臨床診断総論 画像診断(3) 磁気共鳴画像 Magnetic Resonance Imaging: MRI その1

Slides:



Advertisements
Similar presentations
紫外線と赤外線. 波長の違い 紫外線の波長 15nm ~ 380nm 可視光線の波長 380nm ~ 770nm 赤外線の波長 770nm ~ 1mm 電磁波の波長の大小 ガンマ線<X線<紫外線<可視光線<赤外線<電波.
Advertisements

宇宙ジェット形成シミュレー ションの 可視化 宇宙物理学研究室 木村佳史 03S2015Z. 発表の流れ 1. 本研究の概要・目的・動機 2. モデルの仮定・設定と基礎方程式 3. シンクロトロン放射 1. 放射係数 2. 吸収係数 4. 輻射輸送方程式 5. 結果 6. まとめと今後の発展.
m=0 状態の原子干渉計による パリティ依存位相の測定 p or 0 ? 東理大理工 盛永篤郎、高橋篤史、今井弘光
前時の確認 身のまわりで電波が使われているものは?
生体分子解析学 2017/3/2 2017/3/2 機器分析 分光学 X線結晶構造解析 質量分析 熱分析 その他機器分析.
電磁気学C Electromagnetics C 7/27講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
       光の種類 理工学部物理科学科 07232034 平方 章弘.
物理Ⅰの確認 電波(電磁波)は 電流の流れる向きと大きさが絶えず変化するときに発生 ・電場と磁場の方向は直角に交わっている(直交している)
実習B. ガンマ線を測定してみよう 原子核・ハドロン研究室 永江 知文 新山 雅之 足立 智.
第6回 制動放射 東京大学教養学部前期課程 2012年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
W e l c o m ! いい天気♪ W e l c o m ! 腹減った・・・ 暑い~ 夏だね Hey~!! 暇だ。 急げ~!!
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 7/17講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
小笠原智博A*、宮永崇史A、岡崎禎子A、 匂坂康男A、永松伸一B、藤川高志B 弘前大学理工学部A 千葉大大学院自然B
5.アンテナの基礎 線状アンテナからの電波の放射 アンテナの諸定数
身のまわりで電波が使われているものは? 例   テレビ,ラジオ,携帯電話,電子レンジ・・・・・・・たくさん.
前回の内容 結晶工学特論 第4回目 格子欠陥 ミラー指数 3次元成長 積層欠陥 転位(刃状転位、らせん転位、バーガーズベクトル)
放射線(エックス線、γ線)とは? 高エネルギー加速器研究機構 平山 英夫.
ウラン 例:閃ウラン鉱 UO2 (U238) 放射性のU235を0.7%含む。 六フッ化ウラン(液体、気体)→ 遠心分離法かガス拡散法で濃縮
画像工学 2011年10月6日 担当教員 北川 輝彦.
量子ビーム基礎 石川顕一 6月 7日 レーザーとは・レーザーの原理 6月21日 レーザー光と物質の相互作用
エマルションチェンバーによる 高エネルギー宇宙線電子の観測
2次元蛍光放射線測定器の開発 宇宙粒子研究室 氏名 美野 翔太.
SI = N(H) ・ (1 - e -TR/T1) ・ e -TE/T2 ・ e -bD 双極傾斜磁場 bipolar gradient
MRI検査スピード化 (疎明に映すことと併用されれば、多数の救命に)
前回の内容 結晶工学特論 第5回目 Braggの式とLaue関数 実格子と逆格子 回折(結晶による波の散乱) Ewald球
臨床診断総論 画像診断(3) 磁気共鳴画像 Magnetic Resonance Imaging: MRI その2
加速器の基本概念と構成                 May 17, 2006                 KEK加速器 佐藤康太郎.
画像工学 2012年10月3日 担当教員 北川 輝彦.
XTE/ASM, PCA, HEXTEの感度と観測成果
電波の伝わり方
et1 et1 et2 et2 信号 T2減衰曲線 Mxy(t) = M0 e-t/T2 T2*減衰曲線
横磁化成分と歳差運動 M0 横磁化Mxy 回転座標系 90°RFパルスにより、縦磁化成分Moはxy平面に倒れる(横磁化生成)
臨床診断総論 画像診断(3) 磁気共鳴画像 Magnetic Resonance Imaging: MRI その7
臨床診断総論 画像診断(3) 磁気共鳴画像 Magnetic Resonance Imaging: MRI その5
光電子分光 物質中の電子の束縛エネルギー(IP)を測定する方法 IP=hn – K.E. 物質の性質~(外殻)電子の性質
