TOPカウンター用 MCP-PMTの研究開発(1)

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TOPカウンター用 MCP-PMTの研究開発(1) 次世代光センサーワークショップ TOPカウンター用 MCP-PMTの研究開発(1) 名古屋大学大学院理学研究科 高エネルギー物理学研究室 居波賢二

TOPカウンター (1) Belle実験の測定器改良案の1つとして開発中 チェレンコフ光を利用した粒子識別装置(p/K) e- e+ 1.2m 2.6m e- 8.0GeV e+ 3.5GeV 改良型Belle測定器断面(案) 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

TOPカウンター (2) 石英を用いたイメージング 石英輻射体で発生したチェレンコフ光を端面まで内部反射(全反射)させ、スクリーン上の20個程度の光の到達点からリングイメージを再構成 光の到達点は光電子増倍管で測定 同じ運動量のpとKでは速度が異なるため、リングイメージがずれる。 大きいスクリーンが必要 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

TOPカウンター (3) 2次元位置情報  位置+時間 コンパクト化に成功 K p 1次元読み出し(~5mm) 時間分解能 s~40ps 2次元位置情報  位置+時間 コンパクト化に成功 シミュレーション 2GeV/c, q=90 deg. 1次元読み出し(~5mm) 時間分解能 s~40ps ~2m 時間 K p ~200ps 同じ運動量ではリングの開きが異なる  伝播距離(=伝播時間が異なる) 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

テストカウンター ビームテスト @KEK 3GeV/c p- 予想通りのリングイメージが実験によって得られた。 石英バー 表面精度<5mm 光検出器 位置分解能1mm 時間分解能70ps 予想通りのリングイメージが実験によって得られた。 光検出器の時間分解能は不十分。 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

光検出器に要求される性能 1. 1光子検出可能 2. 1光子に対する時間分解能 σ~40ps 3. 磁場中で使用可能(B=1.5T) 1. 1光子検出可能 2. 1光子に対する時間分解能 σ~40ps 3. 磁場中で使用可能(B=1.5T) 4. 高い収集効率 5. 位置分解能 ~ 5 mm 全ての要求を満たす可能性のある 光検出器としてMCP-PMTを研究開発 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

MCP – Micro Channel Plate MCP-PMT (1) MCP – Micro Channel Plate f~10mm 直径数mm-数十mmのガラスパイプを多数束ねた構造 パイプ各々が独立した二次電子増倍部 MCP一段の薄さ1mm以下 ~400mm -特徴- 高Gain~105-106(MCP2段内蔵) 高時間分解能σ<~40psec 平行磁場中で使用可能 Window size : 25mmf R3809U-50-25X 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

Length-diameter ratio MCP-PMT (2) 磁場0~1.5T(管軸平行)中での時間応答 (NIM A528, 763) HPK6 BINP8 HPK10 Burle25 MCP-PMT HPK6 R3809U-50-11X BINP8 N4428 HPK10 R3809U-50-25X Burle25 85011-501 PMT size(mm) 45 30.5 52 71x71 Effective size(mm) 11 18 25 50x50 Channel diameter(mm) 6 8 10 Length-diameter ratio 40 43 Max. H.V. (V) 3600 3200 2500 photo-cathode multi-alkali bi-alkali Q.E.(%) (l=408nm) 26 24 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

パルス応答 パルス波形 (B=0T) ゲイン v.s. 磁場 早い立ち上がり (~500ps) BINP8のみ広がった波形 HVラインとのインピーダンスのため 時間分解能には影響なし ゲイン v.s. 磁場 チャンネル径の小さいものほど磁場に対して耐性 穴のサイズと増幅電子の螺旋運動半径との対比で理解可能 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

