早稲田大学教育学部社会科学専修 現代社会研究4(マネー) 伝統的資産運用とオルタナティブ投資 グローバルな視点から

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マクロ金融論 ポートフォリオ・アプローチ. マクロ金融論 ポートフォリオ・アプローチの 特徴 内外資産が不完全代替( ← 為替リス ク) 分散投資(ポートフォリオ)によって リスクを軽減可能。 経常収支黒字累積 → 外国資産流入 → 国 際ポートフォリオ → 為替相場.
マンデル・フレミング モデ ル で見る日本経済 篠崎ゼミ 2 年1 G 菊池悠矢 長田真波 東海林佑斗 井上和正.
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2004/11/18hiroyuki moriya1 早稲田大学教育学部社会科学専修 現代社会研究4 ( マネー) 伝統的資産運用とオルタナティブ投 資 森谷博之 住商キャピタルマネジメント チーフストラテジスト オックスフォードファイナンシャルエデュケーション.
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国内で買い物する時の通貨は円です。日本中どこ に行っても円さえあれば不自由することはないで しょう。しかし、円は日本でしか使用する事が出 来ません。例えばアメリカに行って、買い物をし て円を使っても、アメリカの通貨はドルなので何 も買うことは出来ないのです。 どうすれば良いの でしょう??
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Ooshiro・Sanada・Nishimura・ Miyamoto・Wakabayashi
証券化とデリバティブ 会計ファイナンス学科 08BC41B 尾崎 敦史.
15 パクス・アメリカーナの時代 1 アメリカの戦後構想とIMF体制 2 IMF体制の成立と発展,ドル危機 3 固定相場制の崩壊と変動相場制
丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2006年11月16日
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~変貌する国際通貨体制の中のルピーとアジア通貨~
戦時中の高度成長期 高度成長期にはいくつかの制度がある。 一つ目は金融機関の専門化戦中に金融機 関が均質化したのとは著しくことなり、 高度成長期の金融制度は各金融機関ごと の分業主義に沿って組織化された。
2章 外国為替市場と 外国為替相場 1 外国為替市場 2 為替取引と為替相場 3 為替相場の決定理論
早稲田大学教育学部社会科学専修 現代社会研究4(マネー) 伝統的資産運用とオルタナティブ投資 ヘッジファンドとその収益の源泉
(出所)小峰隆夫(2003)『最新日本経済入門[第2版]』、日本評論社、p.186。
国際収支と為替相場の基礎的概念 MBA国際金融2015.
『手に取るように金融がわかる本』 p.202~p.223 part1~5
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金融市場 国際班 Ooshiro.R Manita.O Itou.R Itou.K Shirai.D.
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2009年7月 為替相場講演会資料 株式会社三菱東京UFJ銀行/東アジア金融市場部
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早稲田大学教育学部社会科学専修 現代社会研究4(マネー) 伝統的資産運用とオルタナティブ投資 グローバルな視点から 早稲田大学教育学部社会科学専修 現代社会研究4(マネー) 伝統的資産運用とオルタナティブ投資 グローバルな視点から 森谷博之 住商キャピタルマネジメント チーフストラテジスト オックスフォードファイナンシャルエデュケーション 2004/12/16 hiroyuki moriya

国際資本移動の役割 輸出 成長している 経済 金融 安定している 経済 貯蓄に 余裕のある 資金不足 2004/12/16 hiroyuki moriya

国際資本移動の役割 成長している 経済 安定している 経済 経常収支 黒字 資本収支 赤字 貯蓄に 余裕のある 資金不足 2004/12/16 hiroyuki moriya

国際資本移動の役割 成長している 経済 安定している 経済 経常収支 黒字 資本収支 赤字 十分な資金が 供給されないと 資金不足に陥り 金利が上昇し 景気が悪化する 安定している 経済 資金が余り 投資の効率も悪くなり 金利は低下する 輸出が減るので 景気悪化に 繋がることもある。 また、グローバル経済 成長からの恩恵も 受けられない 資本収支 赤字 2004/12/16 hiroyuki moriya

国際資本移動 ホームバイアスの存在 日本は十分に経常黒字を世界に還流していない 2004/12/16 hiroyuki moriya

国際資本移動 ホームバイアスが存在する理由 統計上の扱いの問題 分散効果の減少 解決策 オルタナティブ投資の必要性 為替リスク 為替ヘッジの必要性 2004/12/16 hiroyuki moriya

為替レートの趨勢的な動き 明治以後の為替レートを分析 購買力平価 アメリカのハンバーグの値段と日本の晩バーグの値段が同じになるように為替レートは決まる 為替レートx(ハンバーグの価格(米国)=ハンバーグの価格(日本) 100年以上の期間では物価が大きく変動するためその影響を調整 実質為替レート=為替レートx物価(外国)/物価(自国) 2004/12/16 hiroyuki moriya

