Ashra実験における 光検出システムの開発 次世代光センサーに関するワークショップ 2005年12月27日 KEK 東京大学宇宙線研究所 増田 正孝
発表内容 イントロダクション(Ashra実験とは) Ashraの光検出システム 大口径静電レンズ撮像管 トリガーシステム ファインセンサ まとめ
All-sky Survey High Resolution Air-shower detector イントロダクション Ashra実験 All-sky Survey High Resolution Air-shower detector Ashra station UV-lights T.O. 全天監視: 12 単位検出器 / ステーション で 5 sr(=80%×2π) 高感度: 3~4 集光器 / 単位検出器 で同じ視野(0.42 sr) 分角精度: 1分角の画素分解能~人間の目(視力1.0) ハイブリッド: 大気チェレンコフ光、大気蛍光、紫外光同時複合観測 Ashraの光検出システムに対する要請 ・1台の検出器で4Mピクセルの解像度 ・異なる宇宙線事象に対する自己トリガー
イントロダクション Ashra集光器 F/0.74 7 部分鏡(2.2m有効径)+1焦点球面(20インチ光電レンズ撮像管) Modified Baker-Nunn F/0.74 7 部分鏡(2.2m有効径)+1焦点球面(20インチ光電レンズ撮像管) 3枚の非球面補正レンズ(1.2m径、紫外透過アクリル板) 光線追跡 広視野内で 1 分角度焦点精度
Ashraの光検出システムのコンセプト 特徴 ・光電面と蛍光体による「光⇔電子変換」を繰り返し、 画像を保持したままゲインの増幅 トリガーシステム ファインセンサ 特徴 ・光電面と蛍光体による「光⇔電子変換」を繰り返し、 画像を保持したままゲインの増幅 ・トリガーシステムと ファインセンサ(精細画像取得)
16インチ光電レンズ撮像管(I.I.)の開発 東芝製16インチ医療用X線I.I.を改造。 入力面の薄いアルミ+CsI 球面UV透過ガラス その変更に伴い、電子レンズ最適化、出力面を曲面FOPに変更。 医療用X線I.I.の例
16インチ光電レンズ撮像管の開発 Output Phosphor Screen Input Photocathode Window 200mm 電極 電子軌道 光電面 蛍光面 400mm Phosphor Kovar flange SUS flange FOP Output Phosphor Screen Input Photocathode Window 30mm
光電レンズ撮像管の出力面開発 きつい曲面の蛍光面ははじめて。プロセスを開発する必要がある。 曲面への蛍光体の塗布 薄く(解像度) 一様に(ゲインの一様性)
出力面開発:蛍光体塗布1 2.凹面加工、フランジ接着後 1.加工していないFOP 3.蛍光体塗布後 4.アルミ蒸着後
出力面開発:蛍光体塗布2 電子顕微鏡による断面図 蛍光体膜厚の角度依存性
16インチ光電レンズ撮像管 16インチI.I. 撮像写真 2~3分角相当の分解能
20インチ光電レンズ撮像管 耐圧試験 現在、性能評価試験中 2.2気圧×50分+etc ⇒6.4年耐用@ 1気圧 ⇒940年耐用@0.7気圧 20インチI.I. @海洋研究開発機構 (JAMSTEC) 2.2気圧×50分+etc ⇒6.4年耐用@ 1気圧 ⇒940年耐用@0.7気圧 現在、性能評価試験中
トリガーシステム 要求 ・チェレンコフ光、大気蛍光へのトリガー ~1度の分解能 ・遅延I.I.の遅れの時間~160nsec以内の応答 ・高ゲイン 64×64chのHPD(電子管+シリコン検出器)とLSI
