁性限界 現在使われているハードディスク媒体 はCoCrPtBなどCoCr系の多結晶媒体で ある。強磁性のCoCr合金の結晶粒が偏 析したCr粒に囲まれ、互いに分離した 膜構造になっている。 磁気ヘッドによって記録された直後は、 磁化が記録磁界の方向に向いているが、 微粒子のサイズが小さくその異方性磁 気エネルギーKuV (Kuは単位体積あた りの磁気異方性エネルギー、Vは粒子 の体積)が小さくなると、磁化が熱揺ら ぎkTによってランダムに配向しようと して減磁するという現象が起きる。こ れを超常磁性限界と呼んでいる。 Cr CoCr

光磁気ハイブリッド記録 (熱アシスト磁気記録) 磁気記録密度が1Tb/in2を超えるには,マークサイズは 25nm×25nm (アスペクト比を1:2として,18nm35nm) にまで縮小しなければならない. 熱的安定性を保証するには大きな保磁力をもたせなけれ ばならないが,それでは,ヘッドによる記録が困難にな る.これを解決する方法としていくつかの提案がされて いる. 保磁力の大きな媒体にどのようにして記録するのかとい う課題への1つの回答がパターンドメディア技術である が,もう1つの回答が熱アシスト磁気記録である.

熱磁気記録/磁束検出法 記録用磁気コイル 再生用GMR素子 Slider MO recording film Arm LD, PD 助田による

プラズモンヘッドと近接場 ハードディスクの超常磁性限 界突破のキーを握る光アシス ト磁気記録において、プラズ モン増強を利用した近接場 ヘッドが研究されている。

「光とスピン」の最近の展開

背景 これまでは、主として磁気光学効果が積極的に使われており、光磁気効果は、熱を 介したものしか使われてこなかった。もう一度前節のはじめに立ち戻ってみると、 磁気光学効果は、「光の角運動量(円偏光性のヘリシティ)が電子系の角運動量に 伝達される」と考えるのであるから、当然、光のスピンが電子のスピンに変換され るフォトンモードの「光磁気効果」が期待されるのである。 前節に述べた光誘起磁化は、その1つの現れであるが、磁化反転や磁気相転移を伴 うような大きな効果としての観測はなかったが、スピントロニクス、スピンダイナ ミクス、超短パルス光制御技術など基礎研究の発展がベースになって、新しい展開 を見せつつある。 最近のスピントロニクスの進展は、ナノ領域における光とスピンの関係に新たな展 開をもたらしてきた。スピン偏極した電子スピンの注入によって、電子を受け取っ た磁性体の磁化が反転するSTT(スピントランスファートルク)の現象が実験的に検証 され、さらにスピンRAMとして実用化されるという急進展があった。このような背 景のもとに、最近「光によるスピン制御」の研究が注目されているのである。

逆ファラデー効果と光によるスピン波の励起 磁気光学効果の逆効果として逆ファラ デー効果がある。この効果は、円偏光 が物質に照射されるとき、光の進行方 向に沿って、仮想的な磁界が誘起され る現象で、光誘起磁化として紹介した。 その磁界の方向は、円偏光のヘリシ ティによって反転する。 キャント型の弱強磁性を示す希土類 オーソフェライトに円偏光フェムト秒 レーザ照射をすることによって、数百 GHzのスピン歳差運動が誘起されるこ とが報告され、逆ファラデー効果に よって説明された 。 最近、反強磁性体NiOにおいて、円偏光 フェムト秒レーザにより非熱的にTHz 帯のスピン歳差運動が誘起されること が報告された 。さらに、光スポットの 位置からスピン波が2次元的に伝搬し ていく様子が時間分解観測され、新し い概念のTHzデバイスを拓くものと期 待されている。

光誘起高速磁化反転 光誘起プリセッショナルスイッチング 最近、光磁気記録材料であるGdFeCoの角運動 量補償点付近において、サブピコ秒の光パル スによって磁化反転が生じ、左右円偏光に応 じた記録ビットが形成される現象が発見され た。現象論的には、逆ファラデー効果によっ て光のスピンに応じた有効磁界が発生し、そ れによって磁化反転が起きるという新しいタ イプの光磁気効果であると考えられた 。 また、GdFeCoにおいて、図に示すような光誘 起プリセッショナルスイッチングが観測され た 。このスイッチングは、直流外部磁場印加 中において、磁化補償温度を跨ぎ、角運動量 補償温度付近へ高速加熱することにより実現 する。磁化補償点を跨ぐことにより、正味の 磁化と外部印加磁場の関係が、平行から反平 行へと反転し、加熱後の冷却時定数に比べ十 分短い時間で、磁化反転トルクが誘起される。 .超短パルス光照射による超高速プリセッショナルスイッチング過程計測

