A④ (チーム名:雲解像モデリング) 「雲解像モデルの高度化と その全球モデル高精度化への利用」

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A④ (チーム名:雲解像モデリング) 「雲解像モデルの高度化と その全球モデル高精度化への利用」
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A④_05 (チーム名:雲解像モデリング) 「雲解像モデルの高度化と その全球モデル高精度化への利用」
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Presentation transcript:

A④ (チーム名:雲解像モデリング) 「雲解像モデルの高度化と その全球モデル高精度化への利用」 「21世紀気候変動予測革新プログラム」 2009年1月16日 成果報告会:チーム雲解像 A④ (チーム名:雲解像モデリング) 「雲解像モデルの高度化と その全球モデル高精度化への利用」 研究代表者:坪木和久(名古屋大学 地球水循環研究センター) 参画研究者:増永浩彦(名古屋大学 地球水循環研究センター)         篠田太郎(名古屋大学 地球水循環研究センター)       渡部雅浩(東京大学気候システム研究センター)         青木尊之(東京工業大学 学術国際情報センター)     榎本剛(海洋研究開発機構地球シミュレータセンター)

雲を精度よくシミュレーションできるように雲解像モデルを高度化し、その利用、及び全球モデルとの結合により全球モデルの高精度化に寄与すること。 研究目的  雲を精度よくシミュレーションできるように雲解像モデルを高度化し、その利用、及び全球モデルとの結合により全球モデルの高精度化に寄与すること。 雲解像モデル高度化:雲解像モデルの改良と高度化。 雲物理過程の改良(完全2モーメント化、雹、氷晶生成) 力学過程の改良(セミラグランジュ化) パラメータ改良:雲解像モデルの計算から得られるデータを利用して、全球モデルの雲についてのパラメータを改良する。 非斉一モデル結合:非静力学雲解像モデルと静力学全球モデルを結合し、全球モデルの高精度化を図る。 1格子埋め込み(スーパーパラメタリゼーション) 領域埋め込み結合(双方向通信) 比較検証実験:現在気候と温暖化気候における全球モデル出力値を用いて、主に台風の雲解像実験を行いGCMの検証を行う。

雲解像モデル “CReSS” Cloud Resolving Storm Simulator  雲スケールからストームスケールの現象のシミュレーションを地球シミュレーターなどの大規模並列計算機で行うことを目的とした、非静力学・圧縮方程式系の雲解像モデル。  地球シミュレータに最適化した純国産の雲解像領域モデルを開発することを目標として、1998年より雲解像モデルの開発を行なってきた。(一からの開発) 詳細な雲物理過程の導入。 地球シミュレータでの実績。高精度で高効率の並列化。 多様なシミュレーション:台風、集中豪雨、雪雲、竜巻など。 毎日の気象予報実験。国内外での利用。

計画の概要 H19年度 (2007) H20年度 (2008) H21年度 (2009) H22年度 (2010) H23年度 (2011) 雲解像モデル改良 パラメータ改良 非斉一モデル結合 比較検証実験 H19年度 (2007) 雲物理の2モーメント化(雲水・雨水) セミラグ法導入 広領域予報実験、パラメータ抽出 衛星による検証 雲解像モデルの重並列化 双方向通信の方法の検討 観測された台風の実験と検証 (衛星・地上による検証) H20年度 (2008) 1次氷晶改良、2次氷晶導入 セミラグ法のパラメータ調整 高解像度の予報実験、パラメータ抽出 雲解像モデルのGCMとの1格子点結合 領域結合のためのモデル改良 観測された台風と現在気候の台風の実験(衛星・地上による検証) H21年度 (2009) 雹のカテゴリーの導入と豪雨や降雹へのインパクト検証 予報実験継続 パラメータの解像度依存性検討 1格子点結合による長期積分 領域結合による東アジア域の実験 現在気候と温暖化気候の台風の実験 H22年度 (2010) 雲物理の検証実験 GCMの雲表現パラメータ改良 1格子点結合の実験の継続と検証 領域結合による熱帯の実験 現在気候と温暖化気候の台風の実験(台風発生に重点) H23年度 (2011) GCMの雲表現改良のインパクト検証 1格子点結合によるGCM改善の検証 任意領域の領域結合による実験 現在気候と温暖化気候の台風発生と熱帯の雲の高解像度実験

平成20年度の研究実施内容 雲解像モデル高度化: 雲物理過程の改良(1次氷晶過程・2次氷晶過程) 力学過程の改良(セミラグランジュ法の改良) パラメータ改良: 水平解像度4km程度での毎日の予報実験(広領域実験)。 水平解像度1km程度での毎日の予報実験(狭領域実験)。 非斉一モデル結合:非静力学雲解像モデルと静力学全球モデルを結合し、全球モデルの高精度化を図る。 1格子埋め込みの実験的実行。 領域埋め込み結合のための全球・領域モデル改良。 比較検証実験: 実際に観測された台風について、事例数を増やし比較・検証を行う。現在気候で全球モデルが再現した台風について、比較・検証を行う。

