秘匿積集合プロトコルを利用した プライバシ協調フィルタリングの提案

Slides:



Advertisements
Similar presentations
協調フィルタリングに基づく ソフトウェア開発技術の推薦 ソフトウェアサイエンス研究会@信州大学 2005 年 6 月 23 日 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 秋永 知宏,大杉 直樹,柿元 健,角田 雅照, 門田 暁人,松本 健一.
Advertisements

Software Engineering Laboratory, Department of Computer Science, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University 1 ソフトウェア部品推薦のための.
利用者のプライバシを保護す る協調フィルタリング方式の 提案 7adrm011 木澤寛厚. 背景 商品の量が多い 見つからな い orz ネットショップ.
嗜好ベクトルの近似による サービス享受条件の自動設定 立命館大学大学院 理工学研究科 データ工学研究室 ◎川成宗剛,山原裕之, 原田史子, 島川博光 2007 年 9 月 6 日.
ユーザーイメージ収集 インターフェイスの開発
電子透かしにおける マスキング効果の主観評価
パネル型クエリ生成インタフェース画像検索システムの改良
駒澤大学 経営学部 情報セキュリティ B 公開鍵暗号による 認証つきの秘匿通信 ―― 鍵に注目して ――
クラウドにおける ネストした仮想化を用いた 安全な帯域外リモート管理
情報工学科 06A2055 平塚 翔太 Hiratsuka Shota
黒澤 馨 (茨城大学) 情報セキュリティ特論(4) 黒澤 馨 (茨城大学) 2017/3/4 confidential.
CCC DATAset における マルウェアの変遷
秘匿積集合プロトコルの 推薦システムへの応用
IaaS 仮想マシン(VM)をネットワーク経由で提供 負荷に応じてVM数や性能を変更できる ハードウェアの導入・管理・維持コストの削減
秘密のリンク構造を持つグラフのリンク解析
Scalable Collaborative Filtering Using Cluster-based Smoothing
Finger patternのブロック化による 陰的wavelet近似逆行列前処理の 高速化
データモデリング 推薦のための集合知プログラミング.
プライバシ協調フィルタリングにおける 利用者評価行列の次元削減
符号化のための重み付きジョイントバイラテラルフィルタを用いた 奥行き画像超解像
AllReduce アルゴリズムによる QR 分解の精度について
中間発表用スライド 田中健太.
「まめだくん Ver.1.0」 特徴と利用方法.
Paper from PVLDB vol.7 (To appear in VLDB 2014)
帯域外リモート管理を継続可能な マイグレーション手法
PlanetLab における 効率的な近隣サーバ選択法
ネストした仮想化を用いた VMの安全な帯域外リモート管理
サーバ構成と運用 ここから私林がサーバ構成と運用について話します.
クラウドの内部攻撃者に対する安全なリモートVM監視機構
回帰モデル・クラス分類モデルを 評価・比較するための モデルの検証 Model validation
Java ソフトウェア部品検索システム SPARS-J のための リポジトリ自動更新機能の実現
暗号技術 ~公開鍵暗号方式の仕組み~ (3週目)
共通暗号方式 共通のキーで暗号化/復号化する方法 例) パスワードつきのZIPを送信して、後からパスワードを送る方法 A さん B さん
情報セキュリティ  第4回 メッセージ認証コード.
Linux リテラシ 2006 第5回 SSH と SCP CIS RAT.
マルチホーミングを利用した Proxy Mobile IPv6の ハンドオーバー
2章 暗号技術 FM15002 友池 絲子.
5.RSA暗号 素因数分解の困難性を利用した暗号.
Webコミュニティ概念を用いた Webマイニングについての研究 A study on Web Mining Based on Web Communities 清水 洋志.
クラウドにおけるVMリダイレクト攻撃を防ぐためのリモート管理機構
クラウドにおけるVM内コンテナを用いた 自動障害復旧システムの開発
Intel SGXを用いた仮想マシンの 安全な監視機構
音声データにおける 墨塗り署名ツール“SANI”の開発
○ 後藤 祥1,吉田 則裕2 ,井岡 正和1 ,井上 克郎1 1大阪大学 2奈良先端科学技術大学院大学
早稲田大学大学院 基幹理工学研究科 情報理工学専攻 後藤研究室 修士1年 魏 元
1.目的 サプライチェーンにおいて重要なこと ・商品のコスト ・商品の充填率 需要が予測できれば、 充填率を下げずに在庫が減らせる 在庫
不完全な定点観測から 真の不正ホストの分布が分かるか?
ボットネットはいくつあるか?ダウンロードログからの線形独立な基底数
情報経済システム論:第13回 担当教員 黒田敏史 2019/5/7 情報経済システム論.
秘匿リストマッチングプロトコルとその応用
指紋がキーとなる金庫 “ Indexed Fuzzy Vault ” の開発
C9 石橋を叩いて渡るか? ~システムに対する信頼度評価~
1999年度 卒業論文 UDPパケットの最適な送信間隔の検討 早稲田大学理工学部情報学科 G96P026-4 小川裕二.
VMリダイレクト攻撃を防ぐための 安全なリモート管理機構
Q q 情報セキュリティ 第12回:2004年6月25日(金) の補足 q q.
A-17 検索履歴のプライバシーを秘匿した ユーザクラスタリング
1ーQー18 音声特徴量抽出のための音素部分空間統合法の検討
◎小堀 智弘,菊池 浩明(東海大学大学院) 寺田 真敏(日立製作所)
最小二乗法による線形重回帰分析 明治大学 理工学部 応用化学科 データ化学工学研究室 金子 弘昌.
制約付き非負行列因子分解を用いた 音声特徴抽出の検討
C10:秘匿共通集合計算プロトコルを用いた 就職活動支援システム“JHT”
ネット時代のセキュリティ3(暗号化) 2SK 情報機器工学.
Webページタイプによるクラスタ リングを用いた検索支援システム
異種セグメント端末による 分散型仮想LAN構築機構の設計と実装
電子投票班 (電子オークション班) 後藤研究室 大木島 航.
目次 はじめに 収束性理論解析 数値実験 まとめ 特異値計算のための dqds 法 シフトによる収束の加速
MPIを用いた 並列処理 情報論理工学研究室 06‐1‐037‐0246 杉所 拓也.
CSS符号を用いた量子鍵配送の安全性についての解析
管理VMへの キーボード入力情報漏洩の防止
創造都市研究科 都市情報学 情報基盤研究分野
Presentation transcript:

