動的なサイバーコミュニティの形成支援 知識システム構築論講座 林研究室 吉田 誠博 修士論文中間審査 2000年9月6日(水) Supporting Dynamic Formation of Cyber Communities 修士論文中間審査 2000年9月6日(水) 知識システム構築論講座 林研究室 吉田 誠博 林研究室の吉田です。 ただいまより「動的なサイバーコミュニティの形成支援」 についての研究の中間発表を行います。
もくじ 目的、背景、問題点 本研究の特色 基本構造 機能 今後の予定 まず発表の順序を説明します。 はじめに、研究の目的、背景、問題点を述べます。 そして、それに対する本研究の特色を説明します。 その後、構築しているシステムの基本構造と機能を説明し、デモを行います。 最後に今後の予定を述べます。
目的 サイバーコミュニティの形成を支援するシステムの構築 (対象) 同じ趣味・主張・興味を持つ人たちが、 それぞれのWebサイトをつなぎ合わせて形成する 明示的コミュニティ 本研究の目的は、 サイバーコミュニティの形成を支援するシステムを構築することです。 サイバーコミュニティといってもさまざまな形態が存在するのですが、 ここでは、 同じ趣味・主張・興味を持つ人たちが、それぞれのWEBサイトを つなぎ合わせて形成する明示的コミュニティを対象とします。
背景 「荒らし」による掲示板、チャットルームの崩壊 Webサイトをつなぐコミュニティに注目! あなたってどんな人? →Webサイトが名刺代り ネット被害の増大 「荒らし」による掲示板、チャットルームの崩壊 あなたってどんな人? Webサイトをつなぐコミュニティに注目! →Webサイトが名刺代り →声の大きい人ではなく中身が勝負 →コミュニティのキャラクター把握が容易 研究の背景として、近年のネット被害の増大傾向があります。 インターネットの持つ匿名性の性質を悪用して 非道徳的・破壊的行動をする人、通称「荒らし」 によって掲示板、チャットルームの運用停止・崩壊が発生しています。 このような中、WEBサイトをつなぐコミュニティが注目されています。 その特徴として、 WEBサイトが名刺代わりとなり、ある程度の信用が保てる。 また、 声の大きい人(発言力)ではなくサイトの内容で勝負できる。このため個人だけでなく学校やいろいろな団体がコミュニティに参加しています。 さらに、 コミュニティの特徴の把握が容易である。 サイト内容を見れば特徴が把握できるので、変化する話題を常に追う必要がありません。
従来の研究 WebRing 各サイトが「ナビゲーションバー」 という特殊なハイパーリンクを直接埋込みリング状にリンク ナビゲーションバー例 1996.6 運用開始(USA) 1998.9 運用開始(JAPAN) 100万サイト以上が登録 ナビゲーションバー例 この分野の主流がWEBRINGです。 これは各サイトがナビゲーションバーという特殊なハイパーリンクを直接埋込み、リング状にリンクすることで機能します。 ここにナビゲーションバーの例を挙げます。 ナビゲーションバーのデザインは各リングで自由です。 しかし、リングのホームへのリンク・前のサイトへのリンク・後ろサイトのリンク・一覧表示は、必須機能とされています。 リングに参加するにはこのナビゲーションバーのHTMLを自分のサイトのどこかに書込む必要があります。 ーーー 動作概要は、 ナビゲーションバーのリンクをクリックすることでサーバのcgiを呼び出します。 その際自分のサイトIDをパラメタとして通知します。サーバではそのサイトIDから呼出しサイトを特定してリンク先のサイトを検索します。そしてリンク先サイトのデータを読込み、ブラウザに通知していると私は解析しました。 (http://www.webring.ne.jp/より)
問題点 ナビゲーションバーの管理を個々のユーザに任せている。 →リング(WebRingの命)が切れる可能性が大きい。 ナビゲーションバーの機能はすべてCGIを利用している。 →反応時間が遅い。 ナビゲーションバーの設置場所が一定でない。 →連続してリンクがたどりにくい。 問題点なのですが。。。 が挙げられます。 ナビゲーションバーの設置義務。 →ページデザインが崩れる。参加数分必要。
