空気シャワーから等方的に放出される マイクロ波検出に関する研究 最高エネルギー宇宙線観測 空気シャワーからの電波放射

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空気シャワーから等方的に放出される マイクロ波検出に関する研究 最高エネルギー宇宙線観測 空気シャワーからの電波放射 山本常夏, 大田泉 @甲南大学 荻尾彰一      @大阪市立大学 池田大輔      @東京大学宇宙線研究所 最高エネルギー宇宙線観測 空気シャワーからの電波放射 電子ビームからの放射測定

宇宙線のスペクトラム 最高エネルギー宇宙線 20乗eV 15乗eV以下の宇宙線 15乗以上の宇宙線 Fermi 加速 Flux Knee 銀河系内の超新星残骸? Fermi 加速 15乗以上の宇宙線 未知 極端な状況で発生? Flux 最高エネルギー宇宙線 20乗eV 1平方メートルあたり1世紀に1個 250km/s の速さのテニスボールの 運動エネルギーに相当 Knee 9 12 15 18 21 log( Energy [eV] )

南Auger観測所 60km アルゼンチンの草原に約50億円で建設された世界最大の宇宙線観測装置 Measure UHECR with Unprecedented Precision and Accuracy アルゼンチンの草原に約50億円で建設された世界最大の宇宙線観測装置 1600個の粒子検出器、4ヶ所24台の大気蛍光望遠鏡 3000km²の検出面積 17ヶ国による国際協力 60km  大気蛍光法と空気シャワーアレイを使ったHybrid観測  今年の夏に北Auger観測所の提案を行い、2010年の建設開始を目指す。  北Augerサイトでは通信塔のテストが始まった。

テレスコープアレイ実験 米国ユタ州西部砂漠地帯 大気蛍光望遠鏡(FD) 地表粒子検出器アレイ 2007/10 FDステレオ観測開始 Fluorescence Detector 米国ユタ州西部砂漠地帯 大気蛍光望遠鏡(FD) 北ステーションはHiRes-I を移設 地表粒子検出器アレイ 507台, 検出面積 : 678 km2 2007/10 FDステレオ観測開始 2008/3 SD定常観測開始 Surface Detector 35km HiRes-I Surface Detector Fluorescence Detector station 10.10.16 HEAP2010@TSUKUBA

粒子検出器、光学望遠鏡に加えてマイクロ波検出器により最高エネルギー宇宙線を観測することを目指している 特に空気シャワーからの等方的なマイクロ波放射を検出できれば観測感度を飛躍的に向上できる CONSEPT of Airshower Microwave BrEmsstrahlung Radiometer by P. W. Gorham, N.G.Lehtinen (Univ. of Hawaii)

分子制動輻射による マイクロ波等方放射 ニ次電子がエネルギーを失いながら地上に降り注ぐ 大量の高エネルギーニ次電子を生成 分子制動輻射   高エネルギー宇宙線は大気と相互作用を起こし電磁カスケードを形成 大量の高エネルギーニ次電子を生成 大気分子を励起 大気蛍光 ニ次電子がエネルギーを失いながら地上に降り注ぐ 分子制動輻射 大気分子を電離

The 12 Parabolas 甲南大学の屋上に12台のBSアンテナを設置して 空気シャワーからの電磁波検出実験を開始 甲南大学 神戸市からのノイズが多く、感度が上がらなかった。 甲南大学 The 12 Parabolas

観測システム 検波器 R&K CDE1500-KU 電波強度を測定 パラボラアンテナ 日本アンテナ社製CS-S120K 1.2m口径通信衛星用アンテナ 受信機 12.5GHz 0.5GHz帯域 日本アンテナFOC-ASJ5  検波器 R&K CDE1500-KU 電波強度を測定

20mV Example of noise on a single Telescope ADC count 2V/ 12 bits Vertical Pol Horizontal FADC :65MHz, 1536 words Time resolution 15ns  23.6μs in total

開発した検出器を Telescope Array 観測所に持っていき、 電子加速器(ELS)による人口空気シャワーを測定した。 2013年3月に40MeVの電子を100pC (6.3x108個) 放出。 パルス幅は20ns 1018eVの空気シャワー最大発達に相当 大気蛍光でビームを観測した結果

パラボラ アンテナ キャリブレーション@METLAB ネットワークアナライザーからフィードホーンに高周波を入力し、パラボラで反射させる。パラボラの近くの電場を測定。それを無限遠まで外挿して計算。 アンテナ利得は42.7dBで、カタログ値42.1dBと一致。 ビーム幅は1.4度となり、計算値と一致。

Down Converter キャリブレーション @METLAB 高周波はケーブル伝送で減衰するため、Down Converterで周波数を落として伝送する。Down Converterには11.5GHzの発振器が内蔵されていて、それと検出した高周波を干渉させて周波数を落とす。この時検出された信号が増幅される。 カタログ値:12.5GHz, 0.5GHz帯域、 54±6 dB 測定値は12.5GHzで52dBでありカタログ値と一致した

アンテナから測定器まで感度を測定 測定されたパラボラ利得は42.7dB カタログ値(42.1dB)と一致。 アンテナ効率は0.66 ビーム角は1.4度 Down Converterの利得は52.2dB 帯域は0.8GHz  (カタログ値 54±6dB 0.5 GHz) ブースター+検波器で信号をDC変換している。検波器は対数アンプを使っている。右図は入力電力に対する出力電圧。

信号の例 垂直・水平の2偏波を測定している。制動輻射は無偏波。 検波器の出力を20μ秒間オシロスコープで測定。11.4μ秒付近に26ns幅のネガティブパルスが期待される 縦横方向の偏波を測定しているが、いずれも有意な検出はない

もっと近くに置いてみたが信号は検出されなかった。

パラボラは外してフィードホーンだけで測定

1.57 m 0.94 m Feed horn Electron Beam 1.34 m Concrete wall

ビームを横から測定 ビームの射出口を測定 looking at beam Looking at beam exit

加速器からのノイズとビーム起源の放射が射出口から検出

ビームパルスと同程度のパルス幅だが、検出器の時間分解能の限界でもある。 射出口を測定した時のデータの例 (500MHzサンプリングで測定) 12.5 GHzの強く偏光した電波が検出された ビームパルスと同程度のパルス幅だが、検出器の時間分解能の限界でもある。 検出を目指していた分子制動輻射は検出できなかった。

Beam intensity ビームと12.5GHzマイクロ波の強度に相関が確認できる。 ビームを射出口でファラデーカップにダンプさせるとマイクロ波信号も消えている Beam intensity Signal from the beam exit

ビームを横から見たとき、わずかな信号が検出された。射出口からの放射かも。 射出口に検出器を向けると ノイズも大きくなるが信号はそれ以上に大きくなる。

まとめ 次世代の最高エネルギー宇宙線観測方法の開発を目指して、空気シャワーからのマイクロ波放射の測定を行った。 電子ビームを大気中に射出しそこからの放射を12.5GHzの受信機で測定した。 その結果 等方的なマイクロ波の放射は検出できなかった。 ビームの射出口から広がった放射が確認された。急激な電場の変化に伴う放射と推定している。

At least, noise from ELS has been detected.

Feedhornの Far-Field amplitude