時間応答 TTS v.s. 磁場 TTS v.s. ゲイン MCP-PMT チャンネル径の小さいものほど磁場に対して耐性 Single photon TTS v.s. 磁場 チャンネル径の小さいものほど磁場に対して耐性 TTS v.s. ゲイン ゲインが106程度以上あると30~40psの時間分解能が得られる チャンネル径 <~10mm MCP-PMT 1光子検出可能 30ps程度の時間分解能 1.5Tの磁場中で動作可能 Single photon 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

角型MCP-PMT (1) SL10 省デッドスペース 角型メタルパッケージにより有効面64% 外形 27.5x27.5x14.8mm 有効面(外形に対する比) 22x22mm(64%) 光電面 マルチアルカリ 量子効率 ~20%(λ=350nm) MCPチャンネル径 10μm MCP段数 2段 MCP表面Al蒸着 なし 開口率 ~60% アノード 4チャンネルリニアアレー アノード有効面(1ch) 5.3x22mm アノード間ギャップ 0.3mm SL10 TOP counter用光検出器として浜松ホトニクス社と独自に共同開発 省デッドスペース 角型メタルパッケージにより有効面64% 位置情報 4チャンネルリニアアノード(5mmピッチ) 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

角型MCP-PMT (2) Rise time ~400ps 1光子検出可能 立ち上がり時間~400ps Gain=1.5x106 @B=1.5T 時間分解能(1光子) ~30ps @B=1.5T 位置分解能<5mm 収集効率~50% 1光子照射 時間分解能 σ~30ps 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

TOPカウンターデザイン 石英: 255cmL x 40cmW x 2cmT マルチアノード MCP-PMT 色収差の影響を抑えるため、q=46゚で分割 マルチアノード MCP-PMT 3つの端面に設置 Forward Need 18 Quartz units, 4320 MCP channels θ 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

性能(シミュレーション) Target: >4s K/p at 4GeV/c 4GeV/c,q=70゚で 2.5sの分解能 θ TOP performance (bi-alkali cathode) θ 4GeV/c,q=70゚で 2.5sの分解能 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

Chromaticity(色収差) 検出時間がチェレンコフ光の波長に依存して変化  リングイメージの分離能力の悪化 時間分解能の悪化  リングイメージの分離能力の悪化 石英中での光の伝播速度の波長依存性 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

GaAsP光電面MCP-PMT (1) 高い量子効率 長波長に感度 → 波長分散効果が少ない 石英中の光の伝播速度 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

Structure of measured MCP-PMT GaAsP光電面MCP-PMT (2) HPK 時間応答性能 光電面の厚みのためにTTSが悪い可能性 GaAsP:~mm ⇔ multi(bi)-alkali:~100Å シングルアノードMCP-PMTの時間分解能 同じ時間分布 Structure of measured MCP-PMT MCP channel diameter φ6μm # of MCP 2 stage anode single anode effective area φ11mm 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

GaAsP光電面を用いた場合の性能 GaAsP光電面(+>400mmフィルタ), CE=36% 4GeV/c,q=70゚で 3.5sの分解能(1sの向上) 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

フォーカスシステム チェレンコフ角の波長依存性 フォーカスミラーによって角度を y方向の位置に変換する 時間+x,y位置情報から波長分解したチェレンコフリングイメージを再構成 薄いミラーと読み出し面でも伝播距離を伸ばすことで分解が可能 PMTを回転 Focus Mirror 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

Focusing TOPの性能 4GeV/cで 4.3s の分解能を達成 GaAsP光電面(+>400mmフィルタ), CE=36% 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27

まとめ 次期粒子識別装置TOPカウンター 光検出器  角型MCP-PMT チェレンコフリングイメージ測定器(精密時間+位置) 基本デザイン開発はほぼ終了 フォーカスミラーを製作・評価 光検出器  角型MCP-PMT 1.5T磁場中で1光子検出 ~30psの時間分解能 GaAsP光電面角型MCP-PMT 波長分散効果の低減のため プロトタイプは完成 製造手法の確立が今後の課題 寿命評価、GaAsP光電面開発次の発表 HPK製SL10 次世代光センサーワークショップ 2005/12/26-27