農業農村整備の環境配慮における 地域環境資源センターの役割

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農業農村整備の環境配慮における 地域環境資源センターの役割 社団法人 地域環境資源センター 高 嶺  彰

農業農村整備と生活環境 生活環境 1980 ■農業農村整備事業と環境の変遷■ ■調査から計画・実施段階■ ■生産基盤と生活基盤への影響■ 快適環境 自然環境 生産基盤整備 ~1960 1980 1990 2000 ■調査から計画・実施段階■ 視  点 土地改良施設の 現状の評価 (水理条件、経済性等) ■生産基盤と生活基盤への影響■ 都市化・混住化 生活関連施設整備 の都市との格差 農業用排水路の水質悪化 農道整備の遅れ 水洗化の遅れ 意見の集約 整備の方向 意見の集約 地域の意見交換と 合意形成

農業農村整備と快適環境 快適環境 1990 ■農業農村整備事業と環境の変遷■ ■調査から計画・実施段階■ ■農村環境への影響■ 農山村の開発 生活環境 快適環境 自然環境 生産基盤整備 ~1960 1980 1990 2000 ■調査から計画・実施段階■ これまでの視点 土地改良施設の 現状の評価 (水理条件、経済性等) ■農村環境への影響■ 農山村の開発 水路のコンクリート化 景観の悪化 水環境の悪化 環境の調査・分析 意見の集約 環境に配慮した 整備の方向 意見の集約 地域の意見交換と 合意形成

農業農村整備と自然環境 自然環境 2000 ■農業農村整備事業と環境の変遷■ ■調査から計画・実施段階■ ■自然環境への影響■ 生活環境 快適環境 自然環境 生産基盤整備 ~1960 1980 1990 2000 ■調査から計画・実施段階■ これまでの視点 ■自然環境への影響■ 土地改良施設の 現状の評価 (水理条件、経済性等) 湿田の乾田化 水路のコンクリート化 用排分離に伴う 田面と排水路の落差 道路による生息域の分断 産卵、生息場所の減少・消失 連続性の分断 (田と水路、里山と農地) ほ場整備済み水田の生物量が激減 (例えば、ドジョウが1/3以下に減等)                新たな視点の追加 生物の生態からの要請 (移動、食性、産卵、越冬) 環境の調査・分析 意見の集約 環境に配慮した 整備の方向 意見の集約 地域の意見交換と 合意形成

地域環境資源センターの歴史 昭和58年 日本農業集落排水協会 (1983年) 農業集落排水の調査研究、技術開発、普及、技術支援 平成3年 (1991年) 平成16年 (2004年) 平成23年 (2011年) 日本農業集落排水協会 農村環境整備センター 地域資源循環技術センター 地域環境資源センター 昭和58年 (1983年) 農業集落排水の調査研究、技術開発、普及、技術支援 農村環境整備の調査研究、普及、技術支援 農村バイオマス利活用の調査研究、技術開発、技術支援  農業集落排水・農村バイオマス・農村環境に関する調査研究、技術開発、普及などの活動を通して、豊かな循環型社会の形成を目指します。

農業農村整備をめぐる自然環境施策 ・食料・農業・農村基本法(1999年) ・土地改良法の改正(2001年)      ・農業の持続的発展、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、 農村の振興 ・持続的農業促進法(1999年)      ・持続的農業計画、エコファーマーの認定 ・土地改良法の改正(2001年)      ・環境との調和への配慮、 ・新生物多様性国家戦略の決定(2002年)      ・第1の危機(開発等)、第2の危機(人間活動の縮小)、第3の危機(移入種) ・自然再生推進法(2002年)      ・自然環境の保全・再生、創出維持、多様な主体の参加、自然環境学習 ・環境教育推進法(2003年)      ・教育機関での環境教育、人材育成の認定、拠点・体制の整備 ・環境配慮の基本方針の決定(2003年 環境基本計画)      ・環境保全型農業の推進、バイオマス活用、地域資源の保全、公共事業の環境創造型事業への転換 ・特定外来生物被害防止法(2004年)      ・特定外来生物の輸入、飼養、栽培、保管等の禁止、防除 ・景観法(2004年)      ・景観形成区域、規制・誘導、施設の保全・整備 ・食育基本法(2005年)      ・健全な食生活の実現、学校等における食育の推進 ・有機農業推進法(2006年)      ・化学肥料・農薬を使用しない農法の推進 ・農地・水・環境保全向上対策(2007年)      ・農地や農業水路等の地域住民と一体となった保全の取り組み、環境保全型農業への支援