実台風 GCM 現在気候 GCM 温暖化気候 2004年8月 16号* 1980年9月 P0437 2087年6月 F2716 2km解像度の雲解像モデルによる台風の実験 実台風 GCM 現在気候 GCM 温暖化気候 2004年8月 16号* 1980年9月 P0437 2087年6月 F2716 2004年9月 18号* 1988年9月 P2496 2076年8月 F0508 2004年10月 23号 1985年8月 P1691 2087年8月 F2747 1991年9月 P3275 2078年7月 F0922 1990年9月 P3034 *4km解像度 1985年8月 P1692 1980年7月 P0364

初期値から3時間目の 地上気圧と降水および 気象庁ベストトラック。 積分時間:14日間 タイル数:94枚 解像度:4km 海洋:50層,20m 実地形・観測SST 気象庁全球解析 地球シミュレータ 94 nodes Track of T0416 Track of T0418 T0417 T0416

2004年8・9月の台風16・18号の実験:地上気圧(等値線)と降水(カラー)

T0418の中心地上気圧の時間変化 JMA Global Aanlysis CReSS JMA Best Track Time (UTC) from 00UTC 25 August 2004

T0418の中心地上気圧の時間変化:海洋モデルの効果 CReSS SST を予報 JMA Best Track 45hPaの差 CReSS SST を固定

雲解像モデルの結果と観測の比較: 初期値から312時間 (13日目) 台風0418号は長崎県西方海上に中心がある。降水量の比較。 CReSS Simulation Radar-AMeDAS Observation

2004年10月台風23号の2km解像度4日積分から得られた総降水量 主要な降水の最大は400~500mm

GCMの現在気候・温暖化気候の台風についての雲解像実験     気象研究所20kmGCMを用いた現在気候・温暖化気候の各10年で抽出された台風(現在気候:266個、温暖化気候:176個)のうち、次の条件で、CReSSを用いた雲解像実験を行うための台風を選択した。 データ領域 対象領域 台風のライフタイムの中で、最低中心地上気圧が970hPa以下になること。(発達した強い台風であること。) そのときの中心の位置が、東経120-150度、北緯20-45度の領域(図中の緑の枠)にあること。(シミュレーションを行うために、十分データがある領域に最発達時があること。) 現在気候:33事例の台風 温暖化気候:32事例+1事例

雲解像モデルを用いた現在・温暖化気候の台風実験 計算領域 : 移動する台風を十分おおう領域。 水平格子解像度: 2 km 鉛直格子数: 67 鉛直格子間隔: 200 ~360 m 積分期間: GCMで最低気圧になる時刻から3日前を初期値とし、1~2日後まで積分。 地形とSST: 実地形。GCMの出力SST。 初期値・境界値 : MRI GCM 20km 実験出力(6時間)。 雲物理過程: 冷たい雨 海洋モデル: 1次元拡散モデル (60 layers, 30m) 陸面モデル: 1次元熱伝導モデル (60 layers, 9m) 計算機: 地球シミュレータ (64 nodes)

GCMと雲解像モデルの台風の最低中心気圧の比較 現在気候の台風 温暖化気候の台風

GCMと雲解像モデルの台風の最大地上風速の比較 現在気候の台風 温暖化気候の台風 super-typhoon

GCM現在気候の台風P1691・P1692の地上気圧(等値線)と降水(カラー)

GCM現在気候の台風P1691・P1692の地上気圧(等値線)と降水(カラー)

中心気圧 中心気圧 最大地上風速 最大地上風速 現在気候の台風 P1692 現在気候の台風 P1691 CReSS GCM GCM

GCM温暖化気候の台風F0508の実験:地上気圧(等値線)と降水(カラー)

GCM温暖化気候の台風F0508の実験:地上気圧(等値線)と降水(カラー)

GCM温暖化気候の台風F0508の実験:中心気圧のCReSSとGCMの比較 35hPaの差 MRI-GCM

GCM温暖化気候の台風シミュレーション:台風F0508による総降水量(mm)

初期値から3日目 最も気圧が低下したとき 最低中心気圧866hPa 200km GCM温暖化気候の台風F2716の実験:地上気圧(等値線)と降水(カラー) 初期値から3日目 最も気圧が低下したとき 最低中心気圧866hPa 200km

CReSS MRI-GCM 最低気圧866hPa GCM温暖化気候の台風F2716の実験:中心気圧のCReSSとGCMの比較 36hPaの差 cf: Typhoon Tip (1979) 870hPa, Hurricane Wilma (2005) 882hPa [NOAA]

GCM温暖化気候の台風F2716の実験:最大地上風速のCReSSとGCMの比較 最大地上風速:80m/s CReSS MRI-GCM

コリオリ力 << 遠心力: 旋衡風平衡 温暖化気候の台風F2716:高度1kmの風速(等値線)と雨水混合比(カラー) 最大風速:110m/s 100km コリオリ力 << 遠心力: 旋衡風平衡

