感性情報と インフォメーションハイディング

Slides:



Advertisements
Similar presentations
利用者のプライバシを保護す る協調フィルタリング方式の 提案 7adrm011 木澤寛厚. 背景 商品の量が多い 見つからな い orz ネットショップ.
Advertisements

静脈画像を鍵とする暗号化手 法に関する研究 大山研究室 安藤のぞみ. 研究の背景、目的 近年、バイオメトリクス認証が注目されて いる 静脈は身体内部の情報 → 偽造に強い 環境に左右されることが少ない 利用者の心理的抵抗が軽減される オープンなネットワークへのバイオメトリ クス認証の適用 : Double.
生体情報を利用したオンライン認証システムに関する研 究 情報工学科 大山・山口・小尾研究室 学士課程4年田中 丈登.
Information Hiding ~RQLミーティング発表~
量子化(Mid-riser型) 出力y 入力x 通信ネットワーク特論(量子化・符号化).
電子透かしにおける マスキング効果の主観評価
~Information hiding -meta data hiding- ~
コンテンツ配信に優れている P2P 技術と、著作権侵害問題の関係について 述べよ。
HG/PscanServシリーズ Acrobatとなにが違うのか?
クラウドにおける ネストした仮想化を用いた 安全な帯域外リモート管理
情報工学科 06A2055 平塚 翔太 Hiratsuka Shota
秘匿積集合プロトコルの 推薦システムへの応用
IaaS 仮想マシン(VM)をネットワーク経由で提供 負荷に応じてVM数や性能を変更できる ハードウェアの導入・管理・維持コストの削減
ウェーブレットによる 信号処理と画像処理 宮崎大輔 2004年11月24日(水) PBVセミナー.
情報技術と著作権.
パスワードをつけよう! ~ワード・エクセル・一太郎 ・その他(アタッシェケース)~
デジタル信号処理①
第5章 情報セキュリティ(前半) [近代科学社刊]
ウェーブレット変換と 非線形適応信号処理を用いた 電子透かしの研究
首都大学東京 都市教養学部数理科学コース 関谷博之
ワイヤレス通信におけるMIMO伝送技術.
安心してネット上でコンテンツを流通できる環境の形成
コンピュータビジョン Computer Vision(CV) パワーポイント 抜粋
実時間動画像マルチキャストのための フィルタリング手法の実装と評価
高山建志 五十嵐健夫 テクスチャ合成の新たな応用と展開 k 情報処理 vol.53 No.6 June 2012 pp
ディジタル回路 1. アナログ と ディジタル 五島 正裕.
1. アナログ と ディジタル 五島 正裕.
現金に替わる電子マネーの実装 200702894 大城 翔太 木下研究室.
周波数領域での非線形適応システムを用いた電子透かしの耐性評価
ー 第1日目 ー 確率過程について 抵抗の熱雑音の測定実験
~Information hiding -meta data hiding- ~
IPv6アドレスによる RFIDシステム利用方式
大規模アドホックネットワークにおける 階層的な名前解決法
MPIによる行列積計算 情報論理工学研究室 渡邉伊織 情報論理工学研究室 渡邉伊織です。
線形フィルタと畳み込み積分 マスクによる画像のフィルタリング 1.入力画像中の関心の画素のまわりの画素値
第10回 情報セキュリティ 伊藤 高廣 計算機リテラシーM 第10回 情報セキュリティ 伊藤 高廣
相川研究室 ~信号処理は世界を変える~.
授業展開#3 アナログとデジタル.
3D散歩ゲーム 08A2043 谷口盛海 種田研究室.
2. 論理ゲート と ブール代数 五島 正裕.
P4 通信システム P4.1 ディジタルフィルタの設計とその応用 P4.2 伝送線路のFDTD解析 P4.2 H4.1 P4.1 H4.1
実行時情報に基づく OSカーネルのコンフィグ最小化
高度情報演習1A “テーマC” 実践 画像処理プログラミング 〜画像認識とCGによる画像生成〜 第二回 演習課題
高度情報演習1C 実践 画像処理プログラミング 第二回 演習課題
雑音環境下における 非負値行列因子分解を用いた声質変換
QRコードを用いたウェーブレット変換による 電子透かし
2章 暗号技術 FM15002 友池 絲子.
QRコードを用いたIDカードに 適した電子透かし
Q q 情報セキュリティ 第8回:2005年6月3日(金) q q.
暗号技術 ~暗号技術の基本原理~ (1週目) 情報工学科  04A1004 石川 真悟.
Intel SGXを用いた仮想マシンの 安全な監視機構
音声データにおける 墨塗り署名ツール“SANI”の開発
アナログ と ディジタル アナログ,ディジタル: 情報処理の過程: 記録/伝送 と 処理 において, 媒体(メディア)の持つ物理量 と
ノイズ.
音声合成.
コミュニケーションと ネットワークを探索する
4. システムの安定性.
コーディングパターンの あいまい検索の提案と実装
わかりやすいパターン認識 第7章:部分空間法  7.1 部分空間法の基本  7.2 CLAFIC法                  6月13日(金)                  大城 亜里沙.
B03 量子論理回路の 最適化に関する研究 西野哲朗,垂井淳,太田和夫,國廣昇 電気通信大学 情報通信工学科.
アナログとデジタル.
ISO23950による分散検索の課題と その解決案に関する検討
修士研究計画 CGM作成・共有支援基盤(仮)の構築
1ーQー18 音声特徴量抽出のための音素部分空間統合法の検討
ネット時代のセキュリティ3(暗号化) 2SK 情報機器工学.
ソースフィルタモデル.
※演習や小テスト(DES/RSA暗号に関する計算問題)と似た問題は出題しません。
ベイジアンネットワークと クラスタリング手法を用いたWeb障害検知システムの開発
アナログ と ディジタル アナログ,ディジタル: 情報処理の過程: 記録/伝送 と 処理 において, 媒体(メディア)の持つ物理量 と
2012年度 情報数理 ~ 授業紹介 ~.
Presentation transcript:

感性情報と インフォメーションハイディング 政策・メディア研究科修士二年 武藤研究室INASセキュリティグループ 直江健介(naoe@sfc.keio.ac.jp)

電子透かしとは Degital watermarking デジタル情報化時代の流通形態に対応した主に著作権の保護を目的とする技術 (Information Hiding,Covert Channel,Subliminal Channel) 対して電子あぶり出しのことをSteganographyと呼ぶ デジタル情報化時代の流通形態に対応した主に著作権の保護を目的とする技術 簡単に知覚できる透かしもあるが、ここでは知覚できない程度に情報を埋め込みデジタルコンテンツの質を損なわせない技術 透かしというとお札の透かしを思い浮かべるでしょう。しかしお札のすかしのように誰が見ても分かるような透かしはデジタルコンテンツの場合コンテンツ自身を改変してしまいます。またすかしが入っていることがすぐに分かってしまうと、それを消す技術がすぐに出てくる可能性が高くなります。 電子透かしで扱う技術はいろいろな用途で使うため  呼び方は一緒でもその意味合いや求められている機能が違います 元のデータではなく、埋め込まれたデータのほうが重要度・秘匿度が高い場合は電子透かしでなく 電子あぶり出し>Steganographyを使う

電子透かしをマッピングする空間

耐性 imperceptible(知覚が困難) 埋め込めるデータ量 検出の信頼性 耐久性の強さ すべてがコンテナの品質とトレードオフの関係 コンテナが画像の場合であればいろんな画像処理に強いことなど(フィルタリング、圧縮と非圧縮、切り取り、幾何学的変換、レタリング) 次に話に行く前に電子透かしの分野でしばしば聞く耐性という単語の説明をします。 http://www.trl.ibm.com/projects/RightsManagement/datahiding/dhimg.htm

電子透かしの用途 デジタルコンテンツにすかし(署名・情報)を埋め込むことで 著作権の主張、保護。本物の証明 コピーコントロール 秘密通信(ステガノグラフィ) 改ざん検知 著作権の主張、保護。 1.コンテンツの著作権を主張するために電子透かしを入れておく利用方法。不正コピーに対しては抑止力として作用。 2.不正利用された場合現場を発見する必要がある。それを補助する機能として不正利用コンテンツを探索するシステムを利用。例)特定のURLを指定して探索するシステム や 自動的にすべてのURLに対してロボット型探索を行ない検査するシステム。 3.利用者を特定するためのデジタル指紋   ユーザから購入希望があった場合、例えばユーザ情報などを電子すかし入りコンテンツに追記することでユーザ情報が記述されたデジタルコンテンツがユーザに届く 4.配信システムへの応用   例として音楽に透かしを埋め込みそれを暗号化したものを配信コンテンツサーバに格納。利用側は暗号を複合化しコンテンツを利用。このコンテンツにはすかしが入っているため不正配布にも対応できる。 コピーコントロール   DVDやIEEE1394などの機器同士でのコピーコントロール。もともとDVDなどの機器間のインターフェイスのコピー制御については暗号を使ったシステムの仕様がある。CCI(CopyControlInformation)コンテンツのコピー制御を管理する情報があるがこれに電子すかし情報を追加することで安全性が高まる。 秘密通信   電子透かしがキャリアであるのに対してステガノグラフィはおとりです。用いる技術は同じですが電子透かしの用途は著作権の主張などに対して、コンテンツに忍び込ませて情報を送ることを目的としています。どちらかというと著作権の主張に持ちいりたい電子透かしでは、忍び込ませた電子透かしが簡単に取り除かれては困るが、ステガノグラフィでは取り除かれる分には構わないが、第三者に埋め込まれた情報を読まれることは困ります。そのためこの場合の電子すかしに求められる性能が違ってきます。 改ざん検知   コンテンツが公開したそのままの状態で伝えることに意味があるとケースに適用。例えば画像などであればPhotoshopなどの画像加工処理ソフトウェアなどをつかい一部分を切り取ったり改変するといった行為を防止することが出来ます。この目的の電子透かしは特殊である必要があり、少しでもコンテンツに対して処理を施した場合電子透かしが消えてなくなるといったものを使わないといけません。