トリガー用6インチ電子管 1.光電変換 2.電圧による加速 3.シリコン検出器により 電子のエネルギー⇒電子正孔対 LSIchip electrode photocathode +30kV photoelectron pixel array detector photon ceramic 6インチ電子管 1.光電変換 2.電圧による加速 3.シリコン検出器により 電子のエネルギー⇒電子正孔対 4.LSIによる高速閾値判定
トリガーシステム シリコン検出器 特徴 ・30.8mm角 ・1画素450µm×450µm ・1チップ上に64×64画素 トリガーシステム シリコン検出器 特徴 ・30.8mm角 ・1画素450µm×450µm ・1チップ上に64×64画素 ・垂直方向に〈111〉面を持つ シリコン基板(比抵抗2-3kΩcm) ・エネルギーに比例した 電子正孔対の生成 ・電子収集型(高速性重視) 10µm PAD 28800µm 30800µm 30800μm 1チップ(電子入力側)
シリコン検出器断面図 ・ゲイン 電子のE=30keV ⇒G~7000 ・応答速度(-100V) vd=3×104m/s ⇒ τ~10ns Si e- e- h+ 製造プロセスを 何通りか試作試験中
トリガーLSIの設計と試作 要求 ・電流入力に対し閾値 との比較でトリガー判定 ・64 x 64ch ・画素毎にゲイン補正 との比較でトリガー判定 ・64 x 64ch ・画素毎にゲイン補正 ・高速性<数10ns ・コスト 1画素回路図 特徴 ・標準CMOSプロセスLSI ・16 x 16ch/チップを16枚 ・画素毎に閾値を選択 ・wired-OR出力
1画素回路シミュレーション ・立ち下がり時間 10ns以内で トリガー生成。 ・閾値を設定可能 シミュレーションを元にチップレイアウトの作成 出力信号 入力信号 閾値電圧 シミュレーション ・立ち下がり時間 10ns以内で トリガー生成。 ・閾値を設定可能 シミュレーションを元にチップレイアウトの作成
トリガーチップの試作 設計ルール CMOS:Rohm0.35m 1画素 200m角 チップサイズ 4.9 mm角 出力波形 閾値電圧 入力波形 このLSIを用い性能評価試験 ・~15nsecの応答 ・基本動作(閾値選択)の確認
Ashraファインセンサ 要求 ・2048×2048ch光検出器+回路 ・2次元露光制御 ・部分読み出し制御 ・コスト 水平方向アドレスデコーダー 水平(X)方向トリガー&リセット Yアドレス デコーダー MACRO CELL GROUP1 (2048×1024) Yトリガー & リセット Yアドレス デコーダー MACRO CELL GROUP2 (2048×1024) 読み出し回路(下部:2048×1024) 水平方向アドレスデコーダー ・CMOS標準プロセスを用いたLSI ・画素サイズ8µm角 ・チップサイズ18.88mm ・読み出しレート~12.8µs/セル VDD gnd OUT SEL tg RES 1画素回路図
タイミングチャート 2nd 1st 第1トリガーによる部分露光後にデータを保持 第2トリガーによる選択的読み出し Xsel,Ysel xr,yr xs,ys res tg 読み出しサイクル 読み出しサイクル 1 2 ・・・ 16 1 2 ・・・ 16 yadr1,2[9:0] yclk1,2 xadr1,2[7:0] xclk1,2 xradr,yradr[7:0] rclk aout1,2[15:0] 第1トリガーによる部分露光後にデータを保持 第2トリガーによる選択的読み出し
トリガーセンサとファインセンサの動作 トリガー信号⇒3×3マクロセルごとの露光 トリガー領域 信号 3×3マクロセルを露光 マクロセル 16×16画素 トリガー信号⇒3×3マクロセルごとの露光
まとめ Ashraの光検出システムにおいて ・大口径静電撮像管(16インチI.I.) を開発、性能評価し、 2~3分角相当の分解能と~100のゲイン ・トリガーLSIの高速性(~15ns)、動作の確認 ・ファインセンサの動作シミュレーション 今後 ・トリガー用シリコン検出器、ファインセンサの性能試験を