ブロックチェーン 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司 shoji@appliedmarketing.co.jp.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
2004/11/18hiroyuki moriya1 早稲田大学教育学部社会科学専修 現代社会研究4 ( マネー) 伝統的資産運用とオルタナティブ投 資 森谷博之 住商キャピタルマネジメント チーフストラテジスト オックスフォードファイナンシャルエデュケーション.
Advertisements

電子社会設計論 第12回 Electronic social design theory 中 貴俊.
1 会社名: 氏名: 日付: 会社名: 氏名: 日付:. 2 内容 企業のセキュリティ対策状況 ユーザー管理の重要性 ユーザー管理製品 市場状況 Active Directory とは Active Directory 利用に最低限必要な準備 ユーザー管理のご提案内容 最初の取り組み:ユーザー情報の統合管理.
株 式 を 活 か す! ● 融資額 100 万円~ 3 億円 ● 融資期間 1 年(延長可能) ● 金利 年 4.05 %(金融情勢により変わりま す。 ● 返済 随時可能 ● 担保掛目 株式の場合、時価の 60 %以内 ※担保内容により変わります。また、取扱で きない銘柄もございます。 ● 担保差替.
FPGA 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
日本郵政の現状と今後 田邉 藤山.
【23】貸付金管理_会社機能 融資 【グループ向】 融資 融資 残高管理 融資条件 見直 23.1 融資申請 23.2 融資決定 23.3
Xenを用いたクラウドコンピュー ティングにおける情報漏洩の防止
SoftLayerポータルへの不正アクセス防止
Microsoft® UC&C向けデル導入計画
現代の金融入門   -第1章 金融取引- 08BA210Y  一二三 春菜.
FOODS eBASE Cloudプラットフォームで構築
『手に取るように金融がわかる本』 p.202~p.223 part1~5
ブロックチェーン 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
第7章 どのように為替レートを 安定化させるのか
社会人基礎Ⅱ 第2回 業界・企業分析の基礎 法令の視点から.
監査とは テキスト第8章 田宮治雄.
第5章 情報セキュリティ(前半) [近代科学社刊]
直接金融と間接金融 ~今後日本はどうなるか~
4 国際通貨 1 国際通貨の基礎理論 2 国際通貨の機能と選択 3 管理通貨制度下の国際通貨 国際金融2002(毛利良一)
安心してネット上でコンテンツを流通できる環境の形成
株式と投資信託の双方の特性を兼ね備えた商品
ブロックチェーン 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
3-1 メリット デメリット 「メリット」 ・顧客管理が容易になる。 ・現金レスによる防犯効果。 ・広告効果。 ・顧客の確保独占。
1DS04169K 太田睦美 1DS04185K 高田将平 1DS04206E 森根光春
小規模オフィス向け グループワークシステム 導入のご提案
ブロックチェーン ITソリューション塾・第28期 2018年5月30日.
MPIによる行列積計算 情報論理工学研究室 渡邉伊織 情報論理工学研究室 渡邉伊織です。
社会人基礎Ⅱ 第2回 業界・企業分析の基礎 法令の視点から.
お金を使う ③キャッシュレスってなに?.
SpectreとMeltdown ITソリューション塾・第28期 2018年5月30日 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
All IP Computer Architecture
SOAP/UDDI/WSDLによるB2Bシステムの開発
グリッド M1 kawai.
新たなバックアップソリューション「クローン機能」はここがスゴイ 新たなバックアップ方法「クローン機能」なら全て解決!
第二章 インターネットで やり取りする情報を守る
新たなバックアップソリューション「クローン機能」はここがスゴイ 新たなバックアップ方法「クローン機能」なら全て解決!
アップデート 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
ブロックチェーン 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
セキュリティ 05A2013 大川内 斉.
第11回 継続的監査.
両国の現状 スウェーデン 日本 インターネット普及率 インターネット普及率 More than 50% 30.6% Eコマース浸透率
OSSAJ 事務局 株式会社ウィズ.アール 古木 良子
FPGA 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
金融論 2回目講義.
ブロックチェーン 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
アップデート 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
Intel SGXを用いた仮想マシンの 安全な監視機構
複数ホストにまたがって動作する仮想マシンの障害対策
企業の知的財産を守るエビデンスソリューション
ブロックチェーン 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
コミュニケーションと ネットワークを探索する
第一回 情報セキュリティ 05A1027 後藤航太.
~求められる新しい経営観~ 経済学部 渡辺史門
顧客管理、商談活動、フィードバック、 資産形成を通じて、顧客と長期的な関係を
地方公共団体オープンデータ推進ガイドラインの概要
ブロックチェーン Block Chahine
ISO23950による分散検索の課題と その解決案に関する検討
お金を貯める ②どうしてお金を預けるの?.
修士研究計画 CGM作成・共有支援基盤(仮)の構築
ブロックチェーン技術を活用した再エネCO2削減価値 創出モデル事業
FPGA 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
SpectreとMeltdown ITソリューション塾・第27期 2018年3月20日 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
資格取得スキルⅠb (ITパスポート試験対策講座)
ネット時代のセキュリティ3(暗号化) 2SK 情報機器工学.
Libra 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司
P2P & JXTA Memo For Beginners
バイオメトリクス認証 ~バイオメトリクス認証の現状とこれから~
暗号資産自慢  法学部法学科 石川 健太.
○ 大阪府におけるHACCP普及について S 大阪版 評価制度を設ける 大阪府の現状 大阪府の今後の方向性 《従来型基準》
Presentation transcript:

ブロックチェーン 株式会社アプライド・マーケティング 大越 章司 shoji@appliedmarketing.co.jp

Fintechとブロックチェーン 金融以外の分野へも適用できる可能性 “Fintech (フィンテック、FinTech、Financial technology) とは、情報技術 (IT) を駆使して金融サービスを生み出したり、見直したりする動きのこと” (Wikipedia) モバイル決済 暗号通貨 ビットコイン ブロックチェーン オンライン融資 個人財務管理 (オンライン家計簿) クラウド ファンディング 資産管理 Fintechは、Financial Technologyの略で、ITを使って新しい金融サービスを産み出したり、効率化したりする技術です。広くはECでの決済なども含み、歴史は長いのですが、ここ数年で新しい技術などをベースにしたサービスが次々に生まれています。 ビットコインなどの仮想通貨(暗号通貨)もそのひとつですが、ビットコインの基盤技術として採用されているのがブロックチェーンという仕組みです。 最近、このブロックチェーンが注目を集めています。大方の予想に反してビットコインが普及しており、それをささえる仕組みとして注目を集めたわけですが、暗号通貨以外の様々なサービスへの適用が可能とみられています。 http://www.billingjapan.co.jp/service/fan_13.html http://hajipion.com/2153.html 資産運用 金融情報 金融以外の分野へも適用できる可能性 経営支援 個人間送金

「情報」の流通・交換を安価に、高速に、オープンに 「価値」の流通・交換を安価に、高速に、オープンに ブロックチェーンのインパクト 経産省FinTech研究会 (2015.10.16) 「ブロックチェーンのインパクトは絶大であり、インターネットの登場、Googleの登場と同等の重要性を持つ」 インターネット ブロックチェーン 情報のネットワーク 価値のネットワーク 経産省の研究会は、ブロックチェーンをインターネット、Googleと同等の重要性と評価しています。 (個人的にはインターネットとGoogleを同列に扱うのは若干違和感がありますが。。) これは、インターネットが情報の取得コストをゼロに近づけたのと同じ事が、「価値」の交換に適用できる可能性を持っているからです。これは、Fintechの分野に限りません。 http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/fintech/002_giji.html 「情報」の流通・交換を安価に、高速に、オープンに 「価値」の流通・交換を安価に、高速に、オープンに

ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査 経産省では、今後幅広い分野でブロックチェーンが活用されると予測しています。 http://www.meti.go.jp/press/2016/04/20160428003/20160428003.html http://www.meti.go.jp/press/2016/04/20160428003/20160428003.pdf

