薬局製剤の販売事例 自分で作った薬が売れました! 鹿児島県薬剤師会 薬局機能委員会 委員長 岩元暢秀
薬局製剤‐薬局医薬品 平成21年6月施行の改正薬事法施行規則により、薬局製剤は「薬局医薬品」に位置付けられ、販売者 、販売方法、保管場所が規定された。 ← 登録販売者→ ← 薬剤師 → 薬局医薬品 一般用医薬品 医療用医薬品 薬局 製剤 第1類 医薬品 第2類 医薬品 第3類 医薬品 処方せん 医薬品 その他の 医療用医薬品 2 2 2
すべて × 薬局製剤についてご存じですか? 薬局製剤は、薬局開設許可証のある薬局で製造販売できる。 正しいものに○印 間違っているものに×印をつけてください 薬局製剤は、薬局開設許可証のある薬局で製造販売できる。 薬局製剤は、本店で製造し支店で販売できる。 薬局製剤は、自由に処方内容を決めて製造販売できる。 薬局製剤は、添付文書を必要としない。 薬局製剤の陳列方法と販売方法は、第1類医薬品と同様である。 すべて ×
薬局製剤‐品目 薬局製剤として製造販売できる品目は、厚生労働省医薬食品局長通知別添の「薬局製剤業務指針」で定められている。平成21年8月に改定された、「薬局製剤業務指針第5版」には385品目が収載。 収載処方のみを製造販売するのが薬局製剤。 薬局製剤は、これらの豊富な定められた処方の中から自ら商品選択を行い、容量・包数と販売価格を設定する薬局独自の医薬品。 4 4 4
薬局製剤 385品目(漢方薬212品目) 催眠鎮静薬(3);催眠剤1号A、催眠剤2号A、鎮静剤1号A 鎮暈薬(2);よい止め1号、よい止め2号 解熱鎮痛薬(10);解熱鎮痛剤1号A、解熱鎮痛剤8号A、解熱鎮痛剤6号 かぜ薬(9);感冒剤3号A、感冒剤13号A、こども感冒剤1号A 眼科用薬(1);(局)硫酸亜鉛点眼液 耳鼻科用薬(1);ナファゾリン・クロルフェニラミン液A アレルギー用薬(3);アレルギー用剤2号A、アレルギー用剤3号 鼻炎用内服薬(2);鼻炎散1号A、鼻炎散2号A 鎮咳去痰薬(14);鎮咳去痰剤7号、鎮咳去痰剤13号、鎮咳去痰剤14号 吸入剤(2);吸入剤1号、吸入剤2号 歯科口腔用薬(5);ピオクタニン液、(局)複方ヨード・グリセリン 胃腸薬(38);胃腸鎮痛剤3号A、健胃剤1号、下痢止め3号、整腸剤1号 外用痔疾用薬(3);ヘモ坐薬1号、ヘモ坐薬2号、ヘモ軟膏1号 外皮用薬(71);コーチC・P・V軟膏、インドメタシン1%外用液 駆虫薬(2);(局)カイニン酸・サントニン散、サントニン散 ビタミン主薬製剤(6);混合ビタミン剤1号、混合ビタミン剤5号 その他(1);内用皮膚剤1号A 5 5 5
薬局製剤‐販売 薬事法施行規則 (薬局医薬品の販売等) 第15条の5 薬局開設者は、薬局製造販売医薬品(令第3条第三号に規定する薬局製造販売医薬品をいう。以下同じ。)その他の一般用医薬品以外の医薬品(以下「薬局医薬品」という。)を販売し、又は授与する場合には、調剤及び医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師に、当該薬局において、対面で販売させ、又は授与させなければならない。 6 6
薬局製剤‐情報提供 薬事法施行規則 (薬局医薬品を販売等する場合における情報提供等) 第15条の6 - 2 一 当該薬局内の情報提供を行う場所において、対面で行わせること。 二 医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者における当該医薬品の使用が適正なものであること又は不適正なものとならないことを確認するための質問又は説明を行わせること。 次に掲げる事項を記載した書面を用いて説明を行わせること。 イ 当該医薬品の名称 ロ 当該医薬品の有効成分の名称及びその分量 ハ 当該医薬品の用法及び用量 ニ 当該医薬品の効能又は効果 ホ 当該医薬品に係る使用上の注意のうち、保健衛生上の危害の発生を防止するために必要な事項 ヘ その他当該医薬品を販売し、又は授与する薬剤師がその適正な使用のために必要と判断する事項 7 7
薬局製剤‐遵守事項 薬事法施行規則 (薬局製造販売医薬品の製造業者の遵守事項) 第96条の2 薬局製造販売医薬品の製造業者である薬局開設者は、当該薬局で調剤に従事する薬剤師に当該薬局における設備及び器具をもつて、薬局製造販売医薬品を製造させなければならない。 2 薬局製造販売医薬品の製造業者である薬局開設者は、当該薬局以外の医薬品の製造販売業者又は製造業者に対して、薬局製造販売医薬品を販売し、又は授与してはならない。 8 8 8
