第3回 配列,構造体,ポインタ ~ データ構造について学ぶための基礎~

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第3回 配列,構造体,ポインタ ~ データ構造について学ぶための基礎~ データ構造とアルゴリズム 第3回 配列,構造体,ポインタ ~ データ構造について学ぶための基礎~

前回の解答 問題1.次のうち、計算量が一番大きいものはどれか O(1), O(n), O(n2), O(n log n) 問題2.計算量が一番小さいものはどれか    O(log n), O(n3), O(n log n), O(n) 問題3.計算量の大きいものから順に並べなさい    O(n3),  O(nlogn), O(n) , O(logn), O(1)

配列(array) の集合 各要素はメモリ上に同じサイズで連続して格納される ことで,要素にランダムにアクセス可能 100: 170          の集合 各要素はメモリ上に同じサイズで連続して格納される              ことで,要素にランダムにアクセス可能 メモリ  アドレス  100: 170 data[0] 104: 160 data[1] 108: 158 data[2] 173 data[3]

ランダムアクセス(random access) 使いたいデータにすぐアクセスできること CDプレーヤは聴きたい曲にランダムアクセス可能 cf) カセットテープは聴きたい曲を前から順に探す必要がある   ⇒シーケンシャルアクセス(sequential access) 例)  メモリ  アドレス  100: 170 data[0] y = data[2]; 104: 160 data[1] 108: 158 data[2] 112: 173 data[3]

配列を扱うときの注意点 C言語による配列の宣言例 double height[MAX]; int data[4]; 100: 170 メモリ  C アドレス  100: 170 data[0] 104: 160 data[1] 108: 158 data[2] 112: 173 data[3]

各部の計算量は? O(n) O(n) O(n2) int printData(int n, int data[]) /* dataの要素数はnとする */ { int i, j; for (i=0; i<n; i++) printf(“%d\n”, i); printf(“%d \n”, data[i]); for (j=0; j<n; j++){ for (i=0; i<n; i++){ printf(“i*jは %d \n”, i*j); } return 0; O(n) O(n) O(n2)

1名分のデータをまとめて管理できると便利だな 異なる型のデータをまとめて扱うには? 配列は同じ型のデータの集まり 文字列と数値など,異なる型のデータをまとめるにはどうしたらよいだろうか? 名前は文字列で表現しよう 身長は整数型?実数型? 1名分のデータをまとめて管理できると便利だな 青木 177 小田 158 金子 167 佐藤 174 4名分のデータの集合をどう表わそう?

構造体(Structure) (C言語) name height ※「構造体」はC言語特有の呼び名. ※一般には,「レコード構造(record structure)」と呼ばれる.   cf.) PASCAL → レコード型 name height

構造体宣言の例 name height 変数st1 name height 変数st2 struct STUDENT { char name[10]; int height;    } st1, st2 ; name height 変数st1 name height 変数st2

メンバーの参照 (構造体型の変数の名前).(メンバー名)で表わせる st1.name = aoki; st1.height = 177; メンバーの参照      (構造体型の変数の名前).(メンバー名)で表わせる st1.name = aoki; st1.height = 177; st2.name = oda; st2.height = 158; name height 変数st1 a o k i 177 STUDENT型 name height 変数st2 o d a 158

構造体の配列 struct STUDENT { char name[10]; int height; } ; struct STUDENT stData[4];    stData[0] 青木 177 小田 158 金子 167 佐藤 174 STUDENT型 stData[1] stData[2] stData[3]

配列の短所 データを格納するための領域を自由に追加したり、不要になったら領域を開放したい… どうする? ⇒  int a[3];

ポインタ(pointer)とは   ポインタ型がある言語 C, PASCAL cf.) ポインタ型がない言語 BASIC, FORTRAN

ポインタ メモリ空間 「ptrはnを指している」 とは? アドレス 80番地 : ptr 104番地 : n

ポインタとアドレス メモリ空間 アドレス 80番地 : 104番地 ポインタ型変数ptr 104番地 : 50 int型変数n

ポインタ型変数宣言の例 int n; ← nはint型の変数 int *ptr; ← n = 50; ptr = &n; ポインタ型変数宣言の例  int n;   int *ptr;   n = 50; ptr = &n; ← nはint型の変数 ←  ポインタであることを表わす記号 データが格納されているアドレスを 取り出す演算子

ポインタ型変数宣言の例 ptr n int n; int *ptr; n = 50; ptr = &n; 104番地 : 80番地 : ポインタ型変数宣言の例   ptr n int n;   int *ptr;   n = 50; ptr = &n; 104番地 : 80番地 : 104番地 : 80番地 : 104番地 : 80番地 :