社団法人 地域環境資源センターの業務 地域社会の 健全な発展 農業集落排水 農村バイオマス技術 農村環境整備 ・公共用水域の水質 保全 社団法人 地域環境資源センターの業務 ・公共用水域の水質 保全 ・循環型社会の形成 ・農村環境の保全、  美しい村づくり 地域社会の 健全な発展 農業集落排水  集落排水施設の設計、改築や適切な維持管理技術を開発し、農村の水環境を守る。 農村バイオマス技術  農村地域はバイオマスの宝庫。地域資源の循環利用で農村活性化と地球温暖化防止に取り組む。 農村環境整備  生態系の保全や景観の維持・形成を支援し、農村環境の保全、創造を目指す。

農業集落排水事業の目的・効果 農業集落の形態に適した小規模分散型の汚水処理施設として、生活排水等を安定して効率よく処理し、農業生産の改善、農村の快適な生活環境の創出、豊かな水環境の回復などを通じ、「美しい快適なむらづくり」を実現。 処理水の再利用と併せ、処理に伴い発生する汚泥を農地等に還元し、水と有機資源のリサイクルによる循環型農村社会を構築 目的 効果 ・ 河川や湖の再生 ・ 高生産性農業の実現 ・ 活力ある農村社会の形成 ・ 循環型社会の構築 ・ 公共水域の水質保全 ・ 農業用用排水施設の機能維持 (農業用排水路など) ・ 農村生活環境の改善 ・ 農村地域の資源循環         (汚泥等の再利用) 農地還元の他に、緑地還元、建設資材などに利用  農業集落排水施設は、これまでに全国の農村地域に普及し、現在約5,200の施設が稼働中

JARUSが開発した処理方式

農地・水保全管理団体、NPO等との連携協力 農村環境整備の業務 地域環境資源センター  地域活性化 環境に配慮 した営農 安全安心な 農産物 ○国民(都市住民・子供等を含む)の理解と参加の広がり ○活力ある地域づくりの推進 農業農村整備事業 農地・水保全管理団体、NPO等との連携協力 農村環境の 維持保全  ・豊かな生態系  ・美しい景観  ・食・伝統文化   など 維持管理  農村環境の調査研究 環境との調和に配慮した 調査・計画  事業実施 ○生態系と景観の融合 ○順応的管理・地域への引継ぎ 環境配慮施設のモニタリング 環境配慮施設の一斉点検 普及啓発 環境教育 研修・広報等 環境教育・ 野外活動 生きもの調査、 田園自然再生活動 等 交流・観光 田んぼの学校 センターでの技術開発、普及・啓発 農村環境の保全の効果発現

総合的な環境配慮技術の開発 農村環境整備 生態系配慮技術 景観配慮技術 住民参加 計画・整備・管理 総合的な環境配慮技術の開発   ○平成13年の土地改良法改正を受けて、環境との調和に配慮した事業実施のための技術を開発し、  生態系と景観に関して、主に現場技術者向けの指針、手引き、マニュアル等を整備。 ○現在、総合的な環境配慮のガイドラインを作成。(平成21~24年度) 生態系配慮技術 【総合的な環境配慮ガイドライン】 生態系配慮技術 景観配慮技術 住民の主体的な参加による地域づくり  の手法を統合した総合的な環境 配慮を支援する新技術  農業農村整備事業における生態系に配慮した整備に必要な計画、設計、施工、管理などを、現場の技術者向けにマニュアルとして整備。 景観と生態系両方の環境技術の融合 景観配慮技術 管理・営農段階の環境配慮  農業農村整備事業における景観に配慮した整備に必要なデザインコード技術などを、現場の技術者向けにマニュアルとして整備。 住民参加 計画・整備・管理

