中学部自閉症生徒の 感情コントロールに関する指導の試み 中学部自閉症生徒の 感情コントロールに関する指導の試み
(同じものを見ても人によって感じ方が違う ことを知る) 指導目標 長期目標: 相手の意見を受け入れる (同じものを見ても人によって感じ方が違う ことを知る) 短期目標: 相手の意見を聞き、自分の意見を言う (双方向の会話) (スライド読む)
標的行動 相手の意見を聞き、自分の意見を言う (双方向の会話) 目的:本人が気になる部分についての 質問と説明の時間を確保する (双方向の会話) → 暴言や暴力の頻度を下げる 目的:本人が気になる部分についての 質問と説明の時間を確保する (スライド読む)
方法 本生徒のプロフィール Aさん(特別支援学校中学部3年男子、 自閉症 WISC-Ⅲ 全検査IQ43 方法 本生徒のプロフィール Aさん(特別支援学校中学部3年男子、 中学部より本校に、小学校支援学級卒業) 自閉症 WISC-Ⅲ 全検査IQ43 言語性IQ51 動作性IQ47 平成23年8月6日実施 コミュニケーション手段:音声言語 自分の興味関心事には流暢な日本語を話す(能や歌舞伎 や怪談、友達の事など)。自分の思っている答えでない時には、「どうして?」 「なぜ~じゃいけないの?」とすかさず切り返してくることが多い。教師の簡単 な指示を聞き逃したり、思い込みして的を射てない答えをしたりする。 (スライド読む)
事例にとりあげたいきさつ 問題となること: 事例にとりあげたいきさつ 問題となること: (泣き声に関すること) 中2後期頃より、子どもの泣き声に対する過敏さが再び目 立ち始め、小学部の女児や同学年の特定の女子Bが泣くと 「うるさい、だまれ!」と叫んだり、物をドンと叩き付ける、蹴 る、ことがあった。 中3でBさんと同じ学級になり、Bさんの泣き声に接すると、 昨年同様に「うるさい!」と叫ぶ。 → イヤーマフの使用、 「更衣室に行って落ち着く」ことの促し。 (スライド読む)
本事例への対応 ~今本繁先生のコンサルテーションより~ (7月○日) 本事例への対応 ~今本繁先生のコンサルテーションより~ (7月○日) 今本先生のアドバイス 1,ルールを確認したり教えたりすることと同時に、本生 徒が気になる部分についての説明や理由付けが必要。 ルールの伝え方:いけない訳をプロセスを踏んで繰り 返し話すこと、適切な関わり方も同時に教える。 *すぐには行動変容は見られないし、指導を重ねても問 題はどんどん出てくるかもしれないが根気よく続けること が大切。 (スライド読む)
本事例への対応 ~今本繁先生のコンサルテーションより~ 本事例への対応 ~今本繁先生のコンサルテーションより~ 改善点 1,9月より3組から6組にて学校生活を送るようにした。 2,自立活動の時間における指導において、3・6組 合同でゲームを行った。(トランプのばば抜き、 カルタ取り、絵あわせゲーム、ジェンガー等) 3,本人が気になる部分についての説明を行った。 放課後週2回程度、勉強会として前担任の先生と 話をしたり話を聞いたりできる時間を設けた。 (スライド読む)
指導場面: 勉強会のとりくみ 指導者: 前年度担任 指導の形態: 週2回、放課後30分 1対1 を基本に時々グループでも 指導場所: 指導場面: 勉強会のとりくみ 指導者: 前年度担任 指導の形態: 週2回、放課後30分 1対1 を基本に時々グループでも 指導場所: 中学部3年5組教室(指導者の教室) (スライド読む)
指導手続き(1) 指導手続き:30分の流れ: 1,その日の話題について決める 2,話題についてのフリートーク 1,その日の話題について決める 2,話題についてのフリートーク 思っていることを、どんどん発言(表出)させる *意見を一度受け止める(そう、それで・・・) *修正や教師の意見は、後で。(そうなんだ、 でも、もしかしたら~なんじゃないの? こんな意見もあるかもよ。 先生は、こう思うけど、君はどう思う?) 3,その日のまとめ (スライド読む)
指導手続き(2) 教材教具など: ノート(話をした内容を、目で見ることが できるように教師が書き留める) ボールペン(文字が太めに書ける分) ノート(話をした内容を、目で見ることが できるように教師が書き留める) ボールペン(文字が太めに書ける分) (スライド読む)
勉強会のとりくみ 実施日:H23.11月~12月 合計11回 11月15日(火) 11月17日(木) 11月22日(火) 11月24日(木) 勉強会のとりくみ 実施日:H23.11月~12月 11月9日(火) 11月11日(金) 11月15日(火) 11月17日(木) 11月22日(火) 11月24日(木) 11月29日(火) 12月2日(金) 12月13日(火) 12月16日(金) 12月20日(火) 合計11回 (スライド読む)
勉強会のとりくみ 実施日:H24.1月~2月 合計11回 1月17日(火) 1月19日(木) 1月27日(金) 勉強会のとりくみ 実施日:H24.1月~2月 1月10日(火) 1月12日(木) 1月17日(火) 1月19日(木) 1月27日(金) 1月31日(火) 2月3日(金) 2月10日(金) 2月15日(水) 2月21日(火) 2月24日(金) 合計11回 (スライド読む)
結果(1)問題行動の回数 6月21日~別室
結果(2) 教室環境の調整で、いったん大幅に不適 応行動の出現頻度が下がった。 (環境調整の重要性) 放課後に、SST的な指導の機会を設け、 (環境調整の重要性) 放課後に、SST的な指導の機会を設け、 本生徒の感情の受容や適切なコミュケー ションスキルの獲得に努めた。この取組み 以降も、不適応行動の頻度は下がった。 (スライド読む)
考察 この事例では、 1教室環境(物理的距離)、2 「自立活動の時 間における指導」でのSSTの指導、3個別で の、本生徒が気になる部分についての説明等 の取組み、を一気に実施した。 そのため、特に2と3に関しては、どちらの要 素が効果があったのかは厳密に測定できてい ないが、相乗的な効果やお互いが般化の場面 として機能したことが考えられる。
今後の課題(1) 不適切な行動は減少しているが、依然表われ ることがある。不適応行動に代わる代替行動 を獲得する支援が引き続き必要である。その 際、家族との共通理解による対応が欠かせな い。 自分の行動をコントロールするスキルの学 び。 知的に比較的高い子どもについては、言語面 において、正確な理解かどうかの確認と、必 要に応じた丁寧な文脈の説明が必要である。
今後の課題(2) 環境調整 感情のコントロール面等のスキル指導、 教師の関わり方、 学部を超えて引き続き包括的に指導・支援を 継続すること。 教師の関わり方、 学部を超えて引き続き包括的に指導・支援を 継続すること。 大きく環境が変わる次年度は、特に引き継 ぎとそれに基づく配慮が必要である。