みさと8m電波望遠鏡の性能評価 8m (野辺山太陽電波観測所より) (New Earより) 和歌山大学教育学部 天文ゼミ  宮﨑 恵 1.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
口径合成によるメーザー源の 時間変動の観測 SKA に向けて 岐阜大学 高羽 浩. 東アジア VLBI 網の 22GHz 日本 野辺山 45m 、鹿島 34m 、 高萩、日立、つくば、山口 32m 、 VERA20m× 4 北大、岐阜大 11m 、水沢 10m 韓国 KVN20m× 3+測地 20m.
Advertisements

心理測定論 信号検出理論.
観測手法と望遠鏡の 仕様について 矢野太平(理研) ●大角度はなれた同時サーベイについて ●サーベイ方法について ●観測精度について
点対応の外れ値除去の最適化によるカメラの動的校正手法の精度向上
太陽多波長フレアデータ解析研究会 NSRO-CDAW10 ピーク時のループトップ電波源(2周波)の高さ (統計解析)
野辺山 45 m 電波望遠鏡 45 GHz 帯受信機 (Z45) の アンテナ搭載試験
川口則幸教授 退任記念ワークショップ 日通機における 電波天文機器の開発 2014年6月3日 日本通信機株式会社 武井 健寿.
導波路放出光解析による量子細線の光吸収測定
自作電波望遠鏡による木星電波の検出 園田愛実 冨田敬人 静岡県立磐田南高等学校 地学部 天文班
星の明るさと等級 PAOFITS WG 開発教材 <解説教材> 製作: PaofitsWG <使い方> ①「実習の方法」についての説明に使う
第6回 制動放射 東京大学教養学部前期課程 2012年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
晩期型星T-Lepに付随する 水メーザースポットを用いた年周視差測定 ~系内MIRA型変光星周期-絶対光度関係の測定に向けて~
第11章 機構と機械要素の概要 ●マイコン回路とプログラミング ●センサと計測 ●アクチュエータ(モータ) ●機械制御法
山口大学電波グループ ブレーザー電波データの紹介
Copyright 2011 アイデアクラフト 開米瑞浩 All rights reserved.
WSJT(JT65C)の事始めと 8J1AXAの受信
プロポーザル準備/観測準備 ダストをたくさん持つ銀河 の赤外線分光観測の例 国立天文台 今西昌俊.
センサノード 時刻同期と位置測定 浅川 和久 2008/11/16 センサノード 時刻同期と位置測定.
SURF: Speeded Up Robust Features
小惑星を探れ! 村仲 渉 (木曽高校)  杉本 寛 (上宮高校)  佐藤 駿 (オイスカ高校)  鈴木 寿弥 (磐田南高校) 池内 苑子 (大宮高校)  吉川 優衣 (広島国泰寺高校)  斎藤 杏奈 (洗足学園高校)  §1.はじめに ②太陽から小惑星までの距離 小惑星の軌道は円と仮定する。小惑星の軌道半径をaA、周期をTA、地球の軌道半径をaE、周期をTEとすると、時間tでの小惑星の移動距離dA、地球の移動距離dEは、
(質問)  体軸分解能を評価するための「SSPの測定」
6.3.4 無給電アンテナ 伝播路上に障害物があるときこれを避ける 例題6.5 無給電アンテナを用いたマイクロ波回線.
高周波観測 大田 泉 (甲南大学理工学部) 空気シャワー電波観測ワークショップ2014@甲南大
ー 第1日目 ー 確率過程について 抵抗の熱雑音の測定実験
電波望遠鏡による銀河系地図作製 和歌山大学 教育学部 天文ゼミ 菊池かおり
NEtwork in Wakayama, Education of Astronomy and Research; NewEar
星団で見る銀河系 ~星団の色等級図作成を通して~
みさと8m電波望遠鏡の 性能評価 富田ゼミ 宮﨑 恵.
2m電波望遠鏡の製作と 中性水素21cm線の検出
Astro-E2衛星搭載 XISの データ処理方法の最適化
茨城 32 m 電波望遠鏡(高萩局・日立局)の整備状況
①浮上(RTB準備)→ 圧力センサー(水深)