秘匿積集合プロトコルを利用した プライバシ協調フィルタリングの提案 秘匿積集合プロトコルを利用した  プライバシ協調フィルタリングの提案 ◎木澤寛厚 磯崎邦隆 菊池浩明      東海大学 工学研究科 情報理工学専攻

背景 ネットショップ 商品の量が多い 見つからないorz

情報推薦システム 他の利用者の嗜好に 基づき,利用者の嗜好を予測 利用者の嗜好に合う 商品を提示する amazon 他の利用者の嗜好に 基づき,利用者の嗜好を予測 利用者の嗜好に合う 商品を提示する http://www.amazon.co.jp/

推薦システム:問題点 S 嗜好情報が漏洩せず 推薦結果を出したい B’ A B C A B C MAC 嗜好情報漏洩の可能性 ? サーバ Windows C A B C 嗜好情報が漏洩せず 推薦結果を出したい

従来研究 Cannyの方式[1] 秘匿CF方式[5] 莫大な計算コスト・通信コスト 共役勾配法を用いて特異値分解を準同型性暗号で行う 準同型性暗号を用いて協調フィルタリングを行う 欠損値を秘匿するためにO(n2)の通信コスト ユーザ数943人,アイテム数1682個で1TBの通信コスト 莫大な計算コスト・通信コスト

目的 秘匿積集合プロトコル[3]というアプローチで、個人情報を秘匿したまま嗜好を予測する 手法を提案する 計算コスト・通信コストを削減する

要素技術:一覧 協調フィルタリング方式(CF方式) 2者間秘匿積集合プロトコル 準同型性暗号 嗜好の評価値を予測する 一般的な推薦システムに利用されている技術 2者間秘匿積集合プロトコル お互いが評価したアイテムの数s(ui,uj)を得る お互いどのアイテムを評価しているか秘密 準同型性暗号

