光赤天連シンポジウム (2011年9月6日, 於:京都大)

Slides:



Advertisements
Similar presentations
3.8m 望遠鏡用面分光装置 2010/08/18 光赤天連シンポ 尾崎 忍夫、岩田 生、神戸 栄治、沖田 喜一(国立天文台) 吉田 道利(広島大学)、岩室 史英、菅井 肇、太田 耕司(京都 大学)
Advertisements

2020 年( TMT 、 SPICA 時代)の すばる望遠鏡 高見英樹 ( 国立天文台) 年の光赤外の情勢 大きな流れ TMT 稼働開始 SPICA 打ち上げ、 JWST は? LSST 稼働開始、 HSC の役割は? Keck 、 Gemini は存続だが予算は厳しい、 VLT は着実.
日本学術会議マスタープランへの提案 ガンマ線バーストを用いた初期宇宙探査計画 HiZ-GUNDAM 主査: 米徳 大輔(金沢大学) HiZ-GUNDAM WG 光赤天連シンポジウム「光赤外将来計画:将来計画のとりまとめ」( 2016/02/09 – 10 国立天文台.
銀河物理学特論 I: 講義1:近傍宇宙の銀河の 統計的性質 遠方宇宙の銀河の理解のベースライン。 SDSS のデータベースによって近傍宇宙の 可視波長域での統計的性質の理解は飛躍的 に高精度になった。 2009/04/13.
広視野望遠鏡を用いた ガンマ線バーストの可視光同時観測
高速分光器観測マニュアル ○内容 1:各種マスクスリットの(CCD上での)位置 p.2
高速分光システムの開発 III /11-13 秋季年会 磯貝 瑞希( )、嶺重 慎、野上 大作(京都大)、川端 弘治、植村 誠、
高速分光システムの開発 III 1. 高速分光システムとは 4. 装置の性能評価 2. 高速CCDカメラとは 3. 分光器の仕様
Adaptive Optics(AO) “宇宙をより鮮明にうつし出す” ~補償光学~ 補償光学系:これまでの成果!
宇宙研1.3mφ望遠鏡用 GRB可視光分光観測装置
美濃和 陽典 (国立天文台すばるプロジェクト研究員)
次世代超大型望遠鏡の 広視野補償光学系の光学設計
GLAO at Subaru Telescope
大学共同利用機関と大学間連携による研究・教育協力の強化
プロポーザル準備/観測準備 ダストをたくさん持つ銀河 の赤外線分光観測の例 国立天文台 今西昌俊.
SWIMS Current Status of Development
AOによる 重力レンズクェーサー吸収線系の観測 濱野 哲史(東京大学) 共同研究者 小林尚人(東大)、近藤荘平(京産大)、他
2012/02/22-23 可視赤外線観測装置技術ワークショップ
南極からの新赤外線天文学の創成 南極内陸は、ブリザードがなく、非常に穏やかな、地球上で最も星空の美しい場所です。この場所で私たちは新しい赤外線天文学を展開します 宇宙初期の広域銀河地図を作って、私たちの銀河系の生い立ちを解明します 137億年前 100億年前 宇宙の果て 最初の星が生まれ、銀河が成長した時代.
高速カメラの分光システム開発の現況 5 磯貝 /22 ○内容 0: 高速分光器の概要 1: マスクスリット像
銀河物理学特論 I: 講義3-3:光度関数の進化 分光探査サンプルによる Lilly et al. 1995, ApJ, 455, 108
2007 9/26-28 秋季年会 高速分光システムの開発 磯貝 瑞希(広島大)、嶺重 慎、野上 大作(京都大)、川端 弘治、植村 誠、大杉 節、山下 卓也、永江 修、新井 彰、保田 知則、宮本 久嗣、上原 岳士、笹田 真人、田中 祐行、松井 理紗子、深沢 泰司、かなた望遠鏡チーム(広島大)、杉保 圭(京都大)
高速分光システムの開発 1. 高速分光システムとは 4. 分散素子の製作 2. 高速CCDカメラとは 5. 製作スケジュール 3. 製作項目
2008 3/24-27 春季年会 高速分光システムの開発 II 1300秒 0.1等
高速分光システムの開発 II 1. 高速分光システムとは 5. 筐体 2. 高速CCDカメラとは 3. 製作項目 6. 今後のスケジュール
京大岡山3.8 m望遠鏡計画: 分割主鏡制御エッジセンサの開発
ティコ第2星表を用いた限界等級の測定 目的 内容 宇宙粒子研究室 竹川涼太
アタカマ近赤外カメラ ANIR 本原顕太郎、内一・勝野由夏、酒向重行、三谷夏子、 田中培生、半田利弘、青木勉、川良公明、
P01.埼玉大学55cm望遠鏡SaCRAの 制御システム開発 ~第5回 ~ ポスター説明
