なぜ情報実験か?その2 最低限知識の確認と さらなる飛躍にむけて

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なぜ計算情報科学・技術を学ぶか? その2 最低限知識の確認と さらなる飛躍にむけて
Presentation transcript:

なぜ情報実験か?その2 最低限知識の確認と さらなる飛躍にむけて 北海道大学理学院 宇宙理学専攻 石渡正樹 momoko@ep.sci.hokudai.ac.jp 2008年07月18日

目次 情報実験の目的の確認 最低限確認: 技術知識編 最低限確認: 利用者知識編 さらなる飛躍に向けて Internet の基本, セキュリティーの基本(パスワード) 最低限確認: 利用者知識編 日本のインターネットの歴史:日本の大学の特殊性 管理運営構造と自力更正 さらなる飛躍に向けて 知の爆発, V. Bush (1945) 近所の活動あれこれ 教育・研究資料公開, 講義・セミナー動画配信 大容量高速ネットワークを介したデータ転送 遠隔計算, 遠隔制御 などなど

情報実験の目的の確認 立派な大人になる Internet の文化的背景と最低限技術を理解する 少なくとも,置かれている状況を慮ることを知る: 他人に迷惑をかけてはならない 自分のことは自分でやらなくてはならない 願わくば 相互扶助による運営へ協力ならびに貢献 地球惑星科学の情報化を真に進められる人材が育つことを期待する.

最低限確認 利用者的技術編

最低技術知識の確認 これくらい知っとけよ, こんなこと周囲・管理者に聞くなよ 計算機あれこれ 基本 Unix (Linux), X ハードウェアの名前とイメージ メモリ、CPU、ハードディスク、バス、… 計算機を動かしている基本ソフトウェア (OS) とそれにまつわる基本単語 ブート、シャットダウン、BIOS、…, 電源は切っていいとは限らない

最低技術知識の確認 これくらい知っとけよ, こんなこと周囲・管理者に聞くなよ ネットワーク基本単語あれこれ TCP/IP IP アドレス (IP address) ネットマスク(netmask) ネットワーク(network)アドレス ホスト(host)アドレス ブロードキャスト(broadcast) アドレス ドメイン (domain) ホストネーム(host name)・ドメインネーム (domain name) DNS 87. 45. 15 10000101. 01010111. 00101101. 00001111 = 1 byte = 8 bit

最低技術知識の確認 これくらい知っとけよ, こんなこと周囲・管理者に聞くなよ ネットワーク基本概念あれこれ サーバ・クライアントモデル デーモン ポート(port) メール SMTP POP

最低限確認 利用者知識編

最低利用知識の確認 セキュリティーに対する高い意識 まずは自分を守る それは, 他人(仲間/プロジェクト)を守ること 自分のアカウントに侵入されない 意図しないプライバシーの全世界への公開 ウィルス防御・駆除ソフトの導入は必須 それは, 他人(仲間/プロジェクト)を守ること アカウントをとられると, 計算機内の他人/プロジェクトの資源が危険にさらされる. それは, 世界(ネットワーク全体)を守ること 踏台にされ, 知らない間に他の重要資源攻撃に荷担させられる.

最低利用知識の確認 ネットワーク常時接続→計算機は『危険物』 車と同じ でも車と違う。成熟した技術ではない → 知識の更新が必要. 運用操作技術の習得, 適切な日常点検, 適切な管理 計算機をかわいがることが重要 でも車と違う。成熟した技術ではない → 知識の更新が必要. 整備不良, 管理不備により深刻な被害をもたらした場合は刑事責任 ネットワークの機器のログの確保提供義務 当局への提供においては個人情報の扱いに注意必要 http:////www.atmarkit.co.jp/fsecurity/rensai/inci06/inci01.html より転載

最低利用知識の確認 パスワードと暗号化 パスワード 暗号化 パスワードは最初にして最後の砦 正しいパスワード. 『辞書』(あらゆる辞典)にのってそうな単語はダメ 暗号化 ネットワーク上では暗号化を施さなければまるみえ. SSH (secure shell) 計算機アカウントアクセス時 SSL (secure socket layer) WEB アクセス時

最低利用知識の確認 不必要なネットワークサービスは危険 セキュリティホールをなくす 不要なデーモンを停止 ポートを閉める セキュリティ情報のチェック JPCERT:http://www.jpcert.or.jp 最新資源へのアップデート JPCERTのトップページ

