Yutaka Yasuda, 2004 spring term

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第1章 ネットワークとコミュニケーション 第2節 ネットワークのしくみ 2 ネットワークを支える技術 (教科書 p36 ~ p37) 今日の用語  モデム (modulator/demodulator:modem)  IP アドレス (internet protocol address)  ドメインネーム.
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Yutaka Yasuda, 2004 spring term Internetの普及と費用構造の変化 Yutaka Yasuda, 2004 spring term

インターネットの考え方 インターネットとは何か? 考え方についての理解 理解するべきポイントは? TCP/IP? Protocol? Web? e-commerce? Business model? 考え方についての理解 基本技術やその詳細ではなく 現実のアプリケーションでもなく システムとしての全体構造、モデルを

インターネットの考え方 そのモデルに注目 分散型 End to End 原理 「通信を行なう両端のシステム(ホストコンピュータ)で出来るだけ多くの処理をし、それを結ぶネットワークはできるだけ簡素に(データを届けるだけ)」

従来的ネットワークシステム 例:電話システム 黒電話=端末は極めて単純な製品 交換機=ネットワーク構成機器は非常に複雑 受話器をあげた時にどう反応するか?ダイアル、接続、話中処理など、すべてを制御

従来的ネットワークシステム バランスポイント 機能をシステム全体のどこで負担するか 端末装置=単純 ネットワークシステム=複雑 網の設計・運用を中央集中的な形態に 機能をシステム全体のどこで負担するか その配分が全体の構成や機器の構造と密接に関係

パケット交換技術 インターネットはパケット交換網である ルーティング データを細かいパケットに分割 パケットに宛先(アドレス)を書き込み、発送 受け取り側で再度組み立て 両末端(発送元+受け取り先)の仕事が増える 末端がパワフルなPCである今では問題無し ルーティング 自分宛でなければ「より適切な相手」に転送 これを繰り返して、いつかは相手にたどり着く インターネットとはそのための「網」である

インターネットのサービスモデル Server Client Server Client Client Client 隣のマシンと、地球の裏側のマシンとで、プロトコル(対話の方法)が全く同じ Internet: IP 手順でパケットを転送する網 Server Client Server Client Client 両端で各種のプロトコルに則った対話 中間はIPプロトコルにだけ依存した転送 Client

インターネット パケットネットワークとして実現 機能のバランスポイント 末端ホスト=フルセットのコンピュータ ネットワーク=比較的シンプルな機器 ルータなど殆どのネットワーク機器は一般的コンピュータより構造的に はシンプル

インターネット 端末装置=PCが多くの処理を負担 網はただデータを転送するだけ 非集中的な、分散した構造 組み立て、再送処理などを行う 複雑処理大歓迎 網はただデータを転送するだけ 宛先に向けて回送するのみ 非集中的な、分散した構造 余話として: 構造だけでなく運用も非集中・分散 ICANN, IETF, RFC 人類にとって初のチャレンジ

デジタル通信網の普及 デジタルデータの汎用性 非常な発達と普及時期を迎えた どのような情報でもコード化して送れる どのような通信路でも IP であれば使える 非常な発達と普及時期を迎えた それを可能にしたのは何か?

それはダウンサイジングです マイクロプロセッサの登場 過ぎ去りし 80’s フレーズではない 4004 : ‘Announcing a new era of integrated electronics’ , Gordon Moore, 1971 「集積回路の新たなる時代」 過ぎ去りし 80’s フレーズではない 結論としての牛丼PC 39,800 円 インターネット構成モデルとの符合 End to End 原理を現実に変える Power の源泉

集積化の果てに とどまるところを知らない高密度集積 現在:マイクロプロセッサの技術が全ての高速化技術を凌駕している 地球シミュレータを見よ

視点を引いて 新しいネットワークモデルを前に 機能分担構造の変化とともに 費用分担構造も変化する 後半は費用分担構造の変化に注目します

古典的費用負担構造 ネットワークを利用した業務システム いわゆるオンラインシステム MARS-みどりの窓口- に起源 (1965 国鉄) 世界最初期の大規模オンラインシステム

古典的費用負担構造 MARSでは サービス提供者(主体は国鉄)がすべてを負担 各駅の専用端末の開発・製造 設置・保守まで 回線設備、敷設、保守も手放しでは無理 すべてが単純な買い物では済まない時代

インターネットのインパクト 1995 インターネット突然の登場 タイムリーな出会い Web の登場= Break Point ARPAnetからの連続性を感じるのは一部のみ 一般人にはまさに「突然の登場」だった タイムリーな出会い 「汎用デジタル通信網が国内、世界を覆う」という理想 各家庭ですら手元に汎用デジタル端末機がある、という現実 Web の登場= Break Point 回線と端末を意味あるものとして結び付けた

インターネットのインパクト 事例:Dell case このWeb直販に必要だったはずの端末設備費用は誰が? 1996 から Web 直販開始 翌年には一日 100万ドルを売り上げる このWeb直販に必要だったはずの端末設備費用は誰が? 購入に必要なパソコンと回線の費用を誰が? 1996年、パソコン 1 千万台(=大型家電商品並み)

末端での費用の自己負担 オンラインシステム インターネット向けシステム これは新しい費用分配(負担の分担)モデルである 設備、回線、設置導入、教育などほとんどをサービス提供者が負担 インターネット向けシステム クライアント費用のすべてがエンド負担 末端が顧客なら顧客が負担 トラブル対応も教育もなにもかも負担 それも「嬉々として負担」するという現実 提供側はシステムの片側だけを負担すればよい これは新しい費用分配(負担の分担)モデルである

活かすべき資源 企業では 大学の教育情報システムでは 二重投資してはいないか? 企業の情報システムの一部であるPCを社員が用意 学内端末設備は大学が揃える 学生の自宅設備は学生自身が勝手に準備 「学内設備だけで教育システムを設計・運用するのと、学生の投資を活かすのと、どちらが全体の投資を活かせているだろう?」 二重投資してはいないか?

活かすべき資源 どちらが負担すべきかを既に通り過ぎ End to End の原点に立ち戻る 既成事実としての投資をどう活かすかが重要 職場・自宅にある汎用の設備(パソコン) 職場スタッフ、顧客のパソコンに対するスキル 喜んで自分で作業するという顧客・エンドユーザの態度 End to End の原点に立ち戻る End の能力を活かす 負担を分担したがっているところはないか?

End は資源である 「サービス」の転換 顧客情報(例えば住所)の更新は誰が行うべきか? 社内システムのユーザ情報(例えば連絡先)を管理するべきなのは誰か? 中央で更新する労力は誰にも感謝されない エンドユーザに「自由」を与えるという考え方 End 自身に作業させた上に感謝されるという事実

End は資源である 天気予報 巡回バスに道路情報を収集させる ユーザは天気図を見たいか? ひまわりの画像を今すぐ見たいか? 小さなデータを集めて渋滞情報を 極めてインターネット的 画像処理して統計情報を Web に出すか? 各バスのカメラ画像をそのままストリーミングで出しては?

新しいモデルのさらなる将来 クライアントの共有 もはや個人投資の問題ではない 標準化技術を中心としたシステム インターネットを間にはさみ 多数のサービス提供者がクライアント資源を共有 もはや個人投資の問題ではない クライアント環境の構築費用は国民の投資 社会的な費用分配の問題 標準化技術を中心としたシステム 当然たどる道のり いずれこの問題が重要になるだろう