ネットワークと コミュニケーション技法 第6回 -コンピュータネットワーク-
講義内容 1.コンピュータネットワークと通信網 2.ネットワークアーキテクチャ 3.フレームリレー 4.OCN(オープンコンピュータネットワーク)
コンピュータネットワークと利用場面 金融機関で 会社で ・ ・ 学校で ・ 通信回線 家で 道路で 駅で 役所で コンピュータネットワーク 車内で コンビニで レストランで
コンピュータネットワークの機能 機能例 ・データ処理 ・データベース(データ蓄積と検索) ・メッセージ交換(電子メール他) ・メディア変換(音声⇔文字) 情報処理機能 ・プロトコル変換 ・アドレス変換 ・メッセージ蓄積(ボイスメール他) ・メッセージ転送 通信処理機能
クライアントサーバ型処理モデルの例 データベース サーバ プリンタ サーバ メール サーバ 要求 サービス クライアント
標準化した通信プロトコルの必要性 標準プロトコルモデル 通信 OK 通信 NG 通信 NG B社のコンピュータ A社のコンピュータ 標準プロトコルを採用 A社のコンピュータ 標準プロトコルを採用 通信 OK 通信 NG 通信 NG C社のコンピュータ C社独自プロトコルを採用
コンピュータネットワークにおいて、端末同士で通信するための規約(プロトコル)を体系化したもの。 ネットワークアーキテクチャ コンピュータネットワークにおいて、端末同士で通信するための規約(プロトコル)を体系化したもの。
プロトコルとは 通信を行うための約束事 フォーマット プロシージャ データ 要求 宛先 宛先 応答 データ (注)フォーマット:通信するための情報の構造 プロシージャ:情報のやり取りの手順
基本プロトコルの階層 物理媒体 ユーザプロセス ユーザプロセス コンピュータ コンピュータ ネットワーク ネットワーク データリンク 階層ごとの通信の約束事がプロトコル ユーザプロセス ユーザプロセス 階層間のやり取りがインタフェース コンピュータ コンピュータ ネットワーク ネットワーク 通信ネットワーク データリンク データリンク 物理媒体
プロトコルの階層化の利点 層ごとにプロトコルがモジュール化されているので、他の層とは独立して各層の規定を行うことができる。 機器メーカは多様な端末を製造できるとともにサービス事業者は多彩なネットワークサービスの提供が可能。 1つの通信プロトコル 1つの通信プロトコル 光ファイバーケーブルの 場合の規格 同軸ケーブルの 場合の規格 同軸ケーブルの 場合の規格 取り決めを変える。 プロトコルの変更有り 誤り制御の手順 誤り制御の手順 取り決めを変える必要はない。 プロトコルの変更無し 電子メール 電子メール
OSI: Open Systems Interconnection B社のコンピュータ OSI参照モデル準拠プロトコルを採用 A社のコンピュータ OSI参照モデル準拠プロトコルを採用 通信 OK 通信 NG 通信 NG C社のコンピュータ C社独自プロトコルを採用
(Transmission Control Protocol/ OSI参照モデルの位置付け ISO (国際標準化機構) ITU (国際電気通信連合) ・・・ 協議、制定 実際的に作成 忠実に遵守 OSI参照モデル TCP/IP (Transmission Control Protocol/ Internet Protocol) A社の(標準) 通信プロトコル B社の(標準) 通信プロトコル 処理効率が低い! 通信プロトコルの プログラム 通信プロトコルの プログラム TCP/IPのプログラム 通信可能 実際的で使いやすい! インターネットで使われている。
OSI: Open Systems Interconnection [層] [機能概要] アプリケーション プレゼンテーション セッション トランスポート ネットワーク データリンク 物理 アプリケーション プレゼンテーション セッション トランスポート ネットワーク データリンク 物理 7 6 5 4 3 2 1 E-mail、Web、運用管理 文字/画像の表現形式 プロセス間の論理接続 転送データの品質保証 ネットワーク データリンク 物理 宛先までの経路制御 隣接間の信頼性転送 電気信号、物理的形状 エンドシステム エンドシステム 中継システム (通信ネットワーク)