ブロックチェーン (blockchain) とは 仮想通貨「ビットコイン」の基本になっている分散型台帳 サトシ・ナカモトによって開発された 暗号技術とP2Pを組み合わせ、政府や第三者機関に頼らない オープンで安全な「価値の取引」を低コストで実現できる ブロックチェーンの仕組みはビットコインで既に7年間の運用実績があり、 一定の安定性・信頼性が実証されている 透明で、改ざんできず、システムダウンしない 第三者機関に頼らずに信用取引ができる 取引コストが限りなくゼロに近い ビットコインは、サトシナカモトという謎の人物の論文を元に実装された仮想通貨ですが、その論文中で、ビットコインの信頼性を裏付ける仕組みとしてブロックチェーンが定義されています。 ビットコインとブロックチェーンの特徴は、これまで権威を持った第3者機関が担っていた取引内容の確認と保証を分散ネットワークで置き換え、透明性の確保と改ざんの防止を実現し、通貨という「価値」の取引コストをゼロに近づけたことです。 この仕組みは、通貨以外の様々な価値(株取引や土地取引など)にも適用できる可能性をもっており、その場合には、これまでそれらの仲介業務を行っていた証券取引所や法務局のような組織が不要になる可能性があるのです。 ビットコインとブロックチェーンの実用性を疑問視する声もありましたが、ビットコインはすでに7年を超える運用実績を持ち、その間システムダウンや不正取引は起こっていません。 http://wired.jp/2015/12/14/bitcoin-founder/ 現在、FinTech分野での活用が模索されているが、将来は様々な仕組みを代替していく(「中抜き」)ことができると考えられている

Security 銀行取引 (台帳を集中管理) 正確性 可用性 安全性 二重化 高コスト セキュリティ 銀行 台帳 台帳 これまで、銀行を通じて通貨を送金する場合を考えてみましょう。 AさんからBさんへ送金する場合、お金を直接手渡したり、郵送したりすることが考えられますが、場所が離れている場合、通常は銀行を使うでしょう。Aさんが銀行にお金を預け、送金を依頼すると、銀行内の台帳を書き換え、Bさんの口座の残高が増えます。お金が実際に移動するわけではありません。 この場合、間違いなく送金するのは銀行の役目です。銀行がAさんとBさんの取引を確認し、送金処理(台帳の書き換え)を行うことで、AさんもBさんも安心できるわけです。 この信用を担保するために銀行は、莫大な設備投資を行っています。取引に間違いがあったり時間がかかったりしてはならないため、高価なメインフレームを二重化するなどし、セキュリティ対策も万全に行います。これはコストに跳ね返り、最終的には送金手数料としてユーザーが負担することになります。 セキュリティ

ブロックチェーン (分散台帳) の仕組み 透明性 安全性 永続性 低コスト データブロックの繋がり =ブロックチェーン ブロックチェーンでは、銀行に相当する機能を持つ組織は存在しません。世界中の相互の接続されたコンピュータのネットワークが、取引の記録を全て共有するのです。 ビットコインの取引が行われる毎に、誰から誰にいくら支払われたかの記録が参加者全員に送られます。これが鎖のように次々に繋がっていくことで、過去の取引を誰もが参照することができます。透明性が確保されるのです。データのブロックをチェーンのように繋いでいくことから、ブロックチェーンと呼ばれます。台帳が分散されることから、分散台帳(Distributed Ledger)とも呼ばれます。 全員が同じデータを持っていることで透明性が担保されます。また、データを改ざんしようとしても、全員のチェーンを一斉に書き換えなければならず、これは事実上不可能です。コンピュータ間の接続はP2Pで、ネットワークや一部のコンピュータに障害があっても全体としては動き続けることができます。(ビットコインでは、全体の一定割合のコンピュータが参加していれば取引は有効であるとされています)そして、中心的なデータセンターは存在せず、各自が自分のコンピュータを持ち寄り、接続コストも分散されることで、運用コストは非常に低くなります。 透明性 安全性 参加者全員が同じ取引記録を持っている 台帳が分散されているため、全てを同時に書き換えるのは事実上不可能 永続性 低コスト 分散されたP2Pネットワークにより、無停止で取引を継続 巨大な設備投資が不要 (参加者がリソースを提供し、コスト負担を分散)

ビザンチン将軍問題 分散型記録の整合性問題 ビットコインではProof of Work (PoW)という手法でこの問題を回避 ただ、この点については異論もあり、現在でも議論が続いています。 またPoWには、合意までに10分程度かかるというデメリットもあり、そのままではリアルタイムの取引には適用できないという問題もあります。 これらの問題から、PoW以外の合意形成メカニズムも積極的に研究されています。 https://www.slideshare.net/11ro_yamasaki/bitcoin-36792748 http://doublehash.me/bitcoin-and-beyond-byzantine-agreement/ ビットコインではProof of Work (PoW)という手法でこの問題を回避 PoWによる合意形成については様々な議論があり、新しい手法も研究されている