光誘起高速磁化反転 元素選択的観察 X線自由レーザ のフェムト秒X 線パ ルスとパルスレーザ光とを組み合わ せたポンププローブ時間分解実験で、 フェリ磁性体GdFe において反強磁 性結合しているGd の副格子磁化と FeCo の副格子磁化を元素選択的に 観測し、両者の時間ダイナミクスが 異なり、サブピコ領域で一時的に強 磁性結合していることが見いだされ た 。

光クロスオーバ効果による強磁性の発現 遷移金属イオンを含む錯化合物におい ては、光によって低スピン状態と高ス ピン状態の転移を示すものが知られて いる。通常、局在電子系の遷移金属イ オンのスピンは、なるべく大きな全ス ピン角運動量を持つように配置する。 これはHundの規則と呼ばれ、高スピ ン状態が実現し、磁気モーメントが存 在する。 しかし、電子相関よりも配位子場が強 い場合、低スピン状態となり磁気モー メントが小さくなる。光照射によって、 低スピン状態から、高スピン状態へと 変換する現象は、光スピンクロスオー バと呼ばれている。もし光スピンクロ スオーバ部位が無数に連結した3次元 ネットワークをもつ結晶固体の場合高 スピン状態のサイト間で磁気秩序を形 成し、強磁性状態への転移が期待され る。

スピン流と光スピンホール効果 最近、SHEの光子版である「光スピンホー ル効果SHEL」が提唱されたが、それによる と、スピン1の光子は、スピン1/2の電荷と 同じ働きをし、屈折率の勾配が、電気ポテ ンシャルの働きをするとされる 。SHELの結 果、円偏光が全反射するとき反射光が横方 向にシフトする現象などとして現れること が実験的に検証されている 。 スピントロニクスの新展開として散 逸のないスピン依存電流であるスピ ン流がある。スピン軌道相互作用の 大きな金属や半導体に電界を印加す ると、スピン流が電界に垂直方向に 生成されることが示唆され , 、半導 体において磁気光学効果 、および 電気的に 観測された。この効果は スピンホール効果SHEと呼ばれる。 また、スピン流に対して、それに垂 直な方向に通常の電流に変換される 逆スピンホール効果が見いだされ、 現在ではスピン流の検出法として確 立している 。

強相関電子系の光誘起反強磁性・強磁性転移 従来の磁気光学が電子のバーチャル な励起によって生じているのに対し、 光が電子の運動をリアルに引き起こ し、この電子の運動を通じてスピン 系に影響を与える新しい磁気光学が 提案された。 実際、ペロブスカイト型Mn酸化物に おいて、超短パルス光励起によって、 反強磁性絶縁体相から強磁性金属相 への転移をポンププローブ法で観測 している 。 さらに、ペロブスカイト型Co酸化物 において、光誘起によって、非磁性 の低スピン状態から、中間スピン状 態、さらには強磁性の高スピン状態 への光クロスオーバ転移が見出され ている 。

スピン注入と磁気光学 非磁性半導体へのスピン注入・蓄積 現象が磁気光学イメージングを用い て行われ32、また、半導体LEDから の発光の円偏光度を用いてスピン注 入効率を見積もるなどの研究も行わ れた。 また最近、スピン注入磁化反転によ る磁気カー回転を用いた空間光変調 器(SLM)が3Dホログラフィック・ ディスプレイのための高速高精細 SLMとして注目されている。

トポロジカルフォトニクス トポロジカル絶縁体においては、界面を流れる電流は、不純物の存在下でも、 散逸を受けないとされる。同様に、注意深く設計された波数空間トポロジーに よって、興味深い性質をもつ新しい光の状態が界面に創成される。 特に、不完全性のあっても、後方散乱なしに一方通行に進む光導波路ができる。 フォトニック結晶、結合共振器、メタマテリアル、準結晶などで実現可能であ る。 Ling Lu*, John D. Joannopoulos and Marin Soljačić: Nature Photonics ONLINE: 26 OCTOBER 2014

おわりに ここまで述べてきたように、「光とスピン」の現象の基礎研究については、光 ホール効果、スピン注入蓄積の磁気光学的観測、光によるスピン波の励起と伝 播、ねじれ偏光パルスによるスピンの制御、超短パルス光による超高速磁化反 転、自由電子レーザによる反強磁性結合した磁気モーメントのダイナミクスの 観測、逆ファラデー効果などがある。 「光とスピン」の材料としては、磁気がもたらす対称性の変化から生じる非相 反な方向二色性現象、スピンクロスオーバ光強磁性体、反強磁性体の非線形磁 気光学効果、光が作るスピンの塊などがある。 「光とスピン」で先端技術に結びつくものとしては、スピン注入空間光変調素 子、光アイソレータの光集積回路への導入、磁気光学空間光変調器・磁性フォ トニック結晶、熱アシストHDD、超高速光磁気記録などがある。 新しいフェーズを迎えた「光とスピン」、今後の展開が楽しみである。