生体分子解析学 2019/1/ /1/16 機器分析 分光学 X線結晶構造解析 質量分析 熱分析 その他機器分析.
Ⅱ 磁気共鳴の基礎 1.磁場中での磁気モーメントの運動 2.磁気共鳴、スピンエコー 3.超微細相互作用、内部磁場 references:
電磁気学C Electromagnetics C 5/28講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
荏原病院放射線科・総合脳卒中センター 井田正博
一般財団法人 VCCI 協会 教育研修専門委員会
原子で書いた文字「PEACE ’91 HCRL」.白い丸はMoS2結晶上の硫黄原子.走査型トンネル顕微鏡写真.
電磁気学C Electromagnetics C 7/17講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
第32回MR基礎講座 (関西) 京都国際会館 画像法の原理(6) 拡散画像2 荏原病院放射線科 井田正博.
臨床診断総論 画像診断(3) 磁気共鳴画像 Magnetic Resonance Imaging: MRI その4
量子力学の復習(水素原子の波動関数) 光の吸収と放出(ラビ振動)
電磁気学C Electromagnetics C 6/5講義分 電磁波の偏波と導波路 山田 博仁.
臨床診断総論 画像診断(3) 磁気共鳴画像 Magnetic Resonance Imaging: MRI その3
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 7/11講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
SWI 強度画像、位相画像、SWI 強度画像 位相画像 S WI.
Mini-RT装置における 強磁場側からの異常波入射による 電子バーンシュタイン波の励起実験
                                                                   平成20年10月                       工学科   年生 学籍番号(          ) 氏名(                 ) □ フーリエ級数 □ フーリエ変換 □ SN比 □ 波長
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 8/11講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
目次 1. 原子における弱い相互作用 2. 原子核のアナポールモーメント 3. アナポールモーメントから何がわかるか?
偏光X線の発生過程と その検出法 2004年7月28日 コロキウム 小野健一.
機器分析学 赤外吸収スペクトル ラマンスペクトル.
B5 プラズマ B5 実験テーマ 2018年度は後期のみ プラズマ 物質の第4の状態 外部の場とともに荷電粒子自身が作る電磁場が相互作用
プレゼンテーション式に自由にお書き下さい。
振動分光・電気インピーダンス 基礎セミナー 神戸大学大学院農学研究科 農産食品プロセス工学教育研究分野 豊田淨彦.
2・1・2水素のスペクトル線 ボーアの振動数条件の導入 ライマン系列、バルマー系列、パッシェン系列.
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 7/16講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
電子物性第1 第10回 ー格子振動と熱ー 電子物性第1スライド10-1 目次 2 はじめに 3 格子の変位 4 原子間の復元力 5 振動の波
化学1 第11回講義 ・吸光度、ランベルト-ベールの法則 ・振動スペクトル ・核磁気共鳴スペクトル.
生体分子解析学 機器分析 分光学 X線結晶構造解析 質量分析 熱分析 その他機器分析.
電磁気学C Electromagnetics C 7/10講義分 電気双極子による電磁波の放射 山田 博仁.
マイクロ波測定により、プラズマ密度、揺動計測を行いプラズマ閉じ込めについて調べる。
教育学部 自然環境教育課程 天文ゼミ 菊池かおり
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 7/10講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
振幅は 山の高さ=谷の深さ A x A.
B5 プラズマ B5 実験テーマ 2017年度は後期のみ プラズマ 物質の第4の状態 外部の場とともに荷電粒子自身が作る電磁場が相互作用
60Co線源を用いたγ線分光 ―角相関と偏光の測定―
Presentation transcript:

臨床診断総論 画像診断(3) 磁気共鳴画像 Magnetic Resonance Imaging: MRI その1 放射線科井田正博

X線CT とMRI 比較 X線 CT 空間分解能が高い 時間分解能が高い 救急対応 X線被曝 横断像が基本 MRI 濃度分解能が高い 再構成で冠状断、矢状断 MRI 濃度分解能が高い あらゆる撮像断面が選択可能 X線被曝がない 造影剤の副作用は稀 時間がかかる 静磁場内の制限 RFパルス照射→熱発生

光源 カメラ 光源 光の反射 内視鏡、人間の眼 レンズ フィルム

カメラ X線(CT) 光源光源(可視光) 光の反射 内視鏡、人間の眼 X線の透過性 CTは多方向からのデータを再構成 光源 レンズ フィルム

カメラ X線(CT) MRI 光源光源(可視光) 光の反射 内視鏡、人間の眼 X線の透過性 CTは多方向からのデータを再構成 静磁場内 レンズ フィルム X線(CT) X線の透過性 CTは多方向からのデータを再構成 X線発生源 フィルム MRI 静磁場内 体内にラジオ波(RF波)を送信 体内からラジオ波(RF波)を受信 RF波送信 アンテナ RF波受信

カメラ X線(CT) MRI 超音波 光源光源(可視光) 光の反射 内視鏡、人間の眼 X線の透過性 CTは多方向からのデータを再構成 レンズ フィルム X線(CT) X線の透過性 CTは多方向からのデータを再構成 X線発生源 フィルム MRI 静磁場内 体内にラジオ波(RF波)を送信 体内からラジオ波(RF波)を受信 RF波送信 アンテナ RF波受信 超音波 探触子から超音波送信 体内の音響インピーダンス差に反射 探触子で超音波受信 超音波 反射

カメラ X線(CT) MRI 超音波 光源(可視光) 光の反射 内視鏡、人間の眼 X線の透過性 CTは多方向からのデータを再構成 静磁場内 レンズ フィルム X線(CT) X線の透過性 CTは多方向からのデータを再構成 X線発生源 フィルム MRI 静磁場内 体内にラジオ波(RF波)を送信 体内からラジオ波(RF波)を受信 RF波送信 アンテナ RF波受信 超音波 探触子から超音波送信 体内の音響インピーダンス差に反射 探触子で超音波受信 超音波 反射

電磁波 カメラ X線(CT) MRI 超音波 光源(可視光) 光の反射 内視鏡、人間の眼 X線の透過性 CTは多方向からのデータを再構成 レンズ フィルム X線(CT) X線の透過性 CTは多方向からのデータを再構成 X線発生源 フィルム 電磁波 MRI 静磁場内 体内にラジオ波(RF波)を送信 体内からラジオ波(RF波)を受信 RF波送信 アンテナ RF波受信 超音波 探触子から超音波送信 体内の音響インピーダンス差に反射 探触子で超音波受信 超音波 反射

電磁波 γ線、X線、可視光線、マイクロ波、ラジオ波 光速で伝播する c = 3 x 108 m/秒 電場Eと磁場Bからなる 電場→電気的成分 磁場→磁気的成分 y = r sin wt

電磁波 カメラ X線(CT) MRI 超音波 光源(可視光) 光の反射 内視鏡、人間の眼 X線の透過性 CTは多方向からのデータを再構成 レンズ フィルム X線(CT) X線の透過性 CTは多方向からのデータを再構成 X線発生源 フィルム 電磁波 MRI 静磁場内 体内にラジオ波(RF波)を送信 体内からラジオ波(RF波)を受信 RF波送信 アンテナ RF波受信 超音波 探触子から超音波送信 体内の音響インピーダンス差に反射 探触子で超音波受信 超音波 反射

電磁波 電磁波のエネルギーは周波数に比例 カメラ X線(CT) MRI 超音波 光源(可視光) 光の反射 内視鏡、人間の眼 X線の透過性 電磁波の周波数帯域 周波数 Energy 波長 Hz eV m γ線 1024 1010 10-16 X線 1018 104 10-10 紫外線 1017 103 10-9 可視光線 1015 101 10-7 赤外線 1014 100 10-6 マイクロ波 1012 10-2 10-4 MRI 108 10-6 100 ラジオ波 106 10-8 102 超音波 106 10-8 102 レンズ フィルム X線(CT) X線の透過性 CTは多方向からのデータを再構成 X線発生源 フィルム 電磁波 MRI 静磁場内 体内にラジオ波(RF波)を送信 体内からラジオ波(RF波)を受信 RF波送信 アンテナ RF波受信 超音波 探触子から超音波送信 体内の音響インピーダンス差に反射 探触子で超音波受信 超音波 電磁波のエネルギーは周波数に比例 反射