最低利用知識の確認 資源とその管理体制を理解する 何が何処の管理に属するか 障害発生レベルと対応した管理組織の掌握 重層的なハードウェア, ソフトウェア環境 対応した重層的な管理組織 技術管理者・政策管理者・危機管理者 障害発生レベルと対応した管理組織の掌握 例: メールの配送 ネットワークの管理運用者 計算機資源のハードウェアと OS レベルの環境の管理運用者 メールサーバーソフトウェアの管理運用者 メールリストの管理運用者

最低利用知識の確認 重層的なネットワーク環境 SINET(国立情報学研究所) 大学キャンパスネットワーク 各部局、研究室 SINET3の構成 http://www.sinet.ad.jp/about_sinet3/sinet3_kousei.PNG

最低利用知識の確認 日本のインターネット文化を理解する 自分のことは自分でやる

最低利用知識の確認 日本におけるインターネット黎明 日本のInternetは大学から WIDE 1988 年-現在 (村井純http://www.wide.ad.jp/ ) Internet それ自体を研究する目的. 大学や企業の研究室, 研究グループを会員組織とする実験プロジェクト. 多種多様な組織を繋いだ時に生じる技術的・政治的・社会的諸問題を経験する. TISN 1989 年 ~ 1996 年 東大理学部を中心として日米国際回線の共同利用のために組織された. 接続は原則として会員組織のみ. 会員は理学研究目的の組織に限定していた. 科学技術庁省際ネットワーク(IMnet)に吸収されることにより発展的に解消. 村井純氏 http://biography.sophia-it.com/ imgb/bimu001.png より転載

最低利用知識の確認 日本におけるインターネット黎明 日本のInternetは大学から Unixの文化の継承=基本精神は, そのまま古きよき大学の精神 自力更生(自分のことは自分でやる) 無保証 ボランティア(相互扶助) 研究室から学科, 学部, 大学, 研究所, そしてそれら相互のnetwork 同士を接続し, 自分のネットワーク上を他人のパケットが通過することを許容することにより総体として Internet を作っていっていった

最低利用知識の確認 日本におけるInternet の発展:プロバイダへ プロバイダ=Internet 接続サービスを提供する「組織」 SINET (1991 年末):大学・研究機関のためのプロバイダ SINET の下に各大学が独自のキャンパスネットを運営:HINES, UTnet, Kuins, ... ISP (= Internet Service Provider):商用プロバイダ IIJ が1992 年末, 開業 http://www2.ttcn.ne.jp/ ~honkawa/6200.html

最低利用知識の確認 日本のInternetは大学から WIDEプロジェクトの役割が非常に大きい Unixのワークスステーションとしての普及と同時期に開始, むしろネットワーク接続のためにUnixを導入するようになる 日本の大学の触媒機能 情報科学発展に対してはいまいち(各業界との交流があまり生まれなかった) 大型計算機・スーパーコンピュータの発展には大きく寄与 Internet の発展には本質的に寄与 このことが逆に大学におけるネットワークの運用を現在困難にしている 予算がないこともあり昔と同じままの体制(使う人が作る人=利用者は高いモラルと技術知識を持っていることが前提)

最低利用知識の確認 日本の大学では自力更正 貧弱な管理運用体制 利用者は 対応して個々人に要請されることは 大学の精神に根ざす歴史的事情と貧乏とにより現在も昔(自力更生時代)とあまりかわらない運用体制になっている 利用者は 自由な活動(自分で自分の環境を構築できる. 自分の責任において何をやっても良い) 高いモラル ボランティア精神 対応して個々人に要請されることは 自分のことは自分でやる 無保証であることの認識、覚悟

更なる飛躍に向けて

真の目的は情報化の推進 (人類として)本当にやって行かなければならないことは 知の爆発への対応 Vannevar Bush (1945) MITの副学長, 第二次大戦中は国防研究委員会議長, レーダーから対潜水艦作戦, マンハッタン計画にいたるまでの兵器開発計画の監督. 人類にとっての真の挑戦は       原子をさらに細かく調べたり 生命の複雑さを探求したり       することではなく 科学技術が氾濫させる情報       のよりよい管理方法を       発見することだ. → 計算機に地球惑星科学の知識を教えていくこと. http://en.wikipedia.org/wiki/Vannevar_Bush