薬局製剤‐遵守事項 薬事法施行規則 (製造販売業者の遵守事項) 第92条の3 薬局製造販売医薬品の製造販売業者である薬局開設者は、当該薬局以外の薬局開設者又は医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者に対して、薬局製造販売医薬品を販売し、又は授与してはならない。 9 9
薬局製剤‐陳列 薬事法施行規則 (薬局医薬品の陳列等) 第15条の8 薬局開設者は、薬局医薬品を調剤室(薬局等構造設備規則第1条第1項第八号に規定する調剤室をいう。)以外の場所に貯蔵し、又は陳列してはならない。ただし、一般用医薬品を通常陳列し、又は交付する場所以外の場所に貯蔵する場合は、この限りでない 10 10
売り上げの99%が 保険調剤という薬局での 薬局製剤製造販売への 取り組み事例紹介
経緯 年月 事柄 H23.3 県薬主催の薬局製剤実習を受講し、薬局製剤を実践してみようと思い立つ H23.4 H23.3 県薬主催の薬局製剤実習を受講し、薬局製剤を実践してみようと思い立つ H23.4 薬局製剤製造販売業許可申請に必要な構造設備(器具)の購入 H23.5 薬局製剤製造販売業許可申請 H23.6 薬局製剤製造販売業許可証の交付 処方の検討、材料の購入、必要な器具の購入 6月30日 第1弾として、GL・P・Z液を製造し販売開始 H23.7 7月6日初めてお客さんに売れる インドメタシン1%外用液、BD液の製造販売開始
薬局製剤の製造にあたり必要な事前準備 1.処方の選択 2.原料の確認・調達 3.器具の準備 4.製造方法の確認 5.包装材料・様式の確認 ※誰に何を売りたいか 売れ筋品(風邪薬、胃腸薬、鎮痛剤等) 客層 消費者に自信をもって製造販売できる商品 2.原料の確認・調達 ※常に同じ商品が同じ価格で入手できるか 安定供給 迅速入手 使用期限 入手量(包装単位) 3.器具の準備 ※製造品目、製剤量にあった器具であるか 乳鉢、乳棒、ふるい、混合機、分包機等 製造医薬品に適した器具の準備 4.製造方法の確認 製造工程 製造方法 製造技術 5.包装材料・様式の確認 製造量に見合った包装 包装材料の安定供給 販促につながる包装材料 6価格の決定 市販一般薬との比較 客層 7.販売方法 どうすれば売れるのか 宣伝方法は
1.処方の選択 薬局製剤とは、誰でも日常生活の中でかかる可能性のあるちょっとした病気に対処するために選ばれた医薬品類。 どういう処方を選択すべきか。 薬局に来店される顧客の傾向を分析 顧客のほとんどが処方せん調剤のお客さんである。 ⇒処方薬と重複しない処方がよい。 内科、外科、整形外科にかかっている患者が多い。 ⇒皮膚疾患に関する処方が少ない。 高齢者が多い。 ⇒かゆみを訴える方が多い。夏場はあせも、虫刺され、 草まけなど。冬場は乾燥性のかゆみ。 農作業をする方が多い。 ⇒筋肉痛、虫刺され、草まけ
製造販売品目の決定 目的 薬局製剤名 夏場の汗疹(あせも)に GL・P・Z液 高齢者や農作業をする方の筋肉痛、肩こり等に インドメタシン1%外用液 虫刺されによるかゆみに BD液 ひどいかゆみやかぶれに ヒドロコルチゾン・ジフェンヒドラミン軟膏 D・コーチ・Hクリーム 冬場の乾燥によるかゆみに UEHクリーム
2.原料の確認・調達 薬局製剤名 原料 GL・P・Z液 酸化亜鉛 グリセリン 液状フェノール キョウニン水 精製水 インドメタシン1%外用液 l-メントール プロピレングリコール ベンザルコニウム塩化物液(10%) エタノール BD液 塩酸ジフェンヒドラミン dl-カンフル 塩酸ジブカイン 消毒用エタノール
2.原料の確認・調達 薬局製剤名 原料 ヒドロコルチゾン・ジフェンヒドラミン軟膏 酢酸ヒドロコルチゾン ジフェンヒドラミン 白色ワセリン D・コーチ・Hクリーム 塩酸ジブカイン l-メントール dl-カンフル 親水軟膏 UEHクリーム 尿素 酢酸トコフェロール
3.器具の調達 4.製造方法の確認 製造方法を確認。 どの程度の量で製造するのか検討。 そのために必要な器具、道具などを検討し、調達する。 3.器具の調達 4.製造方法の確認 製造方法を確認。 どの程度の量で製造するのか検討。 そのために必要な器具、道具などを検討し、調達する。 ビーカー(500ml、1000ml)、メスシリンダー(100ml、500ml)、メスピペット(1ml、5ml)、ガラス棒、温度計、ピンセット・・・
5.包装材料・様式の確認 製造量に見合った包装→発注個数、単価 包装材料の安定供給→購入先の検討 販促につながる包装材料→どのようにすべきか?