本研究の特色 参加が容易で閲覧しやすいシステム →サーバ一括管理により、ユーザ修正なしで参加可能。 →サーバ一括管理により、ユーザ修正なしで参加可能。 →ナビゲート処理の位置を一定にし、閲覧を効率UP。 知識創造プロセスの導入 →サイトを評価付け、動的にリンク順序を変更。 「思いを言葉に、言葉を形に、そして形をノウハウに」 (WEB文書化) (リング化) (評価による内面化) そこで本研究の特色の1つめが、 参加が容易で閲覧しやすいシステムです。 リンク情報をサーバで一括管理することで、ユーザサイトは修正することなく参加することを可能にしました。 HTMLのフレーム機能を使用してナビゲート処理の位置を一定にすることで、閲覧の効率を上げました。 もうひとつの特色は知識創造プロセスの導入です。 具体的には、サイトを評価付け、その値に応じて動的にリンク順序を変更する機能を実装しました。 知識創造のプロセスは「思いを言葉に、言葉を形に、そして形をノウハウに」で表現できます。 現状では、あるテーマに共感してWEB文書を作成し、それをリング状に体系化しているだけです。そこにサイトを評価付けする過程を導入してそのコミュニティに必要なノウハウの内面化を促すことで、知識創造の枠組みを形成しました。
基本構造 リンク情報をリング状にリンクして、 サーバで一括管理 リンク情報 では、システムの基本構造を説明します。 WEBRINGではサイトを直接リング状にリンクしています。 しかし、本システムではサーバ内に各サイトのリンク情報を作成して、 それをリング状にリンクして一括管理しました。 このリンク情報はフレーム機能を使用したHTMLファイルで構成します。 リンク情報をリング状にリンクして、 サーバで一括管理
機能(操作系①) navi1.html frame1.html site1.html フレーム機能を使用したHTMLファイル(リンク情報)を、 ナビゲーションHTMLのURLと登録サイトのURLで作成。 (閲覧者はこのファイルをダウンロードする) Navigation-HTML Frame-HTML navi1.html frame1.html User-site このフレーム機能を使用したHTMLファイルは ナビゲーションHTML(詳細は後ほど説明)のURLと ユーザが登録するサイトのURLで構成します。 閲覧者はこのファイルをダウンロードして、 ナビゲーション領域を付加したサイトのデータを見ることになります。 site1.html <HTML><FRAMESET> <FRAME SRC=“navi1.html"> <FRAME SRC=“site1.html"> </FRAMESET></HTML>
機能(操作系②) ナビゲーションHTMLはフレームHTMLをリング状にリンクして上書き表示。 (リンク先が異なるだけで表示内容は同じにする) <HTML><HEAD></HEAD> <BODY> <A HREF=“frame2.html “ TARGET="_top"> next</A> </BODY></HTML> frame1 navi1 ナビゲーションHTMLはフレームHTMLファイルをリング状に リンクして上書き表示します。 このナビゲーションHTMLはリンク先が異なるだけで、表示内容は同じにします。 frame2 navi2 navi3 frame3
機能(操作系③) プログラム起動なしでナビゲート この結果、 通常のフレーム機能を使用したHTMLでは2回目以降のリンクは 同一画面が表示され、何回クリックしても変化はないのですが、 それぞれの画面に応じたリンク先を表示します。 このようにHTMLのデザインを工夫することで、 特別なプログラムを起動することなく、ナビゲート処理を実装しました。
機能(評価付け①) 参加しているコミュニティ内のサイトが評価可能 →1から5点評価。(点数が高い方がよい) →初期得点3。 →評価時点での得点と評価点との平均。 評価付け機能は ユーザが参加しているコミュニティ内のサイトの評価を可能にしました。 得点は評価者の合計人数と共に表示されます。 評価後の得点 = 2 評価前の得点 + 評価点 表示例:4.5(3)→3人に評価されて得点は4.5
機能(評価付け②) サイトの得点に応じて昇順に配置→コミュニティのおすすめ順 ※配置替えは1週間周期で自動実施される。 home new site2 site3 site1 5.0 3.0 2.0 update 4.5 このように評価されたサイトは、その得点に応じて昇順にリンクを配置します。 いわばそのコミュニティのおすすめ順といえます。 なお、リンクの配置はリアルタイムではなく、1週間周期で自動的にバッチ処理で実行します。 配置は期間内に新規に追加されたサイト、更新されたサイト、既存のサイトの順序で行われます。 この区分は一覧表示した際に、色分けされているので認識することができます。 このようにコミュニティ内のサイトを、情報の新鮮なものから評価の高い順に 波のようにつないでいるので、このシステムをTSUNAMIと名づけました。
Tsunami Demo 今後の予定 システムの数値評価 システムのアンケート評価 評価付けによるコミュニティの影響調査。 本システムの優位性を閲覧時間、操作回数等数値で計測する。 Tsunami Demo システムのアンケート評価 本システム上にWebRingのリングを再現し、操作性等をユーザに比較してもらう。 評価付けによるコミュニティの影響調査。