OSIの階層モデル(2) OSI参照モデルの分類 機能概要 主要規定項目 ファイル転送、メッセージ通信(E-mail)などユーザの実行するサービス間のプロトコル制御 アプリケーション層 (application layer) 電子メール、データファイル転送他 第7層 文字コード、画像データなどの表現形式を制御し、データ形式を確認 プレゼンテーション層 (presentation layer) データの表現形式(文字のコードなど) 第6層 セッション層 (session layer) 通信モードの管理、情報転送に関する通信制御 第5層 通信の開始と終了 トランスポート層 (transport layer) 通信品質を高めるための通信制御 パケットの誤り検出と訂正 第4層 複数ネットワークにおけるコンピュータ間のデータ転送、データ中継機能 ネットワーク層 (network layer) 第3層 コンピュータのアドレス データリンク層 (data link layer) 信頼性の高いデータ伝送、中継機能 第2層 パケットの識別法 ケーブル、コネクタの規格電圧、I/Oの対応 物理層 (physical layer) データの電気信号への変換と伝送 第1層
各種通信プロトコルに対応するOSI参照モデルの層 (X.25) アプリケーション層 プレゼンテーション層 セッション層 トランスポート層 ネットワーク層 X.25 データリンク層 物理層 X.25: パケット通信端末(DTE: Data Terminal EquipmentとDCE: Data Circuit-terminating Equipment)間のインターフェースを規定した通信プロトコル
各種通信プロトコルに対応するOSI参照モデルの層 (イーサネット) アプリケーション層 プレゼンテーション層 セッション層 トランスポート層 ネットワーク層 データリンク層 イーサネット 物理層 イーサネット:LANの信号伝送媒体、信号伝送速度、伝送方式の規格
各種通信プロトコルに対応するOSI参照モデルの層 (TCP/IP) アプリケーション層 プレゼンテーション層 セッション層 トランスポート層 TCP/IP ネットワーク層 データリンク層 物理層
LANの通信プロトコル 電子メール (SMTP) TCP IP イーサネット アプリケーション層 プレゼンテーション層 セッション層 トランスポート層 IP ネットワーク層 データリンク層 イーサネット 物理層
中継機器の通信プロトコル(ブリッジ) アプリケーション層 アプリケーション層 プレゼンテーション層 プレゼンテーション層 セッション層 ブリッジ:ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)同士を相互に接続し、 論理的に一つのLANにするために使用される装置の一種。 アプリケーション層 アプリケーション層 プレゼンテーション層 プレゼンテーション層 セッション層 セッション層 トランスポート層 トランスポート層 ネットワーク層 ネットワーク層 データリンク層 データリンク層 データリンク層 物理層 物理層 物理層 コンピュータ ブリッジ コンピュータ
中継機器の通信プロトコル(ルータ) ルータ:異なるネットワーク・アドレスをもつローカル・エリア・ネットワーク(LAN) 同士を接続する中継装置。 アプリケーション層 アプリケーション層 プレゼンテー ション層 プレゼンテー ション層 セッション層 セッション層 トランスポート層 トランスポート層 ネットワーク層 ネットワーク層 ネットワーク層 ネットワーク層 データリンク層 データリンク層 データリンク層 データリンク層 物理層 物理層 物理層 物理層 コンピュータ ルータ ルータ コンピュータ
中継機器の通信プロトコル(ゲートウェイ) ゲートウェイ:プロトコル体系が異なるネットワークまたはシステム同士を、 プロトコル変換を行うことにより相互接続する装置。 アプリケー ション層 アプリケーション層 アプリケーション層 プレゼンテー ション層 プレゼンテーション層 プレゼンテーション層 セッション層 セッション層 セッション層 トランスポート層 トランスポート層 トランスポート層 ネットワーク層 ネットワーク層 ネットワーク層 データリンク層 データリンク層 データリンク層 物理層 物理層 物理層 コンピュータ ゲートウェイ コンピュータ