為替レートの趨勢的な動き 名目為替レートの動き 戦前:1ドル1円から4.25円へ 戦後:1ドル360円から100円へ もっと円安になるべき 実質為替レート 円高には理由 があるのか? 1.非貿易財 2.政府支出 3.生産性 などが考えられる もっと円安になるべき 2004/12/16 hiroyuki moriya

為替レート 趨勢的な動きと循環的な動き トレンドとカウンタートレンドの発生 2004/12/16 hiroyuki moriya トレンド レンジ相場 2004/12/16 hiroyuki moriya

為替レート 趨勢的な動きと循環的な動き 長い相場でも短い相場でも同じようにトレンドとカウンタートレンドがある 2004/12/16 レンジ相場 2004/12/16 hiroyuki moriya

先物取引 将来の定められた時期(満期)に買い手は商品を受け取り、売り手は商品を渡すという約束をする取引 満期までに先物取引は手仕舞う 現物の受け渡し 反対売買 現金決済 2004/12/16 hiroyuki moriya

先物取引の価格 満期 約定日 S1 S0 商品の価格は変化 売り手は借金をして 商品を手に入れる。 買い手は商品を 価格Fで手に入れたので 満期に商品を受け取り それをその時の価格S1で 売ることができる その時の利益はS1-F 満期 S1 S0 商品の価格は変化 時間の経過 約定日 売り手は借金をして 商品を手に入れる。 先物の価格(F)=商品の価格(S0) + 金利の費用 買い手は商品を満期にFで買う 2004/12/16 hiroyuki moriya

先物を用いたヘッジ取引 現物の買い持ち 利益 (ロング) 先物の売り持ち (ショート) 価格 先物の売り持ち (ショート) 現物の買い持ち 価格が上がると 利益が出る 先物の売り持ち (ショート) 価格が下がると 利益が出る 価格 ヘッジの結果 金利の費用 先物の売り持ち (ショート) 価格が上がると 損失が発生する 現物の買い持ち (ロング) 価格が下がると 損失が発生する 2004/12/16 hiroyuki moriya

為替ヘッジの基本 為替相場の趨勢的動きと循環的動きを見極める トレンド追随戦略:トレンドから利益を得る 逆張り戦略:カウンタートレンドから利益を得る トレンド追随型戦略 売り 売り 売り 売り 売り 買い 買い 買い 逆張り・ カウンタートレンド型戦略 買い 買い 2004/12/16 hiroyuki moriya

ヘテロジーニアスな世界が創る 為替市場でのヘッジ 独自の考え方でヘッジ戦略を構築 基本ヘッジポジション フルヘッジ ヘッジなし 相場の転換点 ヘッジ比率を機動的に変更 統計的手法を用いる 相場の解析が十分でない部分に関してはオプションなどを使用 2004/12/16 hiroyuki moriya

ヘテロジーニアスな世界が創る 為替市場でのヘッジ ヘッジのタイミングの判断が難しい 円高 フルヘッジ 天井 レンジ相場 部分ヘッジ 天井 底 天井 天井 底 底 底 2004/12/16 hiroyuki moriya

ヘテロジーニアスな世界が創る 為替市場でのヘッジ 為替ヘッジ比率の推移(ドル):2000年3月~2004年3月 2004/12/16 hiroyuki moriya

ヘテロジーニアスな世界が創る 為替市場でのヘッジ 為替オーバーレイ+ドル3ヶ月預金 2004/12/16 hiroyuki moriya

ヘテロジーニアスな世界での知恵 過去とまったく同じことは起こらない 過去と似たようなことは起こる できる限りの情報を手に入れ合理的に振舞う 間違いを犯したらその経験を生かし修正する 常にマクロな考え方を忘れない 2004/12/16 hiroyuki moriya

参考資料 吉川洋、「均衡為替レート」 河合正弘、粕谷宗久、平形尚久、「G7諸国における非貿易財相対価格の分析」 小宮隆太郎、「貿易黒字・赤字の経済学:日米摩擦の愚かさ」、東洋経済新報社 リチャード・クー、「良い円高、悪い円高」、東洋経済新報社 吉川洋、「マクロ経済学」、岩波書店 白塚 重典・中村 恒、「国際分散投資におけるホーム・バイアス・パズルを巡る諸論点」 http://www.imes.boj.or.jp/japanese/zenbun98/yoyaku/kk17-2-3.html 吉川洋、「均衡為替レート」 http://www.mof.go.jp/f-review/fr48.htm 河合正弘、粕谷宗久、平形尚久、「G7諸国における非貿易財相対価格の分析」 http://www.boj.or.jp/ronbun/wpkeizai.htm 2004/12/16 hiroyuki moriya