トランジット法による低温度星まわりの地球型惑星探索と大気調査
ーJapan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration-
みさと8m電波望遠鏡の 性能評価 富田ゼミ 宮﨑 恵.
Astro-E2衛星搭載 XISの データ処理方法の最適化
京大極限補償光学 点回折干渉を用いた 波面センサの開発
東工大明野50㎝望遠鏡におけるKISS超新星候補天体のフォローアップ観測
JARE54 Dome Fuji Astronomy
神戸大大学院集中講義 銀河天文学:講義6 特別編 観測装置の将来計画
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所 天文科学センター 伊藤洋一
岡山188cm望遠鏡時間の 割り当て状況 泉浦秀行 国立天文台岡山天体物理観測所 1/17/ 光赤天連シンポ@京都大学.
AIRT40+TONIC2 for JARE53/54 Winter-over Observation 新光学系の提案(最終案)
南極40cm赤外線望遠鏡に同架する望遠鏡(案)
COSMOSプロジェクト: z ~ 1.2 における星生成の環境依存性 急激な変化が起こっていると考えられる z ~1 に着目し、
地上 8-10m 望遠鏡の将来装置計画のまとめ 国際協力・時間交換の議論のベースとして 次世代装置開発の議論のベースとして
南極サイト調査用DIMM (シーイング測定装置) の開発と試験観測
ガンマ線バースト観測用 面分光装置の紹介 岡山天体物理観測所 尾崎忍夫 共同研究者 吉田、岩田、神戸、沖田(岡山天体物理観測所)、
ファイバー面分光装置KOOLS-IFU - 京大3.8 m望遠鏡との接続に向けて -
全天X線監視装置(MAXI)搭載用CCDカメラのエンジニアリングモデルの性能
高速分光システム 透過率および限界等級について
南極サイト調査に用いるシーイング測定装置(DIMM)の開発
小型JASMINE計画の状況       矢野太平(国立天文台)       丹羽佳人(京大).
栗田光樹夫 第29回望遠鏡技術検討会 於ナガセインテグレックス
CCDカメラST-9Eの      測光精密評価  和歌山大学 教育学部           自然環境教育課程 地球環境プログラム 天文学専攻 07543031   山口卓也  
miniTAO望遠鏡による Be型星の Paschen α観測
大学間連携第1回キャンペーン観測: δ Sct型脈動星IP Virの連続観測
F/3.5 R-spec H.Akitaya CCD Camera Video Camera F/3.5 F/1.3
(2048x2048 pixel; pixel size13.5μm sq.)
神山天文台における 2色同時撮像装置ADLERを用いた矮新星観測
S1 装置開発と観測 長田哲也 教授 栗田光樹夫 准教授 木野勝 助教 望遠鏡および可視光と赤外線の観測装置の開発を行います。
京大岡山3.8m望遠鏡用高分散分光器 京大宇物 岩室史英 サイエンス 太陽型星のスーパーフレア現象の解明
<近赤外線多天体分光撮像装置MOⅠRCSの全体像と開発状況>
すばる /HDSによる系外惑星 HD209458bの精密分光観測
東大アタカマ望遠鏡(TAO) 光学系検討の現状報告 東大天文センター・木曽観測所 宮田 隆志 田中 培生 山室 智康 お話する内容
AIRT40+TONIC2 for JARE53/54 Winter-over Observation 新光学系 備忘録
高速カメラ用低分散分光器の仕様 設置場所: 広島大学付属東広島天文台 かなた望遠鏡第2ナスミス焦点 広島大学 宇宙科学センター 磯貝 瑞希
ASTE搭載用ミリ波サブミリ波帯 多色ボロメータカメラ光学系の開発 竹腰達哉 北海道大学修士課程2年 Collaborators:
奥村真一郎(日本スペースガード協会)、 高橋英則、田中培生(東京大学)
かなたミニワークショップ@広島大学 可視赤外線同時カメラHONIRの開発 広島大学 D2 先本清志.
望遠鏡技術検討会 (2013/2/9) 京大3.8m望遠鏡用 面分光装置開発 松林 和也 (京都大学)
南極サイト調査用DIMM (シーイング測定装置) の開発と試験観測
(FMOS戦略枠観測で余ったファイバーによる) M型星まわりのトランジット地球型惑星探し
Presentation transcript:

光赤天連シンポジウム (2011年9月6日, 於:京都大) 北海道大学1.6m望遠鏡計画の 進捗状況 北海道大学 渡辺誠

計画の概要 事業名「高度天文観測ネットワークの構築による先 進的な宇宙理学教育研究の展開 」 事業名「高度天文観測ネットワークの構築による先    進的な宇宙理学教育研究の展開 」 目的: 北海道大学と道内公共天文台が連携し宇宙観測  ネットワークと宇宙理学教育研究システムを構築 特別教育研究経費(平成21年度~平成25年度) 事業主体: 北海道大学,名寄市(名寄市立天文台), 陸別町(銀河の森天文台) 計画のメインは,名寄への1.6m光学望遠鏡の設置 北大内では,大学院理学院・惑星宇宙グループが主体となって推進

望遠鏡設置サイト 名寄 道立サンピラーパーク内(名寄市) 札幌 名寄市との連携事業 梅雨がないのがメリット 東経142度28分,北緯44度22分 標高151m 札幌から車で3時間(220km),       列車で2-3時間 名寄市との連携事業 建物は名寄市が建設 小型プラネタリウムを併設 2010年4月にオープン 梅雨がないのがメリット

シーイング(DIMM) Median = 1.77秒角 日本国内としては悪くないシーイング

夜間晴天率 シーイング観測期間の気候から見積もり 冬季は悪いが,夏季はある程度晴れる 観測期間 全夜数 観測実施夜数 (快晴,晴または 薄曇りの夜数) 快晴,晴または薄曇りの 時間割合 快晴の 2010/1/14-17 4 3 24 % 0 % 2010/2/26-3/3 6 14 % 2010/4/21-4/26 29 % 2010/6/9-6/15 7 77 % 57 % 上記期間合計 23 17 35 % 13 % 冬季は悪いが,夏季はある程度晴れる

1.6m ピリカ望遠鏡 高度5°まで指向可能 ナスミス焦点B ナスミス焦点A カセグレン焦点 視野φ3’ Image Rotator < 900kg 2m x 2m ナスミス焦点A 視野φ10’ Inst. Rotator < 500kg 2m x 2m カセグレン焦点 視野φ20’ Inst. Rotator < 500kg 眼視 高度5°まで指向可能

2010/11 設置作業開始 2010/12 ミラー到着 望遠鏡ファーストライト 2011/2-3 MSI,NICEファーストライト 可視マルチスペクトル 撮像装置MSI 近赤外エシェル分光器 NICE

結像性能・指向精度 ハルトマン定数 = 0.53秒角 指向精度(補正後) 仕様(0.3秒角以下)より少し悪い 3.0秒角 RMS (現在,原因を調査中) 指向精度(補正後) 3.0秒角 RMS (仕様: 5秒角RMS以下)