(1)景観配慮技術の開発 デザインコードの分類項目 配置 色 素材 形 生物種 ○デザインコードや視点場などの技術を農業農村整備事業に適用。 (1)景観配慮技術の開発   ○デザインコードや視点場などの技術を農業農村整備事業に適用。 ○デザインコードは景観の視覚的な約束事。 この約束事は、景観構成要素の「配置」、「色」、 「形」、「素材」、「生物種」の共通性。 デザインコードの分類項目 配置 屋敷の配置、植栽の配置など 色 大景観からみた集落、農地などの土地利用からデザインコードが読み取れる。 屋根の色、 稲穂の色など 素材 形 木材、石材、 瓦、土など 石積の石の積み方、屋根の形など 水路擁壁(石積)の乱積の形状がデザインコードとして収集される。 生物種 樹種、生き物の種 12

① 性質(共通性が成立した時期)による分類 デザインコードの種類 ① 性質(共通性が成立した時期)による分類 歴史的デザインコード 昭和40年代の高度経済成長期以前から地域の景観の約束事として継承されている。特定の建築・地域空間の「見える遺伝子情報」といえる。 創造的デザインコード 昭和40年代の高度経済成長期を境に地域に導入された新建材や新しい技術により定着したものである。 ② 景観レベルによる分類 景観レベル 説       明 景観レベルのイメージ 大景観    高台などから対象を遠く(大景観)から眺めた場合、集落居住区の「配置」、農地の「色」や農道や農地の区画などの「線形」といった大まかな共通性が確認される。 中景観    対象から少し引いて(中景観)から眺めた場合、屋根の向き(「形」)など少し詳しい共通性を確認することができる。 小景観    対象に寄って(小景観)から眺めた場合には、「素材」や「植栽」などの詳細な共通性を把握することができる。 岩手県一関市 島根県出雲市 滋賀県甲良町

(2)生態系に関する環境配慮対策の技術開発 ○農地や農業水利施設等は、営農が継続され維持管理が適切に行われるための食料の生産基盤であ ると ともに、生物の生息・生育環境と移動経路(ネットワーク)として重要。 ○センターでは、調査、計画、設計、施工の各段階での配慮事項について取りまとめた技術指針を作成。 調査段階 ■農地 ・魚類、昆虫類、両生類等の 繁殖、採餌 ■水路 ・水田や河川等への移動経路 ・魚類や両生類の産卵、生育 ■樹林帯 ・鳥類、昆虫類、両生類等の多様な生物の 繁殖、採餌、休息、移動経路 ■ため池 ・トンボ類、両生類、魚類の産卵、生育 ・鳥類の休息、採餌 ・生物の移動経路の拠点  ・環境保全目標の概定  ・注目すべき生物の選定 計画段階  ・環境保全目標の設定  ・保全対象生物の設定  ・環境配慮に係る維持管理計画の検討  ・環境配慮計画の作成 設計段階  ・生物のネットワークの種類ごとに、環境配慮工法を体系化、具体化  ・環境配慮工法の選定 施工段階  ・施工時期の配慮、段階的施工の配慮  ・生物の移動、移植  ・環境配慮施工指針の策定 今後の検討課題 維持管理段階 水路の維持管理 生きもの観察会

①現場での知見を踏まえた環境配慮技術書の改良 ○農業農村整備事業における環境配慮対策の優良事例から生物の生育生息に適した  共通的な環境条件を分析し、調査計画、設計施工、維持管理に係る技術の向上を目指す。 ○例えば、水田魚道の設置により、地域の農産物が「ゆりかご水田米」として付加価値を  つけるなど環境配慮対策が地域づくりへ貢献してきている事例なども紹介。 生態系配慮施設の評価・分析