電磁波の周波数帯域 MRではラジオ波帯域 MRIの扱う周波数帯域は可視光線よりも低い ラジオ波(RF)の領域 エネルギーも低い “RFパルス” radio frequency MRIの扱う周波数帯域は可視光線よりも低い ラジオ波(RF)の領域 FMラジオやテレビ程度 エネルギーも低い 周波数 MHz FM radio 88-100 MRI 3-100 Television 64 AM radio 0.54 – 1.6

電磁波 電場Eと磁場Bからなる 電場→電気的成分 磁場→磁気的成分 正弦波 電場と磁場は直交 同一の周波数 90°の位相のずれ 伝播因子は電場と磁場に直交 y = r sin wt

MRIが対象とする核種 水素原子 水 自由水 結合水 蛋白 脂肪 水素原子 プロトン、スピン 高分子化合物 タンパク 脂肪 水 OH  H  H   H   H - C – C – C – C – OH H20 水 OH  H  H   H   H O 骨、石灰化、空気 骨皮質は無信号 骨髄は血球や脂肪成分の信号を反映 H20 H20

水素原子 陽子プロトン 電子 MRIでは測定対象となる水素原子のことを プロトン スピンと呼ぶ 水素原子の周りを電子が回転(スピン)している 原子核 電子e -

水素原子 原子核 + 電子 e - 水素原子核の周りを電子が回転している

水素原子 スピンする荷電粒子 水素原子核の周りを電子が回転している 水素原子核の周りを電子が回転している スピンする荷電粒子と考える 原子核 + スピンする荷電粒子 電子 e - 水素原子核の周りを電子が回転している 水素原子核の周りを電子が回転している スピンする荷電粒子と考える

水素原子 スピンする荷電粒子は磁場を形成 水素原子核の周りを電子が回転している 水素原子核の周りを電子が回転している 磁気モーメント 原子核 + スピンする荷電粒子 スピンする荷電粒子 電子 e - 水素原子核の周りを電子が回転している 水素原子核の周りを電子が回転している スピンする荷電粒子と考える スピンする荷電粒子は磁場を形成する。

水素原子 スピンする荷電粒子→磁場を形成 スピンする荷電粒子は磁場を形成する。 スピンする荷電粒子は磁場を形成する。 双極子モーメント N 磁気モーメント 磁気モーメント l スピンする荷電粒子 スピンする荷電粒子 スピンする荷電粒子は磁場を形成する。 スピンする荷電粒子は磁場を形成する。 双極子モーメント S極からN極

水素原子 スピンする荷電粒子→磁場を形成 磁気量×距離 m = m・l 磁気双極子(magnetic dipole) 磁気モーメント 磁気モーメント l l スピンする荷電粒子 スピンする荷電粒子 磁気量×距離 m = m・l m: 両磁極(N,S)の磁気量 l: 両側磁極の距離 磁気双極子(magnetic dipole) 一対の磁気量(m, -m) 磁性の基本単位 -m スピンする荷電粒子は磁場を形成する。 スピンする荷電粒子は磁場を形成する。 双極子モーメント S極からN極 プロトンは棒磁石と考えられる 磁気双極子 一対の磁気量(m, -m) 磁性の基本単位

カメラ X線(CT) MRI 超音波 光源 光の反射 内視鏡、人間の眼 X線の透過性 CTは多方向からのデータを再構成 静磁場内 レンズ フィルム X線(CT) X線の透過性 CTは多方向からのデータを再構成 X線発生源 フィルム MRI 静磁場内 体内にラジオ波(RF波)を送信 体内からラジオ波(RF波)を受信 RF波送信 アンテナ RF波受信 超音波 探触子から超音波送信 体内の音響インピーダンス差に反射 探触子で超音波受信 超音波 反射