電子透かしの具体的な性質 (求められる機能)  電子透かしの具体的な性質 (求められる機能) 1.コンテンツ自身に埋め込まれる 2.編集、圧縮、伝送などの処理を行なっても変質、消失しない 3.改ざん・消去攻撃に対して強固である 4.すかしの埋め込みと抽出が容易(かつ高速)であること 5.結託攻撃に強い 6.コンテンツ全体に隅々にランダムに埋め込む 7.コンテンツの使用に制約をつけない。多くのメディアで共通し、多用なフォーマットにも適合 8.上記を満たした上で人間の知覚が出来ない程度の劣化に抑える 1.前提として 2.3.6.8.耐性 4.利用効率の良い 5.結託攻撃>>正規に入手した複数のコピーを用いてすかし情報を不正に解読すること。 7.仕様として

現状での問題点 デジタル情報の利点 データの一部に知覚できる情報(ロゴ)を埋め込むときの問題点 Steganographyとの類似点 コピーによる品質の劣化がない 不正コピーから情報の発信者の権利を守るのが難しい データの一部に知覚できる情報(ロゴ)を埋め込むときの問題点 もとデータの品質が劣化する 付加した情報を簡単に消去されてしまう Steganographyとの類似点 あるデータに対して人間が気が付かない範囲で加工を行なうことでデータを埋め込むこと

Steganographyとの相違点 電子透かしの技術 電子あぶり出し 両方の良いとこ取りをしたい。だからDataHidingだ 表面に現れるデータに価値がある そのデータの品質を保ったまま少量で除去しにくい秘密データを埋め込む 電子あぶり出し 表面に現れるデータはダミーであり、あまり価値がなく、隠されているデータに価値がある 秘密情報が第三者に消されたとしても、秘密が漏れるわけではないので問題にはならない 両方の良いとこ取りをしたい。だからDataHidingだ

研究の目的 少ない埋め込みデータで、大量の秘匿データを復号できるようにする! 従来方式より(スペクトラム拡散法など)より秘匿性を高める!

提案手法の概要 コンテナへの攻撃(フィルタ)がかかっても、同じ画像であると認識することができるなら、その認識の仕組みを利用する。 もともとノイズなので情報量は変わらない 加工や圧縮に耐性がある(これ重要) 認識の仕組みとは、結合係数をPN係数の変わりにつかう。つまり、結合係数を鍵にする。

電子透かしの手法 電子透かしは併用される圧縮や伝送を考えて 方法を選択する必要がある。 電子透かしには2段階の処理を踏みます。まず画素か周波数領域にマッピングする方法で、それから上の4つの方法を使って埋め込みます。今はウェーブレット変換をした後にCDMA技術で埋め込む方法が一番秘匿性(ひとくせい)が高いといわれています。 電子透かしは併用される圧縮や伝送を考えて 方法を選択する必要がある。

周波数空間で処理するのが 良い理由 画素領域上で直接画素値に埋め込むのは計算コストがかからないが、反面画像処理に対して耐性が落ちる。 特に、マルチメディアデータを圧縮し、伝送する際に埋め込んだはずのデータが散逸して透かしが完全に復号できないことがある。 圧縮と伝送処理には周波数解析を行うため、特にCDMA系の技術は電子透かしとの相性がよい。 なぜ、周波数空間を使うと圧縮などに強いのか

周波数処理 (下に行くほどいい感じ) DCT(離散コサイン変換)がいい理由:フーリエ変換と比べて 余弦波のみで分解するので虚数計算がいらない。JPEGで つかわれている。 ウェーブレットがいい理由:フーリエ変換/DCTは基底として無限 に続く局所性をもたない 三角関数を想定しているためフーリエ変換 後の周波数領域では 時間的な情報は完全に失われる。 ウェーブレット変換では局所的な周波数情報が得られるため 効率的な時間周波数解析が可能になる。 ウェーブレットがいい理由