要素技術: 協調フィルタリング方式(CF方式) アイテム i1 i2 i3 i4 類似度S 平均 a * 2 5 3.5 b 1 3 c 0.88 d 0.96 2.7 ユーザ bとの類似度・bの評価+dとの類似度・dの評価 *=aの平均+ 類似度の総和 0(1-2)+0.96(2-2.7) =3.5 +               = 2.8 0+0.96

要素技術: 2者間秘匿積集合プロトコル A={2,3} B={1,2} a b 復号 0の数=|A∩B|=1

提案方式 1/3 2者間秘匿積集合プロトコルを使用し、 s(a,*)の値をそれぞれ出す i1 i2 i3 i4 s(a,*) a * 2 5 b 1 3 c d i1 i2 i3 i4 s(a,*) a * 2 5 b 1 3 c d 2者間秘匿積集合プロトコルを使用し、 s(a,*)の値をそれぞれ出す 閾値Tを決める、T≦s(a,*)の式を満たすユーザの集合をBとする 今回はT=1、B={c,d}

提案方式 2/3 -1 i1 i2 i3 i4 c 2.5 2 3 i1 i2 i3 i4 a * 2 5 c a i1 i2 i3 i4 n out of 1 OT a i1 i2 i3 i4 d 2 1 2.7 5 n out of 1 OT d

提案方式 2/3 -2 i1 i2 i3 i4 c 1 i1 i2 i3 i4 a * 2 5 c a i1 i2 i3 i4 d 1 d 1 i1 i2 i3 i4 a * 2 5 c n out of 1 OT a i1 i2 i3 i4 d 1 n out of 1 OT d

提案方式 3/3 i1 i2 i3 i4 類似度s(a,*) 平均 a * 2 5 3.5 c 3 1 2.5 d 2.7 *=aの平均+ dとの類似度・dの評価 類似度の総和 ・ 準同型性暗号では割り算は計算できない  →分子と分母を計算し,復号してから割り算を計算する 分子 = s(a,c)(r1,c-rc)+s(a,d)(r1,d-rd) = 1(2.5-2.5)+2(2-2.7) = -0.7 分母 = h1,cs(a,c)+h1,ds(a,d) = 0×1+1×2 = 2 *= aの平均+分子/分母=3.5+(-0.7)/2 = 3.15

評価実験 公開データベース(Group Lens)を使用し MAE・通信コスト・計算コストを調べる ユーザ数 943人 アイテム数 1682個 総評価数 暗号文のサイズ べき乗計算 100,000個 256byte 1764(ms)

精度 Proposed SCF[3] 推薦者数

計算コスト 570000s 6.5日 337s 5分 推薦者数

通信コスト 104.3GB 0.8GB 推薦者数

通信コスト・計算コストまとめ ※類似度s(ui,uj)が被推薦者に漏れる SCF(従来) 提案方式 精度 × ○ 通信コスト 計算コスト 漏洩する情報 × ※ ※類似度s(ui,uj)が被推薦者に漏れる

考察:類似度 1/2 従来方式 →コサイン尺度 提案方式 →積集合の大きさ 提案方式の精度が    なぜ向上したのか検討

考察:類似度 2/2 相関係数=0.922 →提案方式の類似度はユーザ間の    類似度を反映している コサイン尺度 交わりの大きさ

考察: 2者間秘匿積集合プロトコル 2者間秘匿積集合プロトコルのコスト 実験ではこれらのコストを除いている 考察:  2者間秘匿積集合プロトコル 2者間秘匿積集合プロトコルのコスト 推薦者の評価値の数を秘匿する場合,   1推薦者あたりnの計算コストが生じる ユーザ数943,アイテム数1682だと        1推薦者あたり48分計算コストが生じる 通信コストは(m-1)n ユーザ数943,アイテム数1682だと682GB 実験ではこれらのコストを除いている  → セキュリティとコストのトレードオフ

結論 秘匿共通部分評価を利用した新しい協調フィルタリング方式を提案した 精度が良くなった 通信コストを1/130に削減した 類似度と交わりの数の間に強い相関 通信コストを1/130に削減した ただしOTの秘匿積集合プロトコルのコストは入っていない 計算コストを1/1700に削減した

今後の課題 2者間秘匿積集合プロトコルのコストの 詳しい検証 OTのコストの検証

紛失通信 クライアント サーバ 25

提案方式 D