6.価格の決定 利益をどれくらい求めるのか。 類似一般用医薬品との比較。 バンテリンコーワ1%液 45g メーカー希望小売価格1680円 原材料費がいくらになるか 例 インドメタシン1%外用液 処方 全量100ml 全量50ml 納入価格 50ml1本 インドメタシン 1.0g 0.5g 3780円/100g 18.9円 l-メントール 3.0g 1.5g 591円/25g 35.46円 プロピレングリコール 10.0ml 5.0ml 566円/500ml 5.66円 ベンザルコニウム塩化物液 0.1ml 0.05ml 315円/500ml 0.0315円 エタノール 80ml 40ml 710円/500ml 56.8円 精製水 適量 88円/500ml 1円程度 容器 21000円/200個 105円 50ml1本あたり約223円 利益をどれくらい求めるのか。 類似一般用医薬品との比較。 バンテリンコーワ1%液 45g メーカー希望小売価格1680円 客層も考慮。いくらくらいだったら売れそうか。
7.如何に販売するか 相談販売 ⇒ いい薬がありますよと勧める。 宣伝 ⇒ 店内にポスター掲示。 相談販売 ⇒ いい薬がありますよと勧める。 宣伝 ⇒ 店内にポスター掲示。 口コミ ⇒ 実際に使用した方が宣伝してくれる。
薬局製剤製造販売の利点 日本薬剤師会 薬局製剤・漢方委員会委員長 清水良夫先生のスライドより 薬局製剤製造販売の利点 日本薬剤師会 薬局製剤・漢方委員会委員長 清水良夫先生のスライドより 薬局製剤を製造販売することで、消費者と薬局との信頼関係が深まる。 薬局製剤は、薬剤師からの奨めにより購入されることが多いため、消費者には薬剤師からくすりの提供、情報を得たという実感がより強く残る。 すべての一般用医薬品、その他の商品についても薬剤師に相談できるという流れができ、頼りにされ、かかりつけ薬局の構築にもつながる。
薬局製剤製造販売の利点 日本薬剤師会 薬局製剤・漢方委員会委員長 清水良夫先生のスライドより 薬局製剤製造販売の利点 日本薬剤師会 薬局製剤・漢方委員会委員長 清水良夫先生のスライドより 薬局製剤の包装を自分の薬局オリジナルのもので作成すれば、薬局独自の医薬品として消費者に印象づけることができ、薬局及び薬剤師の独自性をアピールできる。 薬局製剤は、包装単位を独自に決めることができるので、消費者が購入時に、そのニーズに合わせた包数で販売することができ、要望にあった提供ができる。 原料医薬品の取り揃えから、製造・販売・販売後の使用状況まで薬剤師がすべて関与でき、薬剤師の知識や技能のすべてが発揮できる製剤である。
最後に・・薬局の三つの業務 調剤 製造 薬局の 主要3大機能 販売
現在のバランスは・・ 調剤 薬局の 主要3大機能 販売 製造
保険調剤・一般用医薬品等販売・薬局製剤製造の3つの業務すべてを行えるのが薬局・薬剤師の魅力であり、本来の姿 薬局の 主要3大機能 販売
日薬作成 薬局・薬剤師将来ビジョン 2025年の薬局・薬剤師 日薬作成 薬局・薬剤師将来ビジョン 2025年の薬局・薬剤師 処方箋受取率は全国平均で80%を超えており、すべての薬局が調剤とOTC販売を、約半数の薬局が薬局製剤の製造・販売を行っている。多くの薬局には、自動血圧計等の検査機器が設備されており、来局患者のみならず、地域の住民も自由にこれら検査機器を使用し、相談できるようになっている。また、薬局薬剤師による血糖値測定なども可能となっており、検査結果に基づく医師への受診勧奨や食事・生活指導などを通じ、糖尿病の早期予防にも貢献している。このような状況から、「薬局は気軽に入れる地域の健康ステーション」「薬や健康のことは薬剤師に気軽に相談できる」という考え方が国民・患者に浸透し、薬局は健康に関するファーストアクセスの場、薬剤師は健康の良きアドバイザーとして認識されている。 以下、省略