参考)間接演算子 int n; int *ptr; n = 50; ptr = &n; 参考)間接演算子   int n;   int *ptr;   n = 50; ptr = &n; printf(“ptrが指しているものの中身は %d”, *ptr); ptrがnを指すとき,*ptrはnの別名(エイリアス)となる ptr n  104番地 104番地 : 50

参考) C言語におけるポインタの使い方 データ構造としてのポインタ 参照渡しのためのポインタ 配列参照のためのポインタ void exsample1 (int a, int b, int *sum, int * diff) { *sum = a + b; *diff = a - b; } int a[5]; int i; for (i = 0; i < 5; i++) { a[i] = a[i] + 3; } int a[5]; int *p; for (p = a; p < a+5; p++) { *p = *p + 3; }

ポインタ図示の例 データ構造を図示するときは,ポインタは矢印を使って表現される ポインタ図示の例  データ構造を図示するときは,ポインタは矢印を使って表現される データ構造として見る場合は,                       が重要 (ポインタに入っているアドレス値そのものは意識しなくて良い) ポインタ ptr 整数型変数 ポインタ tmp 構造体 (レコード型変数)

プログラム例 #include <stdio.h> #include <stdlib.h> /*------------ ITEM型構造体の型定義 ------------*/ struct ITEM { int data; /* 整数値 */ struct ITEM *next; /* 次のITEM型構造体へのポインタ*/ }; /*------------ メイン部 ------------------------*/ int main(void) { struct ITEM *ptr; /* ITEM型構造体へのポインタ変数.変数名はptr */ ptr = (struct ITEM*)malloc(sizeof(struct ITEM)); /* メモリ確保 */ (*ptr).data = 100; (*ptr).next = NULL; free(ptr); /* メモリ解放 */ return 0; }

解説 ITEM型構造体の型定義 struct ITEM { ITEM型 int data; struct ITEM *next; int型 } ; ITEM型構造体は,int型のデータが入る箱とITEM型構造体へのポインタが入る箱から成る int型の箱の名前(メンバー名)はdata ポインタ型の箱の名前(メンバー名)はnext ITEM型 int型 ポインタ型 data next

変数の定義 ? ptr struct ITEM *ptr ; struct ITEM型構造体変数のアドレスを入れる箱(ポインタ変数ptr)を用意 ptr ?

メモリ領域の確保 ? ptr ptr = (struct ITEM*)malloc(sizeof(struct ITEM));                             (メモリ領域)を確保. ptr ?

データの代入 ? ptr (*ptr).data = 100; (*ptr).next = NULL; *ptr.dataと書くと,*(ptr.data)と解釈されるので注意する. ()の書忘れを防ぐため, ->演算子(アロー演算子)を用いて    ptr -> data = 100;  と書いても良い. (*ptr).data = 100; (*ptr).next = NULL; ptrの指すもののメンバーdataに100を代入 ptrの指すもののメンバーnextにNULL(ナル,0番地)を代入 ptr ?

データの代入 ? 100 ptr (*ptr).data = 100; (*ptr).next = NULL; *ptr.dataと書くと,*(ptr.data)と解釈されるので注意する. ()の書忘れを防ぐため, ->演算子(アロー演算子)を用いて    ptr -> data = 100;  と書いても良い. (*ptr).data = 100; (*ptr).next = NULL; ptrの指すもののメンバーdataに100を代入 ptrの指すもののメンバーnextにNULL(ナル,0番地)を代入 ptr ? 100

メモリの解放 free(ptr); ptr 100

そっちを指すのは、僕を解放してからにしてよ~ メモリリーク           プログラムの実行中に確保したメモリ領域が解放されないこと メモリリークすると、メモリ領域中の使用できる部分が減る そっちを指すのは、僕を解放してからにしてよ~ ptr 100 malloc

ポインタを用いたデータ構造の実現例 リスト (list) p.26~ 詳細は次週 しりとり 要素を順番に並べたもの 配列による実現 ポインタによる実現 詳細は次週 りんご ごじら らっぱ ぱそこん

まとめ 配列とは 構造体とは ポインタとは

本日の問題 問題 以下の4個のメンバーから構成される構造体を定義せよ。タグ名をIMAGEとする。 ・整数値の番号 n ・ローマ字タイトル name  ・実数値の平均輝度 avL ・次のIMAGE型構造体へのポインタ next