銀河物理学特論 I: 講義1-4:銀河の力学構造 銀河の速度構造、サイズ、明るさの間の関係。 Spiral – Tully-Fisher 関係 Elliptical – Fundamental Plane 2009/06/08.
HⅠ輝線を用いた 高銀緯分子雲の観測的研究
位相カメラの進捗状況 京都大学修士1回 横山 洋海.
クワッドリッジホーンアンテナ (広帯域フィード) を 用いた電波望遠鏡の測地VLBIにおける性能評価
COSMOSプロジェクト: z ~ 1.2 における星生成の環境依存性 急激な変化が起こっていると考えられる z ~1 に着目し、
太陽系外惑星の トランジット観測 和歌山大学  教育学部  自然環境教育課程   地球環境プログラム  天文学ゼミ   玉置 順大.
宇宙の立体地図 試作品の製作にあたって諸事項 09S1-051 若佐菜摘.
実習課題B 金属欠乏星の視線速度・組成の推定
南極サイト調査用DIMM (シーイング測定装置) の開発と試験観測
COSMOS天域における ライマンブレーク銀河の形態
CCDカメラST-9Eの      測光精密評価  和歌山大学 教育学部           自然環境教育課程 地球環境プログラム 天文学専攻 07543031   山口卓也  
適応的近傍を持つ シミュレーテッドアニーリングの性能
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 8/11講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
22/43 GHz帯フィルタによる 野辺山45 m鏡二周波同時観測の現状について
柴田 晋平 山形大学理学部 With 早坂 由美子 NHK山形 キャスター
第17回DECIGOワークショップ 2018.11.1 川村静児(名古屋大学)
79GHz帯高分解能車載レーダと電波天文業務との共用検討 -検討経過と結果-
1:Weak lensing 2:shear 3:高次展開 4:利点 5:問題点
第12回 銀河とその活動現象 東京大学教養学部前期課程 2017年度Aセメスター 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
JASMINEワークショップ March 6-7,2003 松原英雄(宇宙研)
1.85m電波望遠鏡 230GHz帯超伝導(SIS) 受信機の現況
平成15年度情報システム工学序論 「ラジオ」について Inside of the Black Box 本多達也 情報システム工学科1年
Geant4による細分化電磁 カロリメータのシミュレーション
MOAデータベースを使った セファイド変光星の周期光度関係と 距離測定
10/19 GMCゼミ.
すばる/HDSによる系外惑星HD209458bの精密分光観測
Telescope Array ~Searching for the origin of the highest energy cosmic ray 私たちの研究の目的 宇宙線って何? 最高エネルギー宇宙線の数が、 理論による予想を大きく上回っていた! 現代物理学の主要な謎の1つ 宇宙空間を光に近い速度で飛び回っている非常に小さな粒子のことです。
CHANDRA衛星の観測結果による、 球状星団M4(NGC6121)のスペクトル解析
超高角度分解能X線望遠鏡 Xmas Project
固体材質同士の接合面における機械損失について
天体電波望遠鏡の開発  研究者:福永 健司 共同研究者:笠原  良太.
ASTE搭載用ミリ波サブミリ波帯 多色ボロメータカメラ光学系の開発 竹腰達哉 北海道大学修士課程2年 Collaborators:
電磁気学C Electromagnetics C 7/10講義分 電気双極子による電磁波の放射 山田 博仁.
教育学部 自然環境教育課程 天文ゼミ 菊池かおり
南極サイト調査用DIMM (シーイング測定装置) の開発と試験観測
(目的) ・電波(12GHz)で見た太陽の直径を測定する ・彩層・低層コロナにおける微細構造が見えるかも? (方法)
~目では見ることのできない紫外線・赤外線をケータイカメラを使うことで体験する~
LCGT Design meeting (2004年4月9日 東京大学 山上会館, 東京)
Presentation transcript:

みさと8m電波望遠鏡の性能評価 8m (野辺山太陽電波観測所より) (New Earより) 和歌山大学教育学部 天文ゼミ  宮﨑 恵 1

性能評価 ①望遠鏡の雑音 182 [K] ②観測している範囲 直径2°の円 ③能率(パラボラ面の活用度) 約60% ①望遠鏡の雑音 182   [K] 銀河系の水素原子からの電波を受けるには十分な「静かさ」を確認 ②観測している範囲 直径2°の円 設計どおり ③能率(パラボラ面の活用度) 約60%  +43  -21

①望遠鏡の雑音を調べる 天体からの電波 天体と関係ない空からの電波 望遠鏡内部の熱雑音(システム雑音温度) 常にほぼ一定 望遠鏡によってそれぞれ異なる 天体からの電波を得るには、システム雑音温度のレベルが知る必要あり 測定データにはいろいろな電波が混じっている 3

システム雑音温度の測定方法 天体のない方向にむける 受信部を、電波吸収材で、覆う ・電波吸収材からの電波 ・望遠鏡内部の熱雑音(システム雑音温度) ・天体のない空からの電波 ・望遠鏡内部の熱雑音(システム雑音温度)

結果 観測には十分な雑音レベルと確認 銀河系の水素原子からの電波が雑音に埋もれることなく受信できている 合計17データを測定 182 [K] 合計17データを測定 182  [K] +43 -21 銀河系の水素原子からの電波が雑音に埋もれることなく受信できている  観測には十分な雑音レベルと確認 まあまあ Tsysは低いほうがいい 5

考察 銀河系の水素原子からの電波 まあまあ Tsysは低いほうがいい 6

実際に観測している範囲を知るために ビームサイズを測定する ②観測している範囲の測定 実際に観測している範囲を知るために ビームサイズを測定する

ビームサイズとは ビームサイズ 受信感度がピークの半分になる範囲 ビームサイズ=分解能として考える 分解能とは広い空をどれくらい細かくみれるか  受信感度がピークの半分になる範囲    ビームサイズ=分解能として考える

ビームサイズの測定方法 1分ごとに受信強度を記録していく 望遠鏡は固定。太陽が移動していく。 太陽 太陽の南中時刻と南中時の赤経赤緯を天体運行シュミレーションソフト(ステラナビゲーター)で調べ、 太陽の南中する方向に望遠鏡を向ける。 そして太陽がパラボラアンテナを横切っていく間、パワーメーターに表示される値を1分に1回ずつ記録していく。 記録するのは南中30分前から南中後30分、 1分ごとに受信強度を記録していく 9

結果 = 2.09° 計1時間測定したデータより、半値~ピーク~半値に要する時間を確認 10

結果 設計どおりのビームサイズと確認 合計10回測定 2.07 ° 機械の設計から考えられるビームサイズ = 2° +0.06 -0.08   合計10回測定 2.07   ° +0.06 -0.08 機械の設計から考えられるビームサイズ = 2° 設計どおりのビームサイズと確認 11

③能率(パラボラ面の活用度) パラボラアンテナの開口面積を1としたときの、実際の受信面積の割合  開口能率の測定 パラボラアンテナの開口面積を1としたときの、実際の受信面積の割合 実際、パラボラアンテナの何%を有効に使えているかを表す。 同じ天体をみてても 開口面積が大きい→受信強度が強くなる。 実際の開口面積を知らなければ、天体の電波強度を出すことはできない。

開口能率の測り方 ①単位面積あたりに受信する太陽の強度を調べる(文献で) ②8m電波望遠鏡で太陽の強度を測定する ③比較 (実際の受信面積を求める) ④8mの開口面積を1としたときの、実際の受信面積の割合

結果 合計10回測定         0.59 8mパラボラの60%(約6mパラボラ分)を   有効に使っているということ +0.13 -0.06

考察 126° 6.13m 開口能率が、およそ0.6となった理由として、アンテナの受信可能範囲の大きさが考えられる。取り付けてあるアンテナは、126°の範囲からの電波を有効に受信する構造となっているため、パラボラ面に反射する電波のうち、角度的にアンテナの受信可能範囲に入らないものもあることが考えられるからである。 15

考察 実際は、主に直径6.13m分のパラボラ面を使う 設計となっている。 測定した開口能率は60%(直径6mパラボラ分) 設計どおりの開口能率と確認

まとめ ①望遠鏡の雑音 182 [K] ②観測している範囲 直径2°の円 ③能率(パラボラ面の活用度) 約60% ①望遠鏡の雑音 182   [K] 銀河系の水素原子からの電波を受けるには十分な「静かさ」を確認 ②観測している範囲 直径2°の円 設計どおりと確認 ③能率(パラボラ面の活用度) 約60%  +43  -21

今後の課題 性能評価①望遠鏡の雑音 ②観測している範囲 ③能率 ④向いている方向の精度 (ポインティングの精度) 銀河系円盤の観測、銀河系地図作成

受信範囲について

考察