機関リポジトリの概要 JAIRO Cloud 説明・講習会 11月27日(水) 金城学院大学 武内 八重子(千葉大学附属図書館)
機関リポジトリとは Institutional Repository (=IR) 研究機関で生産された電子的な知的生産物を補足し、保存し、原則的に無償で発信するためのインターネット上の保存書庫 最初は、機関リポジトリの定義について 国立大学図書館協議会(2003)「電子図書館の新たな潮流」http://www.janul.jp/j/publications/reports/74.pdf
機関リポジトリとは 大学がその構成員に提供する、大学やその構成員により作成されたデジタル資料を管理し発信するための一連のサービス Clifford A. Lynch “Institutional Repositories:Essential Infrastructure for Scholarship in the Digital Age.”ARL, 226. 次のスライド以降、IR構築の背景について ①シリアスズクライシス ②オープンアクセス リンチの日本語訳は次のURLから入手できる。http://www.nii.ac.jp/irp/archive/translation/arl/
学術雑誌の高騰 市場の寡占化と価格高騰 機関や読者の購読中止の増加 売り上げ部数減少のため更に値上げ 購読中止の増加………という悪循環 市場の寡占化と価格高騰 機関や読者の購読中止の増加 売り上げ部数減少のため更に値上げ 購読中止の増加………という悪循環 シリアルズクライシスの説明 図書館が雑誌の購読を維持できなくて、学術コミュニケーション不全に陥ってしまう。
Library Journal Periodical Survey 学術雑誌の高騰 1誌あたりの平均価格 学術雑誌の価格高騰 Library Journal Periodical Survey
オープンアクセス 学術論文を、経済的・法的・技術的障壁なく、インターネットを介して誰もが自由に利用できること。 (Budapest Open Access Initiative BOAI 2001.12 http://www.budapestopenaccessinitiative.org/) オープンアクセスという考えの興隆。 OAの定義、BOAIから
オープンアクセス実現方法 オープンアクセスジャーナル(Gold OA) 予約購読型以外のビジネスモデルの雑誌 著者支払型・ハイブリッド型など 品質・掲載論文数は様々 オープンアクセスメガジャーナルの台頭(PLoS ONE) OAの実現方法 ①gold ②green 機関リポジトリはGreen OAの一手段である。
オープンアクセス実現方法 セルフアーカイビング(Green OA) 著者のウェブサイト 機関リポジトリ プレプリントサーバ(arXiv.org) 政府主導分野別アーカイブ(PubMed Central)
機関リポジトリのコンテンツ 学術雑誌掲載論文 紀要等による学内掲載論文 学位論文 国際会議等での口頭発表資料 教材
出典:尾城孝一「ネットワーク環境下における大学図書館機能の再構築」 機関リポジトリの概要 出典:尾城孝一「ネットワーク環境下における大学図書館機能の再構築」
機関リポジトリのメリット (研究者にとって) 研究成果の可視性の向上 被引用率の向上1) 新たな情報発信のルート獲得 Googleなどの検索対象に 被引用率の向上1) 新たな情報発信のルート獲得 機関による一元管理と長期的な保存 機関であることの意味 機関リポジトリのメリット 研究者にとって 1) 同一ジャーナルに掲載されたOA論文と非OA論文ではOA論文の方が2.5~5.8倍多く引用されたという報告がある Steven Harnad. Comparing the Impact of Open Access(OA) vs. Non-OA Articles in the Same Journals. D-Lib Magazine, v.10, no.6, 2004 日本語訳は次のURLから入手できる。http://www.nii.ac.jp/metadata/irp/harnad/
機関リポジトリのメリット (大学にとって) 大学の研究成果を社会に還元 「大学からの情報発信力の強化や、大学の社会に対する説明責任の履行の観点からも機関リポジトリは有効な手段である。」 (「学術情報基盤の今後の在り方について(報告)」文部科学省 平成18年 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/06041015.htm ) 大学で生み出された知的生産物の長期保存 機関リポジトリのメリット 大学にとって 社会・地域貢献や機関のブランド力の向上
機関リポジトリのメリット (学生にとって) 教員の著作が簡単に読めるようになった。授業の選択、予習復習に便利 (受験関係者にとって) 大学の教育研究活動の一端が見える。英語であれば海外のアクセスも
機関リポジトリのメリット (一般の人にとって) 専門的論文が簡単に読めるようになった アメリカの高校生がOA論文を利用してすい臓がんの検査方法を発明 “Open Access Empowers 16-year-old Jack Andraka to Create Breakthrough Cancer Diagnostic”. Right to Research Coalition. 2013-06-11. http://www.righttoresearch.org/blog/open-access-empowers-16-year-old-to-create-breakth.shtml, (accessed 2013 -10-10).
機関リポジトリ現状 全世界で2,517機関、日本は世界4位(2013.11.14現在、OpenDOARによる http://www.opendoar.org/) 日本では392機関(2013.10.31現在、機関リポジトリ統計による http://www.nii.ac.jp/irp/archive/statistic/ ) 2005年の千葉大学が最初
日本の機関リポジトリ http://www.nii.ac.jp/irp/archive/statistic/
10月31日現在、日本の機関リポジトリには122万件超のコンテンツが収録されている。 コンテンツの内、約半数を占めるのが紀要で、次に多いのが学術雑誌論文。 http://irdb.nii.ac.jp/analysis/index.php
既存業務とIR業務 既存 IR 固定(最終型) 不安定(途中) 出版社・代理店・書店 研究者 購入 依頼・交渉・説得 入手・貸出 入手・発信 大学構成員 +社会全体
デジタルリポジトリ連合(DRF) メーリングリストや月刊DRF、DRFwikiでの情報共有 図書館総合展でのワークショップ (2013.11.15現在)153機関が参加している日本の機関リポジトリ構築機関の広域コミュニティ組織 メーリングリストや月刊DRF、DRFwikiでの情報共有 図書館総合展でのワークショップ drf.lib.hokudai.ac.jp/drf/ リポジトリ運営で困ったことがあればDRF