ブロックチェーン 機関や組織 保 証 保 証 従来の方法(集中台帳) ブロックチェーン(分散台帳) 取 引 取 引 インターネット 信頼・権限を持つ 機関や組織 政府・行政機関・中央銀行・銀行・信金 認証機関・カード会社・債券取引所など 台帳 台帳 台帳 台帳 台帳 台帳 保 証 数が多すぎること、変更に手間がかかりすぎることで、結果として改竄できない。 取 引 保 証 正当性 評価 信用 価値 取引を全ての台帳に記録し、暗号化・匿名化されたデータとして公開する。 取 引 インターネット 正当性 評価 信用 価値 通貨・代金決済・送金・本人証明・個人認証 不動産取引・株式取引など 台帳 台帳 台帳 台帳 台帳

ブロックチェーンは発展途上の技術であり、派生技術を含め、様々な研究が行われている 究極の「中抜き」が実現? Fintech (Financial Technology) 銀行の決済・送金業務 証券会社・取引所の仲介業務 仮想通貨 これまで手数料が払えなかった収益率の低いビジネスでの利用 途上国向けのマイクロファンディング (小口融資) 信頼性の低い法定通貨の置き換え スマートコントラクト (契約の自動化) プロセス・取引の自動化 IoT/サプライチェーン IoTデバイスの認証・セキュリティ 今、銀行や証券取引所などが必死にブロックチェーンの研究を行っているのは、これまでの仲介業務が無くなれば、組織としての存続に関わるからでしょう。 排除される前に、自らが主導して新しい仕組みを作っていこうとしているのです。 送金手数料がほぼゼロになれば、これまで手数料がネックとなっていた様々な取引が活性化します。数十円、数百円の商品やサービスの決済なども可能になります。 また海外では、そもそも国家や銀行に信頼を置けないケースも多く、仮想通貨のほうが信頼できるという可能性もあります。 インターネットで、それまで情報を仲介してきた様々な産業に変化が訪れたように、ブロックチェーンは価値を仲介してきた組織に変革を迫るでしょう。 http://jp.techcrunch.com/2015/10/19/blockchain/ https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00376322 https://news.bitflyer.jp/news/bitcoin-ibm-and-samsung-for-iot/ https://thefinance.jp/fintech/160127 ブロックチェーンは発展途上の技術であり、派生技術を含め、様々な研究が行われている ビットコインのような管理者を置かない形態では無く、限られた企業が管理するコンソーシアム方式や、ネットワークへの参加者を制限する形態などが検討されている

特定の企業グループや、承認され信頼できるメンバーのみが利用 ブロックチェーンの類型 パブリック型 コンソーシアム型 プライベート型 ネットワークへの参加 自由 承認が必要 承認が必要 特徴 管理者・管理機関 が不要 特定の企業グループや、承認され信頼できるメンバーのみが利用 特定の組織の内部で利用 ブロックチェーンの実装にはいくつか種類があります。ビットコインのように、管理組織がまったく存在せず、ネットワークへの参加も自由な形態は、信頼性の担保や合意形成に不安があるとする意見が多く、現在銀行等で検討が進められているのは、管理する組織を置いて参加を許可制にし、ある程度信頼の置ける参加者同士で取引を行う、という形態が多いようです。 特定の組織内での利用ということでは、地域通貨や銀行独自通貨などへの適用が可能と考えられています。 http://www.jpx.co.jp/corporate/research-study/working-paper/tvdivq0000008q5y-att/JPX_working_paper_No15.pdf ビットコイン 金融機関が検討中のブロックチェーン

ブロックチェーンの適用分野 「IoT業界の場合は、なりすまし攻撃を防止する目的でデバイスのID管理を行うのにブロックチェーンを利用できる。なりすまし攻撃では、悪意を持った人が、他のデバイスを乗っ取ることによって、データを盗んだり損害を与えたりするなどの攻撃を仕掛ける。だが、ブロックチェーンのIDチェーンを利用すれば、2台以上のデバイスが第三者の仲介を経由せずに直接通信することが可能になり、その結果、なりすましがコスト的に見合わなくなる。」 そしてブロックチェーンは、様々な分野での活用の方向性が見えてきました。 http://wired.jp/2017/03/05/moving-patient-data/ http://wired.jp/2017/03/02/overstock/ http://www.nikkei.com/article/DGXMZO13587480S7A300C1000000/ http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1606/08/news03.html