②水田魚道の配置方法の検討 ○水田魚道は、ほ場整備地区では代表的な環境配慮手法である。 水田魚道の設置密度や方法について、実証実験のデータを分析して、生態系に効果的な配置の方法を調査、検討している。 佐渡地区(北陸農政局)の水田魚道 佐渡地区(北陸農政局)の水路調査結果

住民が主体となる農村環境保全の取組 農村環境整備 (1)住民参加型の整備(直営施工)による環境配慮施設の整備 青森県外黒山地区   ○環境配慮を定着させるためには、住民の環境配慮の意識醸成、施設への愛着を醸成し、環 境保全の取組が営農や地域保全活動とともに、住民の生きがいとなるよう、住民に自らが工 事に参加する直営施工が有効。   ○地域住民が、自ら計画を立て、間伐材や現地の玉石などを利用して自ら水路を整備し、子 供たちとともに生きもの調査などを実施して、環境保全の活動を進めている。 青森県外黒山地区 山形県元泉地区

地域への移行を踏まえた維持管理マニュアル (2)順応的管理 ○未知の部分も多く、複雑で絶えず変わり続ける生態系や自然環境に順応するため、工事完了後も生きものや施設のモニタリングを行い、その結果の分析や評価を行って管理手法の見直しや改善策を講じる順応的管理の手法を開発。 環境配慮を施した農業水利施設や農地など 事業実施中 事業完了後 モニタリング結果の評価 モニタリング結果の評価 必要に応じ維持管理方法の改善策など 必要に応じ追加工事や改善策など 施設と生きもののモニタリング 施設と生きもののモニタリング 反映 反映 維持管理マニュアル 引継ぎ 維持管理マニュアルの改善 地域への移行を踏まえた維持管理マニュアル 国・県等の事業主体 指導者の育成・情報の引継ぎ 土地改良区・地域住民等の施設管理者など

(3)地域活動リーダーのためのマニュアルの作成 ○地域活動リーダーを対象として、農村において生物多様性の保全の視点を取り入れたより質の高い環境保全活動を推進するために、生物多様性の把握・保全手法について、生物多様性把握保全マニュアルとしてとりまとめた。 1.はじめに(計画と準備) 取りまとめ役・専門家の意見を基に年間のスケジュールを立てる。 2.生きものを調べよう 生きもの調査(水の生きもの、鳥、陸の生きもの)を行い、「生きものの営み」リストにまとめる。 3.生きものを知ろう 生物多様性をチェックして保全対象生物を選ぶ。 4.生きものを守ろう 地域の実状に合わせた方法を考え、自分たちの手で地域の生物多様性を守ろう。 マニュアルの流れ 人の和、活動の輪・・・ 様々な“わ”が広がります 水田魚道をつけたら、地域のみんなや子ども達が集まってきました。 生きものと一緒に暮らす農業を目指して、付加価値のある米づくりにもつながりました。 地域の豊かな生物多様性を保全することによって、こんな効果があります。

「田んぼの学校」とは・・・ 水田や水路、ため池、里山などを “遊びと学びの場”として活用し、 環境に対する豊かな感性と見識を育む活動 環境教育 「田んぼの学校」とは・・・ 水田や水路、ため池、里山などを “遊びと学びの場”として活用し、 環境に対する豊かな感性と見識を育む活動 <ねらい>  農業や農村への理解の深まり、都市と農村の共生、自然と人間の共生につなげること。