温暖化気候の台風F2716の実験:地上気圧(等値線)と海面水温偏差(カラー) 初期値から3日目 最も気圧が低下したとき の初期値からの海面水温偏差

実台風についての4日~14日の長期シミュレーションを「タイリング領域法」を用いて行い、経路・中心位置・中心気圧が観測とよく対応することが示された。 長期間の計算でも降水について観測と量的によく対応した。 GCMの現在気候・温暖化気候で現れる台風について雲解像モデルを用いた実験を行うためそれぞれ33事例を抽出した。 それらについて、現在気候7事例、温暖化気候4事例の4~5日シミュレーションを実施した。 最低中心気圧はGCMの結果と大きく異なり、雲解像モデルがより気圧が下がるものと逆に高いものの両方がみられた。 地上風速は多くの場合、雲解像モデルの方が大きくなった。温暖化気候ではsuper-typhoonに達するものがあった。 温暖化気候における台風では、北日本でも総降水量が1000mmを超えるなど、現在気候では起こりにくい降水がみられた。 温暖化気候で最も気圧の下がった台風は最低中心気圧866hPaに達し、コリオリ力より遠心力がはるかに大きい異常な台風となった。(ほとんど旋衡風バランスをしていた。)

H20年度計画の達成度(1月13日現在) 研究項目 研究内容 達成度 雲解像モデル改良 60% 50% パラメータ改良 80% 1次氷晶過程・2次氷晶過程 セミラグランジュ法の改善 60% 50% パラメータ改良 広領域予報実験、パラメータ抽出 狭領域予報実験、パラメータ抽出 80% 非斉一モデル結合 1格子モデル結合の実験 領域結合の双方向通信のためのモデル改良 30% 比較検証実験 観測された台風の実験。GCMの現在気候・温暖化気候の台風の実験。 120%* *次年度分を前倒しで今年度実施した。

コリオリ力 << 遠心力: 旋衡風平衡 GCM温暖化気候の台風F2716の実験:渦度(等値線)と地上降水(カラー) 最大渦度:0.01/s コリオリ力 << 遠心力: 旋衡風平衡

◎力学過程の改良:セミラグランジュ法の導入 モデル高度化 CReSSの雲物理過程とその改良点 水蒸気 雪(降水) (qs, Ns) 霰(降水) (qg, Ng) 雨(降水) (混合比)  雲水  氷晶 (qi, Ni) 2次氷晶  雲水 (qc, Nc) 雨(降水) (qr, Nr) 雹(降水) (qh, Nh) ◎力学過程の改良:セミラグランジュ法の導入

Time variation of the central sea-level pressure of T0416 JMA Global Aanlysis CReSS JMA Best Track

Domain Decomposition Tiling Domain Technique grid points of inner domain grid points at boundary partition lines of sub-domains partition lines of tiles Number of tiles: 3 Number of sub-domains in each tile: 4 Total number of sub-domains: 12

Tiling Domain Technique Communication using MPI grid points of inner domain grid points at boundary and halo region grid points of halo region between sub-domains (world 0) grid points of halo region between tiles (world 1)

Verification of TD technique: 2km-resolution at 6 days from initial. Tiling Domain Technique All Domain

GCM温暖化気候の台風シミュレーション:台風F2747による総降水量(mm)

2. AFES-CReSS結合モデルのグループ構成 ・・・ ・・・ Single AFES Domain Mノード Single CReSS Domain Nノード ・ MPI_COMBINE_COMM_WORLDはAFESとCReSSの結合を司る AFES-data0000 AFES-data0001 AFES-data0002 AFES-data00M … cress.grd.pe0000.bin cress.grd.pe0001.bin cress.grd.pe0002.bin cress.grdpe00nn.bin データ変換 ・ AFESの出力を補間し、CReSSの境界値として渡す ・ データ変換には、CReSSの初期値作成ルーチン“gridata”を改良して用いる 44

3. AFES~CReSS間での グリッド交換テーブルの作成 1 n n-1 n+1 CReSSの領域 ・ 雲解像モデルCReSSの領域は、通常、全球モデルAFESの複数のノードにまたがる。 ・ そのため、CReSS上の任意のgridと、対応するAFESのノードを明らかにしておく必要がある。

CReSS(nノード)の領域がAFES3ノード(M-1~M+1)にまたがった場合 全球モデルのノード番号 M+1 M M-1 雲解像モデルの領域 CReSSの各格子点が通信するAFESのノード番号の対応表

広領域予報実験の実験領域。パラオ周辺域(緑)と台湾・沖縄域(赤)水平解像度4 kmでのCReSSの広領域シミュレーション実験

狭領域予報実験の実験領域。濃尾平野域。水平解像度1 kmでのCReSSの狭領域シミュレーション実験

T0418の中心地上気圧の時間変化:海洋モデルの効果 CReSS SST を予報 JMA 客観解析 JMA Best Track 45hPaの差 CReSS SST を固定