離散コサイン変換 まず、画像を行列のデータに変換します。これにDCTをかけると、適当なまとまったブロックの 行列の行列ができます。各ブロックを拡大してみると、左上が低周波、右下が高周波の成分の構成比 になります。JPEGなどの圧縮に使われる際には、ここの高周波の部分が削られます。

スペクトラム拡散 スペクトル拡散システムでは、情報を伝送するのに必要な帯域幅を、情報とは独立した信号により広帯域に拡散されて通信している。 これにより干渉や妨害を与えたり受けたりすることが少なくなる。 WINDOWS XPの無線でも使われている。 直接拡散については、乱数生成と乗算のみで行うことができる。

スペクトラム拡散の使い方 ウェーブレット変換したあとにスペクトラム拡散をする。 LL成分(左下の部分)の値にPN係数という乱数系列をかける。 復元ができない。 本研究では、PN係数の変わりに結合係数を使ってみる。 ウェーブレット変換後にLL成分にスペクトラム拡散して逆拡散して画像を戻す>埋め込んだ スペクトラム拡散の場合はどんなにばらばらにしても

従来手法 埋め込む情報:電子透かしなら著作権情報、ステガノグラフィなら秘匿情報 復号する側が持つ情報:埋め込みデータの位置情報/復号の方法(直交変換、PN係数の乗算など) 復号する際にする処理:周波数解析 *埋め込みと変更が行われる。

検出の手順 と必要な情報 逆拡散>>拡散 間違え

提案手法 埋め込む情報:ブロックの位置を埋め込む 復号する側がもつ情報:ブロックの位置情報が格納されたメタな位置情報 復号の際にする処理:周波数変換とAD変換(結合係数の乗算)

提案手法詳細1(鍵穴の作成)

提案手法詳細2(鍵の作成) !スペクトラム拡散法のPN係数(鍵)が、ここで結合係数にあたる。

復元の手順と必要な情報 この方法だと処理手順も復号する側が持っている情報も少なくてすみます。

スペクトラム拡散法との比較 ブロックの位置情報:どのブロックのDC,AC係数を入力信号 にするのか ブロックのメタ位置情報:どの座標軸のブロック位置情報をみて、 どの順番で適応信号処理を行うのか

○適応信号処理

入力信号と出力信号 DCT変換後のDC係数:これは画像の骨格なので多少のフィルタがかかっても出力信号はぶれないはず ウェーブレット係数:上を同じ理由で、さらに局所的な情報も保持しているので良好 出力信号は、埋め込みたいメッセージ 例)A00100101

入力信号の用意 周波数変換したあとのブロックのシリアルなデータを使う。対角線上のデータが望ましい感じ。(鍵の作成参照) !あるいは、クラスタリングしたグループの画素集合について変換を行ったものを利用する(画像が復元されるか要実験。。。)

○提案手法のまとめ PN係数の変わりに、結合係数を使う。 あとは、位置情報の埋め込み

提案手法まとめ2

提案手法の効果 少ない埋め込みビット数で、大量のデータを復号できる。たとえば、Aという文字を埋め込む場合、通常では8ビットの変更が必要だが、この手法だとメタ位置情報→X,Yで2ビットでよい。 ウェーブレット/DCTというレガシイの手法にadd-onするため、構築が容易で画像が劣化しない。 秘匿性が高い PN係数より結合係数のほうがランダム性が高いから。 復号手順が少ない パリティを見てデコードする手順がない。 結合係数の方が秘匿性が高い:結合係数は、-1から1までの乱数とくらべ秘匿性がたかく、画像そのものの特徴を入力とするため大量のデータを埋め込むことができる。 (入力データを画素の位置情報として使いまわすことができるので)

試行錯誤しております 量子化(圧縮)後の離散コサイン係数の変化は処理にどれくらい影響するか? 復号側の負担 PN係数 対 結合係数のデータ量とランダム性 クラスタリングの処理のレイヤが入れられないだろうか。。。? 従来手法なら3文字なら24bit変更する

現在の作業

適応信号処理 ↑VC VCで作ったライブラリの利用 とMATLAB(使い方をまだ把握していません。。。)

今後の予定

2003年6月時点でのテーマ 実装評価にはStirmark watermarking benchmarkなどで、PSNRなどを測定する。 電子透かしの耐性や、画像そのものの適正などの評価基準は、まだあまり厳密なものは決まっていない。 関連論文のサーベイ(国外)をさらにする。 テストベンチの作成(緊急!)