地球惑星科学における展開 遠隔計算・遠隔観測のためのネットワーク環境構築 Gbit大域のネットワークの設計と接続, 制御を自前で行う必要 http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~ssinet/ Super SINET http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~jgn/ JGN→post JGN 環境研究所, 天文台, 宇宙研のスーパーコンピュータの利用へ 遠隔授業,望遠鏡観測などのための   インフラ 北海道仮想天文台プロジェクト http://madeira.cc.hokudai.ac.jp/ops/nw-key-men/index.php?snobs

地球惑星科学における展開 ネットワーク上での知識提供実験 / ネットワーク上での教育実験 参考: School of Internet (WIDE) (http://www.soi.wide.ad.jp/) 地球惑星業界でも   同様な試みを展開 する必要 WIDE SOI にならった 動画配信活動 Mosir プロジェクト (http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~mosir/ )

地球惑星科学における展開 データの構造化, 知見プラットフォームへの試み 地球流体電脳倶楽部 (http://www.gfd-dennou.org/) 地球惑星(流体現象)に かかわる諸々の知見を ネットワーク上に蓄積 そのための道具作り 情報交換に便利な  数値データ構造の考察 地球惑星科学における 知見データの構造自体を 考える

情報実習の周辺における展開

最低利用知識の確認 資源とその管理体制 SINET 国立情報学研究所 文部科学省の大学間接続を担うプロバイダ 情報基盤センターHINES 北海道大学キャンパスネットワークのプロバイダ 理学営繕掛/理学情報ネットワーク委員会 HINES 部局支線 = 理学研究院が配線管理 運用管理は HINES EPネットワーク委員会 宇宙惑星科学分野・地球惑星科学関連有志による主として8号館(情報実験環境)のネットワーク接続の掌握, 管理, 運用 各々の研究室等 各研究室の情報環境

最低利用知識の確認 計算機資源の管理運用者 情報基盤センター(メディア教育) 学部学生用計算機資源 情報基盤センター(大型計算機システム) 院生・研究者用計算機資源 スーパーコンピュータ EPネットワーク委員会 地球惑星科学関係有志による主要サーバ群 dns, www, mail, news, ftp, router, ...

情報実習関係のネットワーク運用体制 EPネットワーク委員会 (netcom) EPネットワーク技術支援グループ (epcore) http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~netcom/ 政策決定, 運用責任 EPネットワーク技術支援グループ (epcore) http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~epcore/ 実働担当の学生ボランティアグループ, EPNetFan の運営 EPNetFan http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~epnetfan/ 相互扶助的勉強会, epcore メンバー養成, 情報実験の運営 物理実験I(情報実験) http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~inex/ 支援グループ等々に迷惑かけないための啓蒙 ボランティア養成 情報科学的アプローチのできる地球惑星分野の科学者・技術者へのきっかけの

ご近所での展開 知の情報化に向けた情報研究教育活動 情報実習 EPサーバー群 EPNeTFan

おわりに 今後の機材の利用 →EPNeTFan に登録, 参加することにより, ルート(機材あたり1名)としての責任(セキュリティー対策)を担ってもらう. 実験機材(3N+1,3N+2)は次の9月まで使える. さらに 3N 機材担当者に昇格すると在籍するかぎりずーと使える. VTA になってもらうけど. 連絡先 epnetfan-ml@ep.sci.hokudai.ac.jp おしまい, おつかれさまでした.

参考書, 参考文献 Bush, V., 1945: As we may think. Atlantic Monthly, 1945 July, 101-108. 村井純, 1997: インターネット, 岩波新書 新赤 416, 岩波書店. 村井純, 1998: インターネットII, 岩波新書 新赤 571, 岩波書店. 歌田明弘, 2000: 本の未来はどうなるか 新しい記憶技術の時代へ, 中公新書 1562, 中央公論新社 山岸俊男,2000: 社会的ジレンマー「環境破壊」から「いじめ」までー,PHP新書117,PHP研究所 D. Libes & S. Ressler 著, 坂本 文 訳, 1990: Life with Unix, アスキー. 坂村健, 2002: 痛快! コンピュータ学, 集英社文庫. 山口 英, 2002: ブロードバンド時代のインターネットセキュリティー, 岩波科学ライブラリー85