第2層(データリンク層)の再送制御等を簡略化して高速通信を実現。 ◎ユーザ固有の任意プロトコルの利用が可能 フレームリレー パケット通信のプロトコルX.25を簡略化して高速化を可能とする通信技術。最大6Mbit/sのサービスが提供可能。日本では、1993年に商用サービスが開始。 特徴 ◎高速通信 第2層(データリンク層)の再送制御等を簡略化して高速通信を実現。 ◎ユーザ固有の任意プロトコルの利用が可能 上位プロトコルはユーザに任され、独自プロトコルの使用が可能。 ◎製品化が容易 X.25のシステムとの親和性が高い。
X.25パケットとフレームリレー (a) X.25の中継 (b) フレームリレーの中継 ノード ノード ノード ノード ノード ノード リンク リンク ノード ノード ノード パケット ビット誤り検出 再送要求 次ノードに中継 再送 (a) X.25の中継 リンク リンク ノード ノード ノード 再送無しに中継 (b) フレームリレーの中継
フレームリレーのプロトコル OSI参照モデル パケット(X.25) フレームリレー ・論理チャネル多重 ・順序外れパケットの 検出及び再送制御 第3層 (ネットワーク層) 第3層 (ネットワーク層) ・タイマ管理 ・受信情報フレーム ・再送制御 ・フロー制御 上位機能 第2層 (データリンク層) 第2層 (データリンク層) ・フレーム多重化/分配(ビット挿入/削除) ・フレーム長検出 ・エラー検出 コア機能 第2層 (データリンク層) コア機能 第1層 (物理層) 第1層 (物理層) 第1層 (物理層) 電気・物理条件
(b) フレームリレーのフレームフォーマット フレームフォーマットの比較 フレーム(レイヤ2のデータ単位) パケット(レイヤ3のデータ単位) フラグ FCS 制御部 フラグ パケット ヘッダ部 ユーザデータ (可変長) アドレス部 (a) X.25パケットのフレームフォーマット フレーム フラグ FCS フラグ ユーザデータ (可変長) アドレス部 (b) フレームリレーのフレームフォーマット
フレームリレーネットワーク構成 ノード ノード (交換機) (交換機) LAN LAN FRAD: フレーム組立・分解装置 FRAD 非フレームリレーインタフェース フレームリレーインタフェース フレームリレーインタフェース FRAD 中継リンク ノード (交換機) ノード (交換機) フレーム多重伝送 アクセスリンク LAN LAN FRAD: フレーム組立・分解装置
OCN(オープンコンピュータネットワーク) コネクションレス型通信 1996年、NTTがサービス開始 インターネットサービスプロバイダ DNS/メールサーバ 専用線 メール、ニュース FTP、WWW ルータ ルータ ルータ 他NW
OCNネットワーク構成(概念図) インターネット 基幹系 コアネットワーク ゲートウェイルータ 中継回線(専用線、フレームリレー) 加入者系 ネットワークサービス プロバイダ 基幹系 コアネットワーク ゲートウェイルータ 中継回線(専用線、フレームリレー) 加入者系 アクセス ネットワーク (低速アクセス用、 高速アクセス用) 加入者収容ルータ DSU ・メタリックケーブル ・光ファイバーケーブル LAN
OCN主要サービスメニュー 128kbit/s 1.5Mbit/s 6Mbit/s 種類 アクセス速度 サービス名 サービス内容 OCN エコノミー ・IPアドレス代行割当 ・ドメイン名代行申請 ・ネットニュース購読等 128kbit/s 第一種 オープンコン ピュータ 通信網サービス OCN スタンダード ・IPアドレス代行割当 ・ドメイン名代行申請 ・ネットニュース配送 1.5Mbit/s OCN エンター プライズ 6Mbit/s ・メール転送 ・ネットニュース購読等
課題 1.ネットワークのプロトコルの役割と階層化され ている理由について述べよ。 1.ネットワークのプロトコルの役割と階層化され ている理由について述べよ。 2. OSI: Open Systems Interconnection について 説明せよ。