観測装置 カセグレン焦点  可視マルチスペクトル撮像装置 MSI (北大) 0.36-1.05μm, 視野 3.3x3.3分角(0.39”/pixel), 512x512pixel EM-CCD  近赤外中分散エシェル分光器 NICE (東大)    0.9-2.4μm, 波長分解能~2600, 256x256 pixel HdCdTe Array  オカルティングマスクイメージャ-(東北大,開発中) DMDを利用した形状可変マスク付きイメージャ-, CCD ナスミス焦点A  可視撮像分光器NaCS (北大,開発中)     0.4-1μm, 視野 8x4分角(0.2”/pixel),波長分解能~400, 2k x 1k pixel CCD ナスミス焦点B  中間赤外フーリエ分光器(東北大) 8-12μm, 分解能 0.5 cm^-1, FT/IR-620  近赤外高分散エシェル分光器(東北大,開発中) 1-4μm, 波長分解能~20000-40000

可視マルチスペクトル撮像装置 MSI 多波長の狭帯域スペクトルイメージを効率よく取得する 波長域: 0.36-1.05 μm 視野: 3.3分角x3.3分角(0.39秒角/pixel) フィルター: 液晶可変フィルター x 2台 VIS: 400-720nm, Δλ~10nm (@650nm) SNIR: 650-1100nm, Δλ~10nm (@900nm) 狭帯域フィルター Hα (λ= 2nm), 360, 365, 370, 380, & 390nm (Δλ=10nm) 広帯域フィルター (U,B,V,Rc, Ic) 検出素子: 512x512 pixel EM-CCD (浜松ホトニクス) 設置場所: カセグレン焦点 限界等級: B~19.8, V~19.8, R~19.6, I~18.6       (60s積分, S/N=10) 多波長の狭帯域スペクトルイメージを効率よく取得する

MSI 光学系・機械系レイアウト Collimator Focusing Lens Lens EMCCD C9100-13 (Hamamatsu) Liquid Crystal Tunable Filter (CRi) 500mm Thermal Box (~10℃) Filter Wheels

MSI 組立・調整・設置 フィルターホイール レンズセル ミラーマウント 液晶フィルター 交換ステージ 匡体内部

MSI ファーストライト観測 土星のマルチスペクトル撮像例 (2011/2) 550 nm 650 nm 750 nm 850 nm 62秒角 550 nm 650 nm 750 nm 850 nm 885 nm 950 nm

近赤外中分散エシェル分光器NICE 東大田中研にて開発 (Yamamuro et al. 2007) 波長域: 0.9-2.4μm 検出素子: 256x256 pixel HgTeCd Array (NICMOS3) 設置場所: カセグレン焦点に設置(MSIと同時搭載) 限界等級: ~11.0 (@1μm), ~10.3 (@2μm)         (1200秒積分, S/N=10, 2秒角スリット)

可視撮像分光装置 NaCS 波長域: 0.4-1.0μm, 視野: 8分角 x 4分角 (0.2秒角/pixel) 波長分解能: R~400 検出素子: 2048x1024 pixel CCD (浜松ホトニクス) 設置場所: ナスミスA焦点 北大宇宙物理研究室にて開発 (神戸大&東大と共同開発) 2011年5月に仮のCCDを用いて 撮像モードのファーストライト ~1m

現状 2011年4月後半から本格運用開始 土星・木星のスペクトルイメージング観測(北大) Wolf-Rayet, Yellow-Hypergiant の赤外分光観測 (東大NICEチーム) 大学間連携事業 キャンペーン観測,突発天体(超新星など)観測 北海道教育大学 小型可視分光器持込

運用形態・体制 運用+観測人員 時間割り当て 市民公開 実働:スタッフ1+学生2(B4 - 1人,M1 - 1人)+事務1 持ち込み装置関係者(NICE, NaCS) 時間割り当て 3ヶ月ごとにスケジューリング 北大と持ち込み装置関係者から利用希望受付 市民公開 昼間望遠鏡公開:市立天文台開館日は常時(週5日) 夜間一般観望会:毎週金土日(夕方~21:30) 基本的に名寄市職員が担当