農業や農村の多面的な機能を活用した環境教育 「田んぼの学校」提唱の経緯と背景    「国土・環境保全に資する教育の効果を高めるためのモデル調査」 国土庁、文部省、農水省の合同調査(H10) 「田んぼの学校」の提唱 農業や農村の多面的な機能を活用した環境教育 【教育分野】   総合学習/週5日制 【農業分野】  「食料・農業・農村基本法」  多面的機能/農村振興・・・等 農や自然への関心の高まり 人や自然との ふれあいの減少 過疎化、   高齢化など 生きる力の育成 持続可能な社会の実現

「田んぼの学校」がとらえる 田んぼという場 ◎水路、ため池、里山など水田と一体となっている   農村環境 ◎水田稲作に由来する自然、文化、社会     →人と人との関わり、人と自然との関わり            (総合性、調和、賢明な自然の利用)     →食…命のつながり     →自然体験の場…身近で安全、変化に富む

「田んぼの学校」 活動の実態 <活動内容> 10.活動内容 〈よく実施する〉 ・農作業体験 ・自然観察 ・食に関わる活動 ・田んぼまわりでの 遊び バランスタイプ 食・農タイプ 自然・環境タイプ

「田んぼの学校」の現場をのぞいてみると・・・ ●自然や食、命のつながりを感覚的に把握 ●地域や農村のくらしに対する再評価 ●さまざまな交流の促進 ●環境保全活動への意識の高まり

「田んぼの学校」とは・・・ ここで再び・・・ いろんな人がそれぞれの関心で農業や農村にかかわることのできる仕組みのひとつ ・遊びながら ・楽しく ・いろんな視点で 農業や農村にいろんな目を向ける 農業や農村のこれからのあり方、ひとりひとりのあり方、暮らしを考えていこう という試み

田んぼの生きもの調査 日ごろから、こんな事を思ったことはありませんか ・もっと地元を元気にしたいけど、どうしたら良いだろう。 環境教育 田んぼの生きもの調査 日ごろから、こんな事を思ったことはありませんか ・もっと地元を元気にしたいけど、どうしたら良いだろう。 ・地元の自然を大事に残していきたいけど、何か良い方法はないだろ うか。 ・若い人たちに地域を担ってもらいたいけど、何か良い方法や切っ掛 けはないだろうか。 ・子供たちに、農業や地元の良さを伝えていくのに何か良い方法はな いだろうか。 ・地元の安全・安心なお米や野菜を多くの人に知ってもらうにはどうし たら良いだろうか。

こうした疑問に答え、いろいろな可能性につながる切掛けになるもの ・世代を超えて参加できる ・誰もが楽しみながら取り組める ・思わぬ事に気づき、新たな発見がある ・子供が喜び、大人も喜ぶ ・農家以外の方々の参加も期待できる それが生きもの調査です

“田んぼの生きもの調査”を実施しませんか? “田んぼの生きもの調査”の目的は・・・? 目的1 生きものが田んぼや水路に生息していることが、健全な農業や食の安全につながっていることを明らかにします。 目的2 農業により地域の生態系が守られていることを明らかにします。 目的3 生きものを調べるという共同作業を通じ、地域の「つながり」の回復や活力の向上を目指します。 “田んぼの生きもの調査”の実施で地域にもたらされる効果は・・・? ・地域の後継者である子供達の地域の自然への理解度につながります。 ・安全安心な農産物のPRになります。 ・地域の農業や農業用施設に対する「愛着」が得られ、維持管理作業への参加につながります。 ・農業が持つ多面的な機能の大切さについて、広く一般の方々が理解するための手助けとなります。

考察 【先進地区の共通点】 子供を対象とした活動を実施 保全した生態系(希少種等)を題材とした環境教育を実施 生態系配慮型施設が環境教育の場として機能 地域住民や土地改良区が活動の主体 子供や都市住民の参加が活動主体のモチベーション さらに、維持管理作業へのボランティアの期待も、、、 このような取り組みつなげるには、、、 生態系配慮施設の持つ価値(希少種の保全等) 地域住民にとっての施設の価値(環境教育の場等) 都市住民にとっての施設の価値(都市農村